「現在勤めている園を3カ月しか経っていないけど辞めたい…」と悩む保育士さんもいるのではないでしょうか。人間関係が上手くいかない、仕事が覚えられないなどその理由はさまざま。今回は保育園就職後に3カ月で辞めたいと感じる理由や退職した場合のメリット・デメリットを詳しく紹介します。円満退職の方法、転職に向けた注意点もまとめました。
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■目次
保育士が3カ月で辞めたいと感じる理由は?
就職してすぐに早期退職を希望する保育士さんも多いよう。
『3カ月で辞めるなんてできない…』と考えながらも「辛い」「苦しい」状況の中で気を張って仕事を続けることは難しいものですよね。
なぜ、就職後すぐに保育士さんがそのような思いを抱いてしまうのでしょうか。その理由について詳しく見ていきましょう。
人間関係が上手くいかない
新人保育士さんは保育現場に入ってすぐは仕事を教えてもらう立場になります。
園長先生や先輩保育士さんからの指導を受ける中で、上手くコミュニケーションが取れずに悩みを抱えることも多いかもしれません。
また、就職後3カ月も経てば、職場の雰囲気がわかってくる頃でしょう。
「職員同士の仲が悪い」「園長先生の口調が強い」といった印象を受けると、就職前に抱いていたイメージとのギャップを感じて、仕事を続けていくことに不安を抱くケースもありそうですね。
仕事が覚えられない
保育士さんは保育活動以外にも連絡帳や指導案作成、清掃作業や園内の衛生管理など多種多様な業務を任されることでしょう。
就職後すぐは新しい仕事を次から次へと覚えなくてはならないため、「3ヵ月経っても仕事量が多くて覚えられない」と感じる保育士さんもいるかもしれません。
また、不慣れなことも多くミスを繰り返すと「私は保育士に向いてないのでは」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
子どもへの接し方に不安がある
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保育士としての経験が浅い方の中には就職後に子どもへの接し方がわからず、不安を抱くこともあるようです。
「抱っこしても子どもが泣き止まない、どうすればいいの?」「イヤイヤ期の子どもへの対応が不安」などと悩むこともあるでしょう。
経験を積み重ねることで少しずつ対応方法が身についていくものですが、特に就職後の3カ月では戸惑うことばかりで辛い気持ちになってしまいますよね。
園の保育方針や内容が自分の考えと合わない
各園には「はだし保育を取り入れている」「英語教育を重視している」 などさまざまな特色があります。
園によって保育方針や内容には違いがありますが、3ヵ月経ってから園と自分の保育観との考えのズレを感じてしまい、退職や転職を考えることもあるでしょう。
勤務前に聞いていた条件と実際の労働条件が違う
勤務前に聞いていた勤務条件との違いに納得がいかず、辞めたいと感じる方もいるかもしれません。
「給与が思っていたよりも安い」「残業が多い」など事前に説明されていた勤務内容と相違があれば、園に対して不信感が募ることも考えられます。
身体的・精神的に辛い状況が続いている
保育士は想像以上に体力や精神力が必要な仕事だと感じる方も多いのではないでしょうか。
子どもを抱っこしたり、追いかけたり、生活全般のお世話を行うことから「ずっと筋肉痛だ」「朝から身体が重い」など身体的な負担を感じることもあるようです。
また、子どもや保護者、職員と関わる中でトラブルに見舞われると精神的に落ち込んでしまう方もいるでしょう。
この先のキャリアアップに不安がある
保育園の中には役職制度や人事評価制度などがない園もあるかもしれません。
就職後に制度がないことに気づいた場合、「この園でキャリアを積んでも昇給や待遇の向上が望めないのでは?」「早めに辞めたほうが新しい園で保育スキルを磨けるかもしれない」と悩むこともあるかもしれません。
保育士は責任が重い仕事でありながら給与が安い職種だと言われています。
そういった境遇の中でキャリアアップも叶わないとなれば、仕事へのモチベーションも低くなってしまいますよね。
転職してみたい園が見つかった
就職をしたものの、他に働いてみたい園が見つかったということもあるかもしれません。
その場合「転職したいけれど3カ月で正社員を辞めるのも…」と悩んでしまいそうですね。
特に現在の園に何かしらの不満を抱いている場合は転職したいという気持ちが強くなることもあるでしょう。
保育士が3カ月で辞めた場合のメリット・デメリット
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現在勤めている園を3カ月で辞めた場合は保育士さんにとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
辞めた場合のメリットは以下のような内容が挙げられます。
- 仕事のストレスから解放される
- 環境を変えることができる
- 働きやすい転職先が見つかる可能性がある
なかには身体的・精神的に追い込まれている保育士さんもいるかもしれません。辞めて環境を変えれば、元気だったときの自分を取り戻すことができそうですね。
デメリット
辞めた場合のデメリットは以下の内容が挙げられます。
- すぐ辞める人だと思われてしまう
- 生活が安定にしにくい
- 短期間で離職した経歴が履歴書に残る
在職期間が短かかったとしても、履歴書に経歴を記載する必要があります。正社員として働いた場合、社会保険などの記録が残っているため、加入履歴から経歴内容が転職先の園に伝わるようです。
短期間で離職すると「この園でも辞めてしまうのではないか」と思われてしまう可能性もあります。
そういった点も考慮したうえで現在の園を辞めるべきか考える必要があるでしょう。
保育士が3カ月で辞めるか迷ったときの3つの対処方法
現在勤めている園を3カ月で辞めるか迷ったときの対処方法を紹介します。
①生活状況を把握して自分の考えを整理する
保育園を辞めたいと迷ったらまずは現在の生活状況を把握しましょう。就職と同時に引っ越しをしたかたもいるのはないでしょうか。その場合は辞めてしまうと引っ越しを考えなければならないかもしれません。
また、転職先が決まらなければ、無収入の状況が続いてしまいます。勢いで退職せずに冷静に考えることがポイントです。
その際に自分がなぜ辞めたいのか、その理由を明確にしていきましょう。紙に自分の考えを書き出すとよいかもしれません。家族や友だちと仕事の話をするうちに考えが整理されることもあるため、相談してみるのもよいでしょう。
②転職先があるか情報を集める
退職を決める前に近隣地域の保育士施設の募集状況を確認することも大切です。
時期によっては保育士の求人が少ない場合もあるかもしれません。しっかり情報収集をして、転職ができそうか事前にチェックしておきましょう。
また、保育士専門の転職エージェントに相談することもひとつの手段です。各地域の転職状況に詳しかったり、業界ならではの転職ノウハウを教えてくれたりと頼りになる存在となるでしょう。
まずは「正社員の募集園があるか確認するだけでも..」といった気軽な気持ちで問い合わせしてみてもよさそうですね。
③状況が好転する可能性があるか考える
保育士の求人情報の状況や傾向を知ったうえで「3ヵ月で辞めてしまうことが自分にとってよいことなのか」を改めて考えてみましょう。
クラス担任をしている場合は、辞めてしまうことで子どもたちに影響を与える場合もあるかもしれません。「まずは1年だけ頑張ってみる」「半年は頑張ろう」と短期間の目標を立てて退職を思い留まることも一つの方法です。
「3カ月で辞めると決めた!」ときに円満退職する方法
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現在勤めている園を辞めることを決めたら円満退職に向けた準備を行いましょう。
退職当日に向けた注意点を紹介します。
①就業規則の確認・退職の相談
就業規則や園のルールを確認する
まずは園の就業規則や園のルールの確認を行いましょう。
「1ヶ月前までに退職を申し出る」「退職する際は主任に申し出を行い、園長に伝える」などといった明確なルールが存在する場合もあるようです。契約期間や退職の手順なども確認しましょう。
先輩保育士さんに相談する
先輩保育士さんや同僚に退職について相談することも大切です。
就職後の3ヵ月は指導期間という方も多いでしょう。教育担当の方に悩んでいる状況を伝えるとアドバイスをもらうこともできそうです。
中には同じように「現在の園を辞めたい」と感じたことがある方もいるかもしれません。そういった経験を聞ける可能性もあるため、勇気を出して声をかけられるとよいですね。
園長先生に相談する
退職の意思が固まった場合は、早めに園長先生に相談するとよいでしょう。
その際にネガティブな退職理由ばかりを伝えてしまうと、改善するから残ってほしいと引き止められることもあるかもしれません。
退職の意向を伝える際は「保育士としてのスキルアップのために」などポジティブな内容を意識しましょう。
引き止めを受けた場合は、よく相談したうえで仕事を継続できるか検討してみましょう。辞めることが決定した場合、退職願を出す時期を尋ね、準備するものや書類の手続きについての確認も必要です。
②退職願を準備する
退職願の提出が必要な場合は書類を用意しましょう。
基本的に退職願の内容は以下の通りです。
- 表題
- 一人称
- 退職理由
- 退職日、提出日
- 所属、氏名、印
- 宛名考察
誤字・脱字や文章の不備を確認のうえ、期限を守って提出しましょう。
③引継ぎを行う
退職の日程が決定したら、子どもの情報や保育計画・指導案などの引継ぎを行いましょう。スムーズに内容を伝えられるように、資料をまとめておくとよいですね。
④退職の挨拶をする
保護者への挨拶
保護者の方に子どもの送迎時や電話などのタイミングでお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えることも大切です。退職当日に会えない方もいるため、様子を見て一人ひとりに挨拶していきましょう。
なかには混乱を避けるため、園から退職の話をしないように説明を受ける可能性もあります。園の方針に沿って対応しましょう。
子どもへの挨拶
子どもたちへの挨拶では、出会えたことへの感謝の気持ちを伝えましょう。「短い期間だったけれどみんなと出会えたことは先生にとって宝物です。」「みんなのことが大好きでした。どうもありがとう!」など温かい言葉を考え、練習しておくとよさそうです。
職員への挨拶
短期間で離職する謝罪の気持ちとお世話になった感謝の気持ちを伝えましょう。礼儀として菓子折りを用意しておくとよいですね。
⑤身の回りの整理を行う
以下のようなことを意識して退職前に身の回りの整理や準備をするとよいでしょう。
- ロッカーの鍵や備品の返却
- 園Tシャツやエプロンの返却
- パソコンやタブレット内の個人情報の消去
健康保険証や厚生年金など事務的な手続きを行う必要もあるでしょう。不備のないよう、書類の確認を行うことも大切ですね。
保育士が3カ月で辞めるときの転職方法
退職後にすぐ転職を希望する方もいるでしょう。
早期退職した場合のスムーズな転職方法を紹介します。
情報収集
3カ月で離職を決意した場合は、次こそ「長期的に働きやすい園で勤務したい」という保育士さんも多いのではないでしょうか。
まずは以下のような方法で情報収集をして、転職活動を開始するとよさそうです。
- ハローワーク
- 求人情報サイト
- 紙媒体の求人(求人情報誌、新聞紙など)
- 転職エージェント
- 転職フェア・合同説明会
- 保育施設のホームページ
転職フェアや合同説明会は複数の園の保育方針や雰囲気を知るきっかけになりそうですね。
参加無料のイベントも多いため、開催日をチェックしてみるとよさそうです。
自己分析
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情報収集と同時に、自身がどのような勤務先を求めているのか、自己分析を行い転職の目的を明確にしましょう。働き方や自分の保育への考え方、キャリアアップしたい内容などを挙げて整理することが大切です。
自分の求めているものがクリアになると履歴書の志望動機の欄も書きやすくなるでしょう。
応募・面接対策
応募園が決まったら面接対策をしっかり行い内定に向けて取り組んでいきましょう。その際に「以前勤めていた園をなぜ短期間で辞めたのか」と退職理由を聞かれることもあるかもしれません。
面接では以前の職場の不満を避け、「貴園のような保育方針のもとで子どもと関わりを持ちたい」「乳児クラスを担当し、スキルを身につけたかった」というポジティブな理由を意識して伝えることが大切です。
保育士が3カ月で辞めるときの対処法を冷静に考えよう
保育士を3カ月で辞めるべきか悩んだら、冷静に自分の経済状況や生活状況を把握し、辞めたときのメリット・デメリットを考えてみましょう。
転職する場合は近隣地域の情報収集をしっかりと行い、募集状況を確認することが重要です。
退職を思い留まった場合は、気持ちを切り替えて現在勤めている園で保育士としてのスキルを磨いていけるとよいですね。
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