採用活動を行う中で、WEB面接を導入したいと考える担当者の方もいるかもしれません。取り入れる際に、通信環境の設定や必要なビデオツールの選定などで戸惑う場合もあるでしょう。今回はWEB面接を導入における注意点を「準備編」と「面接実施編」に分けて具体的に解説します。
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■目次
保育士採用でWEB面接の導入する際の注意点とは?
パソコンやスマートフォンを活用してオンライン上でできるWEB面接。
保育士採用活動においてもWEB面接を導入している園が増えていますが、実際に「どのような事前準備が必要なのか」「面接実施する際に気をつけることは?」などと迷うこともあるかもしれません。
インターネットがつながる環境であれば、求職者が移動せずに面接を受けられるというメリットがあるものの、通信環境の設定や求職者と連携するうえでの実施前の対応など気をつけるポイントがいくつかあるようです。
今回は、WEB面接を導入する際の注意点をくわしく解説します。
WEB面接の導入における注意点:準備編
WEB面接の導入する際は、以下の流れを意識して進めると、スムーズに事前準備を行うことができるでしょう。
①通信環境の設定
②必要なツールの検討
③接続テスト
④操作手順マニュアルの作成
⑤募集媒体に「WEB面接の導入が可能」であることを記載
①通信環境の設定
WEB面接を取り入れる場合は、まずインターネット環境を用意しましょう。
保育施設の中にはインターネットの設定を行っていない場合もあるため、いくつかのプロバイダーを候補に挙げ、自園の通信環境に合った契約プランを決定したあとでWEB面接に使用する機器を選ぶとよさそうです。
WEB面接に活用できる機器は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどが挙げられます。
パソコンの場合は、面接に対応できるカメラやマイクが内蔵しているかを確認しましょう。カメラやマイクがない場合は、外づけできるものを用意します。
タブレットやスマートフォンを使用する場合は、機器をテーブルに固定するアイテムなどを用意しておき、面接しやすい環境を整えるとよいでしょう。
また、WEB面接ツールによってはスマートフォンが対応していない場合もあるため、選定する際に対応の有無を確認するとよいかもしれません。
②必要なツールの検討
WEB面接を行う際は、ビデオ通話ツールの設定を行う必要があります。ビデオツールを利用することで、求職者側と雇用者側の画面が共有され、面接を実施することができるので、自園に合ったツールを選ぶとよいでしょう。
ビデオツールの種類
ビデオツールには主に2つの種類があり、「ブラウザ型」と「クラウド型(ASP型)」があります。
ブラウザ型は、ソフトウエアなどのインストールをせずに、WEBブラウザ経由で面接を行うものです。
クラウド型は、専用のアプリケーションのインストールを行って面接を行うシステムをいいます。
無料で使用できるものから有料のものもあるので、WEB面接をする際にどのような機能が備わっていた方がよいのか、希望条件を明確化すると選びやすいかもしれません。
選ぶときのポイント
必要なビデオツールを選ぶ際は、以下の内容にポイントを置くとよいでしょう。
・録画機能の有無
・日程調整・カレンダー機能が使用しやすい
・求職者情報や評価基準の管理の有無
それぞれの保育施設で、「求職者と画面が共有できるシステムのみが欲しい」、「採用活動が忙しく、求職者情報を一括に管理できる機能が必要」など、求める条件に違いがあるでしょう。
WEB面接を長期的に導入することを想定し、自園の採用活動に活用しやすいツールを選ぶとよさそうです。
WEB面接に使用するツールを選定後は、ツールの設定手順に沿ってアカウントの登録や専用URLの作成を行い、オンライン上のセッティングを行いましょう。
③接続テスト
オンライン上のセッティングの完了後、接続テストを行います。
現場の保育士さんなどに協力をお願いし、保育士さん側のスマートフォンやタブレットでツールを共有してみましょう。
「お互いの声が聞き取りづらくないか」、「カメラを使用する際にブレがないか」など実際の面接を想定し、求職者とスムーズやりとりできるか確認するとよいかもしれません。
現場の保育士さんは、自園での面接に臨んだ経験があることから、求職者の立場に立った意見を伝えてくれる可能性もあります。
「面接時に壁面製作が映し出された背景の方が、自園の温かな雰囲気が求職者に伝わりやすい」など、保育士さん目線のアドバイスを参考にすることで、よい雰囲気で面接を行うことにも役立ちそうです。
④操作手順マニュアルの作成
面接を実施するために、操作手順マニュアルの作成を行いましょう。
保育施設は、園長が採用面接を実施する場合が多いようですが、園長が不在の場合に副園長や主任が代理で行うこともあるかもしれません。
マニュアルを作成し、誰が見てもWEB面接の事前の設定が簡単にできるように準備しておくとよさそうです。
また、操作手順マニュアルは求職者側にツールの設定を伝える際も活用できるでしょう。
マニュアル作成後は、手順が適切かなどのチェックを行い、面接に備えるとよいかもしれません。
⑤募集媒体に「WEB面接の導入が可能」であることを記載
WEB面接の導入の設定完了後は、募集媒体にWEB面接が可能となった旨を伝えるようにしましょう。
求人サイトや転職情報誌などでは、「WEB面接導入特集」などが組まれるケースがあり、特集に参加することで、自園の求人情報が求職者の目に留まりやすくなるかもしれません。
保育士さんの中には、転職をしたいと考えていても、現在働いている保育園が多忙で面接の時間が取れないという方もいるようです。
このような保育士さんも「移動不要なWEB面接なら、一度受けてみたい!」と考えることもあるでしょう。
転職者の応募の増加を目指すためにも、積極的にWEB面接が可能であることを伝えるとよいかもしれません。
WEB面接の導入における注意点:面接実施編
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WEB面接を実施する際に気をつける点を紹介します。
面接日程、書類提出の確認
WEB面接の日程は、求職者の予定を配慮して決定しましょう。
日程については複数の日時を提示することで、求職者も選びやすいかもしれません。
また、面接を実施する前に、求職者側に履歴書や職務経歴書の提出をお願いしましょう。
書類については、データ化してメールで送付する場合や郵送する場合など園によって形式はさまざまなようです。
面接の日程までには必要書類が揃うように、求職者側とのやり取りをきちんと行いましょう。
求職者と通信環境の共有、確認
面接を実施するためには、求職者側とビデオツールの共有を行います。
必要に応じて、アプリのインストールやアカウントの作成をお願いしましょう。
求職者側から見て操作手順が簡単にわかるようなテンプレートなどを作成しておくと、メールを送付する際も役立つかもしれません。
また、面接前に数分、「声の聞き取りづらさ」や「画面が見やすいか」など互いに調整する時間を設けるとよいでしょう。
面接時間についても、接続テストを行うこともふまえて、余裕をもって設定するとよさそうです。
通信トラブルの対処法の明確化
面接を実施する際に、通信トラブルが起こる場合もあるようです。
「カメラやマイクがミュートになっている」、「雑音が入る」などさまざまなトラブルが考えられます。
通信トラブルとなった場合を想定し、あらかじめ対処方法を明確にしておきましょう。
電話面接への切り替えやチャットツールの利用などを考え、事前に求職者に伝えておくことで、お互い戸惑わずに面接を続けることができそうです。
面接が上手く進まない場合を想定し、すぐに連絡が取れる電話番号などを確認しておくことも大切でしょう。
身だしなみやマナーの確認
面接をする際は、従来の面接と同様に、求職者に失礼のないよう、身だしなみをしっかりと整えましょう。
カメラの位置の確認し、どのような画像となるのかを考え、室内環境を整えるとよさそうです。
パソコンなどでメモを取る場合は、求職者がタイピングの音を不快に思わないように気をつけましょう。
オンライン上のやり取りのため、求職者側に反応が伝わりにくい場合もあるかもしれません。
しっかりと話を聞いていることが相手に伝わるように、相槌は大きく打つなど聞くときの姿勢を工夫するとよさそうです。
面接は挨拶や笑顔を大切に行い、求職者がリラックスできるような雰囲気作りに努めましょう。
WEB面接の導入における注意点を把握し、効率的に保育士採用に活かそう
今後も人材不足の保育業界では、WEB面接を導入する施設が増えることが予想されます。
面接をスムーズに進めるためにも、通信環境の設定確認や通信トラブルの対処法などに目を向け、求職者側も採用側も、お互いがよい雰囲気で面接を実施できるように気をつけていきましょう。
WEB面接は移動が不要なため、もう一度求職者と話をしたいという場合も、空いた時間を活用して、気軽に日程を組めるというメリットがあります。
採用後、長期的に働く人材を確保するためにも、WEB面接において求職者側と施設側の保育方針や勤務内容などのすり合わせを行い、採用の成功に役立てていきましょう。