欠かせない保護者とのコミュニケーション
保育にたずさわっていると、保護者から質問を受けたり、要求やクレームが来ることもあります。
行事や園に関する希望・質問など、その内容はさまざまです。
そんな時に誤った対応をしてしまうと、保護者の気持ちを損ねたり、問題が大きくなったりしかねません。
今回は保護者と信頼関係を築くコミュニケーション方法について考えてみたいと思います。
保護者から質問されたら
◯保護者の気持ちを考えよう
保護者からしてみれば、直接園長先生に質問をしたり、事務室や園長室に入るのは抵抗があります。そうしなくて済むように、身近な先生に気軽に相談したのに、「その件は園長先生に」「事務室で聞いてください」などと言われると、「この先生は話を聞いてくれない」「面倒くさがっている」などとあらぬ誤解を受けてしまうかもしれません。
そうなると保護者との信頼感が薄れ、「これくらいのこともわからないの?」「何でも園長先生に聞かないと答えられないのかしら」などと言われてしまう原因にもなりかねません。
信頼していたのに…と、幻滅されては、園にとっても自分にとってもマイナスですし、クレームにもつながりかねません。それでは、こういったことをなくすためにどうしたら良いのでしょうか。
◯質問を受けた人が動こう
自分が軽々しく答えてしまっては大変なことになるかもしれないので、園長先生に直接聞いてもらいたい!という気持ちはわかります。ですが、保護者の対応も勤務のうち、という意識を持って、質問を受けた人が最後まで対応するのが良いでしょう。
まずは保護者の話をきちんと向き合って聞き、自分で答えられる・調べられる質問かを判断しましょう。即答できなくても、少し調べればわかるという質問の時は、「確認してきますので、少々お待ちください」などと自分が保護者の代わりに調べましょう。
また、責任者でないとわからない類の質問は、園長先生や責任者の所へ聞きに行きましょう。
保護者へは聞いたこと・調べたことをそのまま伝えるのがベストですが、後で混乱を招きそうなクレーム・ご意見などは責任者に直接対応していただく方が良い場合もあります。その場合も、「質問を受けた「自分が」とりもつ」と言う気持ちでバトンタッチするのが良いでしょう。ワンクッション置くだけで、印象が全然違います。
保護者からクレームを受けたら
◯保護者の気持ちを考えよう
保護者が要求やクレームを言う目的は、それをすぐに解決してもらうことではないのです。
自分の気持ちをわかってもらい、保育士に理解を寄せてもらいたいのです。言いたいことを言って、自分の思いのすべてを伝えられたら、もう目的は達成されたと同然です。お店に文句や苦情といったクレームを言ってくるお客さんも同じです。終わってしまっていることに解決策がないことは承知の上で、言ってきているのです。言うことで満足したいのです。
しかし、その満足感をなくしてしまうのが、いわゆる「反論」です。「あなたを認めません」と言われているのと同然だからです。
◯解決策はよく考えて提示しよう
「先生、この間の発表会では、なんでうちの子があんな役だったのですか。本人もいやがってましたよ」などと保護者は自分の嫌なこと、困ることはすべて「クレーム」にしたがるものです。
そんな時、「それでは、これからはおうちのひとに聞いてから決めるってことで良いですか?」と解決策を提案しても、少しも解決にはなりません。
「そこまでしろって言ってないじゃないですか」などと必ずと言っていいほど反論してきます。つまり、保護者が何かを言ってきた時に、すぐに具体的な解決策を提案すると、かえって話がややこしくなり、こじれてしまうのです。
◯肯定言葉を使おう!
それでは、どうしたら良いのでしょう。クレームを言って来る人が相手に求めているのは反論ではなく、「そうですね」「ごもっともです」「わかりました」などの肯定言葉です。
いずれも「私はあなたの言う言葉を認めています」と言ってもらったように聞こえ、相手は気持ちが良くなるのです。
この3つの言葉を会話の中に散りばめながら、やり取りしましょう。
相手は自分の要求や主張がその時点で何も改善されていなくても、気持ちはすっきりし満足していますので、笑顔で帰っていくこともあるでしょう。
3つの言葉を活用し、たくさんの満足感を味わってもらうことが、保護者とうまく付き合っていくポイントですね。
保護者の気持ちに寄り添うことが何よりも大事
誰でも丁寧かつ親切に対応されれば、気持ちのいいものです。逆に、不誠実な対応は誰でもいい気分はしませんよね。ちょっとした質問でも面倒くさがらずに、親切に対応する。
そして何よりも保護者ファーストで、保護者の気持ちに寄り添って対応する。それが、保護者との信頼関係を築くポイントです。