地域子育て支援拠点事業とは、子育て中の親子が気軽に集まって交流や情報交換ができる場所を提供する事業のことです。3歳未満の子どもがいる家庭を対象としており、主に公共施設の空きスペースや保育施設、児童会館などで実施されています。今回は、そんな地域子育て支援拠点事業についてわかりやすく解説します。また、保育士が働ける職場なのかも確認しておきましょう。
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地域子育て支援拠点事業とは
地域子育て支援拠点事業とは、公共施設や保育所、児童館などの地域の身近な場所で子育て中の親子の交流・育児相談・情報提供などを実施する場所を提供する事業のことです。
市町村やNPO法人などのさまざまな主体が参画し地域での支え合い、子育て中の当事者による支え合いにより、地域の子育て力を向上させるという目的があります。
地域子育て支援拠点事業の事業内容
地域子育て支援拠点事業では、主に以下のような取り組みを行なっています。
- 子育て親子に交流の場の提供および交流の促進
- 子育てなどに関する相談・援助の実施
- 地域の子育て関連情報の提供
- 子育ておよび子育て支援に関する講習の実施
ほかにも、地域の子育て支援活動の展開を図るために一時預かりなどに取り組んだり、常設が困難な地域に出向いて出張ひろばを開設したりするなども行ないます。
地域子育て支援拠点事業が設立された背景
地域子育て支援拠点事業が設立された背景には、以下のような社会問題が存在しています。
- 3歳児未満の子ども約8割が家庭での養育という状況
- 核家族の増加に伴う地域のつながりの希薄化
- 男性の子育ての関わりの少なさ
- 児童数の減少
上記の社会問題以外にも、子育て中の親子が孤立してしまいがちな状況であることも問題となっています。その結果、保護者は育児に対する不安や負担を抱え込んでしまうようです。
また、子ども側も保護者以外の大人やほかの子どもと関わる機会が減少してしまいます。このような社会問題を軽減するために、地域子育て支援拠点事業が設置されることとなったのです。
地域子育て支援拠点事業の事業形態
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地域子育て支援拠点事業は、「一般型」と「連携型」という2つの形態に分かれて実施されます。ここでは、この2つの違いを詳しく確認しておきましょう。
一般型
一般型は公共施設の空きスペースや商店街などの空き店舗、民家・マンション・アパートの一室、保育園、幼稚園、認定こども園などに設置されます。開設日数は週3日以上で1日5時間以上です。
子育て支援に意欲があり、子育てに関する知識および経験を有する従事者を2名以上配置することが条件となっています。
なお、一般型の場合拠点を常設することが困難な地域に出向いて「出張ひろば」を開設することもあります。ちなみに出張ひろばは週1~2回、1日5時間以上の開設が条件です。
連携型
連携型は児童館などの児童福祉施設などに設置されます。開設日数は週3日以上で1日3時間以上です。
子育て支援に意欲があり、子育てに関する知識および経験を有する従事者を1名以上配置し、さらに児童福祉施設などの職員が協力して実施することが条件となっています。
地域子育て支援拠点事業の事例
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地域子育て支援拠点事業が始まってから、多くの自治体が地域子育て支援拠点事業に取り組むようになりました。ここでは、いくつかの事例を紹介します。
北海道札幌市
2016年、北海道札幌市は市内の商業エリアである大通地区に「まちなかキッズサロン おおどりんこ」という子育てサロンを開設しました。
その後、2020年には週5日型の地域子育て支援拠点事業に移行し、子育てサロンによる情報発信および相談体制を強化することに努めています。
神奈川県川崎市
神奈川県川崎市は地域子育て支援拠点を活用し、保護者のリフレッシュおよび交流の場の提供に取り組んでいます。
また、保育所を活用し、保育士・栄養士・看護師などそれぞれの分野に特化した専門的な相談支援を実施したそうです。ほかにも、医療的ケアや緊急一時預かり保育なども実施したといいます。
保育士は地域子育て支援拠点事業で働ける?
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地域子育て支援拠点事業では、保育士はもちろんのこと、幼稚園教諭や子育て支援員などさまざまな職種の方が活躍しています。
特に、保育士や幼稚園教諭は子どもの保育に携わった経験を活かして働くことが可能です。子育てをしている親子と交流し、その保護者が抱えている悩みや課題に寄り添いサポートすることに大きなやりがいを感じられるかもしれません。
地域子育て支援拠点事業を行なう子育て支援センターは全国にたくさんあります。これを機に、子育て支援センターで働くことを検討してみてはいかがでしょうか。
出典:【取組事例集】こども・子育て支援施策に関する取組事例集/指定都市市長会
地域子育て支援拠点事業は親子が気軽に利用できる交流の場
地域子育て支援拠点事業は、子育て中の親子が気軽に集まって交流や情報交換ができる場所を提供する事業です。孤立しがちな子育て家庭を地域全体で支えていく取り組みであり、今後も拡大することが予想されるでしょう。
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