児童発達支援施設や乳児院などで働く「児童指導員」。子どもたちの成長を見守り、サポートするうえで社会にとって欠かせない存在です。今回は児童指導員の任用資格を取得する方法、仕事内容、保育士との違いなどをわかりやすく解説します。平均給与や働ける施設もまとめたので、これから児童指導員を目指す方も参考にしてみてくださいね。
apple713/stock.adobe.com
■目次
児童指導員とは
児童指導員とは0歳から18歳の子どもの生活全般の指導や個別的な訓練などを行い、よりよい環境の中で成長できるよう、サポートする職員のことをいいます。
児童指導員の主な勤務先は障がい児施設や親元を離れて暮らす子どもを預かる児童養護施設や乳児院などが挙げられます。
ときには子どもに対して親や兄弟のように接し、成長を間近で見守ることができるやりがいのある職種といえるでしょう。
児童指導員と保育士との違い
maroke/stock.adobe.com
保育士は児童指導員同様、児童福祉施設で働くことができる資格となります。
どちらも子どもと関わる仕事という共通点がありますが、保育士は主に0歳~6歳までの未就学児が在籍する「保育園」で働くことが多い一方、児童指導員は0歳~18歳と幅広い年代の子どもを対象に「障がい児施設」などで勤務することが特徴といえそうです。
児童指導員任用資格を取得するには?
児童指導員になるためには、「児童指導員任用資格」の取得が必須となります。
任用資格とは特定の職業や職位に就くために取得するものです。
児童指導員任用資格を得るためには試験などを受けるのではなく、学歴や経歴を証明するために卒業証書や実務経験証明などが必要になります。
取得方法は以下の3通りです。
- 資格を取得する
- 大学や大学院を卒業する
- 実務経験を積む
それぞれの取得内容を見ていきましょう。
資格を取得する
- 小・中・高の教員免許を取得する
- 社会福祉士や精神保健福祉士を取得する
上記の資格をお持ちの方は要件を満たしているため、任用資格があるとみなされます。
大学・大学院などを卒業する
- 地方厚生局長等が指定する児童福祉施設の職員を養成する学校またはその他の養成施設を卒業する
- 大学の学部または大学院で「社会福祉学」「心理学」「教育学」もしくは「社会学」を専修する学科を卒業する
卒業証書と成績証明書があることで任用資格が取得できます。
実務経験を積む場合
- 高等学校か中等教育学校を卒業し、2年以上児童福祉事業に従事する
- 児童福祉事業に3年以上従事し、都道府県知事が適当と認められる
中卒の方も実務経験があれば、任用資格を取得できます。
児童指導員が働く施設
LIGHTFIELD STUDIOS/stock.adobe.com
続いて児童指導員の勤務先を詳しく紹介します。
児童発達支援
主に0歳~6歳の未就学の障がい児が通う通所施設となります。発達障がいや身体障がいなどに応じた療育、保育園や幼稚園に通うための集団生活への適応訓練なども行います。
また、保護者の方とやり取りしながら包括的な家族支援、医療機関や保育園、幼稚園などと連携して子どもたちの健やかな成長を見守っていきます。
児童発達支援に興味のある方や求人状況などが気になる方は一度保育士バンク!にご相談ください。
遊びを中心に療育に取り組む施設や少人数制で子どもとじっくり関われる施設など、自分らしく働ける勤務先をご紹介いたします。
放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障がいのある6歳~18歳までの子どもたちの通所施設です。放課後や夏休みなどの長期休暇中に子どもたちの生活全般の自立をサポートしていきます。
障がいや発達の遅れなどがある子どもに対して一人ひとりの特性に合わせた支援を行います。
児童発達支援と放課後等デイサービスを併せて運営する施設もあるため、求人を探す方は施設形態を確認するとよいでしょう。
お住まいの通勤範囲内の放課後等デイサービスについて詳しく知りたい方は保育士バンク!にご相談ください。人員にゆとりがあり、働きやすい施設など多様な求人をご紹介いたします。
児童養護施設
児童養護施設は、さまざまな事情から保護者と暮らすことができない18歳までの子ども(原則乳児を除く)の入所施設です。
児童指導員は保護者の代わりに子どもたちと関わりをもち、生活全般のサポートやよき相談者としてコミュニケーションを図ります。
ただ、児童養護施設は子どもの生活を見守る施設ということで「夜勤等があり大変なのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
中には児童指導員が働きやすいよう、サポート体制が万全な施設もあるため、求人情報など気になる方はぜひ保育士バンク!にお問い合わせください。
乳児院
乳児院とは、何らかの事情で保護者といっしょに生活することが難しい1歳未満の乳児の入所施設です。
24時間体制で子どもたちの成長を見守り、着替えや食事のサポート、抱っこしたりあやしたりとぬくもりのある保育を行ないます。
児童指導員として「乳児保育のスキルを高めたい」「赤ちゃんのお世話をしたい」という方は乳児院への就職を考えてみましょう。
児童指導員の仕事内容
miya227/stock.adobe.com
続いて児童指導員の仕事内容を詳しく紹介します。
生活全般の指導やサポート
児童指導員は食事や排せつ、着替えなど生活全般のサポートを行います。子どもたちの様子にあわせて少しずつ身の回りのことができるよう、指導することも大切な仕事になります。
また、児童発達支援施設では専門的な日常の動作や集団への適応訓練などを行い、子どもたちの自立を支援します。
その他にも子どもたちと遊んだり学校の勉強をフォローしたりと頼れる存在としてコミュニケーションを図ることで信頼関係を構築することも重要になります。
個別指導計画の作成・実施
子ども一人ひとりの個別指導の計画を立て、短期・長期目標の達成に向けて子どもの成長を支えていきます。
障がいのある子どもに対しては個々の段階に応じた課題に取り組み、あたたかい言葉をかけながら関わることが大切になるでしょう。
また、児童養護施設や乳児院などでは子どもたちが安心して過ごせるように配慮しながら、経過記録などを作成し、サポートしていきます。
保護者との面談や相談支援
児童指導員は、子どもだけでなく保護者との連携、相談支援なども重要な仕事です。
障がいのある子や保護者と生活することが難しい子などのご家庭は、精神的なケアが必要な場面も多いかもしれません。
保護者の方とコミュニケーションを図り、子どもへの対応方法なども話し合い、不安などの解消に向けて取り組みます。
「ありがとう」「先生がいて助かっている」など感謝の言葉を述べられることも多く、やりがいを感じられそうですね。
児童指導員含む福祉系の平均給与
厚生労働省の資料によると、児童指導員を含む福祉関係の資格を持った方々の平均給与は以下の通りです。
常勤の平均月給:32万1,820円
非常勤の平均給与:9万8,180円
※平均給与額は基本給(月額)+手当+一時金(10~3月支給金額の1/6)
※福祉・介護職員等特定処遇改善加算を取得(届出)している施設・事業所を参考
こちらは児童指導員の他、ホームヘルパー、生活支援員、障がい福祉サービス経験者、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員を含む平均給与となります。
近年は障がい福祉サービスの従事者の待遇の向上を図り、国からも報酬の見直しが行われているため、給与の底上げも期待できるでしょう。
出典:2021年度 障がい福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要
出典:2021年度 障がい福祉サービス等報酬改定における主な改定内容
児童指導員の資格を取得して子どもと関わる仕事に就こう
児童指導員は子どもたちの居場所を作り、将来の自立に向けてサポートする重要な存在です。
資格の取得を検討されている方は仕事内容や働ける施設を把握したうえで、道筋を立てて行動してみましょう。
また、児童指導員や保育士資格をお持ちの場合、どのような施設に就職・転職するべきか迷っている方もいるかもしれません。
その際は保育士バンク!にご相談ください。
あなたの希望条件にあわせて仕事とプライベートの両立ができる施設やじっくり子どもと関わるアットホームな施設などを紹介いたします。
「通勤範囲内の障がい児施設はあるの?」という相談もOK!お気軽にお問合せくださいね。