2017年10月31日

公立保育園と私立保育園の雇用面での違いって?

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◆保育園は「公立」?それとも「私立」?



公立保育園の保育士は、私立保育園に比べると、公務員ということもあり、
安定雇用で月給・年収の平均も私立より高いといわれています。
しかし、採用試験の難易度が高く、公立保育園の民営化が進んで園数が減少していることもあり、
公立保育園への就職の難易度はますます高くなっています。

このコラムでは、公立、私立保育園の違い、それぞれのメリット・デメリットを比較しています。
公立・私立保育園の保育料や給食の制度の違い、お盆休みなどの長期休暇の預かりや、
保育園民営化などに対する素朴な疑問にも答えています。
公立保育園への就職を考えている方は、ぜひ参考にしてくださいね。




◆そもそも、公立保育園とは?...働く保育士さんの視点から



「公立保育園」とひとことで言っても、運営が自治体(市区町村)ということしかわかりませんよね。
まずは、働く保育士さんにとって公立保育園がどのような保育園なのかをまとめました。

〇地方公務員です!

公立保育園の保育士さんは、保育園のある自治体に直接採用される「地方公務員」です。
採用方法などに細かな違いはありますが、市役所などの職員と同等の扱いとなります。
公務員ということで、働く人にうれしい制度が多くあります。
まず、福利厚生は完全完備です。自治体が管理しているため、厚生年金や労災保険、
健康保険への加入はもちろん、産休や育休の取得は確実にできるといっていいでしょう。
給与の面でも、地方公務員としての昇給制度、賞与の制度が適用されます。
勤続年数に比例して給与があがるため、昇給によるモチベーションを高く持って働けます。

〇倍率・難易度の高い採用試験⁉

公立園の保育士になるには、地方自治体が実施する採用試験に合格しなければなりません。
採用試験を受験するには、保育士資格を持っているか、もしくは採用されるまでに資格を習得する見込みがなければなりません。
また、年齢制限があるのも特徴です。多くの自治体では、30歳もしくは35歳までの保育士でなければいけないと規定されています。

採用試験受験の希望者が多いにもかかわらず、公立園の保育士採用試験は毎年行われるとは限りません。
自治体にもよりますが、基本的には欠員が出た場合にのみ採用試験が行われます。
そのため倍率が数十倍になる地域もあるそうです。

公立保育士の採用試験には、一般的に一次試験と二次試験、場合によっては三次試験以上の試験を実施している自治体もあります。
一次試験は筆記試験、二次試験以降は面接や作文、ピアノや読み聞かせなどの実技試験であることが多いようです。

筆記試験は高校卒業レベルの数学や文章理解などの一般教養問題と、保育についての専門知識に関する問題で構成されます。
保育士の専門知識だけでなく、教養試験の勉強もしなければなりませんので、問われる知識は私立園の保育士より広くなるでしょう。
しかも、採用試験に合格したからといって必ずしもすぐに勤務できるわけではありません。
試験に合格すると採用候補者名簿に登録されることになり、施設から採用のオファーを待つことになります。
採用候補者名簿の登録期限は1年間と決められているので、その間に採用がない場合は、次年度に再度採用試験を受験しなくてはなりません。


〇平均給与・賞与はやっぱり高い!

なかなかの難関である公立園の保育士ですが、具体的な給与や待遇面を見てみましょう。
以下が私立の保育園(全国)と公立保育園(練馬区)の平均給与の比較です。

・全国の保育士の平均給与(厚生労働省 平成28年度 賃金構造基本統計調査より)

給与月額:22.3万円
年間賞与:58.8万円
年収平均:326.8万円
平均年齢:36歳

・公立保育所の保育士平均給与(東京都練馬区 平成27年度 職員の給与の状況より)

給与月額:31.7円
年間賞与:171.2万円
年収平均:551.7万円
平均年齢:45歳

全国の保育士平均給与と、練馬区の公立保育士の給与を比較してみると、
年間で1.7倍(約200万円)の差があることがわかります。公立の場合、給与は年功序列型で増えていきます。
余程のことがない限りは、能力の差に関係なく、順調に昇給を望めるでしょう。
また、民間のように給与が世の中の景気に左右されることがないので、不況にも強い職種と言えます。
とはいえ、待遇のよさはその市区町村の財政力にもよります。
一般的に人口が多い東京23区や政令指定都市などでは、地方公務員は比較的恵まれた待遇といえます。
ただ、地方都市や町村部では、都会の私立園と比べてそこまで飛びぬけた好待遇というわけでもないようです。


〇異動があります!

公立保育園の保育士は、公務員なので数年に一度は必ず異動があります。
一つの保育園に10数年も、といったように長く勤務することは通常はできません。
ほとんどは3~6年ごとに同地区内で転勤を命じられるようです。
もちろん、どの保育園に勤務するか自分で決めることはできません。
また、自治体によっては、市役所の保育課や子育て支援センターなど、
保育現場とは直接かかわらない業務に異動となる可能性もあります。



◆公立保育園とはやっぱり違う!私立保育園とは?



公立保育園と私立保育園は様々な点で異なります。
次は、認可保育園の大半を占める私立保育園について詳しく見てみましょう。

〇給料・福利厚生は独自のシステムです

先ほどもお伝えしましたが、一般の保育士の平均給与は月額22.3万円。
ボーナスなども合わせ、年間の収入は326.8万円となっています。
ただし、これも園によりさまざまなので、私立保育園でも経営状況の良い園などは
公立保育園よりも良い待遇が期待できる場合もあるかもしれません。
基本的には、昇給・賞与は公立保育園と同じ年功序列型の制度が多いですが、
やはり園の経営や給与体系、地域内での保育士給与の相場などに左右されます。

以前は、社会保険に不備があった保育園も多いようですが、現在は保育士需要の高まりもあって、
労務管理をしっかりしていることや、社会保険の完備を求人広告に盛り込む保育園が増えてきています。

有給休暇についても独自の制度を設けている保育園が増えてきました。
お休みがなかなか取れないという問題は公立・私立に関わらず保育士業界の大きな問題です。
労働量の多さから、出産や結婚を機に離職して、そのまま現場復帰しない人も多い現状です。

そのため、保育士さんの結婚、出産、誕生日などの記念日は有給休暇取得を義務付けたり、
年度初めに、あらかじめ長期の有給休暇取得を全員ができるように予定をすり合わせる取り組みをしている園が増えており、
私立保育園だからと言って休暇が取れないということも少なくなっているでしょう。

〇園ごとに個性があります

私立保育園は、社会福祉法人や民間企業やNPO団体、学校法人などが経営母体となっています。
それぞれの園によって保育方針なども大きく異なり、あらゆる保育ニーズに対応しているため、宗教色があったり、
外国語教育に力を入れたりといった、多種多様な特色があります。園によって業務内容も違ってくるため、
公立保育園と比較すると、園ごとに覚えることが多いと感じるかもしれません。

しかし、公立よりも園のカラーが強い分、個々の保育士の裁量が大きく、やりがいを感じやすいと言えます。
自分の価値観にあった園を見つけましょう。

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◆公立保育園・私立保育園の違い




待遇の面から、公立・私立保育園の違いが見えてきましたね。ここでは、さらにその違いを深堀りしていきましょう。

〇保育士の平均年齢の違い

先ほど説明したように、公立保育園は募集人数が少なく、採用も欠員が出た時のみということでした。
そのため、若い人が同じ職場内に少なくなりがちです。
ベテランの保育士さんが多いため、保育士としての新人教育はばっちりしてくれるでしょう。
一方、同世代ならではの悩みや話題の共有ができないという意味では窮屈に感じるかもしれません。
私立の保育園では、園ごとに必要な時期に採用をしており、
遅くまでの延長保育や休日保育をするためにパートの保育士さんを多く雇っていることも多いです。
そのため、働いている人の平均年齢は低めになるでしょう。

〇異動の違い

公立保育園は異動があります。同じ地域内での異動なので、異動によって大きな勤務先の違いがありませんが、
一つの職場にとどまれないために、異動後に新たな人間関係を築かなければなりませんし、
仲良くなった保護者の方や子どもたちとも離れなければなりません。
新しい環境に飛び込むことが好きな保育士さんにはメリットといえるでしょう。
私立保育園は、基本的に一つの法人が一つの園を運営していることがまだ多いため、
異動がなく愛着を持って働くことができます。


◆保育園の民営化 これからどうなる公立保育園?



公立保育園の民営化が、国の後押しのもと、各自治体の裁量で進められています。
現状、既に公立の求人は減少しており、狭き門となっていますが、将来的にすべての保育所を民営化することを多数の自治体が公表しています。
保育園の民営化のメリット・デメリットを考えました。

〇民営化のメリットその1...サービスの充実

民営化の最大のメリットは今まで公立保育園がしてこなかったサービスの拡充です。
例えば、延長保育や乳児保育がその例です。現在、ほとんどの公立保育園では延長保育は6時から7時までなど、
1、2時間ほどしか行っていません。そのため、保育園にお子さんを預けている働く保護者の方は遅くまで働くことができませんでした。
私立保育園では追加保育料がかかりますが、10時まで延長保育を行う保育園も多いため、民営化によって延長保育が利用しやすくなります。乳児保育も、今までは公立保育園で受け入れてなかった0歳児から2歳児の乳児も受け入れる保育園に運営を任せることで、保護者の職場復帰を応援しています。

〇民営化のメリットその2...保育園の多様化

保育園を民営化をすることと、今まで運営団体だった市区町村から、社会福祉法人、
株式会社など様々な団体が運営するようになります。市区町村だと、条例に基づく縛りがあったり、
伝統を守り続けているために新しい取り組みをしにくい雰囲気があります。
これが、民間の団体に移ることによって独自の保育を行ったり、園長の保育観が現場の方針に現れるために保育園に個性が現れます。
多様な保育園の選択肢が増えるため、保護者の方も保育園選びがしやすくなります。

〇民営化のデメリットその1...保育士の負担増加

民営化によってサービスが多様化するというメリットはありますが、
一方でサービスを拡充するということは仕事の量が増えるということです。
仕事量の増加に伴い、職員の増加、パートの増加によって対応しますが、引継ぎがうまくいかなかったり、
人材不足に対応しない保育園だとその負担が働いている保育士の負担になるため、
日常の保育業務に影響がでたりすることがあるかもしれません。

〇民営化のデメリットその2...公立保育園の保育士さんの転職場所

公立保育園で働く保育士さんは働く場所がなくなるというデメリットがあります。
公立園の民営化が行われると、公立園の保育士さんは新規事業者の雇う保育士さんに引継ぎをすることになるので、
その保育園で働くことはできません。働く場所がある自治体なら、そのほかの公立保育所に赴任になったり、
公立の児童福祉施設の空きがあればその施設に転勤ができます。ですが、結果的には公立の保育園がなくなることもあり、
公立保育園で働いている保育士さんの再就職はどうなるのかという問題があります。


◆保護者の視点からみた公立保育園・私立保育園



これまでは働く保育士さんの視点から公立・私立保育園の違いを見てきましたが、
ここからは保護者の視点になって保育園の違いを紹介します。

〇保育料はどっちが安い?

保育料は公定価格という国の制度で決まっています。自治体から認可を受けている保育園であれば、
私立公立関係なく公定価格に沿った料金になるでしょう。
保育料で違いがでるのは、延長保育時間による保育料です。
延長保育は公立保育園では自治体ごとに1、2時間を目安に実施しています。私立の保育園では、延長保育を公立より長く保育しており、
その時間の利用料金は私立園が独自に決められるので、利用時間による保育料の違いがでてきます。
また、認可を受けていない無認可の場合ですと、補助金が支給されず、運営にかかる費用を保育料でまかなうため、
保育料は認可保育園に比べて高くなりがちです。

〇給食は違いがでる?

公立保育園では基本的に市区町村が定めた献立によるお昼がでます。献立は市区町村が決定しています。
また、公立保育園でも食事にバラエティーを出すために外部に給食を委託する場合もあります。
私立保育園では給食にも多様性がでます。園独自の献立で園内の調理室で作る場合もありますし、外部に委託する場合もあります。
保育園は働く保護者の方たちを応援しているので弁当持参の園はありません。
公立でも私立でも栄養士の監修の下で子どもたちの栄養を考えて献立を考えるため、違いはあまりないでしょう。

〇お盆休み・年末・祝日・土日の保育は?

公立保育園は日曜や祝日での保育をしないことが多いです。近年では、祝日や休日でも子どもを預かってほしいというニーズを受けて、
地区内の一部の保育園数か所を開園して休日保育をする自治体も増えています。
しかし、受け入れ人数が10人、20人の少人数であることや、登録制で1か月前から申請をしなければならないなど、
サービスが十分とは言えません。
私立保育園では園の方針によって異なりますが、年末やお盆休み、土日祝日、も受け入れてくれる保育園が多く、
公立保育園ではカバーしきれない保育の受け皿になっています。


◆公立保育園と私立保育園のメリット&デメリットを考慮して就職先を選びましょう!



以上、公立保育園と私立保育園の違いを見てきました。給与面や社会保険は公立保育園が良いのはもちろんですが、
将来的になくなるかもしれないというリスクや就職試験の困難さなどは現実問題として考えなければなりません。
また、私立保育園が公立保育園に圧倒的に劣るということはなく、
むしろ、その独自の保育方針や新たな有給取得方法などで魅力を増しています。
そのため、公立保育園一本に絞り込むのではなく、私立保育園の選択肢も考えながら就職活動を進めていきましょう。

預ける保護者の観点からも、認可保育所が増えていることで保育料の安い認可の私立保育園を利用しやすくなっています。
認可であれば公立・私立に関わらず保育料は変わらないため、利用する側にとって、公立園と私立園の違いは気にならないでしょう。
むしろ、サービスの内容を考えると、私立園のほうが充実しています。
私立園の中でも、無認可の園は保育料は高くなりがちですが、
東京都はより多くの保護者が一定の水準の手厚いサービスを受けられるように、
認可には満たないが一定の基準を満たす保育園を「認証保育所」とする制度を定めています。
利用する側としても、次第に公立と私立の違いは小さくなっていると言えるでしょう。
私立保育園も利用しやすい環境も増えており、
私立・公立保育園のメリット・デメリットをあらゆる方面から見ることが大切ですね。


参考資料
東京都世田谷区 区立保育園民営化検証結果報告書
東京都練馬区 職員数や給与の状況
東京都保育士実態調査



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