ペープサートは日常保育から行事まで、幅広く使える保育の道具ですね。今回は、そのペープサートを簡単に手作りするための材料や作り方を考えてみました。また、仕掛けの作り方や舞台の作り方、盛り上げるためのコツも併せて紹介します。詳しい工程を動画つきで紹介するので保育に取り入れてみてくださいね。
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■目次
保育の現場で活躍するペープサート
ペープサートとは紙人形劇のことで、「paper puppet theater」という英語がくずれて今の形で呼ばれるようになっています。このペープサートについて、特徴や保育中に使う場面、ねらいをまとめました。
ペープサートの特徴
ペープサートは、絵本の読み聞かせと違って紙人形の動きがあるので子ども受けがよいでしょう。さらに保育者の立場としても準備が比較的簡単で、導入などにも取り入れやすくとても重宝します。日常の保育から行事での催し物まで汎用性があるのもよいところです。
また、どのような話もペープサート劇にすることは可能ですが、現実的には登場人物一人につき片手で紙人形を持つため、登場人物が少なく、シンプルな話がペープサートには向いていると言えます。
ペープサートを使うねらいは?
紙人形が動くペープサートは子どもたちの注目を集めやすく、集中力を保ちやすいため、次の活動へ移るときの導入や、行事を控えているタイミングでの気持ち作りにも使われます。そのほか、年中行事にまつわる由来を楽しく伝えたり、子どもの想像力を育てるツールとしても活躍します。
ペープサートの作り方
基本のペープサートを手作り
基本的なペープサートを手作りで作る方法です。仕掛けやアレンジを加える場合にも、この作り方がベースになります。
材料
・画用紙
・ペンやクレヨン
・割りばし
・はさみ
・のり
作り方
1.画用紙に登場人物の絵を描きます。
2.色がはっきり見えるように、ペンやクレヨンなどで色塗りをします。
3.登場人物の形に合わせてカットします。余白を残して切ると簡単です。
4.割りばしを用意し、2枚の絵で割りばしを間に挟むようにしてのりなどで固定すれば完成です。
ポイント1:大きさ
画用紙に描くイラストの大きさは、見せる子どもたちの人数によって調節しましょう。子どもの人数が少なく、舞台から近い距離で見せる場合はだいたい手のひらサイズを目安にするとよいでしょう。
人数が多く、一番後ろで見る子との距離がある場合は、直径約20cm~にするなどイラストを大きくする必要があります。その場合、絵の大きさに合わせて、裏に貼る割りばしの本数を多くするなどして土台を頑丈にしましょう。
ポイント2:色塗り
舞台から離れている子どもにもしっかり見えるように、はっきりとした色遣いで色を塗りましょう。色鉛筆よりも、ビビットな色のペンやクレヨンがおすすめです。また、黒いペンでフチ取るとより絵が見やすくなります。
ポイント3:ラミネート
ペープサートができたら、ラミネートをすると汚れにくくより頑丈になります。ラミネートは専用のシートや機械を使わなくても、透明のテープを全体に貼れば簡単に施すことができます。
簡単に作るペープサート
保育教材や保育雑誌に載っている絵をコピーしてペープサートを作るのもよいでしょう。自分でイラストを描かない分、忙しくても時短で作ることができますね。園のやり方にもよりますが、市販のキットを利用するのも一つの方法です。
折り紙を使って作るペープサート
作った折り紙をペープサートとして応用することもできます。例えば、チューリップの折り紙など、簡単な折り紙でも割りばしを間に挟めば、子どもたちにもすぐにペープサートを作ることができます。
ペープサートの仕掛けの作り方
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ペープサートの仕掛けとは、仕掛け絵本のように引っぱると隠れていたものが出てきたり、ポケットを忍ばせたりなど、ペープサートの劇に横方向以外の動きを加えるための仕掛けのことを言います。さまざまな仕掛けがありますが、ここではその中の2つの仕掛けの作り方を紹介します。
表と裏の貼り合わせ
表と裏に異なる絵を貼り合わせて作る仕掛けで、ペープサートの中でも基本的な仕掛けです。例えば表に登場人物の笑っている顔、裏に泣いている顔といったように作り、物語に合わせて登場人物の感情を表現します。
作り方
1.登場人物の異なる表情の絵を2種類用意します。
2.同じ形にカットします。丸であれば重ねて切るとずれが生じにくいです。キャラクターの形にカットする場合は、予め同じ枠で絵を描いておくとカットしやすいでしょう。
3.割りばしを間に挟んで2枚の絵を貼り合わせたら完成です。
ポイント
ペープサートを演じる場所の明るさによっては、裏の絵柄が見えやすい場合もあるので、透けないように厚紙を利用したり、間に厚紙を挟んで作るのもよいでしょう。
糸止め
登場人物の手足や、しっぽなどを本体部分に糸を使って固定する仕掛けです。そうすることで、固定したところを起点に動かすことができるため、登場人物の感情表現が動きでも表現することができますね。他にも、たまごの殻をかぶっているキャラクターの、たまごの殻を糸で固定すれば、パカッと開けたときに正体がわかるなどのように使うこともできるので、汎用性がある仕掛けです。
作り方
1.登場人物の本体の絵と、動かしたいパーツの絵を用意します。
2.それぞれの絵に穴を開けます。
3.糸を通して固定すれば完成です。
ポイント
正体を隠したキャラクターが登場人物の中にいると、子どもたちも正体が気になってワクワクし、ストーリーに没頭しやすくなる仕掛けと言えます。元々あるお話にも、オリジナルのアレンジとして加えてみてもよいかもしれません。
ペープサートの舞台の作り方
ペープサートの劇を演じるときに忘れてはいけないのが、舞台づくりです。ペープサートの舞台を作るのに使う材料は、段ボールや牛乳パックなど。それを積み上げて固定し、画用紙や布で全体を覆うだけで作ることができます。演じる先生が隠れられるぐらいの高さまで積み上げること、かつ子どもが見にくい高さにならないようにすることがポイントです。決まった作り方はないので、自由に作ることができます。
ペープサートを盛り上げるコツ
子どもが興味を持ちやすいペープサートですが、場合によっては子どもたちが飽きてしまうことも。それを防ぐにはどのような工夫をすればよいのでしょうか。
子どもにも参加してもらう
子どもたちが飽きないように最後まで楽しんでもらうためには、「子どもたちが参加できるポイント」を作ることがコツです。例えば、お話の中で主人公のキャラクターを「がんばれー!」と応援してもらうように先生の声掛けで促したり、みんなでおまじないをかけるなど、参加方法や掛け声はさまざまに工夫できそうです。子どもたち自身が物語の中に入り込み、ストーリーを動かしているという自覚を持つことで、よりペープサートの世界に没入できるでしょう。
質問やクイズを入れる
お話の中に子どもたちに質問するタイミングを設けることも、ペープサートの劇に参加してもらう方法のひとつです。例えば、「うさぎさんどっちに行ったかな?」などのように答えがわかりやすいもので、物語を進めるために必要な質問を投げかけると、集中しやすい上にペープサートを楽しんでもらえるでしょう。
ペープサートを上手に保育に活かそう
ペープサートや仕掛けの作り方、材料、盛り上げるためのコツなどを紹介しました。ペープサートは仕掛けも舞台の作り方も、また演じ方も決まったものがありません。その分保育士側も自由に演じ、園児側も自由に楽しむことができるのが最大のよさです。既存のやり方を参考にしつつも、自由な発想を活かしてオリジナルのやり方を取り入れて楽しんでみてくださいね。