「保育士は激務!休憩時間と残業時間の実態」
保育園や幼稚園では、正規職員の多くが8時間労働ですので、基本的に45分~1時間以上の休憩時間が保障されています。
ですが、3歳児以上のクラスでは1人で担任を持つことも多く、実際には規定時間の休憩を取れていない園も多いようです。また、行事準備は保育時間が終わってから行うので、どうしても残業時間も多くなってしまいます。
この休憩時間のなさと、残業時間の多さが、保育士が激務といわれる所以です。ここでは、実際の保育士の休憩時間と残業時間の実態を見ていきましょう。
◆保育士の休憩時間
〇保育士の休憩時間の実態は?
保育園や幼稚園で取る休憩時間には、制限が設けられていることが多いですね。緊急事態や何かあった時にすぐに対応できるよう、園内での休憩を推奨している園などがそうです。
そのため、「休憩」と称しながらも、子どもに何かあったり、電話があったりしたら対応をしなくてはならなかったりと、しっかりと休憩が取れていないことも多いようです。
過去の調査によると「休憩時間は規定どおり取れているか」との問いに対し、半数近くの保育所が「取れていない」との回答となっています。
〇休憩を取れるには、勤務体制のきちんとした職場選びが重要!
保育園や幼稚園で取る休憩時間の規定は、園によって異なるもの。
きちんと休憩を取れて責任を持って保育をしていくためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?
・休憩時間に外出できる職場を選ぶ
保育園や幼稚園では、外出せずに憩室で過ごすことがルール化されている園もありますが、法律上は、休憩時間が自由に利用できないのは「乳児院、児童養護施設、知的障がい児施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者」と規定があります。
つまり、保育園や幼稚園の職員は、休憩時間を自由に利用でき、外出してよく、外ランチもできるはずです。そのため、本来は社内規定で外出が禁止されていること自体、法律的にグレーゾーンと思われます。
面接時などに「こちらでは、休憩は部屋休憩ですか?外出可能ですか?」と、事前に聞いてみるといいかもしれません。
・勤務体制や引き継ぎの徹底をする
休憩中の保育士を休憩室に呼びに来たりヘルプを呼んだりするといった光景も多いようですが、これでは自由な休憩時間とは言えませんよね。何かあった時のための待機は「手待時間」と言い、労働時間に値します。
このような体制が常態化すると「いざという時は休憩室にヘルプを出せる」という働き方になってしまい、常に職場にいなければ仕事が回らない職場になってしまいます。
本来は、何かあっても担当以外の誰かも対応できるような体制や、引き継ぎをしてから休憩に入ることが必要です。
自分が不在でも業務に支障がないような勤務体制を整え、引き継ぎの徹底をすることは、組織としての力も高めていきますし、そんな働き方が理想ですよね。
◆保育士の残業時間
休憩時間のほかに、多くの保育士を悩ませるのが、残業時間の多さです。
中でも、残業代のつかない「サービス残業」。
基本的に、保育園などで給料が支払われる勤務時間は子どもと接している時間だけですので、それ以外の事務作業は、時間外勤務という扱いになってしまいがちです。持ち帰りの仕事も含めると残業時間はかなり長いことに。
〇保育士の残業の実態はハード
・保育園の勤務体系
保育園の勤務は、早番、中番、遅番のシフトに分かれていますが、早番だとしても定時に帰れる日はほとんどないのが現状のようです。
保育の仕事は、子どもの面倒を見るだけでなく、保育日誌を書いたり、連絡帳を書いたり、翌日の保育準備をしたり、子どもの制作物の下準備などをしていると、30分から1時間の残業は当たり前です。
また、保育時間内にできない雑用も多いので、熱心な保育士ほど残業量が多くなってしまうことも。遅番の保育士は、保護者がお迎え時間に遅れた場合、当然子どもと一緒に待っていなくてはなりません。
さらに、お喋り好きな保護者の会話で残業時間がかさむなども良く聞く話しで、保育士の日常的なサービス残業はきりがありません。
・事務作業はこんなにある
–連絡帳の記入
保護者との大事なコミュニケーションの場です。昼寝時間はほぼこの記入に充てている保育士が多数。
–日誌の記入
その日のクラスの様子や、気になった子どもについてのことを記入します。
–クラス便りの作成
その月の子どもたちの様子や保護者への連絡事項、翌月の行事予定などを書いて、印刷する事務作業です。
–保育計画表
子どもの年齢によって書式は大きく異なり、小さければ小さいほど、書く頻度も書く量も多くなっていきます。
–行事準備
運動会やお遊戯会など、イベントごとの準備となると、行事を無事に成功させるための計画書やタイムスケジュールの作成、
そして掲示物や装飾の作成、その飾り付け…などなど、
行事が成功した時の達成感は素晴らしいものがありますが、準備で体力的にも精神的にも疲労がたまってしまうのがこの業務です。
・行事の前には深夜までおよぶことも
保育園には、年間行事がたくさんあります。入園式、運動会、盆踊り会、お泊り会、お誕生会、お遊戯会、クリスマス会、このほかにもまだたくさんあります。
そのため、行事の準備で残業し、終わったらまた次の行事の準備と続いて行きます。特に、残業が多くなるのは、おゆうぎ会や運動会の前などで、舞台の大道具や小道具作り、おゆうぎ会の衣装作りなど、深夜になってしまうことも多々あります。
〇残業を減らすためには効率化の積み重ねが重要!
新人の時には慣れずに苦戦していた保育日誌も慣れてくると、短時間で仕上げられるようになります。
また、自分の仕事を見直して、効率化をしていくことで、だんだん残業も少なくできるようになっていきます。
なにより、子どもと接する保育時間がいちばん大切ですので、他の雑用はいい意味での手抜きも必要です。
先輩保育士が残業をしていたら、「お手伝いできることはありますか」と一声かけて、ないのならきっぱり帰ってもいいでしょう。研修に誘われても自分に必要がないと思ったら断る勇気を持つことが大切です。
また、パソコンスキルを身に着けたり、制作などは1回1回きちんとやり方や型紙などを取れっておくなど次回の準備までまとめてやることで、次回の作業を少しでも効率化できます。少しずつの改善の積み重ねが大事ですね。
◆残業時間と休憩時間以外にも…低賃金、休みの取れにくさ
ここまで保育士が休憩時間のなさと残業時間について触れてきましたが、これに拍車をかけるのが、低賃金と休みの取れにくさです。
上記のような仕事量にもかかわらず、保育士の平均年収は250万程度と言われています。保育士は国家試験の有資格者であるにもかかわらずです。
現在、国会などで保育士の待遇改善について議論がされています。改善を進めてもらいたいものですね。
また、保育園というのは、保護者の多様な就業形態に対応するため、平日だけでなく土曜日も運営しなくてはなりません。
そのため、土曜日出勤のシフトに入った保育士は、平日どこかで振替休日を取れる形になります。
つまり、まとまった休みが取りにくい状況にあるといえます。
なお、子どもの数に対する保育士の数は国で定められているため、保育士の数をギリギリで回している園で体調を崩した保育士がいた場合には、本来休みのはずの保育士に出勤してもらわざるを得なくなります。
このような状況では気軽に旅行に行くことも難しいと思われます。なるべく人員に余裕のある園を選びたいものですね。
◆保育士は残業時間が多く休憩もままならない激務!
いかがでしたか?「大好きな子どもの面倒を見ることができる!」と思って保育士になると、思ってもみなかった事務作業や休憩時間のなさに疲弊してしまうこともあります。
適度にリフレッシュできるよう、効率化を模索したり、同僚や先輩とうまくコミュニケーションを取って勤務してくださいね!
保育士の待遇改善を政策に掲げる政治家たちには、ぜひとも賃金アップとともに、不必要な事務仕事の負担減や休日を取りやすくする施策も政策に盛り込んでいただきたいですね。