獅子舞とは、お正月などに行われる民俗芸能です。人の頭を噛むというイメージがありますが、子どもが噛まれると頭がよくなるという言い伝えもあるようです。保育園でくわしい意味や由来といっしょに説明して、お正月の風習に親しめるとよいですね。今回は、獅子舞とは何か、意味や由来と子どもに伝える方法を紹介します。
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獅子舞とは?
獅子舞とは、お正月やお祭りのときに獅子頭と呼ばれる被り物をかぶって舞う民族芸能です。
お正月に行われるのが一般的ですが、縁起がよい日やめでたい日に行われるものとして親しまれています。
日本の獅子舞には、大きく分けて伎楽系(ぎがくけい)と風流系(ふうりゅうけい)という2つの系統があると言われています。
伎楽系は、2人以上で獅子を演じる「二人立ち獅子舞」が多く、主に西日本でよく見られるものです。
一方風流系は、1人で1体の獅子を演じる「一人立ち舞」のスタイルが多く、関東や東北地方などで多く見られるようです。
獅子舞の意味や由来
次に、お正月やめでたい時などに獅子舞が行われる意味や由来について紹介します。
意味
獅子舞には、疫病を退治したり悪魔を追い払ったりする意味があるようです。
また、獅子舞が人々の頭を噛むのも、その人についている邪気を食べるという意味があるためと言われています。
さらに、悪魔祓いや疫病退治といった意味があることから、獅子舞に頭を噛まれるとその年にご利益がもたらされるという考えもあるようです。
そのため、お正月に獅子舞に頭を噛んでもらうと、1年間を無事に過ごすことができると信じられています。ほかにも、子どもが頭を噛んでもらうと頭がよくなるという言い伝えもあるそうです。
由来
獅子舞の起源はインドと言われており、その後中国を通って日本に伝えられたようです。
獅子舞のモチーフになっているのはライオンと言われています。
かつて、インドの遊牧民族がライオンを霊獣や神として崇めており、ライオンを模した舞を踊るようになったのが、獅子舞の原型と伝えられています。
日本では、16世紀ごろに伊勢の国(現在の三重県あたり)で飢饉や疫病などを追い払うために獅子舞が行われたのがはじまりのようです。
その後、江戸に伝わって悪魔祓いをする縁起のよいものとして定着し、祝い事や祭り事などで獅子舞が行われるようになったと言われています。
獅子舞が全国に広まったのは、江戸時代初期頃に、とある団体が獅子舞を踊りながら全国をまわり、悪魔祓いをしたことがきっかけのようです。
獅子舞とは何かを子ども向けに伝える方法
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獅子舞とは何か子どもたちにわかりやすく伝える方法を紹介します。
獅子舞に関する絵本を読み聞かせる
獅子舞をモチーフにした絵本を読み聞かせてみましょう。
獅子舞を知らない子どもも多いかもしれないので、獅子舞とはどのようなものかを知るきっかけになるかもしれません。
なかには、獅子舞の見た目を怖いと感じてしまう子もいるでしょう。
しかし、かわいらしいキャラクターとしてえがかれている絵本を選べば、親しみをもちやすくなるかもしれません。
絵本を読み聞かせることで、獅子舞はどんなことをする存在なのか、どうして頭を噛むのかなど物語を通して理解することができそうですね。
獅子舞について簡単に言い換えて説明する
獅子舞とはどのようなものなのか、簡単な言葉に言い換えて説明してみましょう。
ここでは、子どもたちからの質問を想定した言い換え例を紹介します。
「獅子舞ってなに?」
「獅子舞はお正月やおめでたいことがある日に、被り物をして踊ることを言うんだよ。」
「獅子舞ってなんの動物なの?」
「獅子舞は少し怖い見た目をしているけど、もともとはライオンなんだって。みんなが知っているライオンの顔とは少し違うかもしれないね。」
「獅子舞はどんなことをするの?」
「獅子舞は、みんなの前で踊ったり、頭を噛んだりするんだよ。頭を噛むのは、みんなを悪いことから守ってくれるためなんだって。保育園に獅子舞がきたときには頭を噛んでもらおうね。」
獅子舞がもつ疫病退治や悪魔祓いといった意味は、「病気とか悪いものから守ってくれる」「みんなについている悪いものを食べてくれる」などと言い換えると、子どもたちも理解しやすいでしょう。
また、獅子舞が怖いものではなく、子どもたちを幸せにする存在であることを伝えれば、子どもたちも興味を持ちやすくなるかもしれませんね。
獅子舞についての理解を深める保育園での過ごし方
子どもたちが獅子舞についての理解を深められる保育園での過ごし方を紹介します。
保育園で獅子舞ごっこを行う
子ども同士で獅子舞ごっこをしてみましょう。
獅子舞役の子どもは、両手を口のように大きく広げて、友だちの頭を噛む仕草をして遊びます。
子どもたちに「獅子舞に頭を噛まれるとよいことがあるかもしれないよ」と伝えておけば、自ら噛んでもらおうとする子どもも出てくるかもしれません。
伎楽系の獅子舞を真似て緑色の風呂敷を2人でかぶり、自由に舞を踊るのも楽しそうです。
獅子舞の頭の部分をダンボールなどで製作すれば、より本格的な獅子舞ごっこを楽しめるかもしれませんね。
獅子舞をモチーフにした製作をする
いつもの保育活動に獅子舞の製作を取り入れてみましょう。
パクパク獅子舞
<用意するもの>
- ティッシュ箱 1個
- ティッシュ箱 1/2個
- 画用紙 6cm×1.5cm 6枚
- 画用紙(緑) 1枚
- 獅子舞装飾用の画用紙など
- 鉛筆
- 白いクレヨン
- テープ
- はさみ
<ポイント>
先生はあらかじめティッシュ箱に切り込みを入れたものを用意しておきましょう。
動画では事前に用意した画用紙のパーツを貼り付けていますが、獅子舞の顔の部分に赤い画用紙のみを貼り、目や眉毛、口などは子どもたちにかいてもらうのもよいかもしれません。
強そうな顔やかわいらしい顔をしたものなど、子どもたちの個性的な獅子舞ができあがりそうですね。
折り紙獅子舞
<用意するもの>
- 折り紙(赤・緑)
- ペンなど
<ポイント>
2枚の折り紙を組み合わせて作る獅子舞です。
工程数が多いため、4歳児や5歳児向けの製作かもしれません。
製作に取り組む前に、獅子舞がどのような見た目をしているのか絵本や写真などで見せておくと、完成形をイメージしながら取り組むことができるでしょう。
獅子舞に対して怖いイメージを持っている子どももいるかもしれませんが、製作を通して親しみを持てるようになるとよいですね。
子どもたちに獅子舞とは何かを伝え、日本の風習に親しみを持とう
今回は、獅子舞とはなにか、意味や由来とあわせて、わかりやすく子どもに伝える方法を紹介しました。
獅子舞とは、お正月や祝い事のときに獅子頭をかぶって舞を行う芸能の一種です。
起源はインドと言われており、日本では16世紀頃に疫病や飢饉から人々を守るために行われたのがはじまりとされているようです。また、人の頭を噛むことで、その人についている悪いものを食べ、ご利益をもたらすとも信じられているそうです。
子どもたちに獅子舞について伝えるときには、視覚的にわかりやすいように絵本を読み聞かせたり簡単な言葉に言い換えたりすると、子どもたちも興味を持ちやすくなるでしょう。
保育活動に獅子舞にちなんだ遊びを取り入れて、子どもたちが日本の伝統芸能に関心をもつきっかけを作れるとよいですね。