あなたが保育士を目指した理由は何ですか?保育士さんならおそらく誰でも「理想の保育士像」というものがあるかもしれません。
明るく!ほめ上手!理想の保育士になるために心がけたいこと例えば…いつでも明るく子どもの中心にいて、子どもにはまるで聖母のように語り掛け、子どもからも保護者からも信頼され人気のある保育士。どうでしょうか?こんな保育士さんがいたら確かに素敵ですね。
ただ、あまりに自分の中の理想が高すぎると、現実の自分とのギャップにしんどくなることも。そこでここでは、等身大の自分を認めつつ、どうすれば1ランクアップした保育士像へと近づけるのかを考えていきたいと思います。
理想の保育士になるには(1)等身大の自分を認める
子どもたちや保護者、そして社会人としても「お手本」になるように求められることの多い保育士さん。
一方で、保育士として、正しいのだろうか?向いているのだろうか?と悩んでいる方も多いかもしれません。でも、子どもたち一人ひとりが違うように、保育士もまたそれぞれの個性がありますね。
「私の得意なことは何だろう?」「苦手なことは?」と、まずは自分自身を知ること。
長所や得意なことをさらに伸ばしていくことで自信がわき、自分らしく輝くことができます。
ありのままの自分を認め自分を知ることが大切
ちょっとドジだったり、いたらなかったり、欠点だらけだってこんな自分が大好き!ありのままの自分を認めることで、子どもも愛情持って受け入れることができるものです。まずは、自分の得意なことや持ち味が保育にどう活かせるか考えてみましょう。
1.おっちょこちょいで大ざっぱなところもあるけれど、いつも明るくとにかく元気。
盛り上げ上手でノリノリタイプ子どもたちと活発に動いて遊ぶことが得意そうですね。行事の盛り上げや、イベントの雰囲気つくりには書かせない存在になれそう。
2.人前では緊張しがちだけど、子どもとじっくり関わることが好きで、つくったり飾ったりすることが得意なタイプ
子どもたちの作品づくりなどにじっくりと落ち着いて関わり、サポートできそうですね。室内装飾など任されたりすると本領発揮できそう。
▽3.運動はちょっと苦手、でも歌うことが大好き!明るくてピアノの腕前もばっちりのタイプ
子どもは歌うことが大好きです。雨の日や気持ちが沈んだときなど、音楽で気持ちを切り替えて楽しい雰囲気づくりができそう。
苦手なことにもチャレンジしてみよう!
得意分野で力を発揮しつつ、苦手なことにも取り組んで克服していきましょう。
小さなことや簡単なことから始めて、成果を楽しみましょう。
少しずつ前に進むことで長続きしますよ。完璧でなくてもいいけれど、個性を言い訳に努力を惜しんではいけません。
さまざまな得意分野と豊かな人間性で保育士の個性を活かし、子どもとの学びを深めていきましょう。
ちょっと不器用だって、子どものために一生懸命な保育士は必ず信頼を得て、しぜんと子どもが応援してくれるものです。
「いい保育士」でいるより「自分らしく輝く保育士」でいましょう。
理想の保育士になるには(2)周囲を俯瞰できる目を持つ
保育の仕事では、いろんなことが起こります。
事前に準備や当日に確認をいくらしていても、予想外のハプニングは起きてしまうものです。
子どもの命を預かる職業ですので、いつでもどこでも気を配って、気づきの体制でいることが大切です。
感性豊かな視点で周囲を見渡せば、いつでも発見があります。
まわりを良く見て、動いて覚えましょう。
事前に危険を回避する!
乳幼児の保育には危険な場面もたくさん。例えば、0歳児だったらお昼寝時にふとんで呼吸をふさがないように、1歳児だったら手に届くところに危ないものを置かない、など。
子どもの発達や、環境についても配慮しながら、一歩、二歩先を予測した危険に気づき、対応しましょう。
生活や活動の流れを頭に入れよう
遊びに必要なものは何か?準備はこれで、展開はこうなる、と流れを把握しておきましょう。
1日の活動の流れを頭に入れておくことも大切です。例えば・登園 保護者に健康状態チェック・外遊び 終わったらうがい・手洗い 準備:タオル・食事 準備:エプロン・お昼寝 準備:パジャマ・遊び 準備:画用紙、クレヨン、新聞紙・降園 保護者に今日の報告といった形で想定しておきます。
それでも予想外はありますが、把握ができていれば何かあったときに慌てずに対応できるでしょう。
ハリキリ過ぎに注意!
まわりに対して気がつくことは良いことですが、自分のやるべきことをおろそかにしていては本末転倒です。
担任同士でも役割分担があるので、まずは自分の仕事をしてから、手伝う内容や優先順位を聞いて動きましょう。保育士は子どもの行動を予測したり、まわりの必要を察して動くことがとても大切です。
常に意識をしていきましょう。
「私って気が利かないかも…」「うまく動けない…」と悲観しなくても大丈夫!保育をする中で、少しずつ気づいていけるようになるはずです。
季節や保育室内外、人間関係など、身の回りの環境を、心の目で見るように心がけてみましょう。
理想の保育士になるには(3)褒めるということ
子どもは褒められると自信がつくものです。
実際できたことを褒めるのはもちろん、「かっこいいね」「やさしいね」などと、もう一歩先を考えて褒めてあげましょう。
褒めることは励ましてあげること。
一人ひとりを良く見てあげることにもつながりますので、どのようにその子の可能性を伸ばしてあげられるか、一緒に考えてみましょう!
感謝の気持ちを伝えながら褒める
人がうれしくなるような良い行ないをしたときは、感謝の気持ちを込めて褒めてあげましょう。「お手伝いしてくれるの?うれしいなあ。」
「上手にお片付けしてくれたんだね。ありがとう!」
などとしてもらったことを具体的に伝えることも重要です。
認められて喜ばれるともっとしたくなり、思いやりの心も芽生えます。
可能性を見つけながら褒めて伸ばそう!
はじめてできたことや、苦手でそれまでできなかったことができたときは、スキンシップを取りながら「あやちゃん、すごいね。いいこだね!」「ちゃんとできたね、えらいねー。
」などと、褒めて認めてあげましょう。
そしてさらに、「もうちょっとだよ、がんばって!」や「もう少し!」など、次へステップアップする言葉を付け足していきます。例えば、「今日はトマトをひとくち食べられたから、次はふたくちがんばってみようね!」など、褒めてから「次はもっと~できる!」につなげていきましょう。
叱らず、あえて褒めてあげよう
何か失敗や良くないことをしてしまったときも、褒められる部分を見つけて褒めてあげましょう。例えば、「人のものを取らないの!」などと叱りたいことがあっても、あえて「まちがって取っちゃったんだよね。でも、ごめんねってちゃんと言えてえらかったね。」などと褒めると、自分の間違いや直す部分の気づきにつながり、効果があるときもあります。
失敗だけに注目せずに、できた部分を認めて、上手に褒めてあげてみてください。一日一回はどの子どもも褒めてあげられるように、良いところを探してみましょう。
家庭であったことや友達との関わり合いなどを聞いて、どんなに小さなことでも認めて褒めてあげます。
そして、褒めたことを、保護者にも伝えましょう。
褒めたり前向きな言葉がけは、子どもも保育士さんも、そして保護者もみんなhappyになりますよね。
理想の保育士になるには(4)子どもへのサポート術
子どもたちがのびのびと遊びを楽しむ保育園での自由遊びの時間は、保育士さんにとって、それぞれの子どもの好きなこと、友達との関わり方などが観察できるタイミングでもありますが、一方でさまざまなトラブルに注意し、配慮が必要な時間でもあります。
危険な遊びをしていないかなどの安全面への配慮や、友達とのけんか、仲間はずれになっている子はいないか?など、全体を良く見て、トラブルが起きていればすぐに対応できるように注意しておくことが大切です。また、子どもの遊びを通して、団体生活や対人面でのルールや、ものの扱い方などを指導できるチャンスでもありますので、この時間に、一人ひとりが何をしているか、まんべんなく気を配れるように努力してみましょう!
使ったものをきちんと片付けられない
子どもたちがいろいろなものや遊びに興味を持つことは良いことですが、きちんと片付けずに、他のものを取り出して、また飽きて他のおもちゃへ・・
と、繰り返している場合は、片付けてから次の遊びができるように指導しましょう。
その際、「ちゃんと片付けなさい!」「片付けないと、次の遊びはダメ!」などと、頭ごなしに叱るのではなく、子ども自身が自発的に「片付けた方が良い」と意識させることが大切です。「ご本がおうちに帰りたいって泣いてるよ〜。」
「お人形が、他のみんな(他の人形)と離ればなれでさみしいって!」
このように、ものを擬人化することで、放置されたものに子どもの意識を向けさせ、ものを大切にすることを伝えていくと効果的です。また、片付ける場所には、目印になるシールを貼っておくなど、どこに何を入れたらよいのか、分かりやすくしておきましょう。
みんなの仲間に入れずにひとりで居る
子どもに対して仲の良いお友達同士やグループなど複数で遊ぶ子どもたちと対称的に、ひとりでポツンとたたずんでいるような子どもがいます。本当は参加したいけど、内気で仲間に入れて、と言えない場合は、保育士さんがフォローしてあげましょう。まずは、無理に遊びを始めたり、どこかのグループに連れて行くのではなく、その子どもが何に興味があるのか、どんな遊びをしたいのかを探ります。そばに行って「何か遊びたいことはないの?」など声をかけてあげて、その子がしてみたい遊びが分かったら、じゃあ先生やみんなと一緒にやってみようか、など誘ってみましょう。他の子の仲間に入れてあげたいときも、保育士さんが一緒に「●●ちゃんも入れてあげて」と声をかけてあげる方がスムーズに他の子どもたちと遊び始められます。ただ、中にはひとりで遊ぶのが好きな子どもも居ますので、そういう子どもには無理強いはしないようにしましょう。保育士さんがそばで見守りながら、話を聞いたり、楽しいね、など共感してあげましょう。
本やおもちゃを奪い合ってケンカになる
子どもたちの中でも人気の本やおもちゃがあるので、遊びの時間には、ひとつのものを取り合ってケンカが勃発する、というのはよくあることです。子どもが気づいていないだけで、同じものが他にあればすぐに解決するのですが、ない場合は子どもたち同士で納得できるように、保育士さんが仲裁役をしましょう。なぜ貸したくないのか、どうしてそのおもちゃでなければ嫌なのか?
まずはどういった状況でケンカになっているのか、良く話を聞いてあげて、順番や貸してもらいたいときのお願いの仕方など、遊びでもルールを守らなければいけないよ、ということを指導していきましょう。
また、先に遊んでいた子どもに、使い終わったら貸してあげてね、など約束をするのも効果的です。
気持ちが落ち着いたら、意外にすんなり貸してあげたりするものです。
理想の保育士になるには(5)保育士間の連携が重要
子どもの命を預かる責任ある職業の保育士だからこそ、新任保育士もベテラン保育士も、保育に独走は禁物です。保育のお仕事をしていく上では、さまざまな見方や思いを通じて保育感が鍛えられていきますので、子どもたちに対しての誠意ある対応を共有する努力が大切ですよね。
保育士同士で、保育環境や活動の向上を目指し、コミュニケーションをまめに取って協力し合い、支え合っていきましょう。そうした信頼の連携があるからこそ、保護者は安心して子どもを預けることができるのです。
担任パートナーやチームタッグを強化しましょう
まずは、担任パートナーとのコミュニケーションを大切にすることを心がけましょう。クラスの状況をそれぞれの立場から見ることができるので、お互いの評価やアドバイスをし合ったり、トラブル時の対処についても協力し合える関係を築きたいですね。
また、低年齢児クラスを受け持つ場合は特に、複数の担任や看護師、栄養士とのコミュニケーションをこまめに取り、保育環境や活動の万全を図りましょう。こういったチームでタッグを組むことで、理想的な保育環境を築いていくことができるようになります。
新任、ベテランの良さを活かしたチームをつくる
ベテラン保育士は長年の経験を活かし安定感のある保育ができるので、保護者を安心させて信頼を得ます。一方、新任保育士は、純粋で素直な気持ちで子どもたちと接することができます。
ベテラン保育士は協力して新任保育士を育てる態勢で、新任保育士は保育の基本や疑問をベテラン保育士に相談して学び、それぞれの良さを活かしつつ、クラス一丸となってチーム力を発揮しましょう。
進んで先輩たちの力を借りよう
新任の保育士さんは、どんどん先輩たちの力を借りていきましょう。特に、ベテラン保育士は身近なお手本。
経験を積んだ先輩保育士から保育の基本を学びましょう。分からないことがあれば、遠慮せずに、大いに聞くべきです。子どもへの接し方や対処の方法などは、先輩をお手本にして、積極的に自分の保育にも取り入れてみましょう。
また、主任や園長は保育の大ベテランでもあり、人生の大先輩でもあることが多いですよね。保育士の立場を超えても、心強い味方になってくれるはずです。
人生の大先輩に学ぶ気持ちで、悩んでいることや困っていることを、とき思い切って打ち明けてみるのもいいかもしれませんね。
理想の保育士になるために今できることから始めましょう!
明るく褒め上手な理想の保育士になるために心がけたいことをお伝えしました。
項目数も多いため、「理想の保育士になるには随分いろんなことに気を付けなければならないのだな」とちょっと困惑された方もいらっしゃるかもしれません。上記で書かれている内容全部を一度にやろうとすると、気を配らなければならないポイントが多すぎて、パンクしてしまいます。
一通り内容に目を通し、自分に足りない部分を見つけたなら、まずはそのうちの一つを意識して日々の保育で実践するようにしてみましょう。階段を一歩一歩ゆっくりと上るイメージで、理想の保育士に近づけるよう、今できることから始めましょう!