保育園の子どもたちに広く親しまれている鬼ごっこ。基本的なものだけでなく、さまざまな種類があるのをご存じでしょうか。それぞれの遊び方を知っておけば、現場でのバリエーションが広がりそうですね。今回は、鬼ごっこのねらいや種類一覧、氷鬼やバナナ鬼、しっぽ取りなどの遊び方を年齢別に紹介します。
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■目次
保育園で鬼ごっこをするねらい
鬼ごっことは、追いかける役割の「鬼」から、つかまらないように逃げる遊びです。
基本的な遊び方だけではなく、色鬼や高鬼、氷鬼などさまざまな種類があり、幅広い世代で親しまれています。
保育園で鬼ごっこをするねらいとして、以下が挙げられます。
- 鬼ごっこのなかで、相手がどう動くかを観察しながら追いかけたり逃げたりすることを楽しむ
- 鬼ごっこを通して、全体を見渡し、どのように動けばよいか自身で判断する力を養う
- 鬼ごっこのルールを理解しながら遊び、友だちとのコミュニケーションを促す
このように、鬼ごっこには遊びを通して周囲や自身の動きを判断したり、友だちとのコミュニケーションを促したりする ねらいがあるようです。
今回は、さまざまな種類の鬼ごっこの一覧や遊び方を紹介します。
基本的な鬼ごっこ
ここでは、鬼ごっこの基本的な遊び方と、応用的な種類の一覧を紹介します。
基本的な鬼ごっこの遊び方
まずは基本的な鬼ごっこの遊び方を説明します。
遊び方
1. 鬼を1人決めます。
2. 「10」の数を数えたら、鬼がみんなを追いかけ、タッチします。
3. タッチされた人が鬼になり、みんなを追いかけてくり返します。
ポイント
鬼が誰かわかりやすいよう、鬼だけ帽子をかぶったり、帽子の色を変えたりするなどの工夫をするとよいかもしれません。
狭い範囲での鬼ごっこからスタートし、徐々に広くしていくなどすると難易度をアレンジできそうですね。
応用的な鬼ごっこ一覧
基本的な鬼ごっこから発展した、応用的な鬼ごっこの種類と簡単な遊び方の例を、一覧にして紹介します。
このように、鬼ごっこから発展した例が数多くあるようです。
遊びのなかからオリジナルでできた鬼ごっこもあるようなので、保育園の子どもたちと新しいルールの鬼ごっこを考えてみる のもおもしろいかもしれませんね。
いくつか種類を押さえたところで、ここからは年齢別に楽しめる鬼ごっこの遊び方を、具体的に紹介します。
【乳児向け】保育園での鬼ごっこの遊び方
乳児クラス(0歳児・1歳児・2歳児)で楽しめる鬼ごっこの種類と遊び方のアイデアです。
追いかけっこ
鬼が子を追いかけるだけの、基本的なルールの鬼ごっこです。
遊び方
1. 保育士さんが鬼になり、「まてまて~!」と言いながら子どもたちを追いかけます。
2. 子どもは鬼から逃げます。
3. 鬼が子どもをぎゅっと抱いて捕まえたら放し、全員を捕まえるまでくり返します。
ポイント
保育士さんは、子どもが逃げることを楽しめるよう、わざと歩幅を小さくして歩くなどして遊びの時間をじっくりとりましょう。2歳児など鬼役を子どもができそうな場合は、鬼になる子どもに帽子をかぶせるなどしてわかりやすくしてから遊ぶとよいですね。
くすぐり鬼
鬼が子を捕まえたら、コチョコチョとくすぐる鬼ごっこです。
遊び方
1. 保育士さんが鬼になり、子どもを追いかけます。
2. 子どもを捕まえたら、脇の下やお腹を「コチョコチョ~!」と言いながらくすぐります。
3. 数秒くすぐったら放し、全員を捕まえるまでくり返します。
ポイント
保育士さんが子どもを捕まえてくすぐるとき、子どもが手足をバタバタとする可能性があるので、周りに人や物がないか確認してから行いましょう。子どもがキャッキャッと笑う程度に、優しくくすぐるのがポイントです。
ハイハイ鬼
ハイハイをしながら鬼から逃げます。室内遊びに向いています。
遊び方
1. 保育士さんが鬼になり、子どもを追いかけます。
2. 子どもはハイハイで逃げ、鬼もハイハイの体制で子たちを捕まえます。
ポイント
ハイハイで追いかけっこをするので、足腰を鍛えたりバランス感覚を養ったりする効果があります。雨の日や猛暑の日など、室内で身体を使った遊びをしたい時によいでしょう。
むっくりくまさん
くま役が子どもたちを追いかける、簡単なルールのある鬼ごっこです。
遊び方
1. くま役の子どもを決めます。
2. くま役は目をつむってしゃがみ、逃げる子は手をつないでくま役の子どもを丸く囲みます。
3. 「むっくりくまさん、むっくりくまさん、穴のなかー」と歌いながら、くま役の周りを回ります。
4. 「眠っているよ、ぐーぐー、寝言を言って、むにゃむにゃ」と歌いながら、手を繋いだまま止まります。
5. 「目をさましたらー、目をさましたらー、食べられちゃうぞー」と歌いながら、つないだ手を離して、ちょっとずつ後ろに下がって逃げる準備をします。
6. 歌が終わり、「逃げろー!」と言ったら、くま役は立ち上がって子どもたちを追いかけます。
7. くま役の子が全員を捕まえるか、制限時間が来たら終わりです。
ポイント
この遊びは、簡単なルールを理解できる、1歳児~2歳児クラスで取り入れられる でしょう。くま役の子どもは、くまのポーズをして「食べちゃうぞー!」と言いながら追いかけるとより盛り上がりそうですね。
くまのほかにも、トラやライオンなどの動物にアレンジしてもおもしろいかもしれません。
【幼児向け】保育園での鬼ごっこの遊び方
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幼児クラス(3歳児・4歳児・5歳児)で楽しめる鬼ごっこの種類と遊び方を紹介します。
線鬼
線の上のみを移動してよいというルールのある鬼ごっこです。
遊び方
1. 遊び場所に、ビニールテープなどで線を引いておきます。
2. 鬼を1人決めます。
3. 全員が線の上に乗り、子は鬼と少し距離を置いてスタンバイします。
4. 保育士さんの「スタート!」の合図で、線の上を移動しながら鬼ごっこをします。
5. タッチされた子どもは線から下り、最後の1人になるまで続けます。
ポイント
戸外で行うときは、石灰などで線を引いてもよいでしょう。 線の上からはみ出なければ、線から線へ飛び移ってもよいというルールにすると、逃げる範囲が広がっておもしろいかもしれません。
鬼はタッチで交代制としたり、複数人に増やしたりと、さまざまな遊び方を試してみましょう。
しっぽ取り
友だちとのしっぽの取り合いにより、逃げる方と追いかける方を同時に楽しめる鬼ごっこです。
用意するもの
- 人数分のしっぽ(縄跳び、紙テープ、PEテープ、ひもなど)
遊び方
1. 動き回ってよい範囲を決めます。
2. 一人ひとりがおしり側のズボンにしっぽの端を挟んでスタンバイします。
3. 保育士さんの「しっぽ取り、スタート!」の合図で範囲内を自由に走り回り、自分のしっぽを取られないように気をつけながら友だちのしっぽを取ります。
4. 自分のしっぽを取られた子どもは、範囲外に出て座ります。
5. 保育士さんが「終わり!」と言ったときに、多くしっぽを持っていた子どもが勝ちです。
ポイント
しっぽ取りで動き回れる範囲は、子どもの人数に応じて広さを調整しましょう。あまりに狭いと子どもが接触しやすいため、できるだけ余裕をもったスペースを確保するのがポイントです。
遊びの前に、しっぽをズボンに入れる深さを一定にしたり、範囲外に出たら座ったりするなどの約束事をしておきましょう。
帽子の色でチーム分けをし、制限時間内で多くしっぽを取った方を勝ちとしたり、最後の一人になるまで遊びを続けたりと、さまざまなアレンジをしても楽しめそうです。
魔法鬼
鬼に魔法をかけられたら、言われたものに変身するルールのある鬼ごっこです。
遊び方
1. 鬼を1人決めます。
2. 鬼は「10」数えたら動き出し、子どもたちを追いかけてタッチします。
3. 鬼はタッチした子どもに「犬になーれ」などと魔法をかけます。
4. 魔法をかけられた子どもは、犬のマネをしながら再度動きます。
5. 全員に魔法をかけるか、制限時間が来たら終わりです。
ポイント
魔法をかけるときは、猫やねずみ、ゾウ、カエルなどさまざまな生きものに変身させるとおもしろいでしょう。また、生きもの以外にも汽車や飛行機といった乗り物もよいかもしれませんね。
氷鬼のように、魔法をかけられた子どもがほかの子どもにタッチされると、魔法が解けるというルールにしても盛り上がりそうです。
いもむし鬼
電車ごっこのように前の子の肩につかまるようにして一列になりながら鬼から逃げます。
遊び方
1. 鬼を1人決めます。
2. 逃げる子は1人を先頭に1列になり、前の子の肩に手を置き、離れないようにします。
3. 鬼は先頭の子ではなく、最後尾の子をタッチできるように捕まえにいきます。
4. 先頭の子や前の子は、後ろの子がつかまらないように考えながら逃げます。
5. 最後尾の子がタッチされるか、隊列がくずれたら終わり、鬼を交代します。
ポイント
子どもたちは自分勝手に逃げるのではなく、後ろの子の動きを考えながら鬼から逃げます。
人数が多くて列が長くなってしまう場合は、チーム分けをして列を増やすとゲーム性も高まって楽しめるでしょう。
保育士さんへ
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【チームワークが大事】助け鬼や陣取り系の鬼ごっこ
すこし複雑なルールも楽しめるようになったら、鬼や逃げる側の子たちがそれぞれチームワークを駆使して遊ぶことができるルールの鬼ごっこでも遊んでみましょう。
ここでは、大きく「助け鬼系」と「陣取り系」に分けて紹介します。
助け鬼系の鬼ごっこ
鬼にタッチされて捕まった子はその場で固まったり指定のポーズで動けなくなったりします。
それをほかの子が鬼から逃げながら助けてあげることができるタイプの鬼ごっこです。
ルールはほとんどいっしょですが、「動けなくなる」状態と「助ける」アクションがそれぞれ違って飽きずに楽しむことができます。
遊び方
・氷鬼
捕まった子はその場でそのままのポーズで動けなくなる。ほかの子にタッチされたらまた動けるようになる。
・馬跳び鬼
捕まった子はその場で馬跳びの馬のポーズになる。ほかの子がその馬を跳ぶことでまた動けるようになる。
・電子レンジ鬼
捕まった子はその場でそのままのポーズで動けなくなる。助ける子は「チーン!」と電子レンジの音を口にしながらタッチすると、解凍されてまた動けるようになる。
・地蔵鬼
捕まった子はその場でお地蔵さんのポーズで動けなくなる。助ける子はその子の前で拝むとまた動けるようになる。
・バナナ鬼
捕まった子はその場でお地蔵さんのポーズで動けなくなる。助ける子はバナナの子どもの皮をむく動作をすると、また動けるようになる。
・けいどろ/どろけい
警察と泥棒に分かれ、警察が泥棒を捕まえます。捕まったらろうやに集められ動けませんが、仲間にタッチされるとまた逃げられるようになります。
ポイント
鬼はなかなか全員を捕まえることが難しいため、鬼を複数人にするか、制限時間を設けて交代できるようにするとよいでしょう。
はじめる前に、それぞれのポーズや助けるアクションなどをみんなで練習するのも楽しいですね。
陣とり系の鬼ごっこ
捕まえる側と捕まえられる側でチーム戦を行うようなルールの鬼ごっこは、年長さんが楽しめるでしょう。ルールを簡単にしたり、対抗戦のようにしたりして運動会の種目としても盛り上がります。
遊び方
・ろくむし
1. 数メートルほど離して2つの円を地面に書き、逃げる子はその円から円に向かって移動します。
2. 鬼は2人1組でそれぞれの円の外側に立ち、ボールを投げ合います。
3. 鬼は子が円から出て移動する時だけ子にボールをあてることができます。
4. 子は円を往復するたびに「いちむし」「にむし」と数えます。
5. 円を6往復するまでに一度もあてられなかった子が勝ちです。
・さめ鬼
1. サメチームと人間チームに分かれます。
2. 人間チームは複数の離れ島のあいだを行き来します。1つの島には10秒以上いられません
3. サメは島の外を自由に動きながら、移動する子を捕まえます。
4. 捕まった子はサメの家(エリアの外)に出されます。
5. 全員捕まえたらサメチームの勝ちとなります。
・王様取り
1. 2チームに分かれそれぞれ王様を1人決め、相手チームに攻め込みます。
2. 攻める時は相手チームの王様にタッチし、じゃんけんで勝てばチームの勝ちとなります。
3. 王様以外の子とはタッチしたらじゃんけんをし、負けた方はその場に座ります。
4. 負けた子は自チームの王様にタッチされると復活することができます。
5. 王様は陣地にいる間はタッチできません。王様はじゃんけんに負けたチームメートを助けながら相手の陣地に攻め込ませます。
・ねことねずみ
1. リーダーを1人決め(保育士さんでも可)陣地の線と真ん中に線を引きます。
2. ねこチームとねずみチームに分かれ真ん中の線に立って向かい合う。
3. リーダーは「ね、ね、ねずみ!」「ね、ね、ねこ!」と号令をかけます。
4. 呼ばれた方が相手チームを追い、相手は自陣のラインまで逃げます。
5. 後方のラインにたどり着く前にタッチされたら、相手チームの仲間になります。
6. 数回繰り返して、最終的に人数の多いチームが勝ちとなります。
・3色鬼
1. 赤・青・緑の3つのチームに分かれます。
2. 赤チームは青を追い緑から逃げる、青チームは緑を追い赤から逃げる、青チームは赤を追い青から逃げるというようにルールを決めます。
3. 捕まったら自分のチームの色のろうやに入る。最初に全員捕まえたチームの勝ち
ポイント
それぞれチームに分かれて作戦を立てたり、陣地などの設定をしたりといった内容のゲームが多いので、広い公園などで大人数で遊ぶのに向いています。
各チームで協力し合うことでチームワークを育みます。
鬼ごっこの種類を把握して、子どもたちと楽しもう
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今回は、いろいろな種類の鬼ごっこの一覧や遊び方を紹介しました。
鬼ごっこには、全体を見ながら自分の動き方を判断する力を養うといったねらいがあるようです。
子どもの年齢に合ったルールの鬼ごっこを取り入れながら、保育士さんと子ども、または友だち同士のコミュニケーションを促してみましょう。
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