保育士さんが就職・転職活動をする際に、求人応募に躊躇してしまうのにはどんな理由が挙げられるのでしょうか。採用活動を成功に導くためにも、応募に対して前向きになれない原因を把握することは大切かもしれません。今回は、保育士が求人応募に躊躇してしまう理由と5つの対策について紹介します。
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保育士の求人応募を増やすには
採用活動の中で「求人がなかなか集まらない」と悩む担当者の方もいるかもしれません。
応募が来ないことで人材の補充が進まずに、現場の保育士さん一人ひとりに業務負担が増えることも考えられるでしょう。
自園への応募を増やす方法として、募集方法の多様化や説明会の開催などが挙げられますが、求人応募に躊躇してしまう方に対してのアプローチも必要かもしれません。
求人を閲覧しつつも、応募に前向きになれない保育士さんへ後押しができれば、自園への応募を増やすことにつながるでしょう。
まずは、就職・転職者が求人応募に躊躇してしまう理由を紹介します。
保育士が求人応募に躊躇してしまう理由
就職・転職の意思がありながらも、なぜ応募に躊躇してしまうのでしょうか。
現在保育士をしている方と保育士としてブランクのある方によって理由に違いがあるかもしれません。
くわしく見ていきましょう。
現在保育士として働いている方
現在の働いている園が多忙で面接日程が調整できない
転職を考えているにも関わらず、現在働いている園が多忙のため、新しい職場との面接の日程調整ができないという場合もあるでしょう。
特に人材が不足している園では保育士一人ひとりの業務負担が多く、休みが取れないことから面接日時の見通しが立たないということもあるかもしれません。
そのため、求人票を見ても面接の日程を考えるとなかなか応募に至らずに、躊躇してしまうケースが考えられるでしょう。
求人票の内容と転職の希望条件に違いがある
転職を考えている保育士さんは、主に求人サイトや求人情報誌などを見て新しい職場を探すことが多いようです。
そのなかで「現在の園よりも条件のよいところに行きたい」、「働き方を変えたい」という想いを抱きながらも、求人票の内容が自分の希望条件と違った場合に、応募を躊躇してしまうことが考えられます。
また、閲覧した求人票に勤務時間や雇用形態についての詳細な記載がなく、勤務内容がわかりづらい場合は、保育施設側に問い合わせが必要なケースもあるかもしれません。
しかし、転職者の現在の職場が多忙だと問い合わせをする時間が設けられず、その結果、応募に至らないということもあるでしょう。
現在保育士として働いておらず、長らく保育現場を離れていた方
保育士としてのブランクが気になる
保育士としての経験があるものの、結婚や出産などを機に長らく保育現場を離れていた方もいるかもしれません。
ブランクがあることで「現役保育士時代の知識が活用できるのか」、「子どもたちや保護者への対応が上手にできるのか」と不安を感じ、職場復帰に対して自信がないことから、応募に前向きになれない方もいるでしょう。
責任ある仕事を全うする自信がない
長らく保育現場を離れている方の中には、改めて「子どもの命を預かる仕事」への責任の重さを感じ、復職して仕事を全うする自信がないという方もいるようです。
特に出産・子育て経験をした場合に、自身の経験から子どもを育てることに対しての責任感をより強く感じることもあるかもしれません。
求人票を閲覧するものの、保育士としての重責を考えるとなかなか応募に至らないという場合もあるでしょう。
上記の他にも、転職や就職に前向きになれない理由として、「新しい職場で職員同士の信頼関係を構築できないのではないか」という不安を感じる方も多いかもしれません。
また、保育士は子どもを抱っこしたり、いっしょに遊んだりと体力のいる職種の一つです。
業務内容を考えると、保育士として復帰したとしても、自身の年齢による不安から気力・体力が続かないのではないかと考え、応募を躊躇してしまうこともあるでしょう。
このように保育士さんが新しい職場への応募に躊躇してしまう理由はさまざまなものが考えられますが、採用活動の中で応募を後押しするためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
保育士の応募に躊躇してしまう方への5つの対策
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保育士の応募に躊躇してしまう方への対策を紹介します。
①求職者の応募意思を高める求人票を作成する
求職者は就職や転職先を考える際に、まずは求人票を見ることが多いでしょう。
求人票は自園がどのような人材を求めているのかを表す大切な指標ですが、応募に躊躇している保育士さんへのアプローチの場でもあります。
「ブランクがあっても大丈夫!保育士経験者がしっかりサポートします」、「1日4時間~勤務可能。お子さんの保育の受け入れ可能」など、求職者の応募意思が高められるような文言を求人票に記載するとよいかもしれません。
また、求人票には勤務時間や雇用形態などを記載しますが、求職者が一目でわかるように明確に記述することも大切でしょう。
園独自のキャリアアップ制度がある場合は、「現在2年目で学年リーダーを務めた方は基本給○○円手当○○円を支給しています」など実際の支給額の詳細などを載せることで、求職者へのアプローチにつながるかもしれません。
②説明会や園見学をこまめに行う
保育士さんの中には就職・転職を希望していても「園の保育方針がよくわからない」、「人間関係がよい保育園か判断ができない」など、求人票を閲覧するだけではわからない事柄を理由に、応募に躊躇してしまうことが考えられるでしょう。
求職者に園の雰囲気や保育方針、特性などを知ってもらうためにも説明会や園見学をこまめに行うことが大切かもしれません。
ハローワークや人材紹介会社などでも、たくさんの保育園が集まった合同説明会を実施している場合があります。
自園のよさを知ってもらうためにも、積極的に参加し、活用していきましょう。
園見学を行うことで求職者も働いた際のイメージがつきやすくなり、応募の後押しとなることもあるようです。
③WEB面接を取り入れて、間口を広げる
WEB面接は、パソコンやスマートフォンを活用してオンライン上で面接ができる方法です。
インターネット環境が整っていれば、求職者が移動せずに雇用側とやり取りができることから、保育業界でも注目が集まっています。
「転職を考えていても多忙のため、面接を受ける時間が確保できない」、「夫の転勤先で保育士として働きたいが遠方のため、すぐに面接が受けられない」などの理由から、応募に躊躇してしまう方もいるかもしれません。
自園の応募を増やすためにも、積極的にWEB面接を活用して間口を広げられるとよいですね。
④自園の現状を把握し、働きやすい環境を整備する
求職者が応募に前向きになれない理由の一つとして、求人票を通して「園の雰囲気がよいか把握できない」、「人間関係が良好なのか判断できない」ということが考えられます。
保育士の仕事は行事の企画運営やクラス運営の中で、職員同士の連携を必要とする機会が多いことから、職場での良好な人間関係作りが重要となるでしょう。
現在の自園の現状について、「職員同士の連携がしっかりとれているか」、「互いを尊重した信頼関係を築けているのか」などさまざまな視点から把握し、園の雰囲気をよくするために面談や交流の場を積極的に設けるとよいかもしれません。
保育士さんにとって働きやすい環境になるような整備を行い、求人票や自園のホームページで職員同士の様子を写真で掲載するなどして人間関係のよさをアピールすると、応募を躊躇している保育士さんへの後押しにもつながるでしょう。
⑤研修の機会を設ける
長らく保育士として現場を離れている方の中には、職場復帰に自信がもてずに応募に躊躇してしまう場合もあるでしょう。
保育に関する研修会を開き、保育現場の知識を学び直す場を設け、ブランクのある方も保育士として活躍できるような取り組みを考えるとよいかもしれません。
また、自治体が開催している再就職セミナー等で求人募集チラシを配布するなど、園の存在を知ってもらうような取り組みを積極的に行うことも大切といえるでしょう。
保育士が求人応募に躊躇してしまう理由を知り、採用活動に役立てよう
保育士さんが求人応募に躊躇してしまう理由としては、「ブランクが気になる」、「面接時間がない」などさまざまな原因があるようです。
求人票でいかに自園のよさをアピールできるかということも重要ですが、説明会や園見学、研修会を積極的に開き、「どれほど保育士を必要としているか」、「園で働く楽しさ」を直接求職者に伝えることも大切かもしれません。
採用活動を成功に導くためにも保育士さんにとって働きやすい環境を整備し、「この園に就職・転職してみたい!」という気持ちを後押しできるような取り組みを考えていきましょう。