転職を考えている保育士さんの中には、退職を引き止められた際の断り方に悩む方もいるかもしれません。保育園側からの引き止めに対し、どのような伝え方をすれば理解を得られるのか、よい断り方の例を探している保育士さんもいるでしょう。今回は、退職の引き止めパターンと際の断り方の例文や注意ポイントについて紹介します。

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■目次
退職を引き止められる理由を理解し、断り方を考えよう
保育園に退職を申し出たところ、園長先生や主任の方などに引き止められ、どうすればよいか困っている保育士さんがいるのではないでしょうか。
貴重な人材である保育士さんの退職を防ぎたいと考える園は多いでしょう。特に、人手不足の保育現場であれば、離職を申し出た方に対して「園に残ってほしい」とお願いすることも少なくないようです。
まずは、保育園側が退職を引き止める理由を整理して、断り方について考えてみましょう。
保育士さんの技術や能力を高く評価している
保育士さんの技術やコミュニケーション能力、子どもに対する姿勢などが評価され、保育園から必要な人材であると認められている場合は、引き止められる可能性が高いでしょう。
経験年数が長かったり、子どもや保護者からの印象がよかったりと、周囲から信頼されている保育士さんは、より強い引き止めにあうこともあるかもしれません。
退職後の後任が見つからない
退職をする保育士さんの後任を務められる先生がいないなど、人員に関する問題が引き止めの理由になることも多いでしょう。
「保育士の人数が足りない」「他の職員は経験が浅く後任が務まらない」など、さまざまな理由により、すぐに退職を受理できない保育園もあるかもしれません。
他の保育士さんへの業務負担が増えることを避けたい
人手不足の現場が多い保育業界では、限られた人数で運営をしている施設もあり、保育士さん一人ひとりに過度な負担がかかっていることも考えられます。
退職によって他の先生の負担が増えてしまい、その結果、園側がさらなる保育士さんの離職を招くことを心配しているケースもあるでしょう。
保護者の方へ不安を与えないように体制を整えたい
年度内での退職を希望する場合は、保護者の方が不安を抱く可能性が高いかもしれません。
担任を持っている方が離職するケースでは、子どもが悲しむことを心配する保護者の方も多いでしょう。担当の先生の交代に対する保護者からの不安を和らげるためにも、「体制が変わる新年度まで待ってほしい」と、退職時期について相談されることもあるかもしれません。
採用活動の年間計画の見直しを避けたい
保育士さんが退職すると、新たに人材を募集する園は多いでしょう。
しかし、ギリギリの人数や費用で運営している保育園の場合は、新規採用の費用が用意できない可能性があります。園の運営状況によっては、採用活動の年間計画の見直しをすること自体が難しい場合もあるかもしれません。
保育園でスムーズな運営を行うためにも、「せめて年度内は勤務を全うしてほしい」と引き止められることもあるでしょう。
このように保育士さんの退職は、園に関わる職員、子どもや保護者など周囲にとって大きな影響があります。
スムーズな退職を行うためには保育園側の考えに理解を示し、引き止めに応じられない場合は、状況にあわせた断り方を考える必要があるでしょう。
退職の引き止めに対する断り方のポイント
保育園側の事情をふまえ、引き止めに対する断り方のポイントをみていきましょう。
保育園側への感謝を示す
退職の際に引き止めにあい、自身の能力を評価してもらったり、働きやすくなるよう解決策を提示してもらったりした場合は、できるだけ感謝の気持ちを伝えましょう。
退職は、申し出る側も保育園側も自身の都合だけを押し通そうとすることで、トラブルに発展する場合も多くあります。
保育園側の配慮には感謝を伝え、なぜ残留をすることができないのかを説明し、改めて退職の意向を示すことが大切です。
退職時期を相談する
「後任がみつかるまで退職することを待ってほしい」など、保育園側からの申し出に対して応じることができる場合は、双方で相談して退職時期を決定する方法もあるでしょう。
その際は、「いつまで待つか」期日を定めることが大切です。明確な期日がない場合、辞められない状況が続く可能性もあるかもしれません。
退職時期を保育園側と相談する場合は、必ず残りの勤務期間を決めて、その期日には離職できるように約束を交わすとよいでしょう。
繁忙期などを避けたことを伝える
行事など保育園の繁忙期中の退職は、避けた方が無難かもしれません。
保育園の業務量が多い時期は、時間的にも人員的にも、いつも以上に余裕がないため退職を受け入れることが難しいでしょう。
繁忙期を避け、できる限り保育園の業務が落ち着く時期を選び、配慮することが大切です。
待遇、就労環境を退職理由にしない
「人間関係」や「給与」「残業」「福利厚生」など、就労条件や環境を退職理由として伝える保育士さんも多いでしょう。
しかし、このようなケースの場合、保育園側は「改善すれば残留できるはず」と判断し、改善策の提案や新たな就労条件を提示して、引き止めを行う可能性があります。
提案された内容で保育園に留まれるのであれば、引き止めに応じてもよいかもしれません。
しかし、退職の意思が固い場合は環境や待遇以外の離職理由についても説明し、保育園から離れたい意思を伝えることが必要でしょう。
退職の引き止めパターンと断り方の例文
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次に、引き止めに対する断り方の例文をみていきましょう。
例文1:「昇給する」「待遇改善をする」と引き止められた場合
退職したい理由として、給与や職場環境への不満を伝えた場合、園から改善案の提示をされることもあるでしょう。その際の断り方の例文は以下の通りです。
お伝えした〇〇について、解決案をお考え頂き本当にありがとうございます。
これまでずっと悩んでいたので改善案を提案して頂けてとても嬉しいですし、安心いたしました。
ただ、正直に申し上げますと、退職は長い間何度も悩み考え抜いたうえの結論でしたので、気持ちの切り替えが難しく、環境が変わったとしても前向きに勤務に取り組むことができないと思っております。
改善案をご提示頂いたのにも関わらず、ご期待に応えることができず、誠に申し訳ございません。
保育園側から労働環境の改善策などを提示された場合は、まず解決策を見出してくれた園側の配慮に対して、感謝していることを伝えましょう。
園側の気持ちを受け止めたうえで、改めて退職への意思が変わらないことを正直に伝え、謝罪の言葉を添えるとよいですね。
例文2:「後任が見つかるまで待ってほしい」と引き止められた場合
後任を務められる人材がいないため、退職時期を延期してほしいとお願いされたときの一例を紹介します。
急な申し出でご迷惑をおかけして、申し訳ございません。
後任の方は現状の他職員の方からの選定になりますでしょうか?それとも新たに求人を出すことになるでしょうか?
新しい職場への入職時期に関わりますので、難しい面もあることは承知しておりますが、具体的な退職の期日をお約束頂きたくお願い申し上げます。
引継ぎや育成、後任選定の方法によって残りの勤務期間に影響がでることが考えられます。
新たに人材の採用を行う場合は、想定の期間内に応募があるか判断できないため日程の確約は難しい場合が多いでしょう。
しかし、採用の見通しが立たないことで、退職できない状況が続くこともあるかもしれません。
そのような状況を避けるためにも、後任を決定するまでの期間を定めてもらい、退職日の約束をとりつける必要がありそうです。
保育園側の考えをききながら、期間を決めて話を進めるとよいでしょう。
例文3:「繁忙期が終わるまで待って」「年度途中は避けて」と引き止められた場合
保育園側の事情で、この時期の退職を避けてほしいと引き止められる場合もあるでしょう。退職時期を伸ばすことができる場合とできないケースについて紹介します。
<退職時期を伸ばすことが可能な場合>
忙しい時期の(年度内の期間中の)申し出になり、誠に申し訳ございません。
控えている行事がある〇月末までは(年度内は)勤務を全うしたいと思っておりますが、いかがでしょうか?
<退職時期を伸ばすことができない場合>
忙しい時期の(年度内の期間中の)申し出になり、申し訳ございません。
大変申し上げにくいのですが、〇〇〇〇という状況のため、その時期までの勤務継続が難しい状態です。誠に申し訳ございません。
保育園側が提示した時期まで離職を遅らせることができる場合は、退職時期を明確にしましょう。
やむを得ない事情などで、退職の日程の調整が難しいケースでは、自身の状況をできる限り詳細に説明し、謝罪することが必要です。このような場合は、保育園側の事情を考慮できないため、迷惑をかけることに対して誠意を持って謝罪することが重要となるでしょう。
例文4:「子どもが悲しむ」「保護者の方の信頼を失う可能性がある」と引き止められた場合
保育士さんの退職によって、不安になったり悲しい思いをしたりする子どもたちもいるでしょう。また、その様子を心配する保護者から退職について意見を寄せられる可能性も低くはありません。
子どもや保護者の方に関することで引き止められた場合の断り方の一例を紹介します。
その点は私も一番悩んだ部分です。子どもがどう思うかは何よりも心配なことですし、安心して子どもを預けてくださっている保護者の方に対しても、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ、やはり自分の今後の人生を考えた結果、退職の意向は変えることができなかったため、今回退職の希望をお伝えいたしました。
子どもたちと保護者の方には私自身から責任を持ってお伝えし、できる限りの対応をさせて頂きたいと思っております。
他の先生方へのご負担が軽くなるよう、精一杯配慮させていただきますので、何卒ご理解の程お願い申し上げます。
毎日接している子どもや保護者の方の気持ちを考えることは重要なことです。
「子どもたちのことを一番大切に考えていること」「最後まで責任を持って自身ができる限りのことをする意思があること」を伝えましょう。
退職の引き止めが続いた場合の断り方のポイント
ケース別に退職を引き止められた場合の断り方について紹介しましたが、上記のような説明をしても引き止めが続く可能性もあるでしょう。
次に、しつこく引き留められた場合の断り方のポイントをお伝えします。
前向きな転職理由を添える
「将来、こうなりたい」「今後はこういう分野でスキルを高めたい」など、自身のキャリアアップや、異業種への転職などを伝えることで、引き止めを防ぐ方法の1つでしょう。
今後のビジョンを明確にして退職を選んでいることを説明すると、保育園側が引き止めを続けることが難しいかもしれません。
退職時期の交渉などはあるかもしれませんが、すでに内定が出ていたり、転職先の目処がついていたりするのであれば、入社予定日なども伝え、改めて退職申請をすることも視野に入れましょう。
やむを得ない理由であることを伝える
体調不良などのやむを得ない事情がある場合は、早い段階で退職が認められることもあるようです。
保育士さんが勤務継続できない状況にいることを園側が理解できるように、改めて自身の状況を詳しく説明することが大切になります。
ただし、引っ越しや出産などを理由に退職するケースでも、少なからず保育園側に迷惑をかける部分があることを理解し、園側に配慮をすることが必要です。
また、迷惑をかけることについては、きちんと謝罪の言葉もあわせて伝えましょう。
保育園側の事情に最大限配慮している旨を伝える
あらかじめ行事などで保育園が多忙になる時期を避けて退職を申告している場合は、その旨をしっかり伝えるとよいでしょう。
「業務が落ちつく時期を考えて申し出ている」「転職先に入社日を調整してもらい、繁忙期の退職を避けている」など、保育園側の負担の軽減に努めていることを説明し、改めて離職の意向を伝えるとよさそうです。
引き止めへの断り方のポイントをおさえて退職の準備を進めよう
今回は、保育士さんの退職への引き止めに対する断り方を紹介しました。
人手不足の保育現場は多く、自園で経験を重ねた保育士さんは失いたくない大切な存在になります。引き止めにあった場合にはその点を改めて認識し、双方が合意できるように、話の進め方を工夫するとよいかもしれません。
離職に向けて断り方のポイントをおさえて、スムーズな退職ができるように保育園側との話合いを進めていきましょう。
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