保育士試験を突破して保育士になろうと考えている方もいるでしょう。受験資格や試験はいつなのかなどをしっかりと押さえ、本番に向けて対策を進められるとよいですね。今回は、2022年実施の保育士試験について、日程や科目の内容、合格率などを紹介します。また、難しいとされる保育士試験に合格するための勉強法もまとめました。

FrameAngel/shutterstock.com
■目次
2022年保育士試験を完全網羅!日程や合格発表はいつ?
保育士試験は、合格すれば保育士資格を取得できる国家試験の一つです。
筆記と実技の2つで構成されている保育士試験は、筆記に合格すれば実技を受験できる仕組みで、両方に合格することで保育士資格を取得できます。
まずは、申し込みの際に押さえておきたい試験の日程や受験料、合格発表はいつなのかなどをくわしくまとめました。
2022年の試験日程
保育士試験は、前期(春)と後期(秋)の2回実施されます。
前期日程
- 筆記試験:2022年4月23日(土)、24日(日)
- 実技試験:2022年7月3日(日)
後期日程
- 筆記試験:2022年10月22日(土)、23日(日)
- 実技試験:2022年12月11日(日)
前期試験の申し込みは1月25日(火)までと公表されていますが、後期試験の申し込み期日は現時点では未定のようです。(※2022年1月26日時点)
ちなみに、2022年度前期試験の会場もまだ発表されていませんが、試験会場は例年各都道府県に1会場以上設置されることになっています。
受験料
筆記試験、実技試験のいずれかに受験する科目がある場合、12,950円(内訳:受験手数料12,700円+受験申請の手引き郵送料250円)の手数料が必要です。
また、幼稚園教諭免許状所有者などで筆記試験・実技試験が全て免除となる場合、2,650円(内訳:受験手数料2,400円+受験申請の手引き郵送料250円)の手数料がかかります。
これらの手数料は、指定の払込票とあわせて郵便局の窓口で払い込む必要があるので注意しましょう。
受験票の送付はいつ?
保育士試験の受験票は、筆記試験と実技試験で送付時期が異なります。
2022年前期日程の筆記試験の受験票は、4月7日(木)〜4月13日(水)の間に送付される予定です。
そして筆記試験に合格した場合、6月6日(月)〜6月12日(日)の期間に実技試験の受験票が送られてきます。
ちなみに、後期日程の受験票送付期間は2022年1月時点では未定のようです。
合格発表はいつ?
前期日程の筆記試験の合格発表は、実技試験の受験票が送付されるのと同じタイミングで行われます。具体的には、6月6日(月)~6月12日(日)の間に筆記試験結果通知書と実技試験受験票が送付されるようです。
そして実技試験に合格すると、8月8日(月)〜8月14日(日)に合格通知書が届きます。このとき、実技試験結果通知書もいっしょに送られてくるようです。
保育士試験の受験資格

miya227/shutterstock.com
保育士試験の日程や受験料などの概要をふまえたうえで、続いては保育士試験の受験資格を確認していきましょう。
大卒・短大卒
日本の学校教育法に基づいた4年制大学や短期大学を卒業している場合、受験資格が認められます。保育に関係する大学や学部、学科を卒業していなくても受験は可能です。
ただし、学校教育法に基づいた学校以外や海外の大学を卒業した場合、受験資格が認められないケースもあるようなので、事務局に問い合わせてみましょう。
専門学校卒
専門学校を卒業している場合、以下に該当する学校であるか確認しましょう。
- 学校教育法に基づいた専修学校であること
- 卒業した課程が修業年限2年以上の専門課程であること
上記をいずれも満たしている場合、保育に関係ない学部や学科を卒業していても受験資格が認められます。
ただし、どちらか一方でも満たしていなければ、高卒の条件が適用されるようです。
高卒
高卒の場合、以下のいずれかの要件を満たしていれば受験資格が認められます。
- 1991年3月31日以前に卒業している
- 1996年3月31日以前に高校の保育科を卒業している
- 2年以上かつ2880時間以上、児童福祉施設における実務経験がある
高卒の場合、卒業年度によって受験資格の有無が変わります。自身の経歴が受験資格に該当するかどうかしっかり確認しましょう。
中卒
中卒の場合、「児童福祉施設で5年以上かつ7200時間以上の実務経験」があれば受験資格が認められます。
また、認可外保育施設などの「受験資格認定基準に該当する施設・事業」での実務経験があれば、受験資格認定を受けられるケースもあるようです。
ただし、都道府県によって判断は異なるので、事務局に問い合わせるなどして確認してみましょう。
中退や在学中
中退や在学中の場合、最終学歴が適用されます。一般社団法人「全国保育士養成協議会」のホームページで、学歴から受験資格の有無や条件などを確認できるのでチェックしてみましょう。
ちなみに4年制大学や短期大学、専門学校を中退・在学中の場合でも「2年以上在学し、62単位を修得」していれば受験資格が認められます。
ただし在学中の場合は、年度内に条件を満たせなければ合格しても無効となるので注意が必要です。
【筆記・実技】保育士試験の科目や内容

Shark_749/shutterstock.com
続いて、保育士試験の筆記・実技の科目や内容について解説します。
筆記試験科目
一次試験となる筆記は全部で9科目あります。
教科・出題範囲・問題数
教科 | 出題範囲 | 問題数 |
---|---|---|
保育原理 | ・保育の意義及び目的 ・保育に関する法令及び制度 ・保育所保育指針における保育の基本 ・保育の思想と歴史的変遷 ・保育の現状と課題 |
20問 |
教育原理 | ・教育の意義、目的及び子ども家庭福祉等との関連性 ・教育の思想と歴史的変遷 ・教育の制度 ・教育の実践 ・生涯学習社会における教育の現状と課題 |
10問 |
社会的養護 | ・現代社会における社会的養護の意義と歴史的変遷 ・社会的養護の基本 ・社会的養護の制度と実施体系 ・社会的養護の対象・形態・専門職 ・社会的養護の現状と課題 |
10問 |
子ども家庭福祉 | ・現代社会における子ども家庭福祉の意義と歴史的変遷 ・子どもの人権擁護 ・子ども家庭福祉の制度と実施体系 ・子ども家庭福祉の現状と課題 ・子ども家庭福祉の動向と展望 |
20問 |
社会福祉 | ・現代社会における社会福祉の意義と歴史的変遷 ・社会福祉の制度と実施体系 ・社会福祉における相談援助 ・社会福祉における利用者の保護に関わる仕組み ・社会福祉の動向と課題 |
20問 |
保育の心理学 | ・発達を捉える視点 ・子どもの発達過程 ・子どもの学びと保育 |
20問 |
子どもの保健 | ・子どもの心身の健康と保健の意義 ・子どもの身体的発育・発達と保健 ・子どもの心身の健康状態とその把握 ・子どもの疾病の予防及び適切な対応 |
20問 |
子どもの食と栄養 | ・子どもの健康と食生活の意義 ・栄養に関する基本的知識 ・子どもの発育・発達と食生活 ・食育の基本と内容 ・家庭や児童福祉施設における食事と栄養 ・特別な配慮を要する子どもの食と栄養 |
20問 |
保育実習理論 | ・保育実習理論 ・保育実習実技 |
20問 |
出題形式と配点
筆記試験の出題形式はマークシートです。
100点満点のうち60点(6割)以上得点すれば合格となります。
ただし、「教育原理および社会的養護」は各分野50点満点となり、それぞれ30点以上得点しなければ合格とはならないため注意しましょう。
実技試験科目
筆記試験の9科目すべてに合格すれば、二次試験の実技を受けることができます。
実技試験は、「音楽」「造形」「言語」の3分野から2分野を選択して受験します。
教科・出題内容・見られるポイント
科目 | 出題内容 | 見られるポイント |
---|---|---|
音楽表現に関する技術 | 幼児に歌って聞かせることを想定して、課題曲(2曲)を弾き歌いする。 | ・保育士として必要な歌や伴奏の技術があるか ・総合的に豊かな表現ができるか |
造形表現に関する技術 | 保育の一場面を絵画で表現する。 | ・保育の状況をイメージした造形表現(情景や人物の描写、色使いなど)が豊かであるかどうか |
言語表現に関する技術 | 3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定し、指定された課題のなかから選んで素話を行う。 | ・保育士として基本的な声の出し方、表現上の技術、子どもに対する話し方ができているか ・子どもが聞き取れる、また理解できる内容にまとめられているか |
受験形式と配点
実技試験は、会場において試験官の前で実践する受験形式です。
1分野につき50点満点中30点以上、2分野で合計60点以上得点できれば合格となります。
ちなみに、実技試験は明確な合格基準が公表されておらず、加点・減点の基準を知ることはできないようです。
2022年度試験の課題
2022年度前期試験の音楽、言語の課題が発表されているのでチェックしておきましょう。
音楽分野の課題曲は以下の2つです。
- 「小鳥のうた」
- 「びわ」
一方言語分野の課題は、以下の4つの中から1つを選んでお話をすることです。
- 「ももたろう」
- 「3びきのこぶた」
- 「おおきなかぶ」
- 「3びきのやぎのがらがらどん」
試験に臨む際に意識したいポイントやくわしい注意点などが受験の手引きに記載されているので、一般社団法人「全国保育士養成協議会」のホームページで確認してみてくださいね。
保育士試験は難しい?合格率と難易度

TEAM PRE-LIGHT/shutterstock.com
一般的に難しいと言われがちな保育士試験。ここでは合格率や過去の推移、難易度を見ていきましょう。
合格率
2020年の保育士試験の合格率は約24%です。
厚生労働省の資料をもとに、2009年~2018年までの過去10年分の受験者数と合格者、合格率の推移を表にまとめてみました。
受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
2009年 | 41,163 | 5,240 | 12.6 |
2010年 | 46,820 | 5,324 | 11.4 |
2011年 | 49,307 | 6,957 | 14.1 |
2012年 | 52,257 | 9,726 | 18.6 |
2013年 | 51,055 | 8,905 | 17.4 |
2014年 | 51,257 | 9,894 | 19.3 |
2015年 | 57,301 | 12,962 | 22.6 |
2016年 | 70,710 | 18,229 | 25.8 |
2017年 | 62,555 | 13,511 | 21.6 |
2018年 | 68,388 | 13,500 | 19.7 |
このように過去の推移から見ると、例年20%前後が合格率の目安と言えるかもしれません。
難易度
合格率のデータからわかるように、保育士試験は難易度が高く合格するのは難しいと言えそうです。
その理由として、以下が考えられます。
- 筆記試験は科目数が9科目と多く、出題範囲が広い
- すべての科目において6割以上得点しないと合格にならない
筆記試験の合格が難しいことが、全体の合格率の低さにつながっているのかもしれません。
ただし、上記の合格率は初回受験で9科目すべてに合格した人の割合を示しています。
数科目のみ合格し、再度試験を受けた方が合格者として含まれていないことも、データから見る難易度の高さにつながっていると考えられるでしょう。
合格した筆記科目は以後3年間の試験で再受験が免除されるため、一度の受験で諦めるのではなく、数回にわたって挑戦すれば保育士試験合格を目指せるかもしれませんね。
保育士試験合格に向けた勉強法

tkyszk/shutterstock.com
ここでは、保育士試験合格を目指す方に向けた勉強法を3つ紹介します。
学習管理してもらえる「通学講座」
1つめとして、民間企業が提供する保育士試験対策の通学講座を利用する方法があります。
対面での講義はもちろん、収録済みの講義をDVDで視聴できたり、eラーニングを利用できたりするようです。
また、専門講師が勉強の計画を立ててくれたり、わからないことを教えてくれたりするなどのメリットがあるため、スケジュール管理に自信がない方や、知識がなく初めて学習する方にはぴったりかもしれません。
ただし、通学の時間や学習費用の確保が必要になるので、近くに講座を受けられるところがあるか、費用はいくらかかりそうかなどを事前に調べておくとよいでしょう。
好きな時間に進められる「通信講座」
2つめが、保育士試験対策用の通信講座を利用して勉強する方法です。
送付される教材を使って勉強し、定期的に課題を提出し添削してもらうスタイルが一般的でしょう。
通信講座は、カリキュラムに沿って学習すれば合格に必要な知識が身についたり、わからないことがあれば講師に質問できたりするなどのメリットがあります。
家事や育児、仕事が忙しく、空いた時間に自分のペースで学習したい方にはぴったりな勉強法と言えるかもしれませんね。
費用を抑えられる「独学」
3つめが、独学で保育士試験にチャレンジする方法です。
独学の場合、筆記試験の対策は市販のテキストや問題集を使った演習が中心となるでしょう。実技対策は、教室やレッスンに通ったり動画を有効活用したりするケースが多いかもしれません。
保育士試験に関する市販のテキストは、1万円~2万円あれば必要な分を揃えられるので、独学で学べば通学や通信に比べて費用を抑えられるでしょう。また、思い立ったタイミングですぐに勉強を始められるのもメリットと言えそうです。
ただし、わからないことがあっても一人で解決したり、受験日までの勉強計画を自ら立てたりする必要があります。
ほかにも、モチベーションを維持する工夫をしたり、法改正や時事ニュースなど最新の情報にアンテナを張っておいたりと、自己管理能力が重要になるでしょう。
新型コロナウイルスによる保育士試験の特例

panitanphoto/shutterstock.com
最後に、新型コロナウイルスの影響による保育士試験の特例を紹介します。
受験料が返還される
通常、受験手数料は受験申請が受理された後は返還されないことになっています。
しかし新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、2021年度後期試験では条件に該当し試験を受けられなかった受験者に対し、特例として受験料の返還を行いました。
その返還の際は、以下の要件を満たし、かつ診断書等の証明書類を添付した申請書を提出する必要があったようです。
①新型コロナウイルス感染症に罹患し、退院または宿泊療養等の解除が認められていない者
②保健所等から濃厚接触者に該当するとされ、自宅待機の解除が認められていない者
③海外から入国し、検疫所が指定した施設または自宅等での待機の解除が認められていない者
④試験当日、発熱(37.5度以上)や、体調不良があるなど新型コロナウイルス感染症の感染の疑いがある者
2022年1月時点では、2022年度試験で受験料の返還が行われるかどうかは明らかになっていません。
しかし、今後ホームページなどで情報が更新される可能性もあるため、こまめにチェックしておきましょう。
免除科目の期間が延長される
「2020年保育士試験における前期の筆記試験」が、新型コロナウイルス感染症の影響により、全都道府県において中止となりました。
それを踏まえて、一般社団法人「全国保育士養成協議会」は2021年から2022年まで、筆記試験合格科目の免除に関する特例措置を取っています。
2022年度試験における合格科目の免除については、以下のように定められています。
- 通常の2020年・2021年の合格科目免除に加えて、2019年の合格科目を免除できる
- 対象施設において、2018年4月から2022年3月までの期間で「1年以上かつ1440時間以上」の勤務経験があれば、2018年の合格科目を免除できる
- 対象施設において、2017年4月から2022年3月までの期間で「2年以上かつ2880時間以上」の勤務経験があれば、2017年の合格科目を免除できる
このように、特例として合格免除期間の延長が認められています。
くわしくは一般社団法人「全国保育士養成協議会」のホームページに記載されているので、自身が該当しているか確認しましょう。
2022年の日程や科目内容を押さえて、保育士試験に臨もう
今回は、2022年の保育士試験の日程や科目、合格率などを紹介しました。
保育士試験は、受験資格があれば年齢問わずに誰でも受けられる国家試験です。
筆記試験と実技試験の2つで構成されており、筆記は科目数が多く出題範囲が広いことから、合格率は例年20%程度と難易度が高いと言われています。
そのため、通信講座や独学など自分に合った勉強法やスケジュールで効率よく進めることがポイントとなるでしょう。
また、実技試験は3分野から2つを選択して受験できるので、どの分野がよいのかなどを視野に入れながら対策しておくとよいかもしれません。
2022年度試験で適用される特例など最新の情報も押さえながら、保育士試験合格を目指しましょう。
保育士バンク!は、保育士さんの転職をサポートするお仕事紹介サービスです。
完全無料でお使いいただけるだけでなく、転職相談や情報収集だけでも大歓迎。
保育業界への就職・転職が初めての方、未経験から保育士を目指すのは不安な方、まずは保育士バンク!に相談してみませんか?