2015年09月16日

絵本で障害を克服した実話「クシュラの奇跡」

こんにちは!保育士バンク!編集部です。

もうすぐシルバーウィーク!夏休みが終わり、慌ただしかった日々もようやく一段落しそうですね。

最近のどや鼻からくる風邪が流行っていますので、体調管理には十分お気を付け下さい。

 

今日は絵本が起こしたある「奇跡」についてご紹介します。

絵本の読み聞かせは大切!という事は広く知られていると思いますが、その絵本の力で重い障害を乗り越えた親子の実話がある事をご存知でしょうか。

 

●クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々

クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々
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『クシュラの奇跡』は1984年に出版された本に由来されています。

 

クシュラは1971年ニュージーランドで生まれた女の子です。

生まれつき染色体に異常があり、生後すぐに身体や知能に重度の障害が見つかりました。

染色体に異常が起こると内臓・視聴覚・形態・知能・運動などあらゆる部分に障害を伴います。

 

「自分で物を持つことが出来ず、目で何かを見る事も難しい」

「呼吸器官に異常があり、1時間も寝ている事が出来ない」

「一年の間に幾度も危篤状態になり、手術や入退院を繰り返す」

 

他にも数えきれない非常に複雑な疾患があり、当時同じ障害を持つ人は生後一年以内に90%が死亡すると言われていました。

 

回復はもちろん育つ事さえ絶望的と診断されても、クシュラの両親は希望を捨てませんでした。

何も反応を示さないわが子を抱え、懸命に治療法を探し続けました。

 

その中で、かすかな希望の光を見つけました。

 

昼も夜も眠る事が出来ず、むずかる赤ん坊との長い時間を埋めるために始めた「絵本の読み聞かせ」に生後4ヶ月のクシュラが強い関心を示したのです。

 

●読み聞かせた絵本は140冊

母親はクシュラが起きている間中はクシュラを抱いて絵本を読みました。

可能性を信じて、何度も繰り返し繰り返し、大量の本を読み聞かせました。

 

3歳までに読んだ本は140冊。本によっては100回以上。

クシュラがフレーズを丸暗記するほどまで毎日欠かさず読み続けました。

 

母親はいつも片手にクシュラを抱き、もう片方には絵本を持ちながら世話を続け、10分置き程度にクシュラの言った事や成長の証と分かる物をメモしていきました。

 

クシュラへ語りかける言葉の洪水と、絶え間ない両親のスキンシップ。

外界と遮断されていた彼女にとって、絵本は大切な懸け橋となりました。

並大抵では到底不可能な両親の努力により、障害を乗り越えてクシュラの脳に刺激を与え、彼女の心を外へ、外へと向かわせました。

 

そうして、ついに奇跡が起こります。

1歳まで育つのも困難と言われる中、クシュラは生き続けただけでなく、3歳になる頃には身体のハンディはあるものの、豊かな感情と言語能力を習得、他の子どもと遜色ないほどの発達を見せました。特に知能の発達は目覚ましく、さらに5歳になる事には平均以上の知力となりました。

そして、粘り強く治療を続けたことで筋力も回復し、クシュラは奇跡的な成長を遂げる事が出来ました。

 

その後クシュラは一般の子どもと同じ学校に通い、成人しました。

母親はここで彼女に自立を進め、共同住居で暮らすようになりました。両親がいなくなっても彼女だけでしっかり生きて行けるように、と将来を考えての事でした。

それから数年後、母パトリシアは40歳という若さでこの世を去りました。

まさに命と人生をかけて、絵本がもたらす力を実証したのでした。

 

●クシュラが読んでいた絵本

クシュラが特にお気に入りだったのがブルーナの絵本でした。

そして、「はらぺこあおむし」、「かいじゅうたちのいるところ」「三びきのくま」など、どれも現代でも愛され続けている本達を読んでいました。

 

小さい頃空想しながら読んでいた絵本たち。

親が与えてくれたあのわくわくする日々があったからこそ、今の自分があるのかもしれませんね。

 

クシュラの母親は最後に

「ずっと勉強を続けなさい。」

という言葉を残しました。

 

そして、クシュラは現在も3人で共同生活をしながら勉強を続けています。