共働き世帯の増加に伴い、保育園に通園する子どもが増える中「保育の充実」を目指すためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。乳幼児期の子どもたちの成長を支えるうえで大切な要素といえそうです。今回は、保育施設運営者が保育の充実を目指すための取り組みや具体例を詳しく紹介するので、参考にしてみてくださいね。
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■目次
保育の充実を目指すために必要な取り組みとは?
保育園では子どもたちの園生活をより豊かにするために、日々、保育の充実を目指す取り組みが行なわれていることでしょう。
保育士は子どもたちの成長を支え、必要な経験を積み重ねられるように見守り、サポートする重要な役目を担います。
そこで保育の充実を目指すためには、保育施設運営者が保育士の技術やスキルアップできる体制を整えることが大切になりそうです。
実際、保育士の資質を高めるためにはどのような取り組みが必要なのか詳しく見ていきましょう。
「保育計画」を作成する能力
保育士は、保育の目的や内容を定めた「保育所保育指針」を基に、一定の保育水準を確保することが求められます。
各年齢の子どもたちの発育や発達を考慮しながら「年間保育計画」「月案」「週案」「日案」といった長期・短期的な保育の計画を立てることが重要です。
保育施設運営者は、保育士が日々の子どもたちの様子を把握したうえで保育内容をまとめられるよう、計画力の向上をサポートすることが必要です。
研修・講習の開催
保育の充実を目指すためには、保育士のスキルアップや新たな知識の習得に向けた機会を設けることも大切です。
園外・園内の研修を開催し、保育士同士の意見交換の場を設けることで、多様化する保育ニーズに対応できる力を育むことができそうです。
保育日誌・記録での振り返り
保育士は計画の実践後に保育日誌や保育記録の作成を行ないます。
その中で子どもたちの様子をふまえて改善が必要な内容を洗い出し、次の活動につなげていく必要があるでしょう。
振り返りの積み重ねが保育士の成長を導くという考え方もあることから、保育の充実を図るために重要な要素といえそうです。
保育士間の協力体制の確立
保育園ではさまざまな場面で保育士同士が協力して子どもたちの成長を支えることから、チームワークが必要になります。
ただ、人間関係が良好でない場合や園全体の風通しが悪いと連携が上手くとれず、保育がやりづらくなることもあるでしょう。
そのため、各園で保育士間の協力体制の確立や信頼関係の構築が求められます。
小学校教育につなげる取り組み
子どもたちは保育園を卒園後、小学校へ進学し、さまざまな学習に取り組んでいきます。
2018年4月には、小学校教育につなげるための指針として「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」が発表されました。小学校入学に向けて育んでほしい子どもの姿や能力を示された、重要な指針です。※詳しい内容はこちらをご覧ください。
保育士が保育の充実を意識する際は、小学校入学を見据えて子どもと向き合うことが大切になるでしょう。
このように保育の充実を目指すためには、保育士一人ひとりの専門的な技術やスキルの向上が求められるでしょう。
続いて、上記で説明した項目ごとに、保育現場における具体的な取り組みの例を紹介します。
【保育の充実の具体例】「保育計画」作成能力の向上
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保育士の計画力を高めるためにはまず、園全体で「年間保育計画」「月案」「週案」「日案」の立て方が統一されているのか、確認してみましょう。
実際に職員がそれぞれ独自のやり方で行なっている場合もあることから、保育目標の立て方や保育内容の決め方が異なることがあるようです。
まず、学年主任やリーダーが従来の計画の立て方について見直しを行ない、方針を決めることが大切です。
また、職員によって計画を立てることが苦手だったり、子どもの様子を読み取る力に不安があったりとさまざまな特性があるでしょう。
ベテラン保育士さんや主任が積極的に相談にのる機会を設け、職員全体の能力が高められるように取り組めるとよいですね。
【保育の充実を目指す具体例】研修・講習の開催
園内・園外研修のテーマを決め、事例検討や研究保育などを行なう機会を設けるとよさそうです。
例えば以下のようなテーマで職員が発表する場や講習を開催し、意見交換や技術の習得の機会を作りましょう。
【子どもの遊びの発表】
- 豊かな創造力や表現力を培う遊び
- 子ども同士の意見交換が活発になる遊び
- 季節を感じられる製作から運動への発展遊び
【子どもの安全を守る講習】
- アレルギー対応研修
- 危機管理・救急法講習会
- 特別支援研修
この他にも職員にどのような研修や講習に参加したいかアンケートを取り、希望を聞いてみるのもよさそうです。
また、研修を開催することで有益となるよう、職員の休暇が減ったり、業務に負担が生じたりしないように気をつけましょう。
【保育の充実を目指す具体例】保育日誌・記録の振り返り
定期的に保育士日誌や記録を振り返る機会を設け、職員同士で情報を共有する場をつくりましょう。
子どもの成長には個人差があり、担任以外の客観的な視点で様子を共有することも大切です。
記録をもとに印象に残った出来事などを伝え合い、適切なサポートについて話し合ったり、子どもの個性を把握したりする機会になるとよいですね。
【保育の充実を目指す具体例】保育士間の協力体制の確立
保育士同士の協力体制を築きあげるためには、主任やリーダーが風通しのよい職場づくりを意識して行なうことが大切になるでしょう。
主任やリーダーにマネジメント研修を行なうことで指導力やコミュニケーション能力の向上に役立つでしょう。
例えば、経験が浅い保育士に褒める言葉や期待を寄せる言葉をかけるなど、日頃から気にかける言葉を伝えられるように指導するとよいかもしれません。
主任やリーダーが意見交換しやすい状況を作り上げることで職場の雰囲気がよくなっていくことが考えられます。
自然に保育士同士の協力体制が確立され、「報告・連絡・共有」がスムーズに行なうことができそうです。
【保育の充実を目指す具体例】小学校教育につなげる取り組み
保育士が小学校教育について理解を深められるよう、子どもたちが入学後にどんな教育を受けるのか、学習計画や時間割などを知ることが大切でしょう。
保育施設運営者は小学校への訪問や小学校教諭と情報交換の場を設けるなど、連携の強化に取り組むとよさそうです。
また、保育園に小学校教諭を招いて行事に参加してもらったり、小学校で体験入学会を開催したりと、交流を深められる機会をつくるとよいですね。
保育士一人ひとりの資質の向上をふまえ、保育の充実を目指そう
保育の充実を目指すためには、保育士一人ひとりがスキルアップできるように、保育施設運営者が環境を整えることが大切です。
研修の機会を設けたり、職員同士が情報交換しやすい状況をつくったりと、働きやすい職場環境を作り上げられるとよいですね。
また、保育士バンク!では保育士さんがやりがいをもって働ける職場探しのお手伝いをいたします。「もっと保育士として成長できる現場で働きたい」など希望がありましたら、一度ご相談くださいね。