◆保育士として無口な子どもとどう関わるべき?
クラス担任になると、無口な子どもや人見知りが激しい子どもと出会うことがあると思います。
特に月齢の低いクラスの担任になると、担任になったばかりの春には何人もの子どもに拒否され、落ち込んでしまうこともあるかも。
しかし、それは子どもの成長過程において自然な反応。
致し方ないのです。
保育士として人見知りが激しい子どもや無口な子どもにどのように接するべきなのか、考えていきたいと思います。
◆人見知りが激しい子どもへの関わり方
月齢が低いクラスでは数多くみられる人見知りが激しい子どもたち。
そのような子どもたちとどのように関わっていくべきなのかを考えていきます。
ポイントは焦らずじっくりと!です。
○人見知りが激しい子どもとの接し方のコツ(1)笑顔・目線が重要
人見知りは、知らない人に対する不安な気持ちから生まれるもの。
自分を守ってくれる味方だとわかれば、安心して近づいてきます。
根気よく笑顔で接し続けることで、少しずつ受け入れてくれます。
また、話しかける時は、上からではなく、しゃがんで同じ目線で話しましょう。
同じ目線の方が安心して話を聞いてくれます。
○人見知りが激しい子どもとの接し方のコツ(2)ガツガツいかないこと!タイミングが大事
早く懐いてほしい!と無理して接近しすぎたり、逆に避ける態度をとったりせず、自然体を心がけ、優しいトーンであいさつをしたり、名前を呼んであげましょう。
子どもが喜びそうな遊びや楽しい状況を作り、自分自身がその状況を楽しんでいることも大切です。
そうすると、「楽しそうだな」と関心を持ってくれることもあります。
○人見知りが激しい子どもとの接し方のコツ(3)先輩保育師に相談
既に子どもとの関係を築いている先輩の保育師に相談し、自分に関心が向くような雰囲気を作ってもらうなど、協力してもらいましょう。
○人見知りが激しい子どもとの接し方のコツ(4)あきらめないこと
なかなか懐いてくれないからと言って、接しやすい子ばかりと接していると、人見知りの子との関係性は平行線のまま。
もしかしたら、人見知りの子も自分のことが気になっているかも。
少しでも関心のある態度を見せた時はチャンスです!言葉がけをしましょう。
◆無口な子どもへの関わり方
無口な子どもになってしまった原因は、もともとその子が持っている素因であることも多いようですが、周囲の大人の関わり方が原因ということもあります。
お母さんはお喋りが好きだけど子どもは無口、という様子もよく見かけるのではないでしょうか。
そのような場合は、もしかしたら親御さんがお子さんの言葉の横取りをしている可能性があります。
お話が得意な人は、「じっくり待つこと、向き合うこと」が逆に苦手な傾向にあります。
子どもがモゴモゴしている間に、ついつい言葉の横取りや、先回りして進めてしまったりします。
以上のことを踏まえ、保育士としてそのような無口な子どもと関わる時、どういった点に留意すべきなのかを保育場面ごとに考えます。
○無口な子どもへの関わり方のコツ(1)子ども同士がおもちゃで遊んでいる場面
態度や表情からお友達が使っているおもちゃで遊びたそうにしているけど、なかなか言い出せずにいる子ども。
「○○ちゃん、○○くんが遊びたいみたいだから貸してくれるかな?」とつい助け舟を出してしまいたくなります。
ですが、ここは子どもが自分から「ぼくも遊びたいからかして」と言えるように教えたり、見守るようにしましょう!
○無口な子どもへの関わり方のコツ(2)保育参観
保育参観で普段無口な子どもが小さく手を挙げてくれたらチャンスです!このような時はすかさず指名し、発言内容を評価してあげましょう。
保育士は無口な子どもが自信を持って発言できる環境を作ることが大切です。
○お食事やトイレの時
自分で言える年齢にもかかわらず食事中黙りこんでいる様子から「喉が渇いている」と察して飲み物を用意してあげたり、「せんせいおみず」、「せんせいトイレ」と単語だけで反応して出してあげるということもあります。
先を見越して何でもやってしまうのは子どもの成長に逆に悪影響となってしまいます。
「それじゃあ意味がわからないよ、お水がどうしたの?」と言ったりして、「喉が渇いたからおみずちょうだい」と言えるまで待ってみましょう。
トイレの時も、おもらしの心配が無い時間の余裕があれば「せんせいはトイレじゃありませんよ」と伝えて、子どもが「せんせい、トイレに行きたい」と最後まで言わせてみましょう。
言葉を横取りしすぎてしまうと、「自分が言わなくても大人がやってくれるからいいや」と思い、自分からお話をしなくなってしまいます。
「言葉の過保護」をしてしまわないように注意してあげましょう!
◆大人しい子どもがターゲットとなるいじめについて
大変痛ましい事件も数多く起きていながら、学校生活の中で大人が発見・対処することが難しいことがいじめの問題の現状です。
ここでは、大人しい子どもがターゲットとなりがちな幼少期の「いじめ」について考えていきます。
○「嫌だ」と言えない子が狙われてしまう
子ども同士のトラブルは幼少期でも関係なくいつでも起こるものです。
小学校に上がると子どもたちだけの時間が増え、また成長に伴い人間関係などの社会性も複雑になっていくため、なかなか対処が難しくなってきます。
しかし、保育園・幼稚園の時はまだ先生が一人ひとり気にかけることができるので、喧嘩が起きても間に入っていくこともできます。
保育士として、子どもたちには「嫌なことをされた時、我慢しない」ということを伝え続けましょう。
嫌なことをされて我慢してしまうと、「あいつは何言ってもチクらない」という危険な認識をされてしまう可能性があります。
そのままエスカレートしてしまう場合もありますので、耐えられない、と感じた時は「先生○○君がたたきました」とすぐ訴えたり、「先生に言うよ!」と反撃するよう伝えましょう。
保育士としては、子どもたちが安心して保育士に頼ってこられるような環境を整えてあげることに気を配りましょう。
○SOSのサインを見逃さない
親や先生に心配をかけるのを嫌がり、SOSをはっきり表に出さない子どもも多いようです。
普段と何か違う、小さなSOSを見逃さないこともとても大切です。
いじめられていたり、心にトラブルを抱えている子どもは次のような行動をとることがあります。
・寝つきが悪くなる
・笑顔が消える
・食欲が無くなる
・感情の浮き沈みが大きくなる
・園または学校であったことを話さなくなる
・登園・登校を嫌がる
・ものが無くなっていたり、傷がついている
このようなSOSのサインは、保護者が先に気が付くことが多いかもしれません。
しかし、保育士の方でも、いつもと違う子どもの様子を見逃さず、早めに対応していくことで、ことが大きくなることを防ぐことができます。
また、保護者からいじめについての相談を受けた場合は、しっかりと話を聞き、状況を把握し、必ず上長に相談し園全体で対応していくようにしましょう。
「いじめは絶対に許さない」という大人の強い態度は、まだ純粋な子どもたちの心に深く響きます。
◆人見知りが激しい子どもも無口な子どもも関わり方次第で心を開く可能性あり!
低月齢の人見知りが激しい子どもへの対応法や、無口な子どもへの対応法などをお伝えしました。
また、そういった大人しい子どもたちがターゲットとなりがちないじめについても、保育士が毅然とした態度を示す大切さをお伝えしました。
保育士として、無口な子どもにどのように関わっていくのかは難しいところではありますが、保育士の関わり方一つでその子どもの将来が大いに左右されることもあります。
無口な子どもが自分を思いっきり表現できる環境を整えることこそが保育士の一番の仕事なのです。
無口な子どもと関わる優しい雰囲気をクラス全体に作り上げることによって、クラスの中の子どもたち全員が思いやりを持って成長していけるという面もあります。
保育士の関わり方次第で、子どもたちは心を開き、変わっていきます。
「難しい」と敬遠せず、ぜひ積極的に無口な子どもと関わっていってください。