京都府で保育士として働こうと考えている方もいるでしょう。京都府や市区町村が独自で行う補助金制度などがあれば、積極的に活用していきたいですよね。今回は、京都府で働く保育士さんの勤務時間や平均給与、年収などの現状をまとめました。あわせて、家賃補助制度や貸付事業など、保育士さんが活用できる支援策を解説します。

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京都府の保育士の現状
まずは、京都府の保育士さんの給料や平均年齢などを、全国と比較してみましょう。
京都府 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) | 労働時間(時間) | 給与 (万円) |
賞与 (万円) |
労働者数(人) | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性保育士 | 38.9 | 9.5 | 172 | 30.85 | 98.48 | 300 | 468.68 |
女性保育士 | 34.3 | 6.0 | 166 | 26.81 | 73.44 | 4430 | 395.16 |
全国 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) | 労働時間(時間) | 給与 (万円) |
賞与 (万円) |
労働者数(人) | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性保育士 | 32.4 | 5.7 | 169 | 27.38 | 72.25 | 14900 | 400.81 |
女性保育士 | 37.9 | 7.8 | 168 | 24.84 | 74.89 | 251760 | 372.97 |
京都府の保育士の平均年齢
京都府の保育士の平均年齢は、男性が38.9歳、女性が34.3歳です。
全国の男性保育士さんの平均年齢は32.4歳、女性の場合は37.9歳であるため、京都府では全国よりもやや若い女性保育士さんが活躍していることがうかがえます。
京都府の保育士の平均勤続年数
京都府の保育士の平均勤続年数は、男性が9.5年、女性が6.0年です。
全国の保育士さんの平均勤続年数は男性が5.7年、女性が7.8年であるため、京都府では男性保育士さんが全国平均よりも長く働き続ける傾向にあるといえるでしょう。
京都府の保育士の所定内労働時間(残業時間は除く)
京都府の保育士さんの労働時間は、男性が172時間、女性が166時間です。
全国の男性保育士さんの労働時間は169時間、女性の場合は168時間であるため、全国とほぼ同じ水準であることがわかります。
京都府の保育士のきまって支給する現金給与額(給料)
京都府の保育士さんの平均給与は、男性が30万8500円、女性が26万8100円です。
全国の保育士さんの平均給与は男性が27万3800円、女性が24万8400円であるため、京都府の保育士さんの平均給与は男女ともに全国を上回っています。
ちなみに「きまって支給する現金給与額」とは、手取り額ではなく所得税や社会保険料などを控除する前の金額です。
京都府の保育士の年間賞与その他特別給与額
京都府の保育士さんの賞与は、男性が98万4800円、女性が73万4400円です。
全国の男性保育士さんの賞与は72万2500円、女性の場合は74万8900円であるため、京都府の男性保育士さんの平均賞与額は全国平均を上回ることがわかります。
京都府の保育士の労働者数
京都府の保育士さんの労働者数は、男性が300人、女性が4430人です。
一方、全国の保育士さんの労働者数は男性が14900人、女性が251760人となっています。
全国に占める京都府の男性保育士さんの割合は約2%、女性保育士さんは約1.7%であることから、京都府は保育人材がやや少ない地域といえるかもしれません。
京都府の保育士の平均年収
京都府と全国の保育士さんの平均給与と賞与額をもとに平均年収を算出したところ、京都府の男性保育士さんは468万6800円、女性は395万1600円となりました。
一方全国の男性保育士さんの平均年収は400万8100円、女性は372万9700円となったため、京都府では男女ともに全国平均を上回っていることがわかります。
京都府が実施する保育士向けの支援や取り組み

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続いて、京都府が実施する保育士さん向けの家賃補助や貸付制度などの取り組みについて紹介します。
貸付事業
京都府では、保育人材の確保や保育の質向上のため、4つの貸付制度を実施しています。
保育士修学資金貸付事業
京都府内の保育士養成施設に通う学生を対象に、修学資金を無利子で貸付ける事業です。
貸付期間は養成施設に在学している期間で、以下のような貸付金があります。
- 修学費:月額5万円以内
- 入学準備金:20万円以内
- 就職準備金・20万円以内
※貸付額は修学資金2年間分が限度
これらは、養成施設を卒業してから1年以内に保育士登録を行って府内の保育施設で働き、その後保育業務を5年間継続すれば返還が免除されます。
保育士就職準備金貸付事業
保育士資格を持っているものの現在働いていない方の就職を支援するために、就職に必要な資金を貸付ける事業です。
具体的には、保育施設を離職後1年以上経過した方や勤務経験のない保育士さんを対象とし、新たに京都府内の保育施設で週20時間以上勤務する場合に準備金を貸付けます。
準備金の貸付けは1人1回限り、40万円以内を限度に無利子で行われ、京都府内の保育所や認定こども園に就職後、2年間業務を継続すれば返還が免除される仕組みです。
未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業
未就学児を育てる保育士さんが支払う保育料の一部を貸付ける事業です。
対象は未就学児を持つ保育士さんのうち、京都府内の保育施設で新たに週20時間以上の勤務を開始する方や、産後休業・育児休業から復帰する方です。
貸付け期間は府内の保育施設に勤務している期間(勤務開始から最長1年間)と定められており、月額2万7000円を限度として保育料の半額が無利子で貸付けられます。
府内の保育所や認定こども園に継続して2年間勤務すれば返還が免除されます。
未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援事業利用料金の一部貸付事業
未就学児を持つ保育士さんに対し、子どもの預かり支援事業を利用する際の料金の一部を貸付ける事業です。
対象となるのは、京都府内の私立保育所や私立認定こども園に勤め、既に保育所に通所している未就学児を持つ保育士さんのうち、自身の勤務時間の関係でファミリーサポート事業などの預かり支援を利用する方です。
2年を限度として、京都府内の私立園に勤めている期間のみ、子どもの預かり支援事業の利用にかかった料金の半額分(年額12万3000円以内)の貸付けを無利子で受けられます。
この事業でも、府内の対象保育施設で保育士として2年間継続して業務に従事すれば返還が免除されることになっています。
キャリアアップ研修
京都府では、保育士さんのキャリアパスを明確にして長く働き続けてもらうために、「京都式保育人材キャリアパス」を策定しています。
これは、中堅層の役職として「職務分野別リーダー」や「副主任保育士」などをキャリアアップの道筋として設定するとともに、キャリアに応じて求められる能力や役割、必要な研修などについて国の方針をもとにわかりやすく整備したものです。
また、受講した研修を記録・保存する「キャリアパスポート」を配布し、保育士さんの研修歴やキャリアを可視化する取り組みも行っています。
保育士宿舎借り上げ支援事業

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京都府の一部地域では、保育士さん向けの家賃補助制度を行っています。
京都市が実施している「保育士宿舎借り上げ支援事業」は、市内の民間保育施設に対し、雇用している保育士さんが利用する宿舎の借り上げにかかる費用を補助する制度です。
家賃補助の対象となるのは、期間内に対象施設で新しく常勤保育士として採用された方や、保育園に保育士として採用されてから5年を経過していない方などです。
補助金額は月額6万5000円以内とされていますが、保育士さんの自己負担額は施設ごとに異なります。
その他、くわしい条件なども勤務先によって異なるものの、対象の民間保育施設に勤めれば経済的に余裕をもって働けるかもしれません。
出典:京都市ホームページ
就労・奨学金返済一体型支援事業
京都府では、中小企業や事業所の人材確保と定着を支援するために、奨学金返済支援制度を導入しています。
これは、従業員が利用できる奨学金返済の支援制度を設けている中小企業などに対して、負担額の一部を補助する事業です。
支援対象者になるには、府内の施設に勤めていることや正社員保育士になってから6年以内であること、本人が奨学金を返済中であることなどの条件を満たす必要があります。
補助金額の算出方法は3通りあり、いずれかのうち最も金額が低い方法で決定されるようです。
京都府内の一部の保育施設はこの事業の対象となっているため、奨学金を返済している方は対象施設に勤めれば経済負担を減らしながら働けるでしょう。
保育のセミナーなど
京都府では、一部地域で独自のセミナーや就職に関連した研修などが行われています。
就業サポートアップ研修
一部地域では、保育学生さんや再就職を目指す保育士さんなどを対象に、就業サポートアップ研修を実施しています。
研修内容は講演、講義、演習の3つで、それぞれ保育士のやりがいや発達支援に関する内容を座学で学んだり、子どもの安全に関わる救命措置を実践したりできるプログラムが組まれているようです。
参加料は無料で定期的に各地域で開催されているようなので、気軽に足を運んでみるとよいかもしれません。
再就職・就職実技支援研修
京都市では、保育士としてブランクがある方や潜在保育士さん、勤務経験がない方などを対象に、講義と実習を組み合わせた独自の研修を開催しています。
研修は「再就職支援研修」と「就職支援実技研修」に分かれており、最短3日間から最長7日間までのコースがあるためじっくり学ぶことができるでしょう。
主な研修内容は、最近の保育事情や子育て支援などの講義のほか、保育士さんによる手遊びやリズム遊びのセミナーなどです。
実技研修以外は原則無料で参加できるので、就職や再就職に向けて気軽に活用できそうですね。
出典:京都市ホームページ
京都府で保育士として働くことを視野に入れてみよう
今回は、京都府の保育士の平均給与などの現状と、補助金制度や貸付事業について紹介しました。
京都府は、保育士さんの人材確保や質の向上を目的に、貸付事業や奨学金返済支援などさまざまな取り組みを実施しています。
また、独自に策定したキャリアアップ研修を行っていることから、保育士さんに長く働き続けてもらうための環境整備にも取り組んでいるエリアといえるでしょう。
一部地域では家賃補助や奨学金返済のための支援なども利用できるほか、就職に向けた研修も受けられるので、京都府で働くことを検討してみてもよいかもしれませんね。
出典:京都府ホームページ