保育士需要が高まる中、人材派遣への依頼を検討している採用担当者の方もいるでしょう。人材派遣を活用すれば「急な人材不足への対応」「採用活動の工数の削減」などさまざまなメリットがあるようです。今回は人材派遣の仕組みや料金相場などを詳しく紹介します。依頼する際の流れや注意点についてもまとめました。
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■目次
保育士さんの人材派遣の依頼~仕組み~
人材派遣とは、人材会社に依頼して登録している求職者の中から紹介を受け、働いてもらうサービスです。
通常は保育施設側が保育士さんを直接雇用しますが、人材派遣を利用する場合は施設側と派遣会社が派遣契約を結びます。保育士さんは、人材派遣会社と雇用契約を締結したうえで業務を行います。
給与については保育施設が人材派遣会社に支払い、人材派遣会社から保育士派遣スタッフに支給する形です。
保育士さんの人材派遣の依頼~種類~
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主に人材派遣には二つの種類があります。
一般派遣
一般派遣とは別名登録型派遣といわれ、派遣会社に対して保育士さんが応募し、面接を経て登録を行います。そのうえで、保育士さんは派遣会社が指定した保育施設で働くこととなります。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、施設側が保育士さんを正社員として雇用することを前提に、派遣会社から紹介を受けるものです。
派遣の勤務期間は最大で6カ月間と定められています。満期を迎えた場合、保育施設側と保育士側の双方の同意があった際に正社員として直接雇用を結ぶことができます。
保育士さんの人材派遣の依頼~料金相場~
保育施設側が人材派遣を依頼する場合の料金相場について見ていきましょう。
人材紹介会社に保育士さんの派遣スタッフを頼む場合は、実際にスタッフが就業開始するまで費用は発生しないことが多いようです。
派遣料金としては時給換算で「時間単価」×「派遣スタッフの実働時間」+「派遣会社に渡す手数料(マージン)」がかかることが予想されます。
派遣会社に渡す手数料は、派遣スタッフの給料の30%程度が相場のようです。
例として、時間単価1300円で8時間勤務の方の派遣を依頼した場合の料金を試算してみましょう。
<派遣保育士に支払う給料>
1300(円)×8(時間)=1万400(円)
<派遣会社に支払う手数料>
1万400(円)×8(時間)=3120(円)
※マージンを30%と仮定
よって、合計で1日に1万3520円支払う計算になります。
依頼する人材派遣会社によってマージン率は異なるため、しっかり確認しておくことが大切ですね。
保育士さんの人材派遣を依頼する際の注意点
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人材派遣会社に保育士さんの紹介を依頼する際に気をつけることを紹介します。
3年ルールを理解する
保育士が派遣スタッフとして働く場合、同じ保育園で働けるのは原則3年間と決められています。(3年ルール)
3年間勤務後は、直接雇用に切り替えることで、自園の社員として迎え入れることができます。
事前面接は行わない
保育士派遣スタッフに対して、派遣就業の開始前に指名・面接を行うことや履歴書を送付させることは禁じられています。ただ、派遣スタッフが事前に園や子どもの様子を確認したい場合は「職場見学」が認められています。
なお、紹介予定派遣では事前面接が認められているため、その点に注意しましょう。
出典:派遣先の皆様へ
保育士さんの人材派遣を依頼するメリット・デメリット
保育士さんの人材派遣を依頼する際のメリット・デメリットをチェックしていきましょう。
メリット
急な人材補充に対応できる
急に人材が必要になった場合、人材派遣会社に依頼すると登録者の中からすぐにマッチする人材を紹介してくれる可能性があります。
近年は保育士不足が深刻化しているため、派遣スタッフの需要が高いケースもあるようです。定期的に派遣会社と連絡を取り合って情報収集を行うことが大切ですね。
採用工数を削減できる
人材派遣会社から保育士を派遣してもらうため、面接や選考といった採用活動の時間を削減できるでしょう。
しかし、派遣を依頼する際に提示する条件があいまいだと、ミスマッチが起こる可能性もあります。求める人材を明確化して人材派遣会社にはっきりと伝えることが大切ですね。
デメリット
費用がかかる
人材派遣会社への紹介手数料が発生するため、直接雇用よりも費用がかかることが考えられます。派遣を依頼した人数が多いほど料金がかかるため、高額になってしまう可能性もあるでしょう。
その一方で紹介を頼むことによって求人広告費などの採用コストが軽減され、結果的に経費を抑えられるというケースもあるようです。
人材が定期的に入れ替わる可能性がある
派遣期間の上限は原則3年と決められているため、定期的に人材の入れ替わりが発生する可能性があります。
そのため、経験が必要なリーダーや主任などの重要なポジションを派遣スタッフに任せるのは難しいかもしれません。
ただ、満期を迎えた際は直接雇用への切り替えもできるため、契約内容の変更を見越したうえで役割を任せるケースもあるでしょう。
保育士の人材派遣の依頼方法
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保育士の人材派遣を依頼する場合の流れを紹介します。
①人材派遣会社を選定する
まずは人材派遣会社の選定を行います。
これまでの実績やコスト、拠点、企業カラーなどをしっかり調べたうえで選考するとよいでしょう。
一度担当者と直接会ってフォロー体制などを確認することが大切ですね。
②人材派遣会社と連絡を取り合う
人材派遣会社に求人状況などを説明して情報共有をしっかり行いましょう。
すぐに派遣が必要ない場合も定期的に連絡を取り合って信頼関係を築くことが大切です。
条件に合った人材を紹介してもらえるように自園の特色や保育方針なども説明するとよいですね。
③人材派遣会社から保育士を紹介してもらう
希望条件を提示して保育士を紹介してもらいましょう。
<派遣会社への希望条件項目例>
- 職種、業務の詳細
- 就業開始時期・終了時期
- 就業条件(時給・勤務時間など)
- 必要なスキル(保育士、保育教諭など)
求める人材を詳しく説明するとマッチ率も高まるでしょう。
希望条件に変更がある場合はすぐに共有することも大切ですね。
④人材派遣会社と契約を結ぶ
保育士派遣スタッフの決定後、派遣元会社と契約を結びます。
書類内容をしっかり確認したうえで不備がないように注意しましょう。
また、労働者派遣の詳細に関しては地域の労働局が問い合わせ先となっています。不安がある場合は、一度相談してみるとよさそうです。
出典:労働者派遣を行う際の主なポイント
保育士の人材派遣を依頼して人材確保に役立てよう
保育士の人材派遣を依頼すると登録者の中から条件に合った方を紹介してくれるため、即戦力を獲得することができるかもしれません。
また、人手不足の場合は人材紹介会社(転職エージェント)を活用するのもひとつの手。
人材紹介は条件にマッチした保育士さんの紹介を受け、施設側が面接・選考を行います。企業側に面接の日程調整や保育士さんとのやり取りなどを任せることができるため、人材派遣会社同様、採用活動の工数削減に効果的です。
派遣や人材紹介などさまざまな採用手法を取り入れて、必要な人員を確保していきましょう。