保育園ではたくさんの絵本の読み聞かせを行なうことでしょう。絵本を通してさまざまな世界を知れたり、創造力や思考力を育むのに役立ったりするため、読み聞かせをすることが大切だといわれています。今回は保育士さんにおすすめしたい絵本特集を紹介するので、保育に取り入れる際の参考にしてみてくださいね。
保育士さんにお勧めしたい絵本集
保育園で絵本の読み聞かせをすることは多いですよね。笑える絵本、感動する絵本、ドキドキする絵本など、さまざまな絵本を子どもたちに読んで、絵本を通して子どもたちにいろいろな経験をさせてあげたいものです。今回はそんな保育士さんにお勧めしたい絵本をご紹介しますので、ぜひチェックしてくださいね。
おすすめ絵本ランキング(1)
まずは、2014年9月~12月の保育士バンク!コミュニティの集計で人気のあった絵本のランキングをいただいたコメントと共にご紹介します!
○第5位 おもちのきもち / 作:かがくい ひろし
(写真)
かがくいひろしさんの人気絵本がランクイン。
お餅が生きている、という発想がとってもユニークな絵本です。
<いただいたコメント>
・かがくいさんの絵本、どれも大好きです。
読み聞かせでも大人気です(*^^*)お正月にピッタリですね。
・かがくい ひろしさんの絵本子どもも1人で何回も×2 読み直す事ができ、うちの娘達もかがくい ひろしさんの絵本シリーズ大好きです。
○第4位 よるくま クリスマスのまえのよる/作・絵: 酒井 駒子
(写真)
優しい色使いのやわらかい絵柄が人気の絵本です。
ふんわりとした雰囲気とよるくまのかわいらしさにファンが多い作品です。
<いただいたコメント>
・素敵な絵本ですよね。
酒井駒子さんの作品、大好きです。
・うちの保育所にもあれば読み聞かせします。
まず探してみなきゃ!
・うちの子は大好きで、小学校入っても お気に入りの一冊です
○第3位 おたすけこびとのクリスマス/文: なかがわ ちひろ 絵: コヨセ・ジュンジ
(写真)
小さな小さなこびとが画面にたくさん描かれた絵本!こびと×乗り物という組み合わせが面白く、夢中になって読んでしまいそう。
<いただいたコメント>
・大人が 膝に こどもを 座らせて いっしょに 読むのが 良いのだそうですね…
・一作目のおたすけこびとでこの度、発表会をやります。
子どもたちノリノリです。
○第2位 キャベツくん/長 新太
(写真)
ユーモアあふれるきゃべつ君、このシュールな雰囲気、なぜだか子どもは大好きですよね。
もちろん大人である私も大好きな絵本です。
納得の第二位。
<いただいたコメント>
・先日、小学校の四年生の朝の読み聞かせボランティアで読み聞かせしました!「ブキャッ!!」が大好きです。
いかに「ブキャッ」に感情を込めてページごとに変えるか、どうやってキャベツくんのセリフとギャップを持たせるか、楽しみながら読み聞かせやりました。
・好きな絵本の中の一つですこどもの達に読み聞かせています長 新太さん楽しい絵本多いですよね。
○第1位 おしくら・まんじゅう/かがくい ひろし
(写真)
子どもウケナンバーワン!保育士さんのお隅つきです。
何度読んでも飽きない風変わりな絵柄と、くりかえしの言葉で子どもたちも大喜びです。
見事、一位を勝ち取りました。
<いただいたコメント>
・おしくらまんじゅう 大好きです! 子ども達とかけ合いしながら変顔しながら 読んでいます。
・これ 好きな絵本です。
おしくらまんじゅ〜お〜され〜て〜の後の、どうなるか?何度も読んでも待ち構えて見てる子どもたちの表情がたまりません。
思わず…もったいぶって読んでその表情を私が楽しんじゃいます。
いかがでしょうか?全部知ってる!という方もいらっしゃるかもしれませんね。
まだ読み聞かせしたことがない方は、ぜひ読んであげてくださいね。
おすすめ絵本ランキング(2)
次に、2015年4月の保育士バンク!コミュニティの集計で人気のあった絵本のランキングをいただいたコメントと共にご紹介します!
○第5位 かおノート/ 作:ツペラツペラ
(写真)
かおノートは付属のシールをぺたぺた貼るだけでアーティスティックな自分だけのかおが作れちゃう大人気絵本!遊び心たっぷりの作品です。
<いただいたコメント>
・私の職場でも子ども達に大人気の絵本です。
○第4位 トマトさん/作・絵: 田中 清代
(写真)
野菜が嫌いな子に読みたい絵本。
強烈な表紙がインパクトのあるこの絵本。
シンプルなお話しですが、小川に入れた時のトマトさんの表情など、すばらしく魅力にあふれた一冊です。
トマトが嫌いな子に読み聞かせしてあげれば、トマトを好きになってくれるかも…?
<いただいたコメント>
・このトマトさん持ってる。
絵がリアルでおもしろいよ
・川へ入るシーンに子ども達が釘付け!
・この絵本大好きです♡
・凄いインパクト!
○第3位 パパ、お月さまとって/作・絵: エリック・カール 訳: もり ひさし
(写真)
幻想的な絵とギミックに、子どもも大人も感動する、『はらぺこあおむし』で大人気のエリック・カールの作品です。
「お月さまとって」と娘におねだりされ、絵本の常識さえも超えて、本当にお月さまを取ってきてしまったパパ。
パパが持ってきたながーいハシゴは横に4ページ分、山に登るシーンでは縦に2ページ分を使っています!子どもたちも驚いて、夢のようなお話を大好きになってくれるはず。
ぜひ読み聞かせしてあげてくださいね。
<いただいたコメント>
・大好きです。
読み聞かせすると、子どもたちの瞳キラキラします。
・子どものころ大好きだったこの絵本、未だに手元に置いてます。
・私が子どもの頃、大好きだった本でボロボロになるまで読んでみました。
そして、同じ絵本を買って息子にプレゼントしたらとっても気に入って何度も読み聞かせています。
大切な絵本です。
・読み聞かせと、こどもたちが大好きで…ボロボロになり、何度も何度もテープで直した思い出のある絵本です。
○第2位 くれよんのくろくん/作・絵 なかや みわ
(写真)
カラフルなクレヨンと違って絵を汚してしまうと言われ、仲間外れにされてしまうくろくんですが…?
ラストはすっきり、「くろくん良かったね!」と心から思えるハッピーエンドです。
『色のなまえに興味が出てきた』お子様や、『優しい心を育ててあげたい』子にぜひ読み聞かせしてあげたい名作絵本です。
<いただいたコメント>
・この絵本はとても可愛らしくて、読み聞かせで使用しようかと思います。
メダカシリーズもいいかなぁ。
・これはお家にあるぐらい大好きな絵本です。
実習の時に導入とかにも使えそうって思ったぐらい!
・なかやみわさんの絵本は絵もかわいいし、お話も夢があって大好きです。
・分かりやすいしカラフルだし、すごく好きな絵本ですね。
・ 我が家の子ども達5人が必ず選んだ本です。
上は21歳~下は6歳。
なぜか、この本が大好きでしたよ。
○第1位 もったいないばあさん/作・絵: 真珠 まりこ
(写真)
『もったいない』ことをすると、もったいないばあさんが来る!?みんなが大好きなあのばあさんのデビュー作です!読み終わった後に、「もったいないばあさんがくるよ!!」が合言葉になること間違いなし(笑)子どもたちの方が真剣になって、「もったいないから電気消さなきゃ!」「もったいないから水道止めなきゃ!」「もったいないから全部食べなきゃ!」と、一生懸命になってくれるはず。
言葉では説明しづらい「もったいない」を強烈に印象づけてくれる、すべての子ども、大人に読んで欲しい一冊です。
<いただいたコメント>
・この絵本大好きだし、もったいないことしてる時にもったいないばあさんくるよ!といってこどもたちに伝えることも!!もったいないばあさんおんどという踊りもあり大人気ですよ。
・私のはじめて勤めた幼稚園の時の同期が好きでシリーズでもっていました。
それをきっかけに私もこのシリーズが好きになりました!シェアさせていただきます
・ 大好き絵本です!もっとみんなに広めたいのでシェアさせてください。
いかがでしょうか?
こちらもとっても楽しい絵本ばかりが並ぶ、納得のランキングだったのでは?
◆仕掛け絵本の読み聞かせも楽しもう!
子どもたちも大好きな仕掛け絵本。
飛び出す絵本や目の錯覚によって不思議な現象が起こる仕掛け絵本にわくわくする子どもたちは多いですよね。
そんな仕掛け絵本のお勧めも、5作品ご紹介します!
○きょうの おやつは/作:わたなべちなつ
(写真)
おいしそうなホットケーキ…!!というだけじゃない!じつはこの絵本、お皿は手前のページにしか描かれておらず、奥のページは鏡のようになっているんです。
だから垂直に立てて上をつまむと、まるで本当にメープルシロップを注いでいるかのように見えてしまうんですね。
驚きのアイデアです。
とっても面白い鏡を使った仕掛け絵本ですね。
○オセアノ号、海へ!/作:アヌック ボワロベール, ルイ リゴー
(写真)
楽しいポップアップが満載の絵本です。
海面の上、海面の下が見られるので、海の底をのぞき見している気分にもなれちゃいます。
サンゴ礁のページはうっとりするほど綺麗!!クジラやお魚なども登場するので、海の生き物が好きという方にもおすすめ。
海を冒険しているような気分に浸れます。
○ようせいのおしろのぶとうかい/作: マギー・ベイトソン 絵: ルイーズ・コンフォート 訳: かがわ けいこ
(写真)
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開いてびっくり!メリーゴーランドのようになっちゃうしかけ絵本です。
とってもファンシーな妖精たち、仕掛けもとっても細かく、「どこが動くのかな?」とじっくり楽しる絵本です。
お人形もついているので、お人形遊びが好きな子はとっても気に入ってくれるのではないでしょうか?ようせいのしかけ絵本はシリーズもたくさんありますので、集めて並べてみるのも素敵ですね。
○不思議の国のアリス/作・絵: ロバート・サブダ 原作: ルイス・キャロル 訳: わく はじめ
(写真)
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これぞ定番、というようなポップアップ絵本。
ページをめくる度に、不思議の国があふれ出てくるような演出は、大人も子どもに戻ったように楽しませてくれます。
特にトランプのページはどんな仕掛けなのかじっくりと眺めたくなってしまいます。
魅力的な絵、お話し、しかけと3拍子そろった、一度は読んでいただきたい絵本です。
○光の旅 かげの旅/作:アン・ジョナス 訳:内海 まお
(写真)
最後は少し変わったしかけ絵本をご紹介。
モノクロのシンプルな絵本と思いきや、ついつい唸ってしまうような仕掛けが。
そう、まず『光の旅』を楽しんだ後にひっくり返して読むと、『かげの旅』がはじまるんです。
なるほど、と思ってしまうこと間違いなしのしかけ絵本です。
仕掛け絵本を読んであげたい時には、ぜひ手に取ってみてくださいね。
保育士出身の絵本作家の本も!
保育士の経験を活かして絵本作家になった人たちがいるって知っていましたか?保育士のお仕事は毎日やる事が山積みで、体力勝負。
子どもの命を預かる責任も伴う、決して楽な仕事ではありません。
ですが、その分保育士をやり遂げた貴重な経験は、その後さまざまな場面で役立ちます。
その一つが「絵本作家」なのです。
保育士さんはお絵描きや工作のプロ!毎日子どもたちにたくさんの絵本や紙芝居を読み聞かせ、子どもの心を深く理解しています。
そんな先輩保育士が描いた絵本をご紹介しますので、ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょか?
○「ピーマン村」シリーズ/作:中川ひろたかさん
中川ひろたかさんは、1954年埼玉出身。
上智大学法学部中退後に、日本で最初の男性保育士となりました。
その後バンドを結成し子ども向けの歌を作るシンガーソングライターとして活躍し、1995年に「さつまのおいも」で絵本作家デビューを果たしました。
そして、2005年の「ないた」では第10回日本絵本賞大賞を受賞しました。
現在神奈川県鎌倉市で歌と絵本とお茶を楽しる「SONGBOOKcafe」を開いています。
中川さんの絵本はたくさんの画家やイラストレーターと一緒に作られており、子どもの目線のタッチがとても楽しい作品です。
また保育士さんならではの経験も描かれています。
おっちょこちょいな園長先生が出てくるピーマン村シリーズの「えんそくバス」には中川さんが実際にやってしまったできごとが載っているとか…!?子どもに「こうしなさい」と上から語りかけるのではなく、一緒になって、失敗したり、喜んだりするありのままの姿を見せながら、子どもたちに自然と「何か」が伝わって行く。
そんな中川さんが考える理想の先生と子どもたちの関係がのびのびと描かれています。
○ぐりとぐら、いやいやえん/作:中川李枝子さん
「ぐりとぐら」や「いやいやえん」などで知られている児童文学作家である中川李枝子さん。
あの「ぐりとぐら」は保育園で保母として働いていた時に描いた作品なんです。
中川さんは現在の駒沢オリンピック公園にあった「みどり保育園」という小さな保育園で働いていました。
元々は地元の婦人会が立ち上げた「青空保育園」で、解散する時にそこで働いていた先生が作りました。
できたばかりの保育園は建物はバラック小屋、先生は立ち上げた園長先生だけ、という状態でした。
それでも周りは見渡す限りの原っぱがいっぱいに広がり、子どもたちがのびのびと成長とするには理想的な保育園でした。
そうして日々の保育士としてのお仕事の中で、「保育園の子どもたちに読んで聞かせるためのお話」として何度も書き直して、最初にでき上がった作品が「いやいやえん」です。
そして、「ぐりとぐら」が生まれたきっかけはまさに「ホットケーキ」!当時保育園にはホットケーキを食べたことがない子どもたちが沢山いました。
そこで先生がホットケーキを作ってごちそうしたところ子どもたちは大喜びで保護者にその話をしたそうです。
そこからさらに保護者の間で「保育園でとっても素晴らして、おいしいホットケーキを焼いてもらったそうで・・」と、とっても楽しい噂が広がり、お礼を言われたそうです。
そこで、子どもたちにもっと楽しくて喜んでもらえる物をあげたい、と思いとびきりのカステラを作るお話をプレゼントすることが決まりました。
いかがでしたか?
一見奇想天外で、思い掛けないような絵本の物語たちは、「子どもたちのために何かしてあげたい」という純粋な気持ちから生まれていたんですね。
保育士として読み直すと新たな発見があるかもしれません。
◆絵本の大切さを再認識したい時には
最後に、絵本の大切さを再認識できる本をご紹介します。
絵本で障がいを克服した実話「クシュラの奇跡」はご存知ですか?絵本の読み聞かせは大切!という事は広く知られていると思いますが、その絵本の力で重い障がいを乗り越えた親子の実話です。
○クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々/作:ドロシー・バトラー 訳:百々佑利子
クシュラは1971年ニュージーランドで生まれた女の子です。
生まれつき染色体に異常があり、生後すぐに身体や知能に重度の障がいが見つかりました。
染色体に異常が起こると内臓・視聴覚・形態・知能・運動などあらゆる部分に障がいを伴います。
「自分で物を持つことができず、目で何かを見る事も難しい」、「呼吸器官に異常があり、1時間も寝ている事ができない」、「一年の間に幾度も危篤状態になり、手術や入退院を繰り返す」、他にも数えきれない非常に複雑な疾患があり、当時同じ障がいを持つ人は生後一年以内に90%が死亡すると言われていました。
回復はもちろん育つ事さえ絶望的と診断されても、クシュラの両親は希望を捨てませんでした。
何も反応を示さないわが子を抱え、懸命に治療法を探し続けました。
その中で、かすかな希望の光を見つけました。
昼も夜も眠る事ができず、むずかる赤ん坊との長い時間を埋めるために始めた「絵本の読み聞かせ」に生後4カ月のクシュラが強い関心を示したのです。
○読み聞かせた絵本は140冊
母親はクシュラが起きている間中はクシュラを抱いて絵本を読みました。
可能性を信じて、何度も繰り返し繰り返し、大量の本を読み聞かせました。
3歳までに読んだ本は140冊。
本によっては100回以上。
クシュラがフレーズを丸暗記するほどまで毎日欠かさず読み続けました。
母親はいつも片手にクシュラを抱き、もう片方には絵本を持ちながら世話を続け、10分置き程度にクシュラの言った事や成長の証と分かる物をメモしていきました。
クシュラへ語りかける言葉の洪水と、絶え間ない両親のスキンシップ。
外界と遮断されていた彼女にとって、絵本は大切な懸け橋となりました。
並大抵では到底不可能な両親の努力により、障がいを乗り越えてクシュラの脳に刺激を与え、彼女の心を外へ、外へと向かわせました。
そうして、ついに奇跡が起こります。
1歳まで育つのも困難と言われる中、クシュラは生き続けただけでなく、3歳になる頃には身体のハンディはあるものの、豊かな感情と言語能力を習得、他の子どもと遜色ないほどの発達を見せました。
特に知能の発達は目覚ましく、さらに5歳になる事には平均以上の知力となりました。
そして、粘り強く治療を続けたことで筋力も回復し、クシュラは奇跡的な成長を遂げる事ができました。
その後クシュラは一般の子どもと同じ学校に通い、成人しました。
母親はここで彼女に自立を進め、共同住居で暮らすようになりました。
両親がいなくなっても彼女だけでしっかり生きて行けるように、と将来を考えての事でした。
それから数年後、母パトリシアは40歳という若さでこの世を去りました。
まさに命と人生をかけて、絵本がもたらす力を実証したのでした。
○クシュラが読んでいた絵本
クシュラが特にお気に入りだったのがブルーナの絵本でした。
そして、「はらぺこあおむし」、「かいじゅうたちのいるところ」「三びきのくま」など、どれも現代でも愛され続けている本達を読んでいました。
小さい頃空想しながら読んでいた絵本たち。
親が与えてくれたあのわくわくする日々があったからこそ、今の自分があるのかもしれませんね。
保育士として絵本を読むことにマンネリしてきたら、こんな奇跡の話を読んで読み聞かせの大切を再認識してみてはいかがでしょうか?
絵本は子どもの成長の糧!
いかがでしたか?まだ読んだことがない本がある人もいたのでは?
絵本は子どもたちにとって成長の糧となるかけがいのない宝物になるかもしれません。
保育士としても読み聞かせの大切さを忘れずにいきたいものですね。