病児保育とは。概要や役割、病児保育士の仕事内容と必要な資格について

病児保育とは、病気の子どもを預かってケアする事業のことを言い、共働き世帯の増加により年々需要が高まっている施設でもあります。そのなかで、どのような役割を持ち、病児保育士として働くにはどんな資格が必要なのか気になるところでしょう。今回は、病児保育とはなにか、病児保育士の仕事内容や必要な資格について紹介します。


熱を出している子どもの様子

ucchie79/shutterstock.com

 

病児保育とは

病児保育について、概要を具体的に解説します。

 

病児保育の概要

 

病児保育とは、主に保育所に通っている子どもが病気にかかった場合に、家庭での保育が困難な保護者の方に代わって、保育士さんや看護師さんが保育または看護することをいいます。

 

一般的に、37.5度以上の発熱がある場合や、インフルエンザのような感染力が強い病気の場合は、熱が引いても感染の恐れがなくなるまで保育園や幼稚園では預かることはできません。

 

そのため、子どもを保育園や幼稚園に預けることができず、かつ仕事を休めないなどの理由で家庭での看護が難しい保護者の方をサポートするのが病児保育の目的です。

 

病児保育にある3つの事業

 

病児保育には、以下の3つの事業類型があります。

 

    • 病児対応型・病後児対応型:地域の病児・病後児について、病院・保育所等に付設された専用スペース等において看護師等が一時的に保育する事業

 

    • 体調不良児対応型:児童が保育中に微熱を出すなど「体調不良」となった場合において、安心かつ安全な体制を確保することで、保育所等における緊急的な対応を図る事業及び保育所等に通所する児童に対して保健的な対応等を図る事業

 

  • 非施設型(訪問型):地域の病児・病後児について、看護師等が保護者の自宅へ訪問し、一時的に保育する事業

 

病児対応型や病後児対応型は、病気にかかった子どもや回復途中の子どもを一時的に預かって、保育士さんや看護師さんが保育を行う事業のことを言います。

 

体調不良児対応型は、保育中に子どもが体調を崩した場合に緊急的な対応を行って、保護者が迎えに来るまでの間の児童の安全を確保するものです。

 

非施設型は、子どもが回復に至らない場合でも回復途中であっても、利用者の自宅に訪問して保育を行う事業です。

 

次は、この3つの事業類型の違いについて一つずつくわしく解説します。

病児保育における3つの事業の違い

病児保育の事業には3つの類型があることを説明しましたが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。具体的に紹介します。

 

「病児対応型」と「病後児対応型」

 

はじめに「病児対応型」と「病後児対応型」の違いについて見ていきましょう。

病児対応型

病児対応型保育は、症状が急変することはないものの、まだ回復期に至っていないために集団保育が困難である子どもを専用のスペースで一時的に預かって保育をします。

利用可能な病気の例としては、気管支炎やとびひ、水痘やおたふくかぜのほか、担当医師が利用可能と判断した疾患です。

 

子どもが保育所等での保育中に発熱などがあった場合には、保育士さんや看護師さんが保育施設までお迎えに行くことも可能となっているようです。

また、病児対応型保育は病気の状態の子どもを預かるため、病院などの医療施設に併設していることも多いそうです。

病後児対応型

病後児対応型保育は、病気の回復期ではあるものの集団保育が困難である子どもを、専用スペースで一時的に預かって保育をします。

 

病児対応型保育と同様に、保育所等で保育中に体調不良になった子どもの送迎対応が可能で、病院や診療所といった保育所以外の場所に付設されていることが多いようです。

 

つまり、病児対応型保育は病気にかかっている最中の子どもを預かるのに対して、病後児対応型保育は回復期にある子どもを預かるという違いがあります。

 

体調不良児対応型

 

体調不良児対応型保育は、保育所等で保育中の子どもが体調不良になった場合に一時的に預かるものです。他にも、保育所に通う子どもに対する保健的な対応や、地域の子育て家庭などに対して相談支援も実施しています。

 

体調不良児の対応は、保育園などの医務室や、衛生面に配慮されており、なおかつ子どもの安全が確保されているスペースなどで行われます。

 

「訪問型(非施設型)」

 

病児保育には、専用施設や専用スペースで保育を行わない「訪問型(非施設型)」というものがあります。

 

訪問型は、保育士さんがサービスを利用する家庭に訪問して、マンツーマンで保育を行います。

 

保育士さんが医療行為をすることはないため、基本的には子どもの様子を見ることが保育のメインになりますが、必要に応じて子どもといっしょに病院へ行って診察を受けることもあるようです。

また、看護師さんが利用者の自宅へ訪問して子どもの看病を行うこともあるそうです。

 

出典:保育環境改善等事業/厚生労働省

 

出典:「病児保育事業の実施について」の一部改正について/厚生労働省

 

出典:病児・病後児保育の概要/厚生労働省

 

出典:病児保育事業について/厚生労働省

病児保育の設置基準・実施場所

病児保育事業を行うにあたって、人員配置や場所の基準が設けられています。くわしく見ていきましょう。

 

人員配置

 

国が行っている病児保育事業では、サービスの質を確保するために人員配置の基準を設けています。

 

厚生労働省「<参考資料2> 病児・病後児保育制度の概要」の資料によると、病児対応型、病後児対応型の場合、必要な人員は以下のように定められています。

 

  • 看護師等:1名以上(利用児童おおむね10人につき)
  • 保育士:1名以上(利用児童おおむね3人につき)

 

また、体調不良児対応型の場合は「看護師等2名以上」とし、預かる子どもの数は「看護師1名に対して2人程度」としています。

 

実施場所

 

病児保育を実施する場所についても、いくつかの条件が設定されています。

 

厚生労働省「<参考資料2> 病児・病後児保育制度の概要」の資料では、病児対応型・病後児対応型の場合、病院・診療所、保育所等に併設された専用スペースや専用施設であり、なおかつ以下のような基準を満たす必要があると説明しています。

 

  • 保育室及び児童の静養又は隔離の機能を持つ観察室又は安静室を有すること
  • 調理室を有すること(ただし、本体施設と兼用可能)
  • 事故防止及び衛生面に配慮されている児童の養育に適した場所であること

 

一方、体調不良児対応型の場合には、実施場所について「保育所の医務室、余裕スペース等で衛生面に配慮され、対象児童の安静が確保されている場所」と定められています。

 

出典:病児保育事業について/厚生労働省

病児保育で働く「病児保育士」になるためには?

ここからは、病児保育で働く「病児保育士」について、どんなものかや必要な資格について紹介します。

 

「病児保育士」とは?

 

病児保育士とは、病児保育を専門に行う保育士さんのことを言います。

病児保育士という名前で呼ばれていますが、病児保育士専門の国家資格があるわけではありません。そのため、保育士さんの中でも病児保育に従事している方のことを、一般的に「病児保育士」と呼んでいるようです。

 

病児保育士になるには?

 

上述したような病児保育を実施している施設に勤務する、または訪問型の病児保育サービスのスタッフとして登録することで病児保育士として働くことができます。

では、病児保育士になるためにはどのような資格が必要なのでしょうか。

保育士資格が必要

病児保育士として働くためには、基本的に保育士資格が必要となります。

保育士さんは医療行為を行わないため、子どもたちが早く元気になれるように服薬の手伝いをしたり、熱を測ったりすることが保育のメインになります。

 

病児保育をするうえでは保育士としての基礎知識で対応することができるため、保育士資格のほかに必要な資格は特にありません。

 

しかし、病児保育を実施する施設の中には、子どもたちにより丁寧な保育サービスを提供するために、保育士さんに対して一定の保育所勤務経験や子育て経験を求める場合もあるようです。

専門的な資格もあり

病児保育士としてプロフェッショナルを目指したい、という方には民間の団体が実施している病児保育士向けの資格があるようです。

 

病児保育士の専門的な資格は必須と言うわけではありませんが、取得することで幅広い場所で病児保育士として活躍できるかもしれません。

子どもたちにより適切で丁寧なケアを行いたいと考える方は、取得を考えてみてはいかがでしょうか。

病児保育士の役割や仕事内容

熱を出して寝ている子ども

ucchie79/shutterstock.com

 

病児保育士とはどのようなものかを押さえたところで、病児保育士の役割や仕事内容、給料について解説します。

 

病児保育士の役割

 

病児保育士さんは、子どもが興奮して病気を悪化させることがないように、静かな遊びを中心とした保育を行います。

 

子どもが病気にかかっている間も楽しく過ごすことができ、かつ病気を悪化させないように丁寧にケアするのが病児保育士としての役割と言えるかもしれません。

 

仕事内容

 

病児保育士の仕事内容には以下のようなものがあります。

 

  • 静かな遊びを中心とした保育
  • 検温や経過観察
  • 病院への通院
  • 保育所、幼稚園へのお迎え
  • 保護者の方への連絡票の作成

 

遊び以外にも、子どもの検温や経過観察なども重要な仕事になります。

午睡中に異常はないか、熱があがってないか、食欲はあるかなど子どもの様子をしっかりと観察し、細やかに気を配って保育することが必要でしょう。

 

また、保護者の方とのコミュニケーションも大切になります。

子どもが何を食べたのか、午睡をどれくらいしたのか、下痢や嘔吐はしていないかなど、体調面で気になることを連絡票に記載し、さらに保護者の方がお迎えに来た際には口頭でも伝えます。

 

こうした保護者の方との緊密なコミュニケーションや引継ぎをし、子どもが順調に快復に向かえるようサポートするのが病児保育士の仕事です。

 

病児保育士のお給料事情

 

病児保育士のお給料は施設によって異なりますが、保育士の平均給料と同程度か少し高めであることが多いそうです。

正社員だけでなくアルバイトやパートでの求人募集もあり、東京都の場合は1200円~1500円が相場のようです。

病児保育士として働くメリット

では、病児保育士として働くうえでどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

保育所に子どもを預けられない保護者の手助けができる

 

近年では保護者のニーズも高まってきており、全国で病児保育を実施している施設も増加傾向にあります。また、利用児童数も年々増えていることから、病児保育は今後も必要とされる存在と言えるでしょう。

 

病児保育士として働くことで、病気にかかった子どもを預けられない保護者の方をサポートすることができるため、やりがいを感じることができそうです。

 

さらに、子どもが元気になる姿を見届けられるといった、病児保育士ならではのやりがいも感じることができるでしょう。

 

子どもと近い距離で関わることができる

 

施設型の病児保育は、一般的な保育園とは異なり一度に預かる子どもの人数が少ないため、子ども一人ひとりに目が届く環境で働くことができるでしょう。

 

また、訪問型の病児保育の場合は、保育する子どもは基本的に一人であるため、マンツーマンで子どもと向き合いながら保育ができそうです。

 

したがって、子どもに近い距離で関わって保育をすることができるのが病児保育士として働くメリットと言えるでしょう。

 

専門性が身につく

 

病児保育士は病気にかかってしまった子どもの保育を行います。

そのため、保育をしていく中で体調の悪い子どもへの対応の仕方が身につくなど、一般的な保育園以上に子どもの体調面に寄り添った経験ができるかもしれません。

 

また、基本的に毎日違う子どもや保護者の方と関わることになるため、親子ひろばや子育て支援に近い経験も積むことができるでしょう。

 

こうした経験は保育士の専門性を高めることになり、体調の悪い子どもに気づいたり、病気になった子どもに対して迅速に対応できたりするなど、一般の保育園に転職した際にも即戦力として活躍できるスキルを身につけることができるかもしれません。

病児保育とはどのようなものかを知り、就職先の選択肢を広げよう

今回は、病児保育とはどのようなものか、また病児保育士の仕事や資格について紹介しました。

 

病児保育は、病気にかかった子どもの預け先に困っている保護者の方にとっての助けとなっており、共働き世帯が増えるにつれて需要が高まっている保育サービスの一つです。

 

また、病気にかかった子どもを看護師さんとともにケアして、子どもが楽しみながら早く回復するように努めることが病児保育士の役割になります。

 

病児保育士は、保育士資格を生かしながら一般的な保育園では得ることができないような経験を積むことができる仕事と言えるでしょう。

もちろん、病児保育で培った経験は保育士として転職した際にも生かすことができるので、キャリアプランの一つとして病児保育士になることを考えてみるのてもいいかもしれませんね。

 

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