2017年02月04日

信頼のあるところに成長はある

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こんにちは。アートセラピスト柴崎千桂子です。


前回は「絵は子ども達からのラブレターです」とお伝えしました。


今回は、この考えのもととなった、私の原体験についてお伝えしたいと思います。





話は私が中学生の時にまでさかのぼります。


私は、中学生で親元を離れて寄宿舎のある学校に入りました。


中学1年生と言えば、つい最近まで小学生だった子です。


親元を離れての生活の心細さといったら・・・!想像してみてください。




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さて、その学校では、1年生の生徒たちのために、ある制度がありました。


それは、1年生を3年生の先輩が見守るというもの。


一人の1年生に、必ず一人の3年生の先輩が担当となります。


1年生にはこのように説明されていました。


「あなたに、必ず一人3年生のエンジェルさんがつきますよ。」




このエンジェルさん、1年の間、どんな時も担当の1年生を見守ってくれているのですが、一つ決まりがありました。


それは、1年が終わるまでは、決して名乗ってはいけない、ということ。


1年の終わりになって「私があなたのエンジェルさんだったのよ。」と先輩が名乗ることになっているのですが、それまでは黙って見守るのみです。


だから、1年生にしてみれば、「どの先輩が私のエンジェルさんなのだろう?」と気になって仕方がありません。


「よく声をかけてくれる、あの先輩かしら?それとも・・・?」


気になって仕方がなく、想像も膨らみます。


「この人かな。」「あの人かな。」


自分に声をかけてくれる先輩がどの人も、自分のエンジェルさんに見えてしまうこともあるぐらいでした。





1年生が終わって、先輩が名乗ってくれた時には、すべてが腑に落ちます。


この先輩にこの1年間、いろいろ助けてもらっていたことに気づくのです。


「ああ!そういえば、あの時も、あの時も、あの時も、私の様子に気づいてくれたのは、この先輩だった!」


正体を明かした先輩も、やっと直接話ができて、伝えたい気持ちを自由に話せるので、とてもうれしそうです。


「運動会のあの時は、あなたの元気がなくて、とても心配したのよ。」


「部活のあの時、あなたは本当によくがんばっていたわよね。」などなど。





誰が自分のエンジェルさんかわかる瞬間―自分を1年間見守ってくれていた人がわかるのは、とてもうれしいことでした。


そしてその時にこんな気持ちも自然とうまれてきました。


「私も早く3年生になって、誰かのエンジェルさんになりたい。」




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誰だかわからないけれど、「自分は見守られている」という想いが自分を強くしたのです。


親元から離れて同年代の子どもたちとの共同生活を始めたばかりの13歳の私にとって「誰かが私を見ていてくれる。」と思うと不思議とがんばれたのです。


直接の言葉はないけれど、その気持ちがあるとさみしくはありませんでした。


ある特定の誰かがというより、自分を見守ってくれる存在がいる、というその事実のありがたさが本当に身に染みたのでした。





そして、この時のもう一つの自分の心の体験を語ると、3年生の先輩を見るとどの人も私のエンジェルさんに見えました。


この体験が私の中に、人を肯定的に捉える力を養ったと思っています。
人の善意の部分を信頼していく力といったらいいでしょうか。




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「世の中の人は、私に悪意をもっている。そうじゃなかったとしたら、私に無関心な人ばかりだ。世の中は怖くてさみしいところだ。」という信念をもって生きることと「人って怖くないよ。関係性を結ぶと楽しいよ」と人や社会を肯定的にとらえながら生きることーその2つの価値観では、随分と人生は変わってくると思いませんか。





人を肯定的にとらえる力をエンジェルさんの体験を通して育ててもらったからこそ、いま、私がセラピストとして相談を受けたり、教えたりするときもそうですし、自分の個人的な人間関係も、楽しみながらやってこられたと思っています。





このエンジェルさんの経験は、思春期の私の心に2つの面を育んでくれました。


1年生の時は「信頼」。


それは、誰かが見守ってくれるありがたさ。


そして、学校という場や見えないものを信頼する力を自分の中にうまれてきました。

そのことが自分は大丈夫だ、やっていける、という自信にもつながっていきました。


3年生の時は「貢献」



「何をしてあげたら、自分が担当する子が幸せか」という貢献の気持ちを学びました。


「その子の幸せについて考えると自分もそのことで幸せになれる」という気持ち。


そして、匿名で行うことから、無償の愛も学んだと言えます。


そして、1年の締めくくりに名乗る時には「この1年、あなたと一緒に生きていたよ。」といううれしく誇らしい気持ちが自分の中からこみあげてきました。





「信頼」と「貢献」-この原体験によって、私が人と関わるために必要な力を培ったと思っています。


人が生きていく時に、肯定的な視線に見守られることの大切さをこの時に感じました。


そして、じつは、このエンジェルさんの体験があって、私はセラピストになろうと思ったのです。





この、エンジェルさんのマインドは、子ども未来研究所のアートセラピー教室やグロースセミナーにも引き継がれています。


特に、冬休みに行う「冬グロースセミナー」では、3日間の合宿中に子ども同士がお互いのサンタさんになって見守る「シークレットサンタ」が名物実習になっています。


最終日の夜に、全員の前で、サンタさんから素敵だったところを発表します。


順番に、発表する体験、発表される体験をしていきます。


子ども達はこの時間が恥ずかしがりながらも大好きです。


サンタさんじゃない子も「○○ちゃんのいいところを他にも言いたい人いますか?」と聞くと、進んで手を挙げてシェアしたがるぐらいです。





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「子どもの成長にはまず信頼ありき。」というのは、一つの私の信念です。


「信頼のあるところに成長はある。」と言ってもいいかもしれません。





信頼がある環境では、子どもは自然と伸びていきます。


自分の中に信頼の力を育てた子は、もう少し大きくなってから、たとえつまずいたとしても立ち上がることができます。


この体験が自分の栄養になってくれると自分とプロセスを信頼する力が自分の中にあるのです。


私はカウンセリングの中で、他者との関係を結ぶことが難しくなってしまった子どもたちを見ながらこのことを感じてきました。





子ども未来研究所のアートセラピー教室では、本人のやりたいことを思い切りさせてあげる場づくりをしています。


思いっきりやる体験とそれを受容される体験が子どもたちに自己肯定感を育んでくれるからです。


でも、そもそも信頼感がそのクラスに対してないと、子ども達は思いっきりやろうなんて思わないのです。




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子どもは周りの大人から信頼を学びます。


その年齢にふさわしく、社会に出ていくための勇気を自分の中に育てていっています。


子どもは、不信感いっぱいの中で、自由に何かをするのは難しいのです。



「行ってみよう」「やってみよう」と子どもが思うのは、自信と信頼が心の中に育っている証拠なのです。



「信頼」は何歳から学んでもいいことですが、1番伝わりやすい時期が3-6歳です。


そして、この年齢で学ぶ信頼関係とは「人って怖くないよ。」「人と関係性を結ぶと楽しいよ。」ということ。


そう思って生きることは、子どもに大きな力になってくれます。





そして、もう少し大きくなって、小学生になると、いよいよ勉強がスタートします。


最近は、入学前から気にされるおうちも多いでしょうか。


小学生のお母さんの多くの人が悩むのが勉強のこと。


他の子よりも、勉強が遅れているかもしれないと気にするようです。


これも、人との関係が上手に持てる子であるならば、心配しすぎる必要はないのです。


学校や自分への信頼がしっかり育っているのですから、いくらでも挽回できます。





子ども達にとって、人生最初の「社会」である園で、子どもの心の中に「人と仲良くすると楽しいな」という気持ちを育んでいってあげてください。


先生たちが子どもたちを見守ってくれていることそのものが子どもたちを自分らしく成長させていくことにつながると思います。






柴崎千桂子

Canadian International Institute of Art Therapy

名誉クリニカルアートセラピー修士NPO法人子ども未来研究所・理事

クエストアートセラピースクール校長


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