「給与が安い」といわれる保育士の平均年収は一体いくらなのでしょうか?今回は、保育士と幼稚園教諭の給料や手取り額をわかりやすく解説します。また、保育士の給料は年齢・経験年数・都道府県によっても違いがあるため、最新の情報をチェックしましょう。保育士の年収アップ術やパートの給与についてもまとめました。
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■目次
保育士と幼稚園教諭の平均年収や手取り額はいくら?
保育士は子どもたちの命を預かる責任のある仕事。
それなのに「給料が安い」「待遇がよくない」など不満を抱える方もいるかもしれません。
実際、 保育士と幼稚園教諭の平均年収はいくらなのか、詳しく見てみましょう。
また、年収の手取りは75%〜80%といわれているため、今回は年収の75%として手取り額を算出しました。
保育士と幼稚園教諭の平均年収
2022年の賃金統計調査をもとに、正社員の保育士と幼稚園教諭(保育教諭含む)の「月給」(きまって支給する現金給与額)」「賞与」「年収」を紹介します。(※男女合計)
保育士
まずは、保育士全体の平均給与額と小規模園(職員数5人〜9人)で働く保育士の平均給与額を紹介します。
保育士全体の平均給与額
(平均年齢:31.7歳 平均勤続年数6.5年 平均所定労働時間数166時間)
月給:27万7900円(きまって支給する現金給与額)
賞与:70万8200円
年収:404万3000円
<手取り>
年収404万円の手取り(75%)を計算すると、約303万円となります。
月給27万7900円の手取りについては、約20万8千円となるでしょう。
小規模園の保育士の平均給与額
(平均年齢:44.4歳 勤続年数10.7年 所定労働時間数169時間)
月給:22万4400円(きまって支給する現金給与額)
賞与:64万300円
年収:333万3100円
<手取り>
年収333万円の手取り(75%)を計算すると、約250万円となります。
月給22万4400円の手取りについては、約17万円となるでしょう。
上記の結果を見ると全国平均よりも小規模園で働く保育士の方が比較的、給与が低いことがわかります。
幼稚園教諭
幼稚園教諭全体の平均給与額と小規模園(職員数5人〜9人)で働く幼稚園教諭の平均給与額を紹介します。
幼稚園教諭全体の平均給与額
(平均年齢:37.5歳 平均勤続年数9.0年 平均所定労働時間数171時間)
月給:26万2700円(きまって支給する現金給与額)
賞与:78万5900円
年収:393万8300円
<手取り>
年収393万円の手取り(75%)を計算すると、約295万円となります。
月給26万2700円の手取りについては、約19万円となるでしょう。
小規模園の幼稚園教諭の平均給与額
(平均年齢:39.1歳 勤続年数10.6年 所定労働時間数165時間)
月給:25万8600円(きまって支給する現金給与額)
賞与:69万4000円
年収:379万7200円
<手取り>
年収379万円の手取り(75%)を計算すると、約284万円となります。
月給25万8600円の手取りについては、約19万円となるでしょう。
上記の結果を見ると保育士同様、全国平均よりも小規模園で働く幼稚園教諭の方が、比較的給与が低いことがわかります。
また、保育士と幼稚園教諭の平均給与はさほど違いはないでしょう。
保育士のパートの平均年収
2022年の賃金統計調査によれば、保育士のパートの平均時給は1257円となります。
資料をもとに算出した「月給」「賞与」「年収」は以下の通りです。
月給:10万4607円(きまって支給する現金給与額)
(計算式:1257円×⦅1日の平均労働時間5.7時間⦆×⦅1カ月平均労働日数14.6⦆)
賞与:5万6300円(賞与がない可能性もあり)
年収:131万1584円
<手取り>
パートやアルバイトの場合は、配偶者の扶養内/外によって、厚生年金保険料や健康保険料など引かれる金額が異なるでしょう。
配偶者の扶養を外れて働く場合の手取り額は、年収の約75%〜80%といわれています。
年収131万円の手取り(75%)を計算すると、約98万円となります。月給の手取り額については、約8万円となるでしょう。
【年齢別】保育士の平均年収
2022年の賃金統計調査をもとに年齢別の平均年収を紹介します。※男女合計
年齢 | 月給 | 年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 22万3600円 | 47万4100円 | 315万7300円 |
25~29歳 | 24万2800円 | 68万4600円 | 359万8200円 |
30~34歳 | 25万2500円 | 66万6400円 | 369万6400円 |
35~39歳 | 26万6100円 | 76万4200円 | 395万7400円 |
40~44歳 | 29万2700円 | 85万4900円 | 436万7300円 |
45~49歳 | 27万4900円 | 88万6400円 | 418万5200円 |
50~54歳 | 28万400円 | 80万700円 | 416万5500円 | 55~59歳 | 28万2800円 | 70万9500円 | 410万3100円 |
※平均年収は「所定内給与額×12ヵ月+年間賞与その他特別給付額」で算出
上記を見ると、20代の年収は約315万円~359万円、30代は約369万円〜395万円と少しずつ給与が高くなっていることがわかります。
ただ、40代の年収は約416万円〜418万円と変化が見られず、50代は418万円~410万円と下がる傾向にあるでしょう。
これは年齢を重ねる中で役職を退いたり、残業を短くしたりするなどさまざまな要因が考えられそうです。
保育士さんへ
好待遇や福利厚生のよい求人を探す方は保育士バンク!までご相談ください。地域によっても保育士の待遇に違いがあります。最新の求人情報をご紹介するので、まずはお問い合わせくださいね。
【経験年数別】保育士の平均年収
2022年の賃金統計調査をもとに経験年数別の平均年収を紹介します。※男女合計
経験年数 | 月給 | 年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|
1年未満 | 21万9400円 | 46万8000円 | 310万800円 |
1年〜4年 | 23万1600円 | 56万7300円 | 334万6500円 |
5年〜9年 | 24万8800円 | 65万5400円 | 364万1000円 |
10年〜14年 | 25万9900円 | 73万6000円 | 385万4800円 |
15年以上 | 29万9800円 | 98万6900円 | 458万4500円 |
※平均年収は「所定内給与額×12ヵ月+年間賞与その他特別給付額」で算出
上記を見ると、経験年数を積むことで給与が高くなっていることがわかります。
15年以上勤務された方は主任や副園長、園長など責任ある役職を任される方もいるでしょう。そのため、平均賞与も約100万円と高くなっていることがわかりますね。
【都道府県別】保育士の平均年収ランキング
続いて、都道府県別の保育士の平均年収をランキング形式で紹介します。
順位 | 都道府県 | 決まって支給される現金給与額 | 年間賞与等 | 平均年収 |
---|---|---|---|---|
1位 | 東京都 | 30万2000円 | 88万4300円 | 450万8300円 |
2位 | 京都府 | 29万5400円 | 90万4800円 | 444万9600円 |
3位 | 神奈川県 | 30万7600円 | 69万8500円 | 438万9700円 |
4位 | 石川県 | 26万6100円 | 111万9400円 | 431万2600円 |
5位 | 青森県 | 26万7200円 | 106万3600円 | 427万円 |
6位 | 大阪府 | 29万1400円 | 74万7400円 | 424万4200円 |
7位 | 鹿児島県 | 26万5300円 | 88万6000円 | 406万9600円 |
8位 | 千葉県 | 26万9600円 | 74万8400円 | 398万3600円 |
9位 | 岡山県 | 25万8400円 | 86万8800円 | 396万9600円 |
10位 | 和歌山県 | 23万8700円 | 107万2800円 | 393万7200円 |
都道府県別の保育士の平均年収は、1位が東京都で「450万8300円」でした。日本の中心都市として保育園の数も多く、保育士需要が高いことがわかります。
また、保育士の平均年収が一番低かった地域は山形県で「284万2000円」でした。東京都の年収と比べると、約166万円の差があることがわかります。
このように地域によって保育士の収入に違いがあるため、転職や就職を考えられている方は地域の保育士の給与事情を確認してみましょう。
保育士の施設別の年収
保育園の施設種類ごとに、平均給料を見ていきましょう。
以下の表は2019年度、役職がない正社員の保育士の月収と年収を施設形態別にまとめたものです。
施設形態 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
私立保育園 | 30万1823円 | 362万1876円 |
公立保育園 | 30万3113円 | 363万7356円 |
認定こども園(私立) | 27万9954円 | 335万9448円 |
認定こども園(公立) | 28万7181円 | 344万6172円 |
※月収…賞与の1/12を含む。年収…賞与込み
あくまでも上記は平均給与額となります。施設形態によっても給与に差があるため、初任給の金額などをしっかり確認する必要がありそうですね。
保育士の最新の給料事情は?
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政府は保育士の待遇の改善に向けて、さまざまな施策を推進しています。保育士の最新給与事情について詳しく見ていきましょう。
国からの処遇改善措置により月額9000円アップ
安いイメージを持たれがちな保育士さんの給料ですが、 2022年2月には収入を3%(月額9000円)引き上げるための措置を国が実施し、2023年度も継続して支給しています。
保育士さんのほか、栄養士さんや事務員さんなど保育施設に勤めるすべての職員が支給対象で、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非常勤職員も対象となっています。
この取り組みにより、今後もさらに給料が上がることが期待できそうです。その他の加算について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてくださいね。
キャリアアップ研修による月額5000円〜4万円の手当支給
キャリアアップ研修とは保育士さんの処遇改善に向けて作られた制度です。
保育士さんの技能や経験に応じて、新たに以下の3つの役職が追加されました。
- 職務分野別リーダー(要件:経験年数がおおむね3年以上)
- 専門リーダー(要件:経験年数がおおむね7年以上)
- 副主任保育士(要件:経験年数がおおむね7年以上)
研修を修了するごとに月額5,000円~4万円の手当が期待できるため、要件を満たす方は受講を検討してみましょう。キャリアアップ研修の詳しい内容を知りたい方は、以下の記事を参考にしてくださいね。
保育士が年収をアップするためには
保育士が年収をアップするための方法を紹介します。
資格を取得する
保育園の中には資格を取得した保育士に対して、手当を支給する園もあります。
保育士さんがスキルアップに役立つ資格一覧はこちら。
- 絵本専門士
- リトミック指導員
- モンテッソーリ教員
- 医療保育士
- 運動保育士
- イングリッシュエキスパート保育士
- 幼児食インストラクター
- 子ども環境管理士
- チャイルドマインダー
- 保育カウンセラー
- 育児セラピスト
- 日本子育てアドバイザー
※2023年10月時点
資格を得ることで転職や復職をする際も有利になるでしょう。
興味のある分野の資格を取得して保育に役立てられるとよいですね。
好待遇の園に転職する
年収を上げるためには転職をするのもひとつの方法です。ここからは好待遇を狙える保育施設について紹介します。
経営が安定している認定こども園
認定こども園は幼稚園や保育園から移行した園も多く、経営が安定しているでしょう。
今までの保育園経験を活かして転職する方も多いようです。
中には、福利厚生が充実しており、産休・育休取得率が100%という園もあります。また、 正社員の月給28万円以上、 パート保育士さんの時給が1200円以上という求人も多数。
認定こども園はそれぞれの施設の規模や定員数が異なるため、まずはお住まいの地域にどのような園があるのかチェックしてみるとよいですね。
高給与を支給する企業主導型保育園
企業主導型保育園は、企業内や企業の近隣に設置された施設で、企業の従業員の子どもを預かります。
施設によって給与形態が大きく異なるため、転職先の選び方次第で高給与が期待できます。
また、休日は企業のカレンダー通りなので、土日休み完全週休2日制の園もあるでしょう。
まずは企業主導型保育園の求人状況を確認してみるとよいですね。
また、保育士さんの中には「今の待遇に不満はあるけれど、どこに転職すればよいのかわからない」という方もいるでしょう。
「人間関係はよいのかな?「保育方針が自分の考え方と合うか心配…」など、確認したいことが多すぎて、転職に一歩踏み出せないこともありますよね。
そんなときはまずは今のお悩みを保育士バンク!にお話しくださいね。 保育士としてこれからどのように経験やスキルアップしていくのか、いっしょに考えていきましょう。
出典:賃金構造基本統計調査
出典:令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】/内閣府
出典:保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について/厚生労働省
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