2016年01月24日

准保育士、何が問題?

2014年、政府は保育所で働く人材を確保し、待機児童の問題を解消するため、「准保育士」の資格を新設することを検討しはじめました。

准保育士って?

准保育士とは、看護師に対して准看護師という資格があるように、保育士よりも専門性が低く、簡単に取れる、保育所等で働ける資格のことです。 現在構想されているのは、子育て経験のある主婦等が3か月の講習を受けることで取得できる、民間認証資格です。
国家資格である保育士資格を取得するには、短大や専門学校の保育士養成課程を卒業したり、学歴が短大卒以上で保育士試験に合格したりする必要があります。
子育てが一段落し、社会で働きたいと思っている主婦層を保育の現場に取り込むことで、人材不足を解消することを狙っているのです。

実は、第1次安倍内閣時の2007年にも一度検討されたことがあります。
しかし、その時は保育関係者から強い反対の声があがり、成立には至りませんでした。

保育現場が准保育士に反対するのには、大きく2つの理由があります。

保育業界全体の賃金低下

昨今、保育士の賃金の低さが問題になりました。 子どもの命を預かるという重大な業務を行っているにも関わらず、保育士の賃金は一般平均よりもかなり低く設定されています。
これは、保育所の利用料に上限が設定されていることや、
保育という仕事自体が、「子育ての延長」「誰にでもできること」と評価されているなどの原因があります。 簡単に取れる資格である准保育士の賃金は、国家資格である正保育士よりも当然低く設定されます。
つまり、正保育士が准保育士に置き換えられたり、准保育士の割合が増加したりすれば、保育業界全体の賃金が下がることにつながるのです。

現場の専門性の低下

現在、保育所で求められる保育技術は、高度になってきています。

もともと、保育所での集団保育では、家庭での子育てとは全く異なった知識や経験、技術が求められます。
保育士には、ただ子どもの面倒をみるのではなく、子どもの安全を確保し、成長を支援する責務があります。

近年では発達障害児への個別支援や、被虐待児へのケア、アレルギーを持つ子どもの安全確保など、専門性の高い保育が求められています。

こうした現状を考慮すると、3か月という短い講習で准保育士が高度な保育を行うのに十分な知識や技術を習得できるとは考えられません。

実務経験がなく、専門的な知識もない准保育士が保育現場に入ることで、保育現場の専門性が低下することが懸念されているのです。

「准保育士」の議論の今後に注目

このように、准保育士という資格をめぐっては、人材確保をしたい政府の思惑と、質の維持・向上をしていきたい保育現場の思惑とが真っ向から対立している形です。 待機児童解消に向けて、利用者も現場もハッピーになれるような施策が待たれます。