2016年10月02日

保育士のお給料は安い!月給が上がらないのはなぜ?


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「待機児童ゼロ」の実現に向けて、政府は重要政策の一つとして保育士の待遇改善を打ち出しました。


安倍首相は「1億総活躍国民会議」の中で2017年度より保育士の月給を2%増に当たる約6000円、引き上げる方針を表明しました。


保育士の月給が安すぎるのは、これまで一般的に指摘されてきていますが、実際はどうなのでしょうか。また、保育士の月給が上がらない理由とはなんでしょうか。


 


保育士の給料の実情


保育士の給料は全国平均で年収323.3万円(平均年齢35.0歳)と、全産業平均の489.2万円(同42.3歳)に比べて確かに高くはありません(平成27年度 賃金構造基本統計調査)。


というよりも、明らかに「安い」といえます。厚生労働省の2013年の調査では、保育士の賃金は月額20万7400円です。


この賃金は、公立・私立も含めた統計ですので、実際には、もっと低い賃金の方もいます。


この保育士の賃金は全産業の月額平均29万5700円を大きく下回っています。


幼稚園教員は21万9600円、小学校教員は33万1600円となっています。


保育士を教育の職員としてみている国では学校教員との給与格差はないのですが、日本は福祉職のため、格差が大きいと言えるでしょう。


 


 


保育士の官民格差


一方で、保育士すべての給料が安いかというと、そうではなく、公立保育所に勤める、いわゆる公務員保育士であれば、給料は高くなります。


東京の練馬区を例に挙げると、同区が運営する保育所に勤める保育士の平均年収は539.1万円(平成27年度 練馬区人事行政の運営等の状況の公表)。


平均年齢が44.0歳ということを考慮しても、全産業の平均給料よりも高いです。


つまり、保育士の給料は官民格差が大きいということです。


では、逆に、どうして私立保育所の保育士の賃金は低いのでしょうか。


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私立保育園の保育士給与が上がらない理由


求人を見てみると、私立保育園の正社員の初任給は20万円前後で募集している保育所が多く、初任給20万円であれば、多くの業種における大卒新入社員の初任給とそんなに大差はありません。


問題はそこからの昇給幅の少なさです。


私立の認可保育所は、施設や職員数などにおいて国の設置基準を満たし、公費により運営される保育所となり、園児1人を受け入れるのにかかる1カ月あたりの費用を「保育単価」として、年齢階層ごとの「保育単価」×「園児数」の積み上げを、保育所の収入としています。


在籍する保育士の平均勤続年によって最大12%の加算がありますが、基本的には在籍する園児数によって予算額が決まってしまうので、経営努力をしても保育所に入ってくる収益を増やすことができません。


これが私立の認可保育所で保育士を昇給させることが難しい根本的な理由となっています。


 


時間外労働・残業代が支払われていない


政府の方針による6000円程度の月給の引き上げで、保育士の待遇が大幅に改善されるとは言い難く、年間に直せば7万2000円の昇給ですので、まだまだ水準そのものが低いのが現状です。


保育士には月給の低さに加えて、働きに対する正当な報酬が支払われていないという問題もあります。


いわゆるサービス残業です。


保育士は園児の対応以外にも、さまざまな労働をしています。


子どもたちが到着するよりも早く出勤をして、掃除や換気といった子どもの受け入れる準備をしたり、子ども達が帰宅した後も日誌をつけたり、翌日の授業の準備もあります。


また、発表会や運動会、遠足といった各種行事の前にも準備のために園に残ったり、自宅に仕事を持ち帰ったりすることも珍しくないようです。


労働基準法では、所定労働時間に限らず、実質的に事業主の指揮命令を受けていた時間は、全て賃金の発生する労働時間としてカウントされるべきものとしていますので、月給引き上げのみではなく、このような保育士の残業代も労働基準法上のルールに基づいて、正しく支払われるようになれば、保育士の給料がおのずと上がる可能性もありますね。


 


制度的な要因


認可保育所の場合は、財源は公的な補助金と親が払う保育料となっています。


保育料は公定価格で決まっているため、勝手に事業者側が定めることができません。


補助金もしくは保育料を上げなくては、保育士の給料も上がりません。


さらに、保育士は長期にわたって勤めていても、昇給しにくいシステムとなっています。


また、日本の保育士資格にはスキルに応じた資格の区分もありません。


もし、スキルアップをしても保育所の補助金が増えるということはないので、昇給に結びつきにくいということもあります。


また、株式会社が設立の私立の保育所の場合、公立にはある退職手当等の補助がないので、賃金はさらに低くなってしまいます。


 


仕事の負担と社会的評価


現在は、保育士の仕事の負担も大きくなっています。昨今、アレルギー持ちの子どもの対応を誤れば生命に関わりますし、発達遅れといった特別配慮が必要な子どももいます。


子ども、また家庭の状況が様々な中で、保護者への対応もしなくてはいけません。


また、午前7時台から始まる保育園や、午後8時以降もあいている保育園も増えているため、早朝や夜間、土曜勤務も増えてきています。


そういった負担にも関わらず「子どもと遊ぶだけで、特別な知識もいらない」』と認識している人もまだ多く、社会的評価が必ずしも高くないのが現状です。


 


海外と日本の違い


欧州でも「保育士は子どもと遊んでいるだけ」という見方が長かったようですが、教育者として重要な仕事をしていると理解が進み、保育士の処遇を上げて、実際に保育が子どもの発達にプラスとなっているかをチェックする機関を作って、保育に税金を投じることに国民が納得するようになったという歴史があります。


保育士の給料のための補助金が違う目的で使われることのないように、資格に見合った賃金を保育士が得ているという証明がないと保育所の補助金が出ない仕組みにしている国もあります。


このような国をあげての保育士への理解や、保育士がレベルアップして賃金も上がる仕組みができると、保育士のなり手も増えていくことでしょう。


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