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こんにちは、保育ライターの佐藤愛美です。
保育園や子育て支援施設の職員として働いた経験を活かし、
現在はライターとして保育や子育てに関する情報発信を行っています。
私は何度か転職を経験していますが、転職を決めた時にいちばん気になるのは
『上司や同僚への気まずさ』ではないでしょうか??
「いま働いている保育園が、自分のイメージと違った……」
「労働条件が予想していたよりもキツかった」
「新しくオープンする保育園の立ち上げに携わりたい」
「結婚と引っ越しを控えている」
このような事情から、転職を考える保育士の方は多いと思います。
今の保育園を辞めて、別の保育園に行きたいと打ち明けるのは、
とても勇気のいることですよね。
今回は、転職に伴う気まずさや後ろめたさを乗り越えるための方法についてお話します。
保育士が転職をするタイミングは?園長にはいつ相談すればいいの?
保育士が計画的に転職を行う場合、多くの人が年度の変わり目を選ぶと思います。
3月末には受け持ちのクラスの担任業務がひと段落するため、
4月上旬から新たな職場で働き始めるのが最もスムーズな転職であると考えられています。
一般企業では、退職の希望を出すのは退職の1か月前までというのが普通ですが、
私が過去に働いていた保育園では、
退職する半年前には上司に希望を伝えるのが通例でした。
3月に退職する予定なら、秋頃ですね。
この時期に上司や園長との面談が行われ、退職の希望を告げます。
なぜ早期の相談が必要かと言うと、
年が明ける前にはクラス編成および担任編成が始まるからです。
2月には来年度の受け持ちのクラスが決定しているため、
編成決定後に退職希望を伝えるとなると、
来年度の園の運営に大きな支障を及ぼすことになるのです。
業界特有の事情から、早期に退職の相談をしなくてはいけないというのも、
気まずさを助長する要因の一つではないでしょうか。
保育士が転職をする時に感じる気まずさ
転職を決意した時に感じる気まずさは、
主に以下の3つに分けられるのではないでしょうか。
⒈転職の希望を打ち明ける時
先輩や上司に「実は、転職を考えているんです」と打ち明けた時、
高い確率で「なんで?」と理由を問われると思います。
「そうなんだ!応援するよ!」と快く背中を押してもらえるケースは稀です。
転職理由が、結婚や出産などおめでたい転機であったり、
家庭の事情による引っ越しであれば仕方がないですが、
「もっと自分に合う園で働きたい」とか
「新しくオープンする保育園で心機一転頑張りたい」と
正直に伝えるのは、なかなか難しいことだと思います。
その結果、「ちょっと新しいことを始めたくて……」と
明確な理由を伝えられない、なんてこともあるでしょう。
⒉退職が決まってからの日々
上司に希望を伝え、保育園を退職することが決まってからは、
何となく他の職員の目線を気にしてしまったり、
来年度の打ち合わせに参加することができなかったりと、
気まずさを感じる場面が多いかと思います。
保護者には直前まで退職のことを伝えないため、
「◯◯先生、来年は下の子が入園するのでよろしくお願いしますね」
なんて声を掛けられ、たまらない気持ちになることもありました。
⒊退職後、新しい職場で働き始めてから
保育士の中には、転職後にも気まずさを感じている人もいます。
特に、同じ市内・区内の保育園に転職した場合は研修等で
前の職場の人と顔を合わせてしまう可能性もあります。
保育業界は意外と狭く、私立園の職員のコミュニティがその地域ごとにできており、
保育園同士の繋がりがあることも珍しくありません。
転職後にどこの保育園でどんな働き方をしているか知られたくない方は、
遠い地域の保育園に転職することをお勧めします。
転職時の気まずさを減らすために、やっておきたいこと
できるだけ円満に転職を行い、気持ち良く次のステップに進むためには、
いくつかの心構えがあります。
・転職を前向きに考えていることを伝える
現在の職場ではできなかったことをしたい、
さらにチャレンジをしたいという意欲のもと転職を考えている場合、
前向きな気持ちを素直に伝えてみることも一つの方法です。
その時に気をつけるべきことは、現在働いてる職場と比較するのではなく、
「ここでの経験を土台にして、さらにスキルアップを目指したい」と伝えることです。
完全なる方向転換ではなく、
今までの経験も自分の糧になっていることを感謝して話すと良いと思います。
反対に「転職をして申し訳ない」という気持ちを全面に押し出してしまうと、
送り出す側もネガティブな気持ちになってしまう可能性があります。
・今の仕事を最後までやり抜く姿勢を見せる
転職が決まってから退職するまでの数カ月間は、通常通りの保育を行います。
その際、同僚から「どうせ転職してしまうんだから」
という目で見られてしまう場合もありますが、
今現在担当している仕事は、責任を持って最後までやり抜く、
という姿勢を見せることが大切です。
行事でも積極的に係りの仕事を担当したり、
「どうせ自分は辞めるから」という考えは払拭し、
来年度以降の業務に関することも他の職員と共に考えていくようにすると良いでしょう。
・退職後の話題を必要以上に自分から話すことはタブー
新たな場所でスタートをすることを考えるとワクワクするかもしれませんが、
同僚に聞かれない限り、転職後のことを必要以上に話さないほうが良いでしょう。
それよりも、現在のクラスの子どもたちにしっかりと向き合い、
同僚の動きにも配慮して良いチームワークを最後まで保つようにしたいですね。
・引き継ぎ方法は、いつもより丁寧に
転職をすることで、自分が担当していた業務に穴が空く場合があります。
後任が決まっている場合は、しっかりと引き継ぎを行っておきましょう。
長い間担当していた係りの仕事などは、
口頭で説明するだけでなくマニュアルを作成して引き継ぐことで、
後任の職員がスムーズに業務を行うことができます。
・保護者への挨拶は一人ずつ行う
退職の2週間くらい前になると、保護者にも人事のお知らせが伝わります。
突然のお知らせに驚いたり悲しんだりしてくださる保護者もいますが、
その際には、できるだけ一人ひとりの保護者に対し、
きちんとお礼のあいさつを言えると良いですね。
連絡帳でやり取りをしている場合は、
最終日のノートに一言お礼を添えることで気持ちが伝わります。
保護者の方達にも、職場の仲間と同じように感謝の念を込めてお別れを伝えましょう。
気持ちの良い転職に必要なのは、仕事に対する真摯な態度
転職が決まると未来のことばかりに気持ちが向いてしまい、
現在の業務をおろそかにしてしまいがちです。
転職先での保育の準備に夢中になってしまい、今のクラスの業務に対して気持ちが入らない……
そのような姿を見られてしまうと、同僚たちからの信頼を失い、
気まずい雰囲気の中で退職の日を迎えることになってしまいます。
勤務最終日まで精一杯、今の職場に向き合い、
真摯な態度で保育を行うことが転職の気まずさを乗り越える最善策ではないでしょうか。
ライタープロフィール
佐藤愛美
元保育士のフリーライター。現場で働く保育士や、保育園に関わる保護者や地域の人々に向けて、リアルな情報発信を行っています。
好きな場所は沖縄の離島。「地域活性化×子育て支援」というテーマにも興味があります。