企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違いについて。認可の有無や無償化など

企業主導型保育事業と事業所内保育事業はそれぞれどのような事業で、どのような違いがあるのでしょうか。認可外と認可、地域枠設定、無償化など、企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違いについて項目ごとに比較しながら解説します。それぞれの事業の特長を抑えると、保育士として働く際の参考になるかもしれません。

企業主導型保育事業 事業所内保育事業 違いの画像 maroke/shutterstock.com

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の役割・関係性

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違いについて考えることがあるかもしれません。

そもそも、企業主導型保育事業と事業所内保育事業にはそれぞれどのような特徴があり、どのような目的をもっているのかを見ていきましょう。

 

まずは、企業主導型保育事業と事業所内保育事業の役割や関係性について解説します。

 

企業主導型保育事業

 

企業主導型保育事業とはどのような制度なのでしょうか。特徴・目的・対象と、順を追って説明していきます。

特徴

企業主導型保育事業は、「子ども・子育て支援新制度」により、平成28年度から企業向けに内閣府が始めた助成制度です。

 

事業主拠出金を財源とし、一定の条件を満たすことで助成金が支給される仕組みとなっており、返済は不要です。

認可施設と同程度の整備費が支給され、運営費を助成してくれます。

 

企業主導型保育事業の保育所は、企業が設置する保育施設として「企業主導型保育園」と呼ばれています。

複数の地域の企業での共同設置も可能で、企業と利用者は直接契約となっています。

目的

企業主導型保育事業は、従業員の多様な働き方に合わせて保育を提供することで、企業で働く従業員を支援するために創設されました。

 

夜間や短時間・土日のみや週2日のみ勤務など、あらゆる働き方に対応した保育サービスを提供しており、待機児童対策に貢献することも目的の1つです。

対象

企業で働く従業員の子どもが保育の対象であり、子どもの対象年齢に制限はありません。

 

また、定員の2分の1の範囲で地域枠の設定が可能であり、地域住民の子どもの保育にも対応しています。

 

事業所内保育事業

 

事業所内保育事業とはどのような制度なのでしょうか。特徴・目的・対象と、順を追って説明していきます。

特徴

事業所内保育事業は、地域型保育事業の1つです。

 

地域型保育事業とは、平成27年に施行された「子ども・子育て支援新制度」により新設されました。

保育所型事業所内保育事業は定員20名以上、小規模型事業所内保育事業は定員19名以下と定められています。

目的

従業員が就業中に子供を預けて育児と仕事が両立できるようにと、事業所内に保育施設を設置しています。

 

平成30年の厚生労働省の資料によると、0歳児から2歳児の待機児童の割合が概ね98%となっています。

現状待機児童の9割を占めている0歳児から2歳児を受け入れることで、待機児童の解消も目指しています。

対象

預かる子どもは0歳児から2歳児を対象としており、3歳児以降は連携園などに転園が必要です。

 

また、従業員の子どもだけでなく、定員の4分の1は地域枠として保育を必要とする地域住民の子どもに保育サービスを提供しています。

 

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の関係性

 

企業主導型保育事業と事業所内保育事業は、いずれも企業で働く従業員の子どもを預かるという目的がありながら、待機児童の問題解消が期待されている事業といえるでしょう。

 

さらに、地域枠を使って地域の子どもを保育施設に受け入れることで、地域社会に貢献する取り組みとなっています。

 

企業主導型保育事業と事業所内保育事業のそれぞれの役割や関係性がわかったところで、内閣府の資料をもとに具体的な違いについて見ていきましょう。

 

出典:企業主導型保育事業等/内閣府

 

出典:事業所内保育施設設置・運営等支援助成金のご案内 P3.4/厚生労働省

 

出典:平成30年10月時点の保育所等の待機児童数の状況について P4 /厚生労働省

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違い①認可の有無

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違いのなかで、最も大きな違いは認可の有無です。

 

企業主導型保育事業の保育所は国の基準を満たしていない認可外の保育施設ですが、運営費や整備費については認可施設並みの助成が受けられます。

 

一方、事業所内保育事業の保育所は、保育施設の中では家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業と同様、国の基準を満たした認可保育所に属しています。

そのため保育施設を開設するには市区町村の認可が必要です。

 

このように、企業主導型保育事業と事業所内保育事業では、認可の有無に違いがあるといえるでしょう。

 

出典:企業主導型保育事業とは/内閣府

 

出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック / 内閣府・文部科学省・厚生労働省

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違い②職員の配置基準

企業主導型保育事業と事業所内保育事業では、保育士の配置基準もそれぞれ異なっています。

 

企業主導型保育事業では、保育従事者の数は0歳児3名に対して保育士が1名、1・2歳児6名にに対して保育士が1名、3歳児20名にに対して保育士が1名、4・5歳児30名に対して保育士が1名必要です。

 

その合計数に1名を加えた数以上の職員を配置することになっており、保育従事者の半数以上が保育士資格を有していなければいけません。

 

一方、事業所内保育事業では、子どもの定員人数が20名以上の場合は保育所の基準と同様、0歳児3名に対して保育士が1名、1・2歳児6名に対して保育士が1名必要です。

 

子どもの定員人数が19名以下の場合は、0歳児3名に対して保育士が1名、1・2歳児6名に対して保育士が1名のほか、別にもう1名職員を配置する必要があります。

 

加えて配置が必要な職員は、いずれも保健師、看護師・准看護師の特例が設けられています。

 

出典:1. 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット/内閣府

 

出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック P7.10.11/内閣府・文部科学省・厚生労働省

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違い③受け入れ可能な子どもの対象年齢

企業主導型保育事業と事業所内保育事業では、受け入れ可能な子どもの対象年齢にも違いがみられます。

 

企業主導型保育事業の場合は、保育施設に預かる子どもの対象年齢に制限は設けられていません。そのため、0歳児から5歳児の子どもを受け入れている園も多い施設といえるでしょう。

 

一方、事業所内保育事業では、保育施設で預かる子どもは制度上0歳児から2歳児と定められています。

 

出典:企業主導型保育事業実施要綱の概要 P7 /内閣府

 

出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック P12/内閣府・文部科学省・厚生労働省

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違い④助成金の範囲

企業主導型保育事業と事業所内保育事業とも、整備費、運営費などの助成金を受けられる点は同じです。

 

しかし助成制度や助成金額には違いがあり、助成金の上限額の高い企業主導型保育事業のほうが導入費用を抑えられるようです。

 

企業主導型保育事業では、設置費と運営費の助成金が併せて支給される仕組みです。

施設整備費の助成金は最大で必要な費用の3分の4相当分が支給され、運営費は企業の自己負担相当分と利用者負担相当分を除く部分で補助される仕組みです。

 

事業所内保育事業では、施設設置費の助成金は大企業の場合が全体の3分の1、中小企業では3分の2まで、増築費の助成金は大企業の場合が全体の3分の1、中小企業では2分の1まで助成金が支給される仕組みとなっています。

 

事業所内保育事業の運営費については、大企業の場合が現員1人当たり年額34万円、 中小企業では現員1人当たり45万円で、 体調不良児対応型の場合は更に加算される仕組みです。

 

または、運営費用より施設定員最大10名に運営月数と大企業月額1万円・中小企業月額5千円を算出した額の、いずれか低い方の助成金が適用されます。

 

出典:企業主導型保育事業実施要綱の概要 P4/内閣府

 

出典:事業所内保育施設設置・運営等支援助成金のご案内 P5/厚生労働省

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違い⑤無償化の適用範囲

企業主導型保育事業 事業所内保育事業 違いの画像 ucchie79/shutterstock.com

企業主導型保育事業と事業所内保育事業では、保育料無償化の適用する内容にも違いがみられます。

 

そもそも、保育料の無償化は2019年10月にスタートしました。保育所や認定こども園に通う3歳から5歳までの子どもは、施設利用料が無償化の対象となっています。

 

幼稚園を利用する子どもは月2.57万円まで支援され、0歳から2歳までの子どもは住民税非課税世帯を対象に利用料が無償化されています。

 

そのなかで、企業主導型保育事業の保育施設に通う子どもについては、3歳から5歳までの保育の必要性のある子どもを対象、 0歳から2歳は尚且つ住民税非課税世帯であれば、標準的な施設利用料が無償化されます。

 

ただし、無償化の対象となるためには、利用している企業主導型保育施設に対して必要な書類を提出しなければなりません。

 

一方、事業所内保育事業などを含む地域型保育事業の保育施設に通う子どもの施設利用料は、無償化の対象です。

 

ただし、事業所内保育事業のなかでも認可外保育施設の場合は、無償化の対象となるために市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。

 

3歳から5歳までの子どもは月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4.2万円までの利用料が無償化されます。

 

出典:幼児教育・保育の無償化概要/内閣府

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違い⑥地域枠の設定条件

企業主導型保育事業と事業所内保育事業ともに、従業員の子どもに加え、地域住民の保育を必要とする子どもにも施設を提供するサービスを行うことで、待機児童解消に繋がる働きをしています。

 

ただし、地域枠の設定条件には違いが見られます。

 

企業主導型保育事業の保育施設は従業員の子どものみ利用することもできますが、定員が埋まらないなどの理由で定員の2分の1の人数まで地域枠の設定が可能です。

 

一方、事業所内保育事業の場合は、従業員枠のほかに、地域の保育を必要とする子どもに開放することが義務付けられています。

11名~15名の場合は4名、21名~25名の場合は6名、31名~40名の場合は10名というように、保育施設の定員により地域枠の定員人数が定められています。

 

出典:1. 企業主導型保育事業の制度の概要と企業のメリット/内閣府

 

出典:事業者向けFAQ(よくある質問)【第6版】P45/内閣府

企業主導型保育事業と事業所内保育事業の違いについて理解しよう

企業主導型保育事業と事業所内保育事業は、共通する特徴もありながら、細部に違いが見られることがわかりました。

 

保育施設で働く従業員の職員資格についてや、利用する子どもの対象年齢、地域枠の条件などを知っておくと、保育士として働く際の参考になるかもしれません。

 

保育士資格が無い場合でも子育て支援員の研修を受講することで保育施設で働けたり、従業員の就業条件に合わせた勤務体制が自分の生活リズムに合っていたりなど、保育の仕事をする際にメリットだと感じる部分もあるでしょう。

 

企業主導型保育事業と事業所内保育事業について違いを認識し、自分に合った保育施設で働けるとよいですね。

 

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