日本で古くから親しまれている伝承遊び。お正月や敬老の日などさまざまな場面で取り入れて、昔ながらの手遊びや集団遊びに触れる機会を作れるとよいですね。今回は、けん玉やおはじきなど保育園で行う伝承遊びの種類を一覧にまとめました。また、保育のねらいや子どもたちと手作りできるおもちゃなども紹介します。

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■目次
伝承遊びとは
伝承遊びとは、子どもたちの間で古くから親しまれてきた昔ながらの遊びです。
具体的には、おはじきやあやとり、お手玉やけん玉などが挙げられます。
お正月や敬老の日など行事の際に親しむこともある伝承遊びですが、どのような特徴があるのでしょうか。保育に取り入れるよさとあわせて見ていきましょう。
特徴
伝承遊びは、子どもの人数や場所に合わせて工夫できる特徴があります。
例えば、4人で室内遊びをするならおはじき、8人で屋外遊びをするならかくれんぼや鬼ごっこなど、状況に合わせて子どもたちが考え、遊びを選ぶことができます。
また、自らルールを作ったり、みんなが楽しめるようにアイデアを出し合ったりと、遊びを変化させることができるのも伝承遊びの特徴と言えるでしょう。
よさ
伝承遊びのよさや効果として、子どもたちのさまざまな力が育まれることが挙げられます。
例えば、竹馬は集中力や体力、バランス感覚などが養われるでしょう。かるたであれば、札を探す過程で言葉を覚えることにもつながりそうです。
また、集団で楽しむ伝承遊びを通して、社会性やコミュニケーション能力など、子どもたちのいろいろな力が伸びる効果が期待できるかもしれません。
保育に伝承遊びを取り入れるねらい
では、保育園で伝承遊びをするのには、どういったねらいがあるのでしょうか。
日本の伝統的な遊びにふれる
核家族化が進んでいることもあり、子どもたちがお年寄りから伝承遊びを教わる機会が少なくなっているようです。
そういった子どもたちが昔からの遊びを知り、次の代へと伝えていくことが、保育園で伝承遊びをするねらいと言えるでしょう。
一つの遊びをきっかけに、さまざまな種類の伝承遊びに興味を示すなど、子どもたちの視野が広がるきっかけにもなるかもしれませんね。
友だちとコミュニケーションを取りながら遊ぶ
伝承遊びには、遊びを通して子どもたちのコミュニケーションを活発にするというねらいがあるようです。
シンプルでわかりやすいルールで楽しめる遊びが多いうえに、鬼ごっこやかくれんぼなど集団で取り組めるものがたくさんあります。
年長クラスになれば、遊びをより楽しく円滑に行うために、友だち同士で考えたり話し合ったりする姿も見られるかもしれませんね。
【乳児向け】保育園で楽しめる伝承遊び

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では、保育園で乳児クラスの子どもが楽しめる伝承遊びの例を一覧にまとめました。
おもちゃを使った遊び
福笑い
お正月遊びの定番としても親しまれている福笑い。
目や鼻といった顔のパーツを目隠しした状態で並べ、顔を完成させるだけの簡単な遊びです。
乳児クラスで取り組む場合、最初は難しいかもしれないので、保育士さんが「今持っているのは目だよ」などと声をかけてフォローするとよいかもしれません。
完成度よりもできあがった顔のおもしろさを楽しむとよいですね。
凧揚げ
凧揚げは、紐を持って走り、凧を空に飛ばして楽しむ遊びです。
走れるようになる1歳児後半くらいから2歳児の子どもが楽しめそうです。
凧揚げをする際は、近くに電線などがないかを確認し、看板や電柱など高い物がない広場で行うようにしましょう。
コマ回し
コマにはいろいろな種類があるため、遊び方のバリエーションも豊富です。
1歳児後半や2歳児くらいの子どもたちであれば、持ち手をひねって回す簡単なコマ回しを楽しめるでしょう。
0歳児の子どもと遊ぶ場合は、保育士さんが手を添えていっしょにコマを回し、回る様子を見て楽しむとよいかもしれませんね。
身体を使った遊び
かくれんぼ
かくれんぼはルールがあるため幼児クラス向けの遊びと思いがちかもしれませんが、アレンジすれば乳児クラスの子どもたちでも楽しめるでしょう。
例えば、保育士さんがカーテンや大きな布などを使って隠れてみます。
そして「先生どーこだ」と言って子どもたちに探してもらう遊び方があります。
子どもたち全員に探す役になってもらうと、スムーズに楽しめそうです
けんけんぱ
けんけんぱは、片足や両足で跳ぶ動きを繰り返して楽しむ遊びです。
乳児クラスの子どもにとっては、片足でジャンプする動きが少し難しいかもしれません。
その場合は、丸い枠が1つのときは両足でいっしょにジャンプし、2つ並んでいるときは両足を横に広げる動きにアレンジすれば、乳児さんでも楽しめるでしょう。
鬼ごっこ
鬼ごっこはとてもシンプルなルールなので、子どもたちにも人気の遊びかもしれません。
保育士さんが鬼となり、ハイハイの動きで追いかけてみましょう。
タッチしたら鬼を交代するという通常のルールは使わずに、純粋に追いかけっこを楽しむとよいかもしれませんね。
乳児クラスで鬼ごっこをする場合はホールなどの広い室内で行い、周りに物がない環境を用意しておきましょう。
わらべうた・手遊び
むすんでひらいて
むすんでひらいては、人気のわらべうたの一つです。
動きがシンプルでメロディーもゆっくりなので、乳児さんでも動きを真似して楽しめるでしょう。
「あたまに」の部分を「おへそに」「おくちに」などにアレンジしたりスピードを早めたりして、昔ながらの手遊びに親しんでみてくださいね。
いっぽんばしこちょこちょ
いっぽんばしこちょこちょは、ペアで手遊びを楽しめるわらべうたです。
ふれ合いも楽しめるので、2歳児クラスでは子ども同士で楽しむのもよいかもしれません。
0歳児や1歳児と遊ぶときは、保育士さんが子どもの手をこちょこちょしたりくすぐったりしてスキンシップをとるとよいですね。敬老の日の出し物としても楽しめそうです。
いとまきまき
いとまきまきは繰り返しのメロディーや歌詞を楽しめるので、乳児さんが好きなわらべうたかもしれません。また、動きもシンプルなので、子どもたちも覚えやすく親しみやすいでしょう。
手遊びに慣れたら、保育士さんが「できたできた」の後の歌詞をアレンジして歌ってみても盛り上がるかもしれませんね。
【幼児向け】保育園で楽しめる伝承遊び

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続いて、保育園で幼児クラスの子どもが楽しめる伝承遊びの例を一覧にまとめました。
おもちゃを使った遊び
折り紙
普段の保育にも取り入れることの多い折り紙は、伝承遊びの代表格とも言えます。
定番の鶴やコマ、風船などさまざまな種類の作品を作ることができるので、子どもの年齢や好みに合わせて取り入れてみましょう。
和柄のデザインの折り紙を用意すれば、昔ながらの雰囲気を味わいながら楽しめそうですね。
おはじき
おはじきは、指ではじくだけのシンプルな遊び方でありながら、古くから子どもたちに親しまれています。
指でおはじきをはじいて当たったら自分のものにでき、最終的な合計数を競う遊び方が定番です。
ほかにも、おはじきの間に指で線を引くというルールもあるので、年齢に合わせて遊び方を変えてみましょう。
かるた
かるたは、読み上げられた頭文字を聞いてそれとペアになっている札を取る、お正月などに親しまれている遊びです。
ひらがなを覚え始める4歳児や5歳児の年長クラスにぴったりかもしれません。
食べものや動物などさまざまな題材があるので、遊びながら楽しく言葉を学んでいきましょう。
あやとり
ひもや毛糸を使って遊ぶあやとりは、「はしご」などの1人でできるものと、「もちつき」などの2人でできる遊び方があります。
糸の取り方を間違えると失敗してしまうので、子どもたちの集中力や記憶力のアップにつながりそうです。
また、手指の細かい動きが必要になるので、手先が器用になる効果も期待できるかもしれません。
身体を使った遊び
だるまさんが転んだ
だるまさんがころんだは、何回でも楽しむことができる定番の集団遊びです。
はじめは通常の遊び方で楽しみ、慣れてきたらアレンジを加えてみましょう。
「だるまさんがしゃがんだ」「だるまさんがばんざいした」など、指定したポーズで動きを止めても面白そうですね。
ハンカチ落とし
室内遊びでは定番のハンカチ落としも伝承遊びの一つです。
オニは、輪になって内向きに座る子どもの手の上にハンカチを落とします。
ハンカチを落とされた子はオニを追いかけ、追いつけなかったらオニを交代して遊びます。
アレンジとして、ダミーとなるティッシュやガーゼなどを手の上に置いてみても盛り上がりそうですね。
はないちもんめ
はないちもんめは、歌を歌いながら身体を使って遊ぶ集団遊びです。
歌のリズムにあわせて足を上げたり前後に動いたりと、子どもたちが楽しめるポイントがたくさんあります。
また、子ども同士で相談する時間があるので、コミュニケーションも活発になりそうですね。
竹馬
竹馬はあまり保育園でなじみがない遊びかもしれませんが、4歳児や5歳児クラスで挑戦してみましょう。いつもより目線が高い状態で歩けるので、新鮮な気持ちで楽しめそうです。
どうやったら上手く進むのか、落ちずに歩けるのかを試行錯誤しながら遊べるため、バランス感覚や集中力などを育む効果が期待できるかもしれません。
室内で行うときは周りにマットなどを敷いて、転んでも怪我をしにくいような配慮をすることが大切です。
缶蹴り
缶蹴りは、空き缶を使ったかくれんぼのような遊びです。
オニは、子を探している間に缶を蹴られないように気をつけないといけないため、集中力が身につくかもしれません。また、隠れる子はオニに捕まらないように缶を蹴る必要があるため、瞬発力などが鍛えられそうですね。
木や遊具など子どもたちが隠れられるものがたくさんある場所で楽しんでみましょう。
わらべうた・手遊び
おちゃらかほい
おちゃらかほいは、2人1組のペアで楽しめるわらべうたです。
じゃんけんができるようになったクラスで取り入れてみましょう。
敬老の日の行事で、地域の方やおじいちゃんおばあちゃんと楽しむのもよいですね。
大きな栗の木の下で
動きやメロディーがキャッチーなわらべうたです。
保育園で歌ったことがある子どもも多いかもしれません。
栗の部分を子どもの好きなものに変えて、振り付けをアレンジしてみるのも面白そうですね。
保育園の伝承遊びに使える手作りおもちゃ
保育園で行う伝承遊びに活用できる手作りおもちゃを紹介します。
コマ
折り紙コマ
<用意するもの>
- 折り紙 3枚
<ポイント>
折り紙とコマという2つの伝承遊びをいっしょに楽しめる手作りおもちゃです。
パーツを組み合わせて作るため、少し難易度が高いかもしれません。4歳児や5歳児の年長クラスで挑戦してみましょう。
底の部分に少し角度をつければ回りやすくなるので、子どもたちに伝えてみてくださいね。(詳しい作り方はこちら)
廃材で作るコマ
<用意するもの>
【牛乳パックのコマ】
- 牛乳パック
- ペットボトルのキャップ
- ボタン
- 装飾(クレヨン、マスキングテープなど)
- テープ
- はさみ
【紙皿のコマ】
- 紙皿
- ストロー
- クレヨンやペン
- テープ
- はさみ
<ポイント>
牛乳パックは厚みがあり子どもの力では切りにくいかもしれないので、あらかじめ保育士さんが切り開いておきましょう。
クレヨンやペンで色づけするときは、回るとどんな模様になるかをイメージしながら装飾できるとよいですね。(詳しい作り方はこちら)
けん玉
用意するもの
- 松ぼっくり 1個
- タコ糸 70cm 1本
- 紙コップ 3個
- トイレットペーパーの芯 1個
- テープ
- はさみ
ポイント
紙コップの底や側面に合わせて切る工程などは保育士さんが行うようにしましょう。
年長クラスの場合は切り取り線をかいておき、自力で取り組んでもらうのもよいかもしれません。
玉を入れやすくするために、紐の長さに気をつけて作ってみましょう。(詳しい作り方はこちら)
折り紙凧
用意するもの
- 折り紙
- タコ糸
- 竹串
- ペン
- セロハンテープ
- のり
ポイント
折り紙や竹串を材料にして作る、ミニサイズの凧です。
風が吹いている日は絶好のチャンスなので、園庭や公園で飛ばして遊んでみましょう。
ただし、凧揚げをするときは電線の有無や車道が近くにないかなどを確認し、周辺環境に注意することが大切です。(詳しい作り方はこちら)
でんでん太鼓
用意するもの
- チーズの容器 1個
- ボタン 2個
- タコ糸 15cm 2本
- 割りばし
- 折り紙
- のり
- はさみ
- キリ
ポイント
キリで穴をあける工程は、先生が事前に済ませておきましょう。
4歳児や5歳児の子どもであれば、ボタンに糸を通せるかもしれませんが、3歳児の場合少し難しいと感じる子もいるようです。苦戦している子どもがいたら、保育士さんが糸を通すようにしましょう。
でんでん太鼓になじみがない子どももいるかもしれないので、音に合わせて鳴らしてみるなど楽器遊びに取り入れるのもよいですね。(詳しい作り方はこちら)
牛乳パックぽっくり
用意するもの
- 牛乳パック 6個
- PEテープ 120cm×2本
- テープ
- パンチ
- はさみ
ポイント
牛乳パックを切ったり折ったりする作業は力が必要になるため、このおもちゃは保育士さんが手作りしましょう。
ぽっくりは不安定なため、練習を重ねることで子どもたちのバランス感覚が養われるかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
お手玉
用意するもの
- 布 10cm×20cm
- どんぐり 適量
- 裁縫セット
ポイント
どんぐり集めは子どもたちの担当、お手玉を縫うのは保育士さんの担当と、役割を分担して手作りしてみましょう。
お手玉は2つ同時に玉を動かす器用さが必要になるので、遊びを通して子どもたちの瞬発力や手先の動きなどを鍛える効果が期待できるかもしれませんね。(詳しい作り方はこちら)
竹とんぼ
用意するもの
- 牛乳パック 1個
- ストロー 1本
- はさみ
- テープ
ポイント
保育士さんは、あらかじめ牛乳パックを開いておきましょう。
子どもたちがカットしやすいように、1.5cm幅の切り取り線を書いておくこともポイントです。
竹とんぼは回し方にコツが必要になるため、保育士さんは見本を見せながら子どもたちが上手に飛ばせるようにサポートしてくださいね。(詳しい作り方はこちら)
保育に伝承遊びを取り入れ、子どもたちと昔ながらの遊びに親しもう
今回は、保育で行う伝承遊びのねらいとあわせて、年齢ごとのアイデアや手作りおもちゃのアイデアを一覧で紹介しました。
伝承遊びには、子どもたちが昔の文化や遊びにふれたり、遊びを通して豊かなコミュニケーションを築いたりするねらいがあるようです。
おはじきやけん玉、鬼ごっこなど、保育園で子どもたちが慣れ親しんでいるものもあれば、凧揚げや竹馬など新鮮に感じられそうなものまで、さまざまな遊びがあります。
伝承遊びはお正月だけでなく敬老の日などお年寄りの方と交流する機会にも活躍するので、子どもたちと昔ながらの遊びに親しんでみてくださいね。
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