学童保育とは?施設の概要や働くために必要な資格について

学童保育とは、放課後や長期休みの期間に小学生の子どもたちを受け入れる施設のことを言います。最近は両親が共働きという家庭が増えてきているため、保育園と同様に学童保育の需要も高まってきているようです。今回は、厚生労働省の資料をもとに、学童保育の概要や目的、働くために必要な資格などを簡単に解説します。


小学生の子どもたち

KPG_Payless/shutterstock.com

 

学童保育とは

学童保育とはどのようなものを指すのか、概要や目的について簡単に紹介します。

 

学童保育の概要

 

学童保育とは、放課後や長期休みなどに、共働き世帯の小学生を預かり、子どもたちの健全な育成を支援する事業のことです。

 

児童福祉法により「放課後児童健全育成事業」と名づけられており、この事業を実施する学童保育施設を「放課後児童クラブ」と言います。

 

主に市町村や社会福祉法人、保護者会などによって設置・運営されており、小学校の余裕教室や学校敷地内の専用施設、児童館といった場所で実施されています。

 

ただし学童保育施設には、自治体が設置する公営のものや、民間企業によって設置・運営されている私営の施設などもあるため、提供されるサービスは施設によって異なるようです。

設置状況

厚生労働省の資料によると、2019年5月1日時点で、放課後児童クラブは全国に2万5881カ所あり、登録児童数は129万9307人となっています。

 

また、2018年から2019年にかけて、放課後児童クラブは553カ所、登録児童数は6万4941人増加している状況です。

 

登録児童数が増加傾向にあることもあり、学童保育を利用できない子ども(待機児童)も発生しており、2019年5月1日時点で1万8261人と2018年よりも982人多い数字となっています。

 

待機児童数を都道府県別でみると、東京都、埼玉県、千葉県で全体の4割弱を占めており、都心では問題が深刻な状況にあると言えるでしょう。

事業内容

放課後児童健全育成事業の内容は、以下のように定められています。

 

  • 放課後児童の健康管理、安全確保、情緒の安定
  • 遊びの活動への意欲と態度の形成
  • 遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
  • 放課後児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡
  • 家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援
  • その他放課後児童の健全育成上必要な活動

 

学童保育は子どもたちが安全かつ健康に生活するための場所であり、職員を整備して子どもたちの成長を支援することが、主な事業内容と言えますね。

 

学童保育の目的や役割

 

学童保育が行われる目的や果たす役割について簡単に解説します。

目的

学童保育は、放課後や長期休みの期間に、小学生に適切な遊びや生活の場を提供して、子どもたちの健全な育成を図ることを目的としています。

 

そのため遊び以外にも、おやつや昼寝、静養や勉強などが当たり前に行える環境を整え、子どもたちの家庭に代わる「生活の場」となることが求められているようです。

役割

学童保育の役割は、成長期の子どもたちが安全で安心な生活ができることを保障することです。

 

また、共働き家庭や1人親家庭の小学生の放課後の生活を継続的に保障することを通して、保護者の仕事と子育ての両立を支援する役割も担っています。

 

出典:放課後児童健全育成事業について/厚生労働省

出典:学童保育の目的・役割がしっかりと果たせる制度の確立を/厚生労働省

出典:令和元年(2019年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和元年(2019年)5月1日現在)/厚生労働省

学童保育の運営形態や種類

一般的に、学童保育は運営形態ごとに3つの種類があるようです。くわしく見ていきましょう。

 

運営形態

 

学童保育を行う施設は、主に以下の3形態によって運営されています。

 

  • 公設公営:自治体が設置し、直接運営しているもの
  • 公設民営:自治体が設置し、民間企業や父母会などが運営しているもの
  • 民設民営:民間企業や法人が設置し、直接運営しているもの

 

一般的な「学童保育」を指す放課後児童クラブは、行政によって管理されているため公設公営や公設民営の施設となっています。

 

種類

 

学童保育施設には主に3つの種類があります。一つずつ見ていきましょう。

放課後児童クラブ

放課後児童クラブは、児童福祉法によって定められた「放課後児童健全育成事業」を実施する施設で、厚生労働省が管轄しています。

 

受け入れる児童は小学6年生までとされ、原則として年間250日以上、平日は1日あたり3時間、土・日・長期休暇などは1日あたり8時間以上開所することが定められています。

 

その他にも、40人以下の児童で構成される支援の単位ごとに、放課後児童支援員を2人以上配置することや、子どもたちが遊ぶための専用区画を設置することなども定められています。

放課後子ども教室

放課後子ども教室は、文部科学省の管轄下にあり、地域住民の参画を得て行われている事業です。

 

放課後子ども教室では、子どもが放課後を安全に過ごし、かつ多様な体験ができるように、学習支援やスポーツ活動といった多様なプログラムが実施されています。

 

この事業はすべての子どもを対象としており、平日の放課後や長期休暇期間などに、小学校の余裕教室や体育館、公民館などで行われます。

民間学童保育

民間学童保育は、民間企業や学校法人などが、子どもたちに対してさまざまな「学童保育」サービスを提供している事業です。

 

民間の学童保育は行政の管轄下にないため、運営団体ごとに利用料や開所時間、日数などが独自に定められているのが特徴となります。

 

一般的に、公営の学童保育では自由な遊びが活動のメインとなっていますが、民間の学童保育は、塾のような学習指導や英語学習といった勉強面での支援に重点を置いている施設も多いようです。

 

なかには保護者のニーズにあわせて、放課後児童クラブよりも長時間開所している施設などもあるかもしれません。

 

出典:放課後児童クラブ関係資料/厚生労働省

出典:放課後子供教室の概要/文部科学省

学童保育で働く「放課後児童支援員」の役割や仕事内容

笑顔の女性

takayuki/shutterstock.com

 

ここでは、学童保育施設で働く放課後児童支援員の役割や仕事内容についてくわしく解説します。

 

役割

 

厚生労働省の資料によると、放課後児童支援員には以下のような役割があるとされています。

 

  • 一人ひとりの子ども状況を把握する
  • 子どもの生活を、時間・空間の両面からとらえ、子どもの状況を把握しながら組み立てる
  • 放課後児童クラブで過ごす上で必要な基本的生活習慣を習得することを援助する
  • 遊びや諸活動を通じて、一人ひとりの子どもの生活を支え、発達を促す
  • 危険から子どもを守るとともに、子どもが自らを守りお互いを守る力を育てていく
  • 保護者との伝え合いを通じて、子どもの育つ家庭での生活を支える
  • 地域社会の中で、子どもの生活が円滑に進められるようにする
  • 学校や地域、その他関係機関との連携を深める

 

つまり、学童保育施設で働く放課後児童支援員は子どもたちが安心して過ごせるように配慮することはもちろん、関係機関と連携して子どもたちが適切な環境を得られるように支援する役割を担っていると言えそうですね。

 

仕事内容

 

放課後児童支援員の仕事内容は、子どもたちが安全に生活するための場所を提供し、遊びなどを通して子どもたちを支援することです。

 

簡単に言えば、子どもといっしょに遊んだりお話をしたり、宿題をサポートしたりといったことが仕事として挙げられます。

 

厚生労働省の資料は、よりくわしい仕事内容として以下のように説明しています。

 

  • 子どもの健康管理や安全管理、情緒の安定にかかる活動
  • 基本的生活習慣の確立に向けた指導
  • 遊びや体験を通じ、自主性、社会性、創造性を培う指導
  • 保護者への連絡、支援、連携
  • 放課後児童クラブ以外の子どもや地域住民との交流活動

 

ほかにも、放課後児童クラブの運営にかかわる事務作業や記録の作成、清掃や学校などとの連携も放課後児童支援員の仕事内容となっています。

 

子どもや保護者と直接関わるさまざまな支援だけでなく、施設を運営するために重要な業務もあるため、放課後児童支援員の仕事は多岐にわたることがわかりますね。

 

出典:放課後児童支援員の役割及び職務と補助員との関係/厚生労働省

学童保育で働く「放課後児童支援員」になるためには?

では、学童保育で働く職員、放課後児童支援員になるためにはどんな条件などがあるのでしょうか。

 

資格を取得できる条件

 

放課後児童支援員の資格を取得するためには、以下の条件を満たし、かつ都道府県知事が行う研修を修了することが必須となっています。

 

  • 保育士の資格を持っている方
  • 社会福祉士の資格を持っている方
  • 高等学校や中等教育学校(中高一貫校)を卒業した方、または文部科学大臣によって高卒以上の資格を持っていると認定された方で、2年以上児童福祉事業に従事した方
  • 教職員免許を持っている方
  • 大学もしくは大学院にて、社会福祉学、心理学、教育学、社会学、芸術学、体育学を専攻する学科やそれらに相当する課程を卒業した方(外国の大学を含む)
  • 大学にて、上記の学科で優秀な単位を取得したことによって大学院への入学が認められた方
  • 高等学校を卒業し、2年以上放課後児童健全育成事業に類似する事業に従事した方で、市町村長が適当と認めた方
  • 5年以上放課後児童健全育成事業に従事し、市町村長が適当と認めた方

 

保育士資格や社会福祉士の資格を持っていなくても、大学の指定学科を卒業したり、高卒で必要な実務経験を積んでいたりする方は、放課後児童支援員の資格を取得するチャンスがあるでしょう。

 

認定研修について

 

放課後児童支援員になるためには、都道府県知事が行う認定研修を受講し、修了しなければなりません。

研修の目的・概要

認定研修は、放課後児童支援員として必要な知識・技能を補完するため、業務をするうえで必要最低限の知識や技能を習得することと、実践する際の基本的な考え方や心得を認識してもらうことを目的として実施されます。

 

基本的に都道府県が実施主体となり、1回の研修の期間は、原則として2~3か月以内となっています。また、研修を終えるには、講義と演習を合わせておよそ24時間程度必要のようです。

研修科目

認定研修の科目は、以下のように定められています。

 

①放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の理解(4.5時間)
②子どもを理解するための基礎知識(6時間)
③放課後児童クラブにおける子どもの育成支援(4.5時間)
④放課後児童クラブにおける保護者・学校・地域との連携・協力 (3時間)
⑤放課後児童クラブにおける安全・安心への対応(3時間)
⑥放課後児童支援員として求められる役割・機能(3時間)

 

具体的には、放課後児童クラブの意義や事業の概要、子どもの発達や生活の遊び、支援のあり方などさまざまな内容を学ぶことができる研修となっているようです。

 

また、保育士資格、社会福祉士資格、教諭免許を持っている場合、それぞれ一部の科目が免除となるようなので、資格を持っている方は実施要項を確認してみましょう。

 

出典:放課後児童健全育成事業について/内閣府

出典:放課後児童支援員に係る都道府県認定研修ガイドライン(案)の概要/厚生労働省

学童保育とは何かを知り、今後の働き方に役立てよう

今回は、厚生労働省の資料をもとに、学童保育とはどのような事業か、また学童保育施設で働く放課後児童支援員の仕事内容や必要な資格などについて紹介しました。

 

学童保育は、放課後や長期休みの間に小学生の子どもたちを受け入れ、支援を通して子どもたちが健全に成長することを目的とした事業です。

 

そして、学童保育施設で働く放課後児童支援員は、子どもたちが安心して過ごせる場所を提供するために、安全や健康を管理したり、遊びや勉強のサポートをしたり、保護者との連携を取ったりとさまざまな仕事を行っています。

 

学童保育とはどんな事業なのか、また放課後児童支援員の仕事について興味を持った方は、新しい働き方の一つとして選択肢に入れてみるのはいかがでしょうか。

 

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