乳児クラスでのコミュニケーションにぴったりなふれあい遊び。0歳児や1歳児、2歳児の子どもたちは、保育士さんとスキンシップを取りながら、わらべうたや手遊び歌を楽しんでくれるかもしれません。今回は、保育園で楽しめる乳児向けのふれあい遊びを紹介します。また、取り入れることでの効果や遊びのポイントについてもまとめました。
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■目次
乳児が楽しめるふれあい遊びとは
ふれあい遊びとは音楽や歌に合わせて、子どもとスキンシップを楽しみながら遊ぶことをいいます。
主にわらべうたや手遊び、身体遊びなどがあり、朝の挨拶や室内での設定保育などで日常的に取り入れている園も多いようです。
子どもや保育活動の重要な指針である「保育所保育指針解説」には、乳児から2歳児の成長について、乳児から2歳児までは、心身の発達の基盤が形成される上で極めて重要な時期であると説明しています。
乳児から2歳までの子どもたちは、生活や遊びのさまざまな場面で周囲の人やものに興味をもってかかわることが大切であるということがわかります。
また、ふれあい遊びのようにスキンシップを図りながら、周囲とのかかわりを楽しむ遊びは、乳児さんにとって大事なことといえるでしょう。
乳児向け(0歳児、1歳児、2歳児)のふれあい遊びを行うねらいと効果
室内、室外などさまざまな場面で遊ぶことができるふれあい遊びは、乳児クラスにとってどのようなねらいや効果があるのでしょうか。
ねらい
乳児向けのふれあい遊びのねらいには、以下などが挙げられます。
- 周囲の大人や子どもとふれあうことで、安心感や親しみを持ち、愛着関係を育む
- 繰り返し同じ音色で遊ぶことで、模倣する楽しさを味わう。
- 保育士さんや友だちといっしょに遊び、自然に他者と同じ気持ちを体験する喜びを知る
- 歌に合わせて手や指、身体を動かすことで表現する楽しさを知る
指導案などに書く際は、乳児の子どもにとってどのようなねらいがあるのかを明確にしたうえで、保育活動に取り入れるとよいでしょう。
効果
ふれあい遊びを乳児に取り入れることで、以下のような効果が期待できるようです。
- 保育士や周囲の子どもとかかわりをもつことで、心の安定につながる
- 生活の基礎となるような歌や動きを取り入れることで、自然に生活の基礎を身につく
- 手や指など身体を動かすことで、感覚機能の成長を促し、保育士や周囲の子どもと親しみをもつ
- 歌を通して同じ歌詞やリズムを繰り返すことで、記憶力や思考力を育まれる
歌や保育士さんの言葉かけを通して、周りの人とかかわるうれしさを感じたり、運動機能や生活の基礎能力を身につけたりすることにつながるでしょう。
このように乳児の子どもたちにとって、ふれあい遊びはさまざまな効果があるので、室内、室外問わず、多くの場面で日常的に取り入れられるとよいですね。
乳児向け(0歳児、1際児、2歳児)のふれあい遊びのアイデア
乳児向け(0歳児、1歳児、2歳児)のふれあい遊びのアイデアをわらべうた、手遊び、身体遊びに分けて紹介します。
わらべうた
わらべうたとは、日本で古くから歌い継がれてきた遊びです。
音域が狭く、短いメロディが多いので、覚えやすい歌がたくさんあるでしょう。
また、動きと歌が一体となっているため、歌の振り付けを楽しみながら身体機能の発達を高めるというねらいにもつながるようです。
歌を通して身近な言葉を覚えるうえでも、乳児の子どもといっしょに歌って楽しめるとよいですね。
いっぽんばしこちょこちょ
子どもをくすぐってスキンシップを取ることができるわらべうたです。
くすぐる前に、低い声でゆっくりと歌うことで緊張感を演出することができるかもしれません。
手の平の他にも、足の裏やお腹などを使って歌い、ふれあい遊びを楽しみましょう。
むすんでひらいて
手を叩いたり、手をグーやパーにしたりなど簡単な動きを楽しめるわらべうたです。
まだ指を上手に動かせない0歳児の子どもでも、保育士さんの真似をして手を上に挙げるといったポーズをしてくれるかもしれませんね。
手遊び歌
手遊びはわらべうたと同様に、道具を使わずにできる遊びです。
保育のさまざまな場面で活用できるので、指先や手を使う楽しさや周囲とふれ合うよろこびを感じられるような手遊びを取り入れてみましょう。
乳児向けの手遊び歌を5曲紹介します。
コロコロたまご
ひよこやにわとりを知らない子どももいるかもしれないので、絵本やペープサートで伝えてから手遊びを始めるとイメージがつかみやすいかもしれません。
「ピヨ、ピヨ」という部分は、指を立てることが難しい場合もあるので、動きをゆっくりにするなど工夫するとよさそうですね。
りんごのうた
「りんご」や「みかん」など身近な果物が出てくる楽しい手遊びです。
歌のリズムを楽しみながら、子どもといっしょに手を動かしていきましょう。
最後の「あたま ぐしゃぐしゃ」の部分は身振りが面白いので、子どもたちが盛り上がるように演じてみるとよいですね。
のぼるよコアラ
手遊びの前に「おててをグーにして」など子どもたちがわかりやすいように説明しましょう。
動画と同様に、スピードをゆっくりにしたり、早くしたりして子どもたちと楽しめるとよいですね。
うさぎさん
0歳児や1歳児など子どもがチョキをできない場合は、保育士が手を添えてサポートするとよいかもしれません。
きれいにチョキの形ができなくても、子どもが真似してみたいと思えるように楽しく歌うことが大切でしょう。
うさぎが元気に跳ねる様子を表現できるように、手振りも大きくすると盛り上がりそうですね。
さかながはねて
手遊びを通して身体の部位を覚えられる手遊びなので、ゆっくりと歌って言葉をはっきり発するとよいかもしれません。
0歳児の子どもには目線を合わせて、子ども自身の身体にふれながら手遊びをすると楽しんでくれそうですね。
手遊び歌やわらべうたで遊ぶときは、子どもとふれあいながら、目線を合わせて繰り返しゆっくりと歌うと、子どもたちも覚えやすいでしょう。
ときおり歌に合わせて手振りを大きくするなど、子どもの興味を惹くような工夫をするとよさそうですね。
身体遊び
身体遊びとは全身を使って遊ぶものを指し、運動遊びとも呼ばれます。
身体遊びのねらいには、「身体を動かす心地よさを感じながら、保育士さんや他の子どもとスキンシップを楽しむ」といったことが挙げられ、室内でものびのびと遊べることが特徴です。
具体的には、以下などが挙げられます。
- 子どもの身体を洗濯ものに見立てて洗うふりをする
- きゅうりのように子どもをごろごろと転がしたり切るまねをしたりする
- 保育士さんが仰向けに寝転び、子どもをすねにのせて飛行機ごっこをする
- 子どもを抱っこして高い高いをする
- ギッタンバッコンと前後に身体を動かしてシーソー遊びをする
上記のように、手をつなぐ遊びや身体の部位をふれあう遊びなど、さまざまなものがあります。
保育士さんは、子どもとスキンシップを取りながら、身体のさまざまな部分を動かせるよう促せるとよいですね。
乳児向け(0歳児、1歳児、2歳児)にふれあい遊びを行うときのポイント
ここでは、乳児向けにふれあい遊びを行うときの注意点やポイントを解説します。
安全に配慮して行う
乳児向けのふれあい遊びを行う場合は、手や指がふれあうことも多いため、爪がのびているとお互いに怪我をしてしまうこともあるかもしれません。
前もって子どもたちの爪の状態を確認してから、ふれあい遊びを行うようにしましょう。
また、身体遊びなど全身を使う遊びでは、室内、室外問わず周囲に危険なところがないかを確認し、環境を整えることも大切です。
子どもたちが安全に遊べるよう、保育士さんは細かなところまで目を配るよう注意しましょう。
子どもの様子を見て、ゆっくり進める
子どもの様子を見ながらスピードを調整することも乳児のふれあい遊びでは大切になります。
保育士さんが早口だったり、歌や音楽が早く進んだりすると、子どもが追いつけず充分に楽しめない場合があるかもしれません。
発音や身振りなどを工夫して、ときには保育士さんが手を添えて援助を行いましょう。
子どもの年齢や成長を考慮して保育活動に取り入れられるとよいですね。
乳児の子どもが楽しめるような言葉がけをする
乳児の子どもたちはふれあい遊びを通して、さまざまな言葉や動きを覚えることも多いでしょう。
その中に登場するモチーフにはイメージがつきにくいものもあるかもしれません。
ふれあい遊びの内容にちなんだ絵本やペープサートなどを導入に取り入れて、工夫した言葉かけをしていくとイメージが膨らみやすいのではないでしょうか。
保育園の乳児クラスでふれあい遊びをしてみよう
乳児向けのふれあい遊びについて、ねらいや効果、0歳児、1歳児、2歳児向けのアイデアを紹介しました。
乳児の子どもは保育園で始めて見るものや感じること、体験することがたくさんあるでしょう。
保育士さんはさまざまなふれあい遊びを通して、周囲とのスキンシップを図る楽しさを感じられるように援助できるとよいですね。
乳児クラスのふれあい遊びのアイデアを知って、保育に取り入れてみましょう。