こどもの日に向けて、こいのぼり製作の指導案を作成する保育士さんもいるでしょう。ねらいや配慮、環境構成など、何を書けばよいのか悩むこともありますよね。今回は、0歳児から5歳児までのこいのぼり製作の指導案の実例を紹介します。導入の方法や製作の選び方、援助の手立てなど、計画に役立つポイントもまとめました。

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■目次
こいのぼり製作の指導案を立てよう!
5月5日のこどもの日に向けて、こいのぼりの製作をする保育園も多いかもしれません。
そもそもこいのぼりは子どもたちの健やかな成長を願って飾られる、こどもの日の風物詩です。「激しい流れの滝を登ることができた『こい』は、竜へと姿を変えた」という中国の登竜門伝説が由来とされています。
保育園の製作で取り入れるときは、健康や出世の象徴であるこいのぼりに込められた願いや意味を知ったうえで、ねらいや活動内容を計画できるとよいですね。
それでは、こいのぼり製作の指導案の作り方を年齢別に見ていきましょう。
【0歳児向け】こいのぼり製作の指導案例
ねらい
行事の雰囲気を味わう
難しい言葉や説明がうまく理解できない0歳児ですが、保育士さんたちがにこやかに明るく声かけをしながら製作を行えば、子どもたちも楽しい気持ちになるかもしれません。
「ペタペタしようね」「ぬりぬり楽しいね」とオノマトペを意識して接することも大切になるでしょう。
製作を通して素材への興味を養う
0歳児の子どもが、さまざまな素材にふれて感触や見た目を楽しめるようにしましょう。
感触を楽しめる素材には、絵の具やフラワーペーパー、新聞紙などが挙げられます。
「ぐしゃぐしゃ、ざらざら」など保育士さんが感覚を言葉にして伝えると子どもたちも楽しめそうです。
あざやかな原色を使ったこいのぼりを製作すれば0歳児の子どもたちの目を惹くかもしれませんよ。
導入の例
こいのぼりを実際に見る
保育園の中には、園舎にこいのぼりを飾っていることもあるでしょう。
外気浴やお散歩の際に本物のこいのぼりを見に行くと、子どもたちの印象に残るかもしれません。
実際に見ておくことで、イメージが広がったり、こいのぼりへの親しみが湧いたりすることにもつながりそうです。
歌やペープサートから親しむ
導入では、簡単なメロディの手遊びや音楽を歌って楽しい雰囲気を作ると、子どもの注目も自然と集まるかもしれません。
「これから何か楽しいことが始まる」というワクワクを感じられるとよいですね。
製作、援助のポイント
安全への配慮をする
0歳児クラスで製作を取り入れるときは、安全にしっかり配慮することが大切になります。
何でも口に入れたり、汚れた手をなめたりする時期のため、誤飲のないよう保育士さんが側についてしっかり見守りましょう。
また、子どもの手が届く範囲にセロテープ台やはさみ、鉛筆など危険なものを置かないよう十分注意してくださいね。
子どもが楽しめる範囲で実施する
0歳児の子どもにとって、製作の道具や素材は初めて使うものばかりかもしれません。
そのため、子どもたち一人ひとりの能力や興味に合わせて援助していくことが大切です。
特に『初めて』の事柄に対して不安な様子の子どもには、気を配る必要があるでしょう。周りの子どもが製作を楽しむ様子を見せたり、保育士さんとスキンシップを取りながら行ったりと工夫できるとよいですね。
【1歳児向け】こいのぼり製作の指導案例

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ねらい
行事の雰囲気を楽しむ
1歳児クラスにおけるこいのぼり製作のねらいには、行事の雰囲気を楽しむことが挙げられます。
こいのぼりに限らず、季節の行事の製作を通して活動することは、1歳児の子どもが園生活に期待感や充実感を持つことにつながるかもしれません。
こいのぼりに親しみを持つ
こいのぼりの製作を通して、1歳児の子たちがこどもの日の風物詩に親しみを持ってくれるよう楽しい雰囲気を作りましょう。
製作を保育室に飾るときは、子どもの目を惹くように位置や飾り方を工夫することで、「あ!」とこいのぼりを指差して『自分が作ったよ』と教えてくれるかもしれません。
導入の例
手遊びや音楽を使って導入する
1歳児になると、保育士さんが簡単な手遊びをすると、じっと見つめたり真似をしたりと関心を持つことも多いでしょう。
こいのぼりやこどもの日をモチーフにした手遊び歌を行えば、子どもの関心を育めるでしょう。
完成した製作を見せて導入する
保育士さんが製作の見本を持って「今日はこれを作るよ!」と楽しそうに見せてみましょう。
こいのぼりが泳いでいるように動かしてみたり、こいのぼりをパペット代わりにしゃべらせたりと、子どもが「楽しそう!」と感じてくれるような導入ができるとよいですね。
製作、援助のポイント
子どものできることに合った製作をする
1歳児の子どもたちが「楽しみながらできる内容」を考えることが大切です。
こいのぼり製作の場合、クレヨンでのなぐり書き、スタンプ、シール貼り、手形などを取り入れられるでしょう。
子どもの月齢や個性、好きな遊びを観察して、保育士さんが援助しつつも、子どもが主体となって楽しめるこいのぼり製作を選びましょう。
段取りよく援助できるよう計画する
5月に行うこいのぼり製作では、まだクラスの子どもたちも月齢によってできることの差が大きい時期と言えそうです。
自然と保育士さんの援助が多くなるため、スムーズに活動できるよう製作の流れをしっかり考えておきましょう。
段取りよく製作が進むよう、子どもが作る部分と保育士さんが援助する部分を事前に考えたり、使う道具や片付け用品を準備しておいたりと工夫するとよいですね。
【2歳児向け】こいのぼり製作の指導案例

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ねらい
達成感を味わう
2歳児になると、自分自身でやりたいという意欲を持つ子どもも増えてくる頃でしょう。
製作もその一つで、「自分でこいのぼりを作ったぞ」と達成感を得られることができれば子どもたちの自信になるでしょう。その後の生活の中でも何かやってみようという意欲につながるかもしれません。
製作が終わったあとも作品を眺めて達成感やよろこびを味わえるよう、子どもの目に留まる飾り方を工夫するとよいですね。
素材に触れて楽しむ
2歳児の製作では素材に触れて、感触や質感の違いを楽しむこともねらいの一つでしょう。
どのような素材やお絵かきの技法であっても、紙の色や種類、描ける模様の違いなど、新鮮な発見があるのではないでしょうか。
いろいろな素材に触れることで子どもがどのように感じるかを想像しながら、こいのぼり製作を設定してみましょう。
導入の例
簡単な手遊びや歌で導入する
2歳児は簡単な手遊びをまねして楽しめるようになる頃かもしれません。
保育士さんへの注目を集める手段として、手遊びや歌を取り入れてもよいのではないでしょうか。
いつもの手遊びをこいのぼりバージョンにアレンジしてみると、行事の雰囲気を楽しめそうですね。
歌に合わせてペープサートやスケッチブックなど視覚教材を活用することで、よりイメージが伝わりやすくなるでしょう。
できたものを見せて導入する
あらかじめ作っておいたこいのぼりを楽しそうに見せるのもひとつの方法です。エプロンやズボンのポケットの中から出してみると、より興味を惹くかもしれませんね。
製作、援助のポイント
クラスの子どもの様子を見て道具や素材を選ぶ
こいのぼり製作で使う道具や素材選びはクラスの子どもの姿に合わせて考えていきましょう。
2歳児といっても、これまでの経験や個性から子どもたちの興味や関心、できることは異なるようです。
目の前の子どもたちが「どのような素材や道具を使えるのか」「それに触れてみてどのような反応をするだろうか」と考えて、製作のテーマを選ぶようにしましょう。
子どもが行うこと、保育士が援助することを明確にしておく
2歳児はできることが増えつつあるものの、まだ月齢の低い5月だと複雑な工程のこいのぼり製作は難しいかもしれません。
こいのぼりの製作を通してねらいを子どもが十分に達成できるよう、保育士さんが必要な援助や準備をするようにしましょう。
【3歳児向け】こいのぼり製作の指導案例

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ねらい
表現の楽しさを味わう
3歳児になると、製作やお絵かきに期待感を持って自発的に取り組んだり、自分で描いたものを「見て!」と保育士さんにアピールしたりするかもしれません。
さまざまな表現をできるようになり、道具の使い方も少しずつ覚えながら製作遊びを楽しむことでしょう。
3歳児クラスでは、こいのぼり製作が一つのきっかけになるような、楽しい活動を考えていきましょう。
さまざまな素材に触れる
3歳児の子どもは素材の違いや名前なども理解し始める頃でしょう。
お絵かきで使う道具や素材も、ペンやクレヨンだけでなく、貼り絵、絵の具スタンプ、紐スタンプなどと工夫すれば、子どもも新しい表現を楽しめるかもしれません。
今まで使ったことのない素材でこいのぼりを作り、素材の面白さを伝えていきましょう。
園での生活に期待が持てるようにする
3歳児では定員も増えることから、4月から入園してくる子どもも多いかもしれません。
こいのぼり製作は入園式に次ぐ季節の行事です。製作を通して楽しい時間を過ごすことで、これからの園生活がより楽しみに感じられるような活動にしたいですね。
行事に親しんでもらうためにも、こいのぼりに興味が湧くような導入を行ったり、子どもたちが自分の力で楽しめるような製作を取り入れたりすることが大切です。
導入の例
ペープサートや手袋シアターで導入する
こいのぼりに親しめるよう、ペープサートや手袋シアターで短いお話を楽しんでみましょう。
お話の最後にこいのぼりの歌をみんなで歌えば、行事の雰囲気が盛り上がるかもしれません。楽しい雰囲気を作り、スムーズにこいのぼり製作に移りましょう。
簡単な絵本を通して導入をする
3歳児は物語のある絵本も少しずつ楽しめるようになる頃です。
こいのぼりやこどもの日が出てくる絵本を読み聞かせて、子どもの興味や関心を育みましょう。
絵本の内容やイラストの雰囲気を、こいのぼりの製作に活かしてみてもよいかもしれませんね。
製作、援助のポイント
使ったことのない表現や素材を取り入れる
前年度の様子を思い出したり、元担任の保育士さんに聞いたりしながら、子どもたちがまだふれたことのない表現や素材を取り入れていきましょう。
初めて使う教材は丁寧に使い方や名称を伝え、しっかり素材にふれる機会を作ることも大切です。
やりたい気持ちを受け止めた援助をする
3歳児は身の回りのことも自分で行い始め、自分でやりたい気持ちもさらに増してくる時期でしょう。
できることが増える一方で、はさみの使用や絵の具の扱いなどに慣れていない子もいるかもしれません。
子どものやりたい気持ちを受け止めたうえで、なるべく自分でできるような環境構成や、見本を見せる、やり方を伝えるなど、意欲を損なわない援助を心がけましょう。
【4歳児向け】こいのぼり製作の指導案例

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ねらい
季節の行事を楽しむ
4歳児になると、季節の行事をただ楽しむだけでなく、自身の身の回りの変化にも目を向けることも多くなりそうです。
園舎にこいのぼりが飾られていることに気づけば、季節の移り変わりや行事に関する事柄に目を向けるきっかけになるのではないでしょうか。
はさみや筆など道具を工夫して使う
4歳児はより細かい作業にも挑戦できるようになるでしょう。
例えばはさみであれば、ただ切るだけでなく、まっすぐ切ったりジグザグに切ったりと道具の使い方を考えながら、自ら工夫してみようと考える時期かもしれません。
ねらいには子どもたちの発想の大切さを表す一文を記載するとよいですね。
導入の例
絵本から子どもの関心を引き出す
4歳児になると、少し長い絵本の内容もスムーズに理解できるようになる子どももいるでしょう。
こいのぼりが出てくる絵本の読み聞かせを楽しんだら、感想や思ったことを伝え合うとよいかもしれません。言葉で自分の考えを表現することができれば、製作へのイメージも広がりそうです。
子どもとのやり取りの中で導入する
4歳児は先生や友だちとのおしゃべりを活発に楽しむようになる時期でしょう。
こどもの日がどのような日かを聞いてみたり、こいのぼりを見たことがあるか聞いてみたりとやり取りを楽しむ中で、自然にこいのぼり製作に移っていけるとよいですね。
製作、援助のポイント
少し長い工程の製作を取り入れる
4歳児になると少しずつ遊びに対する集中力が高まると言われています。
以前は飽きてしまうだろうと挑戦できなかった長い工程の製作にもチャレンジすることができるでしょう。子どもたちが意欲的に取り組めるような工程を考えて準備するとよいかもしれません。
表現の幅を少しずつ広げる
こいのぼり製作で覚えた表現方法を、日々の工作遊びにも少しずつ取り入れる子も多いのではないでしょうか。
絵の具の技法や新しい道具など、さまざまな表現を取り入れた製作を行ってみましょう。
「知っていること」「体験したこと」が積み重なれば、できることが増えて子ども自身も自らの成長を感じることができそうですね。
そのためには、製作で使用した素材を工作コーナーに置いたり、子どもが自由に道具を使えるよう環境を整えたりと工夫してみましょう。
こいのぼり製作の飾り方を工夫する
製作後は、行事に親しみを持てるよう、こいのぼりの飾り方を考えてみましょう。
また、大きな模造紙にみんなでこいのぼりを描くなど、友だちといっしょに取り組める製作を用意してもよいですね。
個人の作品が目立つように飾るだけでなく、みんなの製作を集めて1つの大きなこいのぼりに見立てるなど工夫してみましょう。
【5歳児向け】こいのぼり製作の指導案例

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ねらい
季節の行事を通して時間の流れや変化に気づく
5歳児は園での生活を少なくとも1年以上経験した子がほとんどで、こいのぼりの製作をしたことがある子どもも多いのではないでしょうか。
「4歳のときの製作から1年が過ぎた」ことから、時の流れやカレンダーの見方などを伝えてみてもよさそうです。
小学校入学を見据えて、時間の流れや変化に興味を持つようなねらいを考えてみましょう。
難しい表現に挑戦し、意欲や自信を養う
5歳児は今までの経験が自信となり、新しいことに挑戦したいという意欲を持つ子どもも多いでしょう。
そういった好奇心やチャレンジ精神を表したねらいを設定してもよさそうです。
導入の例
こいのぼりの由来や意味を題材にした絵本の読み聞かせ
物語への理解力も深まる頃のため、こいのぼりやこどもの日の由来を伝える絵本を取り入れるとよさそうです。
こいのぼりに込められた願いや昔の人の思いを知り、お祝いしてくれる周りの人への感謝の気持ちや、元気に大きくなれたことへのよろこびを感じられるかもしれませんね。
子どもとのやりとりを楽しむ
これまでの経験からこいのぼりに対する理解も進んでいる時期でしょう。
絵本以外にも保育士さんとのやりとりを楽しむというのもひとつの方法です。
「保育園のこいのぼりは、全部で何匹いるでしょう」などのクイズを出題し、こいのぼり製作に移ってもよいでしょう。
製作、援助のポイント
自分たちで表現方法を工夫しながら製作できるようにする
5歳児クラスの製作では、子どもたちが自分たちでアイデアを出しながら製作できるよう、作り方を工夫するとよいかもしれません。
例えば、
- こいのぼりのうろこに使う飾りを子どもたちに選んでもらう
- はさみを使うときは自分で考えて切れるよう、切り取り線は書かない
といった工程を取り入れてみましょう。
「子どもたちの思考力や主体性を育むためには、どのような活動にすればよいのか」を考えることが大切ですね。
援助のタイミングを見極める
子どもが「自分でできた」という達成感を味わえるよう、保育士さんは援助するタイミングを見極めるとよいでしょう。
5歳児になる頃には、子ども同士で教えあったり、何度か挑戦してできるようになったりと自分たちで解決しようとする姿も多くなりそうです。
すぐにできなくても子どもたちが自身で解決できるよう、傍について見守ったり友だちに教えてもらえるよう促したりと、自発性を育む関わりを心がけていきましょう。
指導案をしっかり考えてクラスに合ったこいのぼり製作をしよう
今回は、0歳児から5歳児クラスのこいのぼり製作の指導案の作り方を紹介しました。
まずは年齢に合ったねらいを設定し、それに沿って導入やこいのぼり製作のテーマ、飾り方を決めるようにしましょう。
このとき、年齢だけでなくクラスの子どもの姿や雰囲気を考慮して適切なねらいや製作アイデアを考えていくことも大切です。
一人ひとりの子どもの姿を想像して、クラスに合ったこいのぼり製作をしていきましょう。
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