保育園では、事務職のスタッフを雇って経理や受付業務などを任せているケースがあります。仕事内容は園ごとに異なりますが業務の幅は広いよう。パソコンスキルを活かして働きたい方にぴったりかもしれませんね。今回は、保育園事務の仕事内容や給料・求人事情などを紹介します。また、志望動機の例文や面接のポイントもまとめました。
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■目次
保育園事務の仕事を知ろう
保育園で給与計算や申請書の作成、諸手続きなどの事務作業を行う保育園事務。電話や来客対応なども行い、保育園の運営を裏側から支える役割を担っています。
特に、人手不足の園や子どもの人数が多い大規模園などでは、事務作業の量が多く保育士さんだけでは手が回らないため、事務を専門に行う職員が求められているよう。
つまり、保育園事務は園全体の運営を支えるだけでなく、保育士さんの仕事をサポートする意味においても重要な役割を担っています。
では、保育園事務は具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。
保育園事務の仕事内容
ここでは、一般的な保育園事務の仕事内容や経理との違いを紹介します。
主な仕事内容
保育園事務が担う仕事は、主に事務や労務・経理・受付、総務や広報の4種類に分けられます。それぞれの具体的な仕事内容を以下にまとめました。
事務の仕事 | 具体的な業務内容 |
---|---|
事務・労務 | ・シフト作成、人事管理 ・行政、役所への提出書類の作成 ・園内の行事などのスケジュール管理 ・社会保険手続き |
経理 | ・会計帳簿の記入 ・給食関係の経理 ・補助金申請書作成 ・職員の給与計算 ・集金管理 ・発注、支払業務 ・会計伝票発行 ・決算、予算書作成 ・月次試算表の作成 |
受付 | ・電話、来客対応 ・保護者、職員の対応 ・行政、役所への対応 ・各種業者の対応 ・見学者の案内 |
総務・広報 | ・備品管理、発注 ・ホームページの更新 ・行事の手伝いなど |
一般的に、事務職は保育園でも幼稚園でもほとんど共通した業務を行っています。
仕事内容は幅広く、書類作成や給与計算といった業務を行いながら、経理、さらには総務や人事、受付まで多岐にわたります。
保育園事務は、園全体をサポートする縁の下の力持ちのような役割を果たしているため、運営には欠かせない存在と言えるでしょう。
経理との違い
事務が書類の作成や処理、受付対応などの全般的な業務を担うのに対して、経理はより給与や予算などお金に関した業務を担います。
事務と経理で分けてスタッフを募集している園もあるかもしれませんが、事務職が経理の仕事も兼任していることがほとんどのようです。
保育園事務の働き方
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次は、保育園事務の雇用形態や勤務時間について見ていきましょう。
雇用形態
保育園事務の雇用形態は、正社員や契約社員、パート・アルバイトなどがあります。
「フルタイムでの勤務が難しい」「仕事とプライベートや家庭を両立したい」といった方は、パートやアルバイトとして働くことも可能です。
勤務時間
正社員や契約社員の場合は週5日、1日8時間の週40時間が規定の勤務時間になります。
一方パートやアルバイトは、正社員と同様にフルタイムで働けるほか、週2~3日で1日数時間程度から働ける場合もあるようです。勤務スタイルは固定制やシフト制など園によってさまざまでしょう。
保育園事務に求められるスキルとは?
保育園事務として働くうえで、保育士資格は必須ではないとされています。では、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
基本的なPCスキル
基本的なPCスキルや事務の経験が求められることは多いよう。
具体的には、表計算や文書作成、メールなどのツールが使えれば問題ないでしょう。
特に事務職が未経験の場合は、履歴書や面接でしっかりとPCスキルをアピールすることが重要になりそうですね。
ビジネスマナー
保育園事務は電話対応や来客対応なども行うため、社会人としての基本的な言葉遣いや振る舞いなどのビジネスマナーが求められるでしょう。
募集要項や求人に明記されていることは少ないですが、面接の際にしっかりと見られているポイントかもしれませんね。
コミュニケーション力
保育園事務は、職員さんだけでなく子どもや保護者と関わることも多いため、円滑な関係を築くうえでコミュニケーション力は重要となるでしょう。
また、電話対応や来客対応などで外部の方と接する機会もあるため、さまざまな人と話ができる社交性があると強みになりそうですね。
保育園でも幼稚園でも仕事内容は大きく変わらないようなので、上記のスキルを身につけておくと業務に役立てられるでしょう。
他にも、園によっては保育補助として保育に携わる場面もあるようなので、保育士資格を持っていれば採用の際にプラスに働くかもしれませんね。
保育園事務の給料や求人事情
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では、保育園事務の給料や求人事情を見ていきましょう。
給料・待遇
給料
内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果速報値【修正版】」の資料をもとに、私立保育園と公立保育園で働く事務職の給料(賞与込み)と年収の金額をまとめました。
常勤保育士 | 非常勤保育士 | |||
---|---|---|---|---|
私立 | 給料 | 34万919円 | 給料 | 24万6038円 |
年収 | 409万1028円 | 年収 | 295万2456円 | |
公立 | 給料 | 25万8926円 | 給料 | 13万9346円 |
年収 | 310万7112円 | 年収 | 167万2152円 |
このように、公立と私立では年収に大きな差があることが分かります。
また、常勤と非常勤を比べると、私立保育園では年収換算で約100万円以上、公立保育園では約140万円以上もの差があります。
もちろん事務職の給料や時給は園や地域によって異なりますが、東京都内であれば正社員で月給19~20万、パートやアルバイトで時給1000円~1100円ぐらいが相場のよう。
勤めたい地域や園の求人を比較して給料の相場を確認しておき、転職先を決める際の参考にしてくださいね。
待遇
保育園事務の待遇は園によって異なりますが、完全週休2日制で祝日やゴールデンウィークも休みとなっている園や年間休日120日以上の園、退職金制度や住宅補助を整備している園もあるようです。
さらに、賞与を4カ月分以上支給する園もあるようなので、いろいろな求人を比較して福利厚生をきちんとチェックしておきましょう。
求人
保育園事務の求人数は、保育士募集の求人と比べるとあまり多くはありません。
その理由として、事務作業を保育士さんの間で分担したり、園長先生や主任保育士さんが担当していたりするため、専任の事務員さんを配置している園が少ないことが挙げられるでしょう。
また、勤務時間がしっかり決まっていて残業が少なめなど、働く環境として人気があることなどから、相対的に退職者が発生しにくいのも要因の一つと考えられます。
今後、人材不足の打開策として事務作業を事務職に任せ、保育士さんの業務負担を分散させていく動きが活発になれば、求人募集も増加するかもしれませんね。
出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果速報値【修正版】/内閣府
保育園事務の大変なところ・楽しいところ
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保育園事務として働くなかで、大変なことやつらいこともあるようです。
その一方で、楽しいと感じたりやりがいを得られたりすることも。それぞれくわしく見ていきましょう。
大変・つらいと感じるポイント
時期によって忙しくなる
保育園事務は、季節の行事によって忙しさが左右されやすいようです。
卒園式や入園式、保育士さんの入退職のタイミングが重なる年度末の3月から翌年度の5月頃までは、1年の中でも特に忙しくなるでしょう。他にも、運動会や発表会などの行事前も忙しくなりやすいよう。
仕事量が増えると残業や持ち帰りの仕事が発生するため、大変だと感じることがあるかもしれません。
仕事の幅が広く覚えることが多い
仕事内容が多岐にわたるぶん、業務量が多い保育園事務の仕事。
難しい仕事や覚えることが豊富にあり、つらいと感じることがあるようです。
その一方で、いろいろな業務を経験できるというメリットがありますね。一つのことに集中するよりも、いろいろなジャンルの仕事に取り組める環境が合う人には向いているかもしれません。
事務員の少なさから孤独を感じる場合も
事務員の人数が少なく、人間関係を築くのが難しいと感じるケースもあるようです。
他の職員さんと業務の共有や連携がしづらかったり、休みたい場合に代わりを立てにくかったりすることから、大変だと感じることがあるかもしれません。
また、職員さんとコミュニケーションを取る機会が限られ、孤独感や疎外感を感じてつらいと思ってしまうこともあるようです。
普段からコミュニケーションを取って職員さんと人間関係を構築しておけば、仕事の連携もしやすくなり、つらいと感じることも少なくなるかもしれませんね。
楽しいと感じるポイント
幅広い人と関わりを持てる
保育園事務は、仕事のなかで園内や園外のさまざまな人と関わる機会があるでしょう。
子どもや保護者、外部の方など、あらゆる人と接することができるため、人と関わることが好きな人にとっては楽しいと感じるポイントかもしれません。
保育補助として子どもと接することができる
先述したように、園によっては保育士さんの手が回らないときに、保育補助として子どもたちと接する機会があります。
保育に携わりながら働けるのは、子どもが好きな人にとっては楽しいと感じられるポイントかもしれませんね。
保育園を支えているやりがいを感じられる
保育園事務は、保護者の対応をしたり人事を管理したりと、園を無事に運営するために必要となる重要な業務を担っています。
保育園全体を支えている存在としてやりがいを得られれば、仕事を楽しいと感じられるかもしれませんね。
このように、保育園事務はつらいことや大変なことだけでなく、さまざまなやりがいや楽しさを感じられる仕事でもあるでしょう。
保育園事務の志望動機・面接のポイント&例文
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続いて、保育園事務に転職する際に役立つ、志望動機や面接のポイントと例文をまとめました。
志望動機のポイントと例文
志望動機では、なぜ保育園で働きたいと思ったのかをしっかりと見られています。以下のポイントを意識して作成してみましょう。
過去の経験を織り交ぜる
これまで保育園で働いた経験がある方は、そこで培った業務上の不満点や改善点を志望動機に盛り込んでみましょう。
たとえば「〇〇という経験を活かして、この園では業務の効率化や協力体制などを工夫してより職員全員が働きやすい職場にしていきたい」といった書き方をするとよいかもしれません。
また、事務職としての経験がある場合は、前職で行っていた仕事の工夫やアイデアを保育園でどう活かしたいのかなどを記せば、説得力のある志望動機になりそうですね。
保育業界を選んだ理由を明確にする
保育業界が未経験の方は、どうして保育園に興味を持ったのかを書きましょう。
たとえば「〇〇といった経験から保育について興味を持ったため、事務職のスキルを活かして保育園で働きたいと思った」のように、なぜ保育業界を選んだのかを明確にしたうえで熱意を伝えるとよいですね。
そうすれば、保育園事務の仕事に対して意欲的である印象を持ってもらいやすいでしょう。
志望動機の例文
私は、自分の子どもを預けている保育園に専門的に事務作業をする事務員さんがいるのを知り、保育園事務の仕事に興味を持ちました。
貴園ではICTシステムを積極的に採用するとともに保育士さんの業務負担軽減に力を入れていることをホームページで拝見しました。
実際に見学してみると、保育士さんが書類作成やパソコン作業などを極力行わず保育に集中できる環境を整えていることを知り、とても魅力的だと感じました。
貴園が掲げる「子どもも保育士ものびのびと過ごせる場所を作る」という理念を拝見し、自身の事務経験を活かして貢献したいと思ったためこの度志望いたしました。
面接のポイントと例文
面接では志望動機や転職理由を聞かれます。受け答えのしかたはもちろん、内容もしっかりと見られているため、以下のポイントを押さえておきましょう。
笑顔で元気よく受け答える
採用担当者は、スキルや経験だけでなく面接を通して応募者の「人間性」を見ています。
特に保育園事務は対外的な交流が多いため、人柄のよさが重視されているようです。
面接では、笑顔で元気よく話をして、明るい人柄を伝えられるよう意識してみましょう。
スキルや経験をアピールする
先述した通り、保育補助として保育に携わるタイミングがあるため、保育に関連する経験などがあれば面接で伝えてみましょう。
「保育士資格を持っているので、必要なときには保育業務にあたることができる」「保育士資格は持っていないが、子育ての経験があるため補助業務ならできる」といったことを伝えれば、アピールポイントとなりそうですね。
もちろん、子どもが好きなことも大きなアピールとなるでしょう。
転職理由を伝える例文
私は前職でも保育園で事務職をしておりました。
以前の園は、子どもの人数が多い大規模園だったため書類作成や職員の給与計算などの仕事量が膨大でした。
しかし事務員が2人しかいなかったため業務が回らず、保育士さんが事務作業を行うこともあるなど施設全体で残業が当たり前の環境となっており、問題意識を抱えていました。
私は必要な業務を効率的に終わらせることが大事であると考えているため、今後長く働くためには業務効率化に努めている園で仕事をするべきだと考え、転職を決意いたしました。
先述したように、転職理由は保育士の面接でよく聞かれる質問です。
志望動機と内容が似通ってしまう方もいるようなので、区別して答えられるよう上記の例文を参考に対策しておきましょう。
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保育園事務として働くときの服装のポイント
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事務作業がメインの仕事である保育園事務の仕事ですが、日々どのような服装で働けばよいのか迷うこともあるようです。最後に、保育園事務の服装選びのポイントを紹介します。
動きやすく安全な服装を意識する
園によっては保育補助として子どもと接することもあるため、いつでも補助に入れるよう以下のポイントをふまえて服装を選びましょう。
基本はパンツスタイルで
子どもたちと接するうえで動きにくいスカートは、日頃から選ばないようにしましょう。
また、仕事によっては台に乗ったりしゃがんだりといった力仕事がある場合もあるため、動きやすいパンツスタイルが望ましいですね。
フードつきパーカーはNG
万が一どこかにフードが引っかかると首元が締まって危険なため、フードつきのパーカーは着用しないようにしましょう。
また、見た目もカジュアルであるため、外部の人の応対をする際にラフな印象を与えてしまうかもしれません。清潔感がありきちんとして見えるよう、トップスはシャツやブラウスなどを選ぶとよいですね。
着替えや予備を用意しておく
保育補助として子どもたちと遊んだ際に、服が水に濡れたり汚れたりする場合があるかもしれません。
万が一衣服が汚れてしまった場合に着替えられるよう、予備の衣服をロッカーの中に入れておくとよいでしょう。
また、保育補助をするときと来客対応をするときでは服装の使い分けが必要かもしれません。
臨機応変に対応できるよう、きちんとした服装と動きやすい服装の両方を用意しておくとよさそうです。
保育園事務として働くことを視野に入れてみよう
保育園事務は、園の運営をサポートする役割を担う存在です。主な仕事内容は事務作業ですが、ときには保育補助としての役割を求められるため、保育士資格や実務経験があれば役立つでしょう。
保育園事務の役割や働き方についての理解を深め、今後のキャリアの選択肢を広げてみるのもよいですね。
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