◆保育園への就職を考える!認可保育園と無認可保育園どっちがいい?
保育園への就職を考えるとき、例えば給与や自宅からの距離、保育方針などさまざまな条件が自分に合っている園を見つけたとします。その際、その園が「無認可保育園」だった場合、あなたはどうしますか?
「認可保育園=国から認められた園」「無認可保育園=国から認められていない園」というのがあり、一瞬躊躇してしまった方もいるのではないでしょうか。しかし、果たして無認可保育園は、認可保育園に劣るものなのでしょうか?
ここでは、そもそもの定義としての認可保育園と無認可保育園の違いについて触れ、保育士さんが就職するにはどっち?という目線から、それぞれのメリット・デメリットについてお伝えしたいと思います。
◆認可保育園とは?
認可保育園と無認可保育園。明確にその違いをおさえておきましょう。まずは認可保育園から。
〇認可保育園の設置基準
認可保育園とは国が許可している保育所のこと。公立保育園と私立保育園に分けられます。保育所の設置基準を国が定めており、それをクリアしている施設になります。保育所の認可基準は以下の通り。
・保育士1人当たりに対しての児童数(※保育士1人に対し、0歳児3人・1~2歳児6人・3歳児20人・4歳以上30人。ただし1つの保育所に保育士を常に2人以上配置すること)
・乳児1人当たりの保育室の広さ
・調理室などの設備の有無
・屋外遊技場の広さ
・防火、避難路などが基準に満たされているか
・保育時間
・保育内容
上記の中で、配置基準に関しては、この最低ラインでは人手が足りません。この配置基準を真に受けると、30人の4歳児を1人でみることになってしまいます。
そのため、多くの保育現場では、保育補助やフリーの保育士も含め、多くて配置基準の1.5倍程度の保育士を配置しています。
自治体によっては、国によって定められている配置基準よりも厳しい基準を設定し、一人ひとりの子どもに目が届く保育を目指しています。
〇認可保育園への入園手続き
入園については各市区町村や区などの自治体が行っていますので、申し込みも各自治体となります。申し込みの際には、保護者の勤務状況や家庭状況が「保育に欠ける」状態であることが条件であり、それを確認する申立書を提出する必要があります。
祖父母などが同居している場合には、祖父母などの健康状態や年齢などの状況が入園申し込み基準に満たされていることも条件に含まれます。
【認可保育所入園のための条件(例)】
・日中に家庭内、または外で仕事をしている
・1日の就労時間が日中4時間以上である
・就労日数が日曜、祝日を除いて1カ月に15日以上ある
・出産前後である
・病気や怪我で保育できない
・病気や障がいのある人の介護をしている
・介護の日数が1カ月15日以上1日4時間以上である
・災害などで自宅保育ができない など(※細かな条件は各自治体によって異なる部分もあります)
◆無認可保育園とは?
次に、無認可保育園についておさえていきましょう。
〇無認可保育園=国の許可を得られていない園のこと
無認可保育園は児童福祉法に基づく国が設けた認可基準に何らかの要件が足りなかったり、クリアしていても行政の都合で認可が下りず、国の許可を受けられていない施設のことを指します。
認可保育園としての基準を満たせない施設と思われがちですが、認可による規制を嫌って認可の水準を満たしていながらも認可外保育園を選択する施設も見られます。
〇「保育の必要性」についての事由がなくてもOK=無認可保育園
入園に際しては保護者の就労や疾病など「保育の必要性」の有無に関係なく、児童は入園することが可能です。
〇保育料=認可保育園に比べて高い
基本は国や自治体の補助を受けることができないため、保育料は認可保育園に比べて高い施設が多く、1人あたり月額5万円から7万円ほどかかります。認可外保育園の運営はすべて民間で行っていますが、自治体によっては「認可外保育所通園児補助金」を設けているところもあり、月に9,000円から3万円ほどの補助を行う自治体もあります。
〇無認可保育園への入園手続き
入園希望の際は各園に直接申し込みを行います。認可保育所のように自治体がまとめて入園状況の把握を行わないため、空き状況などについては、各園にそれぞれ確認を取る必要があります。認可外保育所の入園条件には「保育に欠ける」状態であることは含まれていないため、手続き書類は認可保育所に比べて簡素化されています。
都市部など待機児童の多い地域では、認可外保育所に預けてから、働き先を探し、決まったら認可保育所に入園させるといった動きも多いようです。
◆認可保育園と無認可保育園|就職するならどっち?
認可保育園と無認可保育園の概要は理解できましたか?それではここからは、認可保育園と無認可保育園、就職するならどっちがいいのかという目線で、それぞれのメリット・デメリットを考えていきましょう。
〇認可保育園の中の公立保育園
認可保育園の場合、運営母体が自治体である公立と、社会福祉法人などが運営する私立に分けられますが、無認可保育園の場合、私立のみになります。
公立保育園のメリットは、なんといっても給与面において安定していることでしょう。比較的賃金の安い職業と言われている保育士ですが、公立保育園で働く保育士は、所属する自治体の””公務員””という立場になりますので、安定した公務員の給与体系を享受することができます。育休などの福利厚生面も充実していますので、長く働くことが可能です。
ただし、長く働ける分、離職率が低いため、就職する際の門戸はかなり狭くなっています。公立を狙いたいなら、難関試験を突破する学力を身に着けておきましょう。また、公立の場合は転勤もあります。
〇認可保育園の中の私立保育園
私立保育園の場合は、公立の保育園よりも給与が低い傾向にあります。ただし、お給料は保育園ごとに大きく変わりますし、加えて経営方針やイベントの運営方法、育児方針なども保育園ごとに大きく変わることが私立保育園を就職先として選ぶ際の最大の特徴になるでしょう。
自分の目指す保育士像に近づけるチャンスは、私立保育園の方があるともいえます。また、公立保育園と違って、私立保育園の場合は転勤や異動がありません。一つの環境で長く職を続けることができる点も、私立保育園のメリットと言えるでしょう。
〇無認可保育園
無認可保育園は大きく2種類に分かれると思ってください。一つ目は、認可を受けられない施設。もう一つは、認可を受けられる設備や人を揃えてはいるけれども、規制を嫌って認可を受けない施設。
前者の場合、園庭が狭い、あるいは園庭がないなど少し施設面で見劣りする部分があったり、保育士の人数も配置基準を下回っている場合があります。
後者の場合は、認可基準を満たしていますので、前者のような不具合はありませんが、前者同様、24時間保育であったり、延長保育が長めだったり、土日祝日の勤務があったりということは覚悟しておいたほうがいいかもしれません。
それぞれの園の特色に大きく違いがあるのが、無認可保育園。認可保育園にない小規模でアットホームな雰囲気の中で手厚く子どもに関われると人気の園も中にはあるようです。
給与面も、認可保育園の私立保育園同様に、施設によって大きく開きがあります。
◆認可保育園と無認可保育園の違いを把握し、適性を見極めて就職先を探そう!
認可保育園と無認可保育園の違いについて説明し、就職するならどっちがいいのかという視点から情報をお伝えしました。給与面や安定性を考えると認可の公立が圧勝ですが、難関の試験を突破しなければ就職できないことや、転勤があることなどデメリットもあります。また、認可と無認可の私立園にもそれぞれメリット&デメリットがありましたね。自分の適性を見極めて、最適な就職先を考えていきましょう!