保育士には、正社員だけではなく、パートやアルバイト、ベビーシッターなど、さまざまな働き方があります。
近年では「ワークライフバランス」が推進され、働き方が多様化する中、保育士も例外ではなく、個人の希望に合わせた雇用形態を選ぶのが一般的になっています。
今回のコラムでは、正社員とパート保育士、それぞれのメリット・デメリットを詳しくご紹介いたします!
実態調査!正社員・パート保育士の比率はどれぐらい?
そもそも、保育士の中で正社員・パートの割合はどのくらいなのでしょうか?
全国保育協議会の調査によれば、非正規の保育士・保育教諭を配置する保育施設は、全体の 91.6% を占めています。5年前の調査結果 85.9%と比べても増加傾向にあり、保育施設を運営する上で、パートやアルバイトなどの非正規保育士が重要な戦力となっていることが明らかになりました。
公立は2人に1人、私立は3人に1人が非正規の保育士
非正規雇用で働く職員の割合を、保育所の運営形式ごとに見てみましょう。
全体 | 42.1% |
公設公営(公立) | 50.4% |
公設民営 | 36.9% |
民設民営(私立) | 36.6% |
出典:「全国保育協議会/会員の実態調査報告書/2016年」
http://www.zenhokyo.gr.jp/cyousa/201706.pdf
※公設民営とは、施設自体は市区町村立ですが、運営が民間に委託されていて、働く職員が公務員ではなく社会福祉法人職員や株式会社社員の保育園のことを指します。
こうして見ると、公立の保育所の職員は半数以上が非正規雇用ということが分かります。
2011年の同じ調査では、全体保育施設における非正規雇用職員の割合は41.6%(公立だと47.9%)で、年々非正規率が高まっていることが分かります。
この主な原因は、保育サービスの多様化にあります。
共働きの家庭が増え、早朝保育や夜間保育など新たなニーズが拡大したため、正社員だけでは長時間の保育時間を賄えなくなってきました。そのため、短時間だけでもサポートに入れる非正規保育士の採用枠が増加しました。
それに加えて、最近は保育士の長時間労働が社会的にも問題視され始めたため、パート職員を増やし、人数にゆとりを持って運営していこうと考える保育所が増えています。
このような調査結果を見ていくと、現在の保育所は正規雇用と非正規雇用の保育士が、公立ではほぼ同じ比率で、私立では正社員を主として協力しながら働いているということが分かります。
次に、それぞれの働き方の長所と短所について見ていきましょう。
正社員保育士として働く、メリットデメリット
メリットは「安定性と給与」
正社員・正規の保育士として働く一番のメリットは、何よりも「安定性」です。
契約社員や派遣社員と違って、雇用契約に期限はありませんから、基本的には半永久的に雇用してもらうことが可能です。
そして、雇用し続けてもらうことにより「昇給」と「昇進」が見込めます。
特に公立保育園の保育士の場合は、決まった勤続年数で必ず昇給が発生しますから、長く働くにはうってつけでしょう。
その他にも、ほとんどの保育所の正社員は賞与や社会保険が完備されており、交通費や住宅補助などの福利厚生を用意しているところも多数あります。
特別な事情がない限り、大多数の方が「まずは正社員を目指そう」と考えるのではないでしょうか。
デメリットは「責任の重さと長時間労働」
反面、正社員保育士にもデメリットがあります。
まず挙げられるのは、「労働時間の長さ」でしょう。
園の就業形態にもよりますが、お遊戯会や運動会などの行事で忙しくなると、残業が発生する場合があります。ときには自宅への持ち帰り作業が発生することもあるかもしれません。
契約社員や派遣社員の場合、雇用契約に書いてある以上の労働については厳しく制限されることが多いので、残業を強制される雰囲気はあまりないと言ってよいでしょう。
有給休暇についても、正社員の方が取得可能日数が多いのがほとんどなのですが、契約社員や派遣社員よりも取得しづらいという問題があります。
そしてもう一つ、正社員保育士の短所として挙げられるのは「責任の重さ」。
パート保育士と違って、正社員保育士はクラス担任や行事の係など、何かしらの役割につくことが多いです。そこで事故や問題が発生した場合、対応にあたるのは上に立つ正社員です。
特に役職持ちになると、責任はさらに増すことになります。
非正規雇用の保育士として働く、メリットデメリット
メリットは「時間の融通が利く」
仕事内容は勤務する保育園によりさまざまですが、共通して言えるのは、パートやアルバイトの保育士の方が、時間に融通が利き、自分に都合のいい時間帯を選んで働けるということです。
それゆえ、子育て中の人や、家庭の都合で残業ができない人などが、パート・アルバイトとして保育士の仕事をすることが多いようです。
また、パートやアルバイトの保育士の場合、保育士資格を持っていなくても保育補助として採用されるケースがあります。
ただしその場合、仕事内容はあくまで「保育士の補助」なので、園児の世話よりもお掃除やお片づけなどの雑務を任せられたりすることが多く、子どもの世話ができない…と不満を感じる例もあるそうです。
パートやアルバイト保育士であっても、仕事内容は正社員と全く変わらないという保育園もあります。
みんなのペースに追いついていけない園児の対応を任せる保育園や、個別対応が必要な園児に対し専任的にパートの保育士をつけるという保育園もあるそうです。
ただしひとつだけ気をつけたいのは、「保護者や園児からしたら、パートもアルバイトも正社員も関係ない」ということです。
正社員に比べると責任が軽いと思いがちですが、子どもの命を預かる大切な仕事であることには変わりないので、気を抜かずに取り組みましょう。
デメリットは「給与や待遇面」
パートやアルバイト保育士の最大のデメリットは給与面。
お給料は時給で換算して支給されるところが多く、月額制で支給されていた正社員の頃と比べて安定した給与を得にくいでしょう。
勤務する保育所の方針や働く時間にもよりますが、賞与や社会保険、福利厚生はあまり期待できない場合が多いです。
昇給制度も保育所によってさまざまなので、待遇面については働く前にしっかりと調べ、納得できるところを選びましょう。
非正規雇用で働きたい方にはベビーシッターがオススメ!
子育てを優先したい、やりたいことがある…etc、さまざまな事情から非正規雇用で働く保育士さんは増えています。
そんな方にオススメなのがベビーシッターのお仕事!
高時給・自由な時間に働けるとあって、近年急激に需要が増えています。
メリットは「自由に働けて、子どもとじっくり関われる」
ベビーシッターの多くは、シッター会社に登録して働く派遣社員や、短時間のアルバイト・パートとして働いています。そのため、子育てや介護、プライベートな予定を優先して、自分の都合の良い時間に勤務できる魅力があります。時給もほかの職種に比べて高めに設定されていますので、がんばり次第によっては高収入が望めます。
また、ベビーシッターには一人ひとりの子どもとじっくり関われる魅力があります。
基本的に1人、多くて2~3人のお世話をする形になるので、子どもがぐずっているときも無理に急かさず、じっくり耳を傾けてあげることができますよ。「これをやらなくては」という決められたルールも基本的に無いので、子どもの好きなことを優先し、たくさんの笑顔を引き出してあげることができます。
子どもの個性に寄り添った丁寧な保育ができるのは、ベビーシッターならではの大きなメリットと言えるでしょう。
デメリットは「責任の重さ」
ベビーシッターには、もちろん大変な側面もあります。子どもの安全について一人で責任を持たなくてはならないので、勤務中は楽しいばかりではいられないでしょう。
保育所で勤務しているときのように、困ったことがあっても即座に相談できる相手がいないので、自分で考えて最善の行動を取らなくてはいけません。
一気に大変そうに思われたかもしれませんが、裏を返せばマイペースに働けるということ。人間関係や余計な雑務に煩わされることなく、自分なりの保育が実現できます。
保育士バンク!から生まれた「KIDSNAシッター」にも注目
このように、ベビーシッターのお仕事にはたくさんのメリットがあります。
保育士の専門転職サービス「保育士バンク!」から生まれた「KIDSNAシッター」は、保育士・幼稚園教諭の資格を持つ方のみが登録できる、プロフェッショナルなベビシッターサービスです。充実したサポート体制で、あなたの希望に合わせた働き方を応援します!
まとめ 自分のライフスタイルに合わせた働き方を選ぼう!
ここまで見てきたように、保育士には、正社員としての働き方だけではなく、パートやアルバイト、ベビーシッターなどいろいろな働き方があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、迷ってしまうと思いますが、一番重要なのは優先順位を決めること!
自分の人生の中で、今一番大切にしたいことはなんなのか?
自分自身の気持ちをしっかり見極め、ライフスタイルに合った無理のない働き方を選びましょう。