転職が決まった保育士さんの悩みの種の一つが、退職の挨拶ではないでしょうか。同僚の職員さんはもちろん、保護者の方や園児などに向けた挨拶のポイントを押さえておけば、円満に退職することができるかもしれません。今回は、保育士さんの退職時の挨拶について、マナーや伝える順番、メッセージの例文などを紹介します。
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■目次
退職を予定している保育士さんは挨拶が大事!
転職活動を経て新しい園で働くことが決まった場合や、結婚・出産などを機に園を辞める場合、退職に向けた準備を始める保育士さんも多いでしょう。
なかでも、退職の挨拶はいっしょに働いた職員さんや保護者の方々に対してお礼を伝える手段として大切なものです。
退職に際してきちんとした挨拶をしなければ、見送る側の方に不誠実、あるいは責任感のない人という印象を与えてしまう恐れがあります。
気持ちよく円満退職をするためにも、保育園でお世話になった人々に感謝の気持ちを伝える挨拶をしましょう。
保育士が退職の挨拶をするときのマナー
まずは、保育士さんが退職の挨拶を伝えるときに押さえておきたいマナーを紹介します。
挨拶は園長先生から順番に伝える
いっしょに働いている保育士さんやお世話になった方々に挨拶をする場合、どのような順番で伝えればよいのか悩むかもしれません。
一般的には、以下の順番で挨拶をすることがマナーのようです。
- 園長先生
- 主任保育士さんなどの上司
- 同僚の保育士さん
- 保護者の方・園児
園を辞めることを決めたら、まず園長先生に退職意思を伝えることが多いかもしれません。
そのため、退職届を提出したタイミングなどで園長先生に挨拶をするのがよいでしょう。
そのあとで、朝礼や終礼など職員さんが集まる際に、上司や同僚の保育士さん全員に向けて挨拶をするのが一般的のようです。もし、その場に参加していなかった方がいれば、個別で一人ひとりに挨拶するようにしましょう。
職員さんに伝え終わったあとで、改めて保護者の方や園児に退職することを伝えるのがスムーズな流れと言えそうです。
できるだけ直接挨拶をする
退職の挨拶は、できるだけ直接行うことが望ましいでしょう。
園とトラブルがあった場合や健康上の問題で足を運ぶことができない場合など、特別な理由がない限りは面と向かって挨拶をすることで礼儀正しい印象をもってもらえそうです。
保護者の方に挨拶をする場合は、保護者会など園に来ていただいたタイミングで挨拶したり、送り迎えのちょっとした時間に手短に伝えたりするとよいでしょう。
もし全員に挨拶できなかった場合には、改めてクラスだよりなどの書面で退職する旨を伝えると、より丁寧な印象につながりそうですね。
園児に辞める旨を伝えるときは、保育園側と伝える時期を相談したうえで、全員の前で挨拶するようにしましょう。
保育士が退職の挨拶をするときのポイント
次に、保育士さんが退職の挨拶をするうえで大切なポイントを紹介します。
退職する日付を伝える
退職の挨拶をする際は、いつ辞めるのかをはっきりと伝えましょう。
「〇月末日をもって」や「〇月〇日付で」など、挨拶の冒頭で述べるのがポイントです。
そうすることで、退職日がまだ先の場合には残り僅かな時間もお世話になることを伝えることができます。
一方、退職日当日に挨拶する場合は「本日付けで」と言い、お礼を伝えて締めくくるのがよいでしょう。
退職理由は簡潔かつ前向きに説明する
退職する理由は人それぞれ。
結婚や出産などのおめでたい理由以外にも、園に不満があったりキャリアアップを目指したりといろいろな事情がありますよね。
そのため、退職理由について触れるときは基本的に「一身上の都合で」とし、詳細に述べる必要はないようです。
伝え方によっては、園のことを悪く言っているように受け取られてしまう場合もあるので、理由を聞かれた場合には前向きな形で説明するとよいでしょう。
感謝の気持ちを伝える
退職の挨拶は、園を辞めることを報告するだけでなく、仕事でお世話になった方々へお礼を伝えるためのものでもあります。
そのため、職員さんにはいっしょに働いてくれたことへの感謝、保護者の方には子どもを預けてもらったことに対する感謝を述べるようにしましょう。
また、年度途中で退職する場合には、感謝の気持ちとともに最後まで務めることができなかったことに対する謝罪も伝えることが大切です。
【相手別】保育士の退職の挨拶文
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ここでは、保育士さんの退職挨拶の例文やポイントを上司や同僚保育士、保護者の方、園児ごとに紹介します。
上司・同僚保育士さんへの挨拶文
例文①
「この度、一身上の都合により〇月末をもって退職する運びとなりました。
入社してから〇年、みなさんに支えていただきながら、多くのことを学ばせていただきました。
社会人として未熟だった私に丁寧に仕事を教え、いつもサポートしてくださる先生方のおかげで、とても貴重な経験をすることができました。
いろいろとご迷惑をおかけしたこともあったかと存じますが、〇年間本当にありがとうございました。」
例文②
「この度、私事ではありますが、出産のため〇月〇日をもって退職することとなりました。
新卒で入社してから〇年、先輩方には多くのことを教えていただきました。
クラス担任を務めることができたのも、皆さんをはじめとした園児や保護者の方全員のご支援があったからだと思います。
この時期に退職することとなり、申し訳ありません。
この保育園で学ばせていただいた数多くのことを、今後も活かせるように精進してまいります。
本当に今までありがとうございました。」
ポイント
上司や同僚の保育士さんへの退職挨拶では、業務上でお世話になったことや、支えてもらったことへのお礼を述べましょう。
また、年度途中に退職する場合には、途中で引き継ぐことになることへの謝罪と感謝の両方伝えると好印象につながりそうです。
退職理由については基本的に「一身上の都合」とし、挨拶の場を設けてもらった際には30秒から1分程度の時間内に収まるように手短に話すことも大切ですね。
保護者の方への挨拶文
例文①
「この度、家庭の事情により〇月末をもって退職することとなりました。
〇〇組の担任として子どもたちとかかわるなかで、たくさんの学びや刺激をもらうことができました。また、保護者の皆様には、お忙しい中保育園の行事にご協力していただきましたこと、心より感謝申し上げます。
至らない点も多くご迷惑をおかけしたこともあったかもしれません。
そのようななかでも、皆様に支えていただき、お子様の担任をさせていただけたことを大変うれしく思っております。本当にありがとうございました。
今後とも△△保育園をどうぞよろしくお願いいたします。」
例文②
「この度、家庭の事情により〇月〇日をもちまして退職する運びとなりました。
1年間という短い期間ではございましたが、〇〇組の担任として皆様の大切なお子様を預けていただけたこと、大変うれしく思っております。
至らないことも多く頼りない場面も多々あったかと思いますが、皆様の温かいご支援のおかげで毎日楽しく子どもたちと向き合うことができました。
この時期に退職することとなり大変申し訳ありません。
後任の□□先生にしっかりと引き継いで、子どもたちが毎日笑顔で過ごせるよう職員一同務めて参りますので、今後とも△△保育園をよろしくお願いいたします。」
ポイント
保護者の方への退職挨拶では、子どもを預けてもらったことや、保育園の行事に対する協力などへのお礼などを述べるようにしましょう。
職員さんへの挨拶と同様に、退職理由は説明せずに「家庭の事情」とすることがマナーです。
また、クラス担任をしていて年度途中で退職する場合は、担任が途中で変わってしまうことに対する謝罪もあわせて伝えましょう。
そのうえで、後任の保育士さんにきちんと仕事を引き継いでいることを説明すれば、保護者の方も安心してくれるかもしれません。
園児への挨拶文
例文①:2~3歳児向け
「今日は、みんなに大切なお話があります。
先生は、今日でこの保育園とバイバイすることになりました。
みんなとたくさん歌を歌ったりダンスをしたりして、先生はとても楽しかったです。今までありがとう、みんな元気でね。」
例文②:3~4歳児向け
「今日は、先生からみんなに伝えたいお話があるので、よく聞いてください。
先生が保育園にくるのは、今日でおしまいになります。
いっしょに鬼ごっこをしたり、たくさんお散歩したりと、みんなと遊ぶことができてとても楽しかったです。
元気いっぱいの〇〇組のみんなが頑張った運動会は、先生にとって大切な思い出になりました。
これからも、笑顔が素敵なみんなのことを遠くから応援しているよ。」
例文③:4~5歳児向け
「今日は、先生からみんなに大切なお話があります。
先生は、今日で保育園に来るのが最後になります。
〇〇組のみんなが力をあわせて頑張った生活発表会は、練習のおかげで大成功でしたね。そんな頑張り屋さんのみんなのことが、先生は大好きです。
かけっこを頑張った運動会や、一生懸命歌を歌ったクリスマス会など、みんなと過ごした時間は先生の宝物です。
明日からは、先生の代わりに△△先生が来てくれます。
いつもと同じように笑顔で元気よくお友だちと遊んでね。みんな本当にありがとう。」
ポイント
園児に退職の挨拶を伝えるときには、わかりやすい言葉を使うように心がけるのがポイントです。
なかには悲しい気持ちになってしまったり、寂しいと感じてしまったりする子もいるかもしれませんが、楽しかった思い出や子どもの頑張ったことなどを感謝の言葉とともに笑顔で話せるとよいですね。
保育士の退職挨拶の伝え方を押さえて、円満に退職しよう
今回は、保育士の退職の挨拶について、順番やタイミングといったマナーと、挨拶文の例などを紹介しました。
退職の挨拶は、単なる報告だけでなくお礼もいっしょに伝えるためのものなので、できる限り直接口頭で伝えるのが望ましいでしょう。
ほかにも、退職理由について詳細に説明しないことや退職日を明確にすることなども大切になります。
同僚や保護者の方、園児など、挨拶をする相手によって伝え方のポイントも異なります。退職の挨拶のマナーをしっかりと把握して、保育園を円満に退職できるとよいですね。