放課後児童クラブとは何なのか簡単に知りたいという方もいるでしょう。児童福祉法で定められた児童厚生施設で、主に共働き家庭の小学生を対象に放課後の生活の場となっており、共働き世帯の増加によりニーズが高まっていることや、保育士が求められる職場としても注目されています。今回は保育士さんの転職に役立つ「放課後児童クラブ」について解説します。
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■目次
【放課後児童クラブとは】概要を簡単に解説
「放課後児童クラブ」とは、小学校に就学している児童が放課後に利用する児童厚生施設です。
公営・民営と運営母体はさまざまですが、国が定めた「放課後児童健全育成事業」に準じて、自治体が設置し運営されているものが主となります。
「学童保育所」や、「児童クラブ」「学童クラブ」などさまざまな呼称がありますが、すべて同じ施設のことと捉えてよいでしょう。
こども家庭庁の資料によれば、国が定めている放課後児童クラブの「事業の内容・目的」は以下のように設定されています。
共働き家庭など留守家庭の小学校に就学している児童に対して、学校の余裕教室や児童館、公民館などで、放課後等に適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る。
共働き世帯の増加や子育て女性の社会進出にともない、放課後はもちろん、夏休みなどの長期休暇時期の日中における子どもの居場所として、年々ニーズが高まっています。
【放課後児童クラブとは】種類を簡単に解説
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放課後児童クラブの運営母体は、大きく分けて3パターンあります。
(1)地域の行政(市区町村)が運営する施設
(2)行政が設置し、法人団体や企業などに委託して運営している施設
(3)民間団体・企業がサービス業として運営している施設
この3つの種類について詳しく見ていきましょう。
(1)(2)行政管轄による施設
上記の(1)(2)は、主に学校の空き教室の利用、学校敷地内および近隣に専用施設を設置しているケース、また学区内の児童館などに設置しているケースがあります。
いずれも、国が児童福祉法により定めた施設基準を遵守して設置・運営されています。
これらの施設を利用する際には、認可保育園と同様に保護者が管轄の市区町村に申し込みを行ない、行政の担当者によって、より保育の必要がある児童から優先して入所が決定されます。
そのため、保護者の勤務時間帯や長さ、また家庭の状況や子どもの学齢など複合的な要素で入所の優先順位が判断されます。
特に学齢は大きな判断基準となり、就学したばかりの1年生が最も優先され、小学3年生から待機児童が増えてくる傾向があるようです。
2024年の統計では、小学1年生の待機児童数が2411人なのに対して、最も待機児童が多い小学4年生は5044人となっています。
(3)民間企業による施設
(3)は民間企業による運営のため、スポーツや学習塾などの習い事プログラムを提供しているクラブや、英語教育に特化しているクラブなどがあり、人気を集めているようです。
また学区をまたいださまざまな地域の児童が通うことも特徴。それにより、学校・クラブ・自宅間の送迎を行なうなど、ニーズに合わせたサービスを展開している施設も多くあります。
このような行政運営以外の民間施設への入所は、施設との直接契約になります。入所に際して保育の必要性などが配慮されるわけではないので、行政による放課後児童クラブで待機児童となってしまった子どもの受け皿としても機能しています。
【放課後児童クラブとは】活動と役割を簡単に解説
放課後児童クラブでの子どもたちの活動内容について見ていきましょう。
原則、子どもたちは学校から直接、放課後児童クラブに下校します。
そのまま放課後児童クラブで放課後の時間を過ごし、クラブや自治体が定めた夕方の時間に集団帰宅、もしくは保護者が迎えに来るなどの方法で帰宅するのが一般的です。
また、夏休みなど学校が長期休暇に入る時期や土曜日は朝から開所します。
その際は、保護者の出勤時間に合わせて朝から夜までの時間を放課後児童クラブで過ごす子どもも多いようです。
放課後児童クラブが担う、日常的な活動における役割は以下のようになります。
- 放課後の子どもたちの健康管理、情緒の安定
- 放課後の子どもたちの安全確認、来所帰宅時の安全確保
- 遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
- 連絡帳などを通じた家庭との日常的な連絡、情報交換
- 放課後の子どもたちの遊びの活動状況の把握
- 遊びの活動への意欲と態度の形成
- 家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援
運営者や職員は、上記を踏まえたうえで、遊び・生活の場として放課後児童クラブで一定時間を過ごす子どもたちの生活全体を安定的に維持する中で「子ども一人ひとりと集団全体の生活を豊かにする」ことが求められています。
子どもたちは放課後児童クラブでの時間を、外遊びや読書、工作やゲーム、季節ごとのイベントなどを楽しみながら過ごします。
ほかにも間食の提供、1日保育であれば昼食(主に持参弁当)の時間や、施設によっては簡単に宿題のサポートなども行なわれるようです。
放課後児童クラブへの転職に興味がある!【放課後児童クラブとは】数字で見る現状を簡単に解説
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放課後児童クラブの現状を簡単に把握するために、データを参照しながら見ていきましょう。
増減の推移を見るために、2022年5月と2023年5月のデータを比較しました。この統計は、前章で解説した行政が管轄している(1)(2)の施設のみが対象です。
こども家庭庁によれば、表にある「支援の単位」とは、国が定めた放課後児童クラブの設備・運営基準による「子どもの集団の規模を示す単位」であり、放課後児童クラブの活動は、この「支援の単位」を基本として行なわれていると説明されています。
この数字からは、放課後児童クラブに実際に通っている児童数の全国的な推移が把握できるようです。
2023年の数字を前年比で見ると、放課後児童クラブを利用している児童数、放課後児童クラブを必要としているが利用できていない児童数は大幅に増加しており、ニーズが増えていることが分かります。
ちなみに、クラブ数の減少は、自治体ごとにばらつきがあった集計方法を2023年度から統一した結果によるもので、ニーズと受け皿数がかけ離れているとは一概には言えなさそうです。
しかし、利用希望を提出しているにもかかわらず放課後児童クラブを利用できない「待機児童数」が増えていることからも、より受け皿や職員の増員や整備が必要であることは見て取れるでしょう。
出典:令和5年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況/こども家庭庁
出典:放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)/こども家庭庁
出典:「放課後児童クラブの機能、役割」についての補足資料/こども家庭庁
簡単に転職できる?保育士ニーズが高い放課後児童クラブ
放課後児童クラブでは、年々増加する子どもたちや保護者の利用ニーズの高まりに、職員確保が追いついていないことが大きな課題となっています。
放課後児童クラブの職員は「放課後児童支援員」であることが望まれますが、この資格は保育士もしくは社会福祉士の資格を保有していれば、自治体が主催する研修を受講することで取得できます。
2024年には、放課後児童クラブの職員が安定して継続的に働けるよう、施設に対する補助を拡充するための予算が組まれており、放課後児童クラブで働く保育士などの人材は非常に求められていることが分かります。
放課後児童支援員の資格を取得していない保育士さんも、放課後児童クラブで働くことができます!
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