「秋のお彼岸」と呼ばれる秋分の日。この日にはどんな意味や由来、風習があるのか知りたい保育士さんも多いのではないでしょうか。子どもたちに秋分の日について伝えることで、秋らしい季節感を保育に取り入れていきましょう。今回は、保育士さんが園児に分かりやすく説明する際に参考になる、秋分の日の情報を紹介します。
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■目次
2023年の秋分の日は
2023年の秋分の日は9月23日の土曜日です。秋分の日は日付が決まっておらず、毎年9月22日か23日で変動します。
これは、国立天文台が官報に発表する「暦要項」に基づいて決定されるためです。
この「暦要項」により、毎年2月に翌年の秋分の日と春分の日が発表されることとなっています。
ちなみに、来年の秋分の日は、2024年9月22日(日)と発表されています。
【秋分の日の意味や由来】まずは保育士さんがおさらい!
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秋分の日とは、1948年に制定された日本の国民の祝日のひとつです。
ここでは、秋分の日がもつ意味や由来について紹介します。
秋分の日の意味
内閣府の資料「国民の祝日について」によると、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日と定められています。
つまり、秋分の日は「ご先祖様に感謝し、供養する」日ともとれるようです。
秋のお彼岸にまつわる風習に関係した意味が込められているのですね。
秋分の日の由来
秋分の日は、もともと「秋季皇霊祭」という祭祀がもとになっていると言われています。
秋季皇霊祭とは、1848年に祭日として制定されたもので、毎年秋分の日に行われていた歴代の天皇や皇后、皇族の霊を祭る宮中祭祀の一環です。
終戦の数年後の1948年に秋季皇霊祭が廃止となり、それに代わるようにして、秋分の日が国民の祝日として定められたと言われています。
「秋分」とは?
この日は、天文学上では「秋分日」と言われています。
黄道と天の赤道が交わる2点のうち、片方の「秋分点」の上を太陽が通過する瞬間が「秋分」と定義され、その「秋分」を含む日が「秋分日」と呼ばれています。
秋分日には、太陽が真東から昇り、真西に沈むため、昼と夜の長さがほぼ同じになります。 そして、この日を境に冬にかけて夜の時間が長くなっていきます。
ちなみに黄道とは太陽の通り道で、天の赤道とは地球の赤道を点まで延長したものを言います。
お彼岸との関係、春分の日との違い
秋分の日と彼岸との間には、どんな関係があるのでしょうか。
また、春分の日との違いについてもまとめました。
なぜ秋分の日にご先祖様を供養するの?
なぜ秋分の日が秋のお彼岸と言われるのかは、仏教の考えに由来していると伝えられています。
そもそも「彼岸」とは、三途の川を挟んだむこう側、つまりご先祖様がいる極楽浄土のことを指し、はるか西にあると考えられていました。
この「彼岸」に対して、私たちが生きている世界は「此岸」と呼び、極楽浄土とは反対側の東にあるとされてきました。
そのため、太陽が真東から出て真西に沈むことで、西と東が一直線になる秋分の日は、彼岸と此岸が最も近く通じやすい日と考えられ、先祖を供養するようになったのだそうです。
現在では、秋分の日は「彼岸の中日」と呼ばれ、秋分の日を含めた前後3日が秋のお彼岸とされています。中日は「ちゅうにち」とも「なかび」とも呼びます。
春分の日との違い
春分の日と秋分の日には、その日を境にした昼の長さと、お供えをする食べ物に違いがあるようです。
春分の日の場合、この日を境に昼がだんだんと長くなります。一方、秋分の日は、この日を迎えると昼が短くなっていきます。
また春分の日には、ぼたもちをお供えします。これに対して、秋分の日にはおはぎをお供えするのが一般的です。
しかし、ぼたもちとおはぎには特に違いはなく、季節によって名前が使い分けられているようです。
具体的には同じものを、春は牡丹が咲く季節であることから「ぼたもち」、秋は萩が咲く季節であることから「おはぎ」という名称がつけられていると言われています。
どう過ごす?秋分の日の風習
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ここでは、秋分の日の過ごし方について紹介します。
ご先祖様のお墓参りに行く
秋分の日は秋のお彼岸にあたる日であるため、お墓参りに行くのが一般的のようです。
また、お墓参りの際にはお墓を掃除するのが習わしとされていますが、遠方にいるためお墓参りができない場合には、仏壇をきれいに掃除して故人を偲ぶこともあるそうです。
ほかにも、地域のお寺などで開かれる「彼岸会(ひがんえ)」という法会に参加して、ご先祖様へ感謝を伝えるといった習わしもあるようです。
おはぎを食べる・供える
秋分の日ならではの食べ物といえば、おはぎを思い浮かべる保育士さんも多いでしょう。
一般的に、秋分の日にはおはぎを食べたり、仏壇にお供えしたりする風習がありますね。
秋のお彼岸におはぎを供えるようになった理由はいくつかあるそうですが、そのひとつとして、小豆には邪気を払う効果があると伝えられていたからと言われています。
また、昔は貴重であった砂糖を使ったおはぎをお供えすることで、より感謝の気持ちを伝えることにつながると考えられていたそうです。
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秋分の日を子どもたちに説明するには
保育園で、子どもたちに秋分の日の意味について分かりやすく説明する方法を紹介します。
紙芝居をする
子どもたちに紙芝居を見せて、秋分の日について伝えてみましょう。
秋分の日や春分の日についてかかれている紙芝居もありますが、先生が手作りしてもいいかもしれません。
その際、「昼と夜の長さが同じになる特別な日」 であることと、「ご先祖様に感謝を伝える日」。 であることがわかるような内容にするとよさそうです。
また、動物などのキャラクターを登場させて、子どもたちが親しみを持てるような紙芝居にするといいでしょう。
紙芝居を読んでお話をすれば、子どもたちは秋分の日の意味について、楽しみながら理解を深めることができるかもしれません。
簡単な言葉に言い換える
簡単な言葉に言い換えて、子どもたちに秋分の日について説明してみましょう。
ここでは、子どもたちからの質問を想定した言い換え例を紹介します。
「秋分の日ってなに?」
保育士さん
秋分の日は、昼と夜の時間の長さが同じになる日だよ。不思議だね
「秋分の日はどんなことをするの?」
保育士さん
秋分の日にはお墓参りをして、おじいちゃんやおばちゃんよりも昔の人にありがとうを伝えるんだよ。保育園では、みんなでおはぎを作ってお供えしてみよう
「どうしておはぎを作るの?」
保育士さん
おはぎの小豆が、みんなを悪いものから守ってくれると言われているんだよ
このように簡単な言葉に言い換えることで、秋分の日とはどのような日か、また過ごし方についても理解しやすくなりそうです。
出典:質問3-1)何年後かの春分の日・秋分の日はわかるの?/国立天文台
秋分の日の意味や由来を伝えて、季節の行事を楽しもう
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今回は秋分の日の意味や由来についての知識を深めながら、保育士さんにとって参考になる子ども向けの簡単な伝え方を紹介しました。
秋分の日は昼と夜の長さがほぼ同じになる日であり、お彼岸とも関係のある祝日です。また、秋分の日には「故人を敬い、大切にする」という意味が込められていることも分かりました。
保育園で秋分の日について分かりやすく説明して、子どもたちが日本の季節や習わしに興味を持つきっかけ作り ができるといいですね。
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