こどもの日の行事に、ペープサートを使ってこいのぼりの由来を伝えたいと考える保育士さんもいるでしょう。出し物のなかで伝統行事に込められた願いを説明することで、子どもたちはより親しみや関心を持てるかもしれません。今回は、こいのぼりのペープサートの作り方を紹介します。歌を使った演じ方や台本のポイントもまとめました。
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■目次
ペープサートを使ってこいのぼりについて説明しよう
保育園ではこどもの日に向けて、健康を願ってこいのぼりやかぶとを飾ることもあるでしょう。
また、集会やクラスの活動を通して、こいのぼりのペープサートなどの出し物を行う園も多いようです。
ペープサートを使ってこいのぼりを説明することには、「行事の由来を知って、こどもの日に込められた願いを知り、こいのぼりに親しみを持つ」というねらいが挙げられます。
そもそもこどもの日は、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日」として、毎年5月5日に定められています。
なかでも、子どもの健やかな健康を願って飾るこいのぼりは、古代中国の「登竜門伝説」に由来すると言われています。
「登竜門」という流れの激しい滝を登って泳いだこいは竜になることができたという伝説にあやかり、こいのぼりを飾るようになったそうです。
このような由来や意味を保育園の子どもたちにわかりやすく伝えるためにも、出し物でペープサートを使って簡単なお話をしてみましょう。
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こいのぼりの由来を伝えるペープサートの台本例
こどもの日やこいのぼりの由来がわかったところで、ペープサートをするときの台本の作り方を紹介します。
台本を作るときのポイント
こどもの日の由来を交えつつ、子どもたちが楽しめるような台本にすることがポイントです。
たとえば、こいのぼりを題材にした絵本を利用すれば、スムーズに台本を書けるかもしれません。
ペープサートにも絵本のイラストを使えるので、簡単に製作できそうですね。
乳児など低年齢では、こいのぼりにちなんだ歌を取り入れてみてもよいでしょう。
台本例
こいのぼりの由来を伝えるペープサートの台本の例を考えてみました。
出し物の参考にしてみてくださいね。
むかしむかしあるところに、大きな川に元気なこいくんが棲んでいました。
こいくんは、川の仲間と鬼ごっこをしたり、ごはんを探しにでかけたり、毎日楽しく暮らしていました。
そんなこいくんの憧れは、滝の上に棲んでいる立派な竜のお兄さん。
りっぱなツノとするどい爪、へびよりも長いからだ、光るうろこに長いひげ。
「ぼくも竜のお兄さんのようにかっこよくて強そうな姿になりたいな」と、こいくんがつぶやいたときです。
滝の上からやってきたのは竜のお兄さん。
「おぬしも竜になりたいなら、この滝を登るとよい。一番上までやってくることができたら、竜の姿に変えてやろう」と言いました。
「よし、がんばってこの滝を登るんだ」とこいくんはやる気満々。
滝登りに挑戦しますが、「う~ん、苦しいよ~、なかなか登れないよ」と大変そうです。
こいくん、頑張れ!みんなもこいくんを応援しよう。
(子どもたちの応援を聞いて)
「力が湧いてきたぞ、あと少しだ、えい!」こいくん、なんと激しい滝を登り切りました。
「よく登ってきたな。望み通り、竜の姿に変えてやろう」と竜のお兄さんはこいくんに魔法をかけて、りっぱな竜に変身させてくれました。
「ありがとう、竜のお兄さん。ありがとう、応援してくれた○○保育園のみんな。」
力強いこいくんのように、お空を泳ぐこいのぼりを見て、みんなも元気いっぱい過ごそうね。
こいくんを応援するときに、製作で作ったかぶとをかぶるなど、子どもたちが参加するタイミングを設けると出し物に集中しやすくなりそうですね。
最後にいっしょに歌を歌う、かぶとや風車がお守りになるという設定にするなど、子どもがペープサートの世界に入り込めるようなアレンジを加えるのもよいでしょう。
こいのぼりのペープサートの作り方
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次に、簡単に作れるこいのぼりのペープサートの作り方を見ていきましょう。
基本の作り方
台本に合わせて使える、基本的な作り方です。
1.画用紙にこいと竜のイラストを裏・表の2枚分かきます。
このとき、こいの裏面には竜の姿をかいておきます。
2.(1)のイラストの形に沿ってカットします。
3.割り箸を挟むようにして(2)を貼り合わせたらできあがりです。
ペープサートでは、裏面と表面を使い分けながら演じることができます。
台本の内容に沿って、表情や姿を変えたペープサートを用意しましょう。
また、滝や川といった背景は、水色のPEテープを貼りつけて表現してもよいですね。
工作を使ったアレンジ方法
折り紙や新聞紙を使った工作を活用して、ペープサートを作ってみましょう。
新聞紙かぶと
折り紙で作ったカブトをペープサートに応用してみましょう。
これはかぶるために新聞紙で作っていますが、折り紙を使って同じ折り方でカブトを作ることもできますよ。(詳しい説明はこちら)
折り紙で作るこいのぼり
折り紙を輪っかにして作る、立体的なこいのぼりをペープサートに使うこともできるでしょう。こいのぼりの泳いでいる様子も表現しやすくなりそうです。
桃太郎のストーリーのように、「最初は主人公ひとりしか棒についていない状態からどんどん仲間が増えていき、みんなでこいのぼりとして飾られるようになった」といった展開もおもしろいかもしれませんね。(詳しい説明はこちら)
指スタンプこいのぼり
絵の具を使って指スタンプをすれば、簡単に華やかなこいのぼりを作ることもできます。
動画のように金色の絵の具を使用することで、力強くてきれいなこいや竜のうろこを表現できるかもしれません。(詳しい説明はこちら)
こいのぼりのペープサートを演じるときのポイント
最後に、こどもの日の行事の出し物でこいのぼりのペープサートをするときのポイントをまとめました。
子どもがわかりやすい表現をする
こどもの日やこいのぼりの由来が伝わるよう、簡単な言葉を使って説明できるよう台本を考えましょう。
ペープサートを見て直感的に理解できるよう、「りっぱな竜」「激しい滝」などイラストの表現方法を工夫することが大切です。
また、複雑な台本では伝わりにくい、1歳児や2歳児など低年齢の子どもたちには、こいのぼりの歌を使ったペープサートで親しみを持ってもらうのもよいかもしれません。
子どもの目線に合わせて舞台を作る
舞台を設置すると、子どもからペープサートを動かす保育士さんの姿が見えなくなり、より出し物の世界観に没頭できるというメリットが生まれます。
ペープサートの舞台を作るときに一番に考えたいのは、「子どもたちの目線」です。
座ってペープサートを見るときに、しっかり人形が見えるような高さにしましょう。
台本の内容に合わせて、川をイメージできる水色の布で覆う、画用紙で作った背景の絵を貼りつけておくといった作り方も工夫してみるとよいですね。
子どもの座る位置を工夫する
舞台に近いとペープサートがうまく見えなくなるため、子どもの座る位置は、舞台から少し距離を取れるように配慮するとよいかもしれません。
また、子どもがペープサートを見る角度も重要です。横に広がりすぎると、正面ではきれいに見えるものが、端に座った子はうまく見えなくなる可能性があります。
観客の人数に合わせて、ペープサートのサイズを大きくしたり、前の子どもは体育座りで後ろの子どもは椅子に座るようにしたりと工夫しましょう。
こどもの日はペープサートでこいのぼりの由来を伝えよう
今回は、こどもの日の出し物で楽しめる、ペープサートの台本の例や作り方を紹介しました。
ペープサートの劇を通して、こどもの日の由来や込められた願いを子どもたちに伝えられるとよいですね。
人形も舞台もシンプルな作り方で簡単に作れるので、工夫すれば保育士さんの準備の手間を省くことができる出し物です。
ペープサートをこどもの日の出し物に取り入れて、こいのぼりの由来をわかりやすく伝えましょう。