保育で楽しめるリレー遊びにはどんな種類があるのか知りたい保育士さんもいるでしょう。ねらいを踏まえてリレー遊びを保育に取り入れれば、子ども同士の関わりが深まるかもしれません。今回は、子どもが夢中になるリレー遊びのアイデアを、乳児・幼児別に紹介します。あわせて、活動を楽しむポイントもまとめました。
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■目次
保育でリレー遊びを行うねらい
保育園で楽しめるチーム遊びのひとつとして、リレー遊びが挙げられるでしょう。
そもそもリレーとは、手でタッチをしたりバトンを受け渡したりしてチーム全員で協力し合い、ほかのチームと競争する遊びのことです。
保育に取り入れることで、友だちと力を合わせて目標に向かって競い合うなかで自分の役割を知り、ルールを守りながら遊ぶことの大切さを学べるかもしれません。
そんなリレー遊びをすることには、次のようなねらいが考えられます。
- ルールを理解し、約束を守りながら遊ぶことを楽しむ
- 友だちと協力し合い、いっしょに達成するよろこびを味わう
- 自分の役割を考え、工夫しながら遊ぶ
リレー遊びについて指導案を作成する際は、これらのねらいを踏まえ子どもの発達状況に沿って書くとよいでしょう。
指導案を書くときに戸惑わないよう、日頃から子どもの様子を観察して把握しておくとよいかもしれませんね。
では、乳児クラスと幼児クラスそれぞれに分けて、保育園で楽しめるリレー遊びを見ていきましょう。
【乳児編】保育で使えるリレー遊び
リレー遊びはチーム戦なので、あらかじめ2つ以上のグループを作ってから始めましょう。
まずは、乳児クラスの子どもが楽しめるアイデアを6つ紹介します。
ハイハイリレー
用意するもの
- マット
- おもちゃ
遊び方
1.保育士さんはチームの人数分のマットを並べます。
2.マットの上を端から端までハイハイで進みます。
3.端のゴールについたら、次のマットで用意している子どもがスタートします。
4.最後の子どもがゴールまでハイハイで進めたら勝ちです。
ポイント
0歳児から室内で楽しめるリレー遊びです。
なかには、ルールが分からず上手くゴールまで進まない子どももいるかもしれません。
そのようなときは、ゴール地点で保育士さんがお気に入りのおもちゃを持って声を掛けるなどして誘導するとよいでしょう。
運動会の親子競技に導入し、親が子どもを誘導する形にしても盛り上がりそうですね。
トンネル冒険リレー
用意するもの
- フラフープ
- マット
遊び方
1.保育士さんが持っているフラフープの中を、子どもがくぐります。
2.マットのトンネルをハイハイで通りぬけてゴール地点まで進みます。
3.次の友だちがスタートします。
4.最後の子どもがマットのトンネルをハイハイで通りぬけたら勝ちです。
ポイント
2種類のトンネルを使ったリレー遊びです。
保育士さんは、あらかじめマットを丸めてフラフープで固定し、トンネルを作っておきましょう。
次の子どもがスタートするタイミングがわかるように、ゴール地点に線をつけるなどしておくとよいかもしれません。
乳児クラスの子どもは、リレーのルールを理解することは難しいでしょう。
もしルールを守れなかったとしても、子どもがトンネルくぐりを楽しめるような雰囲気作りができるとよいですね。
お花摘みリレー
用意するもの
- フラワーペーパー
- フラフープ
- 籠
遊び方
1.先頭の子どもは籠をもってフラフープまで進みます。
2.フラフープのなかから花をひとつ拾って籠に入れ、陣地へ戻って次の子どもへ籠を渡します。
3.最後の子どもが早く陣地に戻ってきたら勝ちです。
ポイント
あらかじめ保育士さんが、フラワーペーパーで作った花をフラフープの中に入れておきましょう。
「水色の花」など色を指定すると、色を覚えるきっかけにつながるかもしれませんね。
キャタピラーリレー
用意するもの
- キャタピラー
遊び方
1.合図が鳴ったら、スタートから壁までキャタピラーで進みます。
2.向きを変えてスタート地点までキャタピラーで戻ります。
3.次の子どもが交替してキャタピラーに乗ります。
4.最後の子どもがキャタピラーに乗り、スタート地点に戻れば勝ちです。
ポイント
段ボールで、あらかじめ子どもが入れるサイズのキャタピラーをチームの数ぶん作ります。
子どもといっしょに製作してもよいですね。
レース中に子どもがコースから外れそうになったら、保育士さんが声をかけるなどして軌道修正しましょう。
大きめサイズのキャタピラーを作り、2人1組で挑戦しても楽しそうです。
大玉転がし
用意するもの
- 大玉(紅白)
- コーン
遊び方
1.大玉を転がし、コーンでUターンをしてスタート地点に戻ったら、次の子どもに大玉を渡します。
2.最後の子どもまで早く大玉を転がし終わったら勝ちです。
ポイント
隣のチームと大玉同士がぶつからないよう、充分な距離を確保して行うことが大切です。
2~3人で1組になって大玉を転がしてもよいでしょう。
大玉転がしは運動会の競技というイメージが強いですが、日常の保育で行っても盛り上がりそうですね。
車でゴー
用意するもの
- おもちゃの乗り物
- コーン
遊び方
1.おもちゃの乗り物に乗ってスタート地点に並びます。
2.合図で走り出し、コーンでUターンをしてスタート地点に戻ります。
3.次の子どもと乗り物を交替して順番に続け、早く最後の子どもが運転し終えたら勝ちです。
ポイント
子どもが大好きな、実際に乗れる車のおもちゃを使ったリレー遊びです。
Uターンがうまくできないときは、保育士さんが声をかけるなどしてフォローするとよいでしょう。
【幼児編】保育で使えるリレー遊び
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遊びを始める前に、あらかじめ2つ以上のグループを作っておきましょう。
次に、幼児クラスの子どもが楽しめるリレー遊びのアイデアを紹介します。
フラフープ送りゲーム
用意するもの
- フラフープ
遊び方
1.チームで横一列に並び、子ども同士で手をつなぎます。
2.先頭の子どもからフラフープをくぐり、隣の子どもへと順番につなぎます。
3.一番早く最後の子どもがフラフープをくぐり終わったチームの勝ちです。
ポイント
途中で手が離れてしまったらスタートからやり直すなど、細かいルールを決めておくとスムーズに楽しめそうです。
フラフープの代わりに、ロープなどを輪にして使ってもおもしろいでしょう。
少しずつ輪を小さくして、難易度を上げても盛り上がりそうですね。
雑巾がけリレー
用意するもの
- 雑巾(チーム分)
遊び方
1.チームのスターターは、雑巾に手を置いて準備態勢を整えます。
2.先生の合図で、スタート地点より雑巾がけをします。
3.次の子どもへ雑巾をバトンタッチし、アンカーまで順に雑巾がけをします。
4.最後の子どもが早く雑巾がけをし終えたチームの勝ちです。
ポイント
雑巾をバトンのように使うリレー遊びです。
定期的に取り入れば、遊びながら保育園の床や廊下を掃除できるメリットがあるでしょう。
子どもとリレー遊びを楽しみながら、保育園がきれいになる達成感も味わえそうですね。
子どもが使えそうな雑巾がすぐに用意できない場合には、新聞紙を代用してもよいでしょう。
ボール渡し
用意するもの
- ボール(チーム数)
遊び方
1.チームごとに縦一列に並び、先頭の子どもがボールを持ちます。
2.先生の合図で、正面を向いたまま後ろに並んでいる子どもへボールを渡します。
3.最終列の子どもまでボールが渡ったら、今度は先頭の子どもまでボールを順番に渡します。
4.先頭の子どもまで一番早くボールが渡ったチームの勝ちです。
ポイント
途中でボールが転がったら素早く取りにいき、戻った場所から再開します。
ボールを頭上から渡したり、足を開いて間をくぐらせたり、いろいろな渡し方を考えてみましょう。
水運びリレー
用意するもの
- ポリバケツ(チーム数)
- 絵の具
- ペットボトル(チーム数)
- コップ(チーム数)
- 包装紙
遊び方
1.絵の具で色水を作ってポリバケツの中に入れ、スタート地点に置きます。
2.ペットボトルを包装紙で包み、ゴール地点に置きます。
3.チーム1列に並び、順番にバケツの色水をコップですくい、こぼさないように進みます。
4.ペットボトルへ色水を入れたら戻り、次の子どもへバトンタッチします。
5.時間内により多くの色水をペットボトルに入れることができたチームの勝ちです。
ポイント
ペットボトルに色水を入れやすいよう、保育士さんはあらかじめ口の部分を切っておきましょう。
また、最後まで水量がみえないよう、ペットボトルを包装紙で包むとより楽しめそうです。
ホールなど室内で行う場合は、色水がこぼれたら雑巾で拭くルールなどを加えてもよいかもしれません。
ロープくぐり
用意するもの
- ロープ、または縄跳びの縄
- コーン
遊び方
1.各チーム2列に並び、先頭の2人はロープを下げて持ちます。
2.列に並んでいる子どもは順番にジャンプしてロープを飛び越え、最後の子どもまで進めます。
3.今度は先頭に向かってロープを高く持ちあげ、子どもが順番にロープをくぐります。
4.(1)~(3)を繰り返してチーム全員が順番にロープを持ち、一番早く最後までロープをくぐり抜けたチームの勝ちです。
ポイント
列に並びながら、ロープを飛び越えたり潜ってよけたりしましょう。
ジャンプしたり態勢を低くとったりと動きが激しいので、運動遊びとして取り入れてもよさそうですね。
お買い物競争
用意するもの
- 紙
- 机
- かご
- おままごとセット
遊び方
1.籠を持ち、スタートから中間地点まで走ります。
2.紙を拾って、かいてある絵と同じものを机の上から探して籠に入れます。
3.次の子どもに籠を渡して繰り返し、早く最後の子どもまで終わったチームの勝ちです。
ポイント
あらかじめ、机の上にさまざまな道具を置いておきましょう。
絵は子どもがかいても楽しめそうですね。
実物の道具を見ながらかくと、模写する練習になるかもしれません。
保育園でリレー遊びを楽しむためのポイント
子どもがリレー遊びを楽しむためのコツを紹介します。
年齢に合ったルール設定をする
ルールが子どもの年齢に合っていないと、遊び方が理解できず楽しめない子も出てくるかもしれません。
そのため、成長段階に合わせた内容の遊びを用意すれば、子どもは夢中になって遊べるでしょう。
なお、乳児クラスではUターンや友だちと交替をするときなど、保育士さんが子どもに声をかけたり誘導したりしながら進めるとよさそうです。
幼児クラスでは、ルールを相談しながら進めてもよいですね。
ルールを守れているか確認する
勝負にこだわるあまり、子どもがルールを守れていないことがないように確認しながら遊びましょう。
ルールを守れない子どもがいたら、理解できていないポイントを説明したり、勝ち負けにこだわる気持ちを汲んでアドバイスをしたりと、状況を把握しつつ保育士さんが個別にフォローできるとよいですね。
力量を均等にする
チームごとにばらつきがないよう可能な限り人数を揃え、力量に差が出ないように工夫するとよいでしょう。
子どもの体格差などにより勝敗のバランスがとれていない場合には、遊びの最中に再度チーム分けを行ってもよいかもしれません。
子どもが夢中になるリレー遊びの種類を知り、保育に役立てよう
今回は、保育で行うリレー遊びについて、乳児クラスと幼児クラスのアイデアを6種類ずつ紹介しました。
リレー遊びについての指導案は、「友だちと協力し合っていっしょに達成する」というねらいを踏まえて書いてみましょう。
チーム一丸となってゴールを目指すことで、自分の役割を考えながら行動する力を身につけることが期待できるかもしれません。
保育園で楽しめるいろいろなリレー遊びを知り、日々の保育や運動会などの行事に取り入れてみてくださいね。