2016年03月21日

保育に役立てよう「五領域」

保育所における教育内容である「五領域」とは 「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5つです。
五領域とは、保育所や幼稚園での教育目標を表わしているものです。この五領域を意識して遊びや活動の計画を行うことで、子どもの力を総合的に伸ばすことができます。

五領域

五領域の内容

「健康」

保育所保育指針には、「健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと」と書かれています。
生活リズムを整えること、衣類の着脱、食事、排泄の自立、病気予防の他にも、体を動かすこと、外で遊ぶことなども含まれます。

「人間関係」

保育所保育指針には、「人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと」と書かれています。
友だちや大人と関わること、自分の思いを伝えることの他に、自分でできることは自分ですること、決まりを守ること、異文化への関心を持つことなどが含まれます。

「環境」

保育所保育指針には、「生命、自然及び社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと」と書かれています。
五感を使って感じること、様々な物の性質や仕組みへの関心を持つこと、自然の豊かさに気づくことの他に、工夫して遊ぶこと、数量や図形、文字に関心を持つこと、保育所内外の行事に関心を持つことなどが含まれます。

「言葉」

保育所保育指針には、「生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり、聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと」と書かれています。
ごっこ遊びや言葉のやり取りをすること、経験したことや要求を言葉で表現すること、あいさつすること、絵本や物語に触れること、文字に興味をもつことがこの領域にあたります。

「表現」

保育所保育指針には、「様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと」と書かれています。
音や色、形、手触り、動き、味、かおり等に気付くこと、感動したことを伝え合うこと、自由に書いたり作ったりすること、音楽に親しむこと、演じて遊ぶことなどがこの領域にあたります。

五領域を遊びや活動の計画に役立てよう

「教育目標」なんていうと、特別な活動をしないといけないのかな、と思ってしまいますよね。でも、五領域の中身を見てみると、意外と普段から保育所で行っている活動と重なることに気づいたのではないでしょうか。

「お店屋さんごっこ」と五領域

3〜5歳児がよくおこなうお店屋さんごっこ。

今回は、次のようなことをするとします
・何屋さんをするかを子どもたちで相談して決める
・お店の外観や、商品を作る
・おもちゃのお金を使って、子ども同士で売り買いをする

このような遊びをするとき、五領域はどのように関わるのでしょうか。

◯健康
・お店をするために、必要なものを考えること(見通しを持つこと)
・商品を作る際に、はさみを安全に使うこと

◯人間関係
・友だちと相談すること、一緒に取り組むこと
・自分の考えを友だちや大人に伝えること
・ごっこ遊びのルールを守ること

◯環境
・身近なお店の仕組みをまねること
・実際のお店をまねて看板を作ったり、値段を設定したりすること
・身近な物や食べ物にそっくりなものを作ること
・お金を使って欲しいものを手に入れること

◯言葉
・「いらっしゃいませ」「○○円です」など、必要な言葉を使うこと
・「これいください」「いくらですか」など、自分の要求を伝えること
・看板の字や商品の値段を書くこと

◯表現
・身近な物の色や形、手触りなどを感じ、商品づくりに活かすこと
・自分の作品を商品として販売すること
・お店の人、お客さんを演じること

このように、子どもが様々なことを考え、行うことができる遊びには、五領域がバランスよく関わってきます。

五領域を満たさない「お店屋さんごっこ」

逆に、五領域のいずれかが欠けてしまっている遊びは、子どもにとって満足のいくものになりません。

◯健康を満たさない場合
・はさみやカッターナイフ等、危険な道具を何の説明もなく子どもに使わせる
・机の周りだけですべての活動が完結する

◯人間関係を満たさない場合
・子どもがひとりでお店を開く。お客さんは来ない。
・なんでも大人がやってあげてしまう。
・子どもの意見を大人がまったく聞き入れない

◯環境を満たさない場合
・「化学薬品問屋」など、子どもにとって身近でないお店を開かせる
・実際のお店の様子とかけ離れた状況を設定する
・文字や値段を、大人が一方的に指定する

◯言語を満たさない場合
・ごっこ遊び中に声を発することを禁止する
・「いらっしゃいませ」など、お店屋さんに必要な言葉を教えない

◯表現を満たさない場合
・「次になにするか」を、大人がすべて細かく指示する(創意工夫の余地がない)
"この段ボールに「やおや」と書きます。色は緑にします。"
・買い物をする様子をビデオで観るだけで終わる
・台本通りに動くことを強制する
いかがでしょうか。
ここで出した例は極端な例ですが、五領域のいずれが欠けても、ごっこ遊びの面白さが半減どころかほとんどなくなってしまうことがお分かりいただけると思います。
つまり、五領域は、保育計画をする際に大切にするものですが、子どもが楽しめる遊びを設定しようとすれば、自然と関わってくるものなのです。
遊びや活動をリードしている時、子どもがつまらなさそうにしていたり混乱していたりしたら、五領域を振り返ってみるとよいかもしれません。