立秋とは暦の上で、「秋の始まり」を告げる時期のことです。保育園で子ども向けに分かりやすく伝える方法を知りたい保育士さんもいるのではないでしょうか。今回は立秋の意味やその時期の食べ物、2021年の立秋の期間がいつかについて紹介します。秋の気配を楽しみながら、季節の変化を子どもといっしょに感じてみましょう。
Triff/shutterstock.com
立秋とは?
立秋は、秋の始まりとされる節気です。
「秋の兆しが見え始める頃」という意味があり、2021年では、8月7日(土)から8月22日(日)が立秋の期間となります。秋の始まりといっても、実際にはまだまだ暑い日が続く夏の季節でしょう。
ただこの時期を境に、気候は少しずつ変化していきます。空に表れる雲は、夏の入道雲から「うろこ雲」や「ひつじ雲」に変わっていき秋の気配が近づいてくるようになるでしょう。
立秋の節気の考え方
「暦の上では夏」「暦の上では秋」というように、「暦の上では」という言い回しを耳にすることもあるのではないでしょうか。立秋のように、この「暦」と実際の季節は連動していない場合が多くあります。
立秋は「暦の上では秋」。
なぜ暑さが残る夏が、「秋」とされているのでしょうか。
これは、紀元前の中国で生まれた太陽の動きを基にした「二十四節気」という暦を使った考え方が起因しているからです。
地球から見た太陽の動きを基準にして一年を24等分して季節分けをしており、一つ一つの節気は約15日間、その中で特に太陽の動きがわかりやすい節気が「春分」「夏至」「秋分」「冬至」です。
この4つの節気の中間にあたるのが「立春」「立夏」「立秋」「立冬」であり、四季の始まりとされている季節区分です。立秋とは、この二十四節気の中の一つで秋のはじめを表す言葉となります。
3種類の立秋
二十四節気の各節気をさらに5つに分ける、「七十二候」という考え方があります。立秋も、この七十二候では3つの種類に分けられます。
涼風至
「すずかぜいたる」と読みます。大体8月7日頃から8月11日頃までを指し、風に変化が出はじめる頃でしょう。まだまだ残暑が残るこの期間にも、ふとした時少しだけ涼しい風が吹き季節の流れを感じられる時期です。
寒蝉鳴
「ひぐらしなく」と読みます。8月12日~8月16日頃のことで、この時期になると早朝や夕方にヒグラシが鳴きはじめます。ヒグラシは秋の季語でもあり夏の終わりを知らせる虫の声でもあるでしょう。
蒙霧升降
「ふかききりまとう」と読みます。8月17日~8月22日頃のことで、朝晩は涼しくなる日もあるこの時期には冷えた空気が山沿いで深い霧となって立ち込めることがあるという意味です。
七十二候は、「秋の訪れを感じさせる変化は、気候や生き物などによって知らされるという考え」ができる季節区分の言葉であるといえるでしょう。
【子ども向け】立秋の説明方法
ここでは、順を追って話すポイントを紹介します。
1.四季の話をする
季節には、春・夏・秋・冬の4つがあることを知っている子どもも多いことでしょう。
まずは、「季節には何がある?」「今は夏、その次は?」など、問いかけてみてもよいかもしれません。
次にこの4つは、太陽が見える時間の長さで分かれていることを話しましょう。
「一番長く太陽が出ているのは夏だよ。」「一番太陽が出ている時間が短いのは冬だよ。」と簡単に伝えると難しく考えずに進められますね。
2.季節がゆっくり変わることを話す
「春は、少しずつ雪がとけて、暖かくなってからお花が咲くね。」
「夏は、こいのぼりが終わったころから少しずつ暑くなって、半袖の服を着る日も増えてくるね。」
というように、突然春や夏になるのではなく毎日時間をかけて季節が変わっていくことを伝えましょう。日頃の子どもの生活と照らし合わせて話せると、わかりやすいですね。
3.立秋の話をする
ゆっくり季節が変わっていくことが説明したら、立秋の話をしましょう。「秋はいつから?」とクイズ形式で聞いてみると、子どもが自分の感覚で答えやすくなるかもしれません。
さまざまな答えが返ってくることが予想されますが、実際の立秋よりも先である9月から11月頃を連想する子どもが多いかもしれません。
「そうだね、〇月は秋だね」や「もみじがあると秋だよね」など、子どもが答えた秋の時期や、秋の象徴を例に挙げて同意してあげると進めやすいですね。
立秋は、気温など子どもが肌感覚で秋を感じるには難しいでしょう。
そのため「さっき季節はゆっくり変わると話したとおり、秋も少しずつはじまります。実はみんなが暑いと感じている夏の途中から、ゆっくり秋が始まっていくんだよ。」というように、気づくのは難しいけれど、実は秋になりはじめていることを話しましょう。
目に見える変化として、秋への移り変わりについて雲の話をしたり、実際にうろこ雲やひつじ雲を子どもといっしょに探したりすると、実感しやすくなるのではないでしょうか。
立秋の食べ物
polkadot_photo/shutterstock.com
立秋ならではの、旬の食べ物を楽しみ子どもたちと季節を感じましょう。
とうもろこし
とうもろこしは、早ければ5月から9月頃まで出回ります。
その甘さからとうもろこしが好きな子どもも多いのではないでしょうか。
茹でたり焼いたりしてもよいですが、実をほぐしてバター炒めにしても子どもは食べやすいかもしれませんね。
桃
桃は立秋の期間に含まれるお盆の頃には、お供えものとしても活用されることが多いですね。
8月に入ってくると熟して甘さが強い桃も多く出回っているでしょう。冷やしすぎると甘さが飛びやすいので、香りや甘さが残るように保存するとよいかもしれません。
枝豆
タンパク質が多く含まれる枝豆は、子どもの健康にとってもよい食べ物です。
ビタミンも豊富なため、夏バテ防止や疲労回復にもよいでしょう。茹でたり、炊き込みご飯にいれたりしても美味しく仕上がりそうです。
立秋の過ごし方
保育園で楽しめる立秋の過ごし方をみてみましょう。
空を見上げて秋の訪れを感じる
お散歩の時間などに、子どもといっしょに、うろこ雲やひつじ雲を探してみると秋を感じやすいかもしれません。
うろこ雲は、高い上空に浮かぶ複数の小さな雲です。雲は薄く先の空が透けてみえます。
ひつじ雲は、うろこ雲よりも低い位置に浮かび、色も濃いため先の空が透けずに浮かんでいます。
また、雲に対して人差し指をかざしたときに、指に隠れるくらいの小さい雲はうろこ雲、隠れないくらいの大きさはひつじ雲といわれています。
空を見上げながら、季節ならではの気候の変化を目でも楽しむとよいですね。
秋の絵をかく
秋の始まりの立秋には、子どもが思い浮かべる秋をテーマにした絵をかくとよいでしょう。
紅葉やどんぐりなど、実際の季節としては先のことでも、秋の始まりの意識づけに活用できるテーマかもしれません。前述の雲などを見上げ、秋の空をかいてもいいでしょう。
立秋の時期や景色、食べ物を通して秋への変化を子どもといっしょに感じよう
今回は、立秋について紹介しました。
立秋の意味や2021年はいつが立秋の期間を知り、子ども向けの説明なども考え、秋への変化を楽しめるとよいですね。その節気の旬な食べ物などを味わいながら、子どもといっしょにゆったりとした季節の訪れを感じましょう。