転職活動をしている保育士さんの中には、自分に合った求人の探し方が分からないという方もいるのではないでしょうか。求人には項目がたくさんあるため、どこを見るといいのか迷ってしまうこともあるでしょう。今回は保育士の求人の探し方について、いい求人を見つけるために見るべきポイントや探す方法について紹介します。

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自分に合った求人を見つけるには?
自分にとっていい職場を見つけるためには、給料や勤務時間といった条件が求めているものと合っているかどうかを見極めることが大切になるでしょう。
そのため、保育士さんが転職を考えるにあたって、まず自分自身が「理想とすること、重視すること」を明確にし、転職においての軸を決めてから求人を見ていくようにしましょう。
では、自分に合った求人を見つけるために気を付けるポイントを紹介します。
自分の希望と求人をしっかりと比較する
自分に合った求人を見つけるためには、以下のようなポイントに視点をおいて確認しましょう。
- 園の方針・保育内容に共感できるか
- 給与・待遇、手当て面が自分の求める条件に近いか
- お休み、ワークライフバランスが自分の価値観に合っているか
- 職場の環境や人間関係が自分の雰囲気に合いそうか
保育士さんの転職では、給料や手当てなどの待遇面、ワークライフバランスなどの働き方、職場の環境や保育園の方針など、人によって重視するポイントはたくさんあります。
また、自分が希望する保育園に転職・就職するためには、保育園の方針や特徴、雰囲気といった情報をできるだけ多く集めて、自分の希望と相違がないかを確認することが大切です。
しっかり情報収集をして園ごとに比較すれば、自分に合った求人を見つけることができるでしょう。
自分の求める軸をしっかりと定める
求人をたくさん見ていくうちに、自分の決めた軸がぶれやすくなることもあるかもしれません。自分の軸がぶれてしまうと、自分が求めているものがどれなのか曖昧になってしまいます。
つい「自分の理想とは違うけれど、給料も悪くないし、いいかな・・・」などと思ってしまいがちですが、のちに自分の理想と一致しない点がネックとなり再度転職を考えることになってしまうかもしれません。
就職や転職での失敗を防ぐためにも、自分が重視し、絶対に譲れないというポイントを押さえておきましょう。
自分に合った求人を探すために気を付けることを踏まえたうえで、次は求人で見るべきポイントについて紹介します。
保育士の求人で見るべきポイント
求人サイトや求人情報誌に掲載されている求人票には、給料や勤務時間、休暇などのさまざまな情報が載っています。
では、保育士さんがいい転職先を探すためには、具体的にどこを見ればいいのでしょうか。
給料・手当
求人を見る際に給与面について気になる方が多いことでしょう。
特に記載がない場合、給与は「額面」と記載されています。そもそも額面は、基本給に残業代や交通費といった諸手当が合計されている金額のことを言います。
つまり、求人に記載されている給与から健康保険料や年金料、雇用保険料などが差し引かれた金額が手取り額となります。
「基本給・固定給・月給」など、園によってさまざまな記載方法があることも知っておきましょう。
正職員の場合は、賞与の支給の有無や、賞与がある場合には年間で何カ月分なのかについても確認しておくことが大切です。
また、残業代の記載にも注意するようにしましょう。
「みなし残業手当」「固定残業手当:時間分」のような記載がある場合、これは最初から固定給に一定時間分の残業代が含まれているということになるため、あわせて把握しておくとよさそうです。
就業時間・休日など
勤務時間や休日の日数、休みの取りやすさなどを確認しましょう。
多くの園ではシフト制を取り入れており、早番の場合には朝7時頃から出勤することもあるかもしれません。
勤務時間は保育園によって異なるため、仕事とプライベートを両立したいという保育士さんは、勤務時間が短いことを優先条件として探してみましょう。
また、お休みについては「週休2日」や「土日休み」なども園によって異なるため、しっかりと確認するとよさそうです。
土曜日も開所している園もあるため、もし出勤した場合には代休がどれぐらい取得できるのかなども把握しておきましょう。
有給休暇は、ある一定以上の時間働いた人に必ず与えられる権利ですが、実際に取得しやすいかどうかは園によって異なるため、求人票に有給休暇の取得率について記載があるかを見ることもポイントです。
有給休暇が付与される日数も園によって異なりますが、おおむね年間10日といったところが平均的のようなので、参考にしてみるといいかもしれません。
残業時間の有無
就業時間が書かれている欄の「時間外」という項目に、月の残業時間が記載されていることもあります。
ただし、これはあくまで目安であることが多く、実際の残業時間は保育園によって異なるので注意しましょう。
実際の残業時間の目安を確かめるには、直接問い合わせるか、転職サイトを利用している場合は、担当のアドバイザーに相談するという手もあります。
また、残業手当が支給されるかも把握したいところですね。
特に、家庭の事情などで残業ができないという場合は、あとで認識の違いによってトラブルにならないように面接の際には必ず伝えましょう。
近年は、残業時間を減らしたいと考える方も増えているため、勤怠状況をきちんと管理し、残業の削減に取り組んでいる保育園の求人が人気を集めているようです。
雇用形態
保育士さんの転職では「どんな雇用形態であるか」は、仕事内容に関わる重要な点でしょう。
保育士さんの雇用形態には、大まかに以下の4種類があります。
正規職員・正社員
フルタイムで働くのが正社員の保育士さんです。
担任などを持つことが多く、園では保育の中核を担います。待遇面では、他の雇用形態の保育士さんよりはいい傾向にあり、給与に加えて賞与などが支給されるケースが多くなっています。
また最近では、産前・産後の保育士さんが子育て等と仕事を両立しやすいようにと、短時間正社員制度を導入している施設も多く、「短時間正社員」も増えているようです。
自分の状況にあわせて、確認してみるのもよさそうですね。
契約社員・嘱託
あらかじめ契約期間を決めて働くのが契約社員の保育士さんです。
たとえば1年ごとに契約期間を設け、1年経ったら契約を更新するというような形が取られています。園によってはクラス担任を任されることもあるようです。
パート
時短勤務や曜日を限定して働くのがパートの保育士さんです。
パートを募集する求人の場合は、時給単位での募集が多いようです。特に結婚後や子育てがひと段落した後に職場復帰する保育士さんなどが、こうした柔軟な働き方を選ぶそうです。
保育補助
まだ保育士資格を持っていない人に、アルバイトという形で補助的に手伝ってもらうのが保育補助です。
保育士資格を持っていなくても保育施設での勤務実績にカウントされるため、保育士試験を受験する際に有利になる場合があります。
社会保険
求人票で「社会保険完備」という記載をよく見かけるかもしれません。
この社会保険というのは雇用保険・労災保険・厚生年金保険・健康保険の4種類のことを言います。
「社会保険完備」という記載がない場合は、国民年金や国民健康保険などに別途加入することが必要な場合もありますので、きちんと確認しましょう。
施設形態
2015年に子ども・子育て支援新制度がスタートして以来、認可保育園以外にもさまざまな形態の保育施設が設立されています。
それぞれの施設で定員や預かる子どもの年齢にも違いがありますので、よく理解しておきましょう。
保育士さんが働ける保育施設には、以下のようなものがあります。
認可保育園
認可保育園は、最もポピュラーなタイプの保育園です。
保育士の人員配置や、子ども一人あたりのスペースが国の基準によって厳格に決められています。
ただし、園庭の有無やそれぞれの年齢の定員などは園によって異なるので注意しましょう。
小規模保育園
2015年にスタートした新しいタイプの認可保育園で、0~2歳児のみ、定員は19人以下と定められています。園児の定員も少ないため、職員数もそこまで多くないのが特徴といえるでしょう。
また、定員が少ないため園庭を持たないという園も多く、テナントやビル内にある保育園も珍しくありません。
企業内保育
主に企業の従業員の福利厚生のために、事業所内もしくはその近隣に設置されている保育園です。
地域の子どもも受け入れ可能な枠が設定されたことで、近年は国の補助も拡大しており、認可保育所並みの人員配置を実現している園もあります。
病児保育
熱や風邪などの病気にかかった子どもを臨時的に保育するのが病児保育です。
小児科病院などに併設されている「施設型」のほか、ベビーシッターのように利用者の自宅で保育する「訪問型」があります。
認定こども園
幼稚園と保育園の両方の特徴を持った施設で、保護者が働いている・いないを問わず子どもを預かることができるのが特徴です。
子育て新制度が開始してから全国的に増加しており、その多くは幼稚園や保育園から移行したものです。
認定こども園では、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っていることが望ましいとされており、どちらも持っている方を「保育教諭」といいます。
認定こども園では、保育園と同じくシフト制の労働時間をとっている園が多いようです。
認可外保育園
認可外保育園は、施設の広さや職員の数など国が定める基準を満たしていないために認可を受けていない保育園です。
都道府県や自治体によって設けられた独自の基準を満たしている認証保育園は認可外保育施設に含まれます。認可外保育施設には、ベビーホテルやベビーシッター、事業所内保育施設や院内保育施設などがあります。
保護者の多様化するニーズにあわせて柔軟な保育を提供している園が多く、園によって特色はさまざまなようです。
所在地・通勤時間
保育園の所在地や最寄りの駅はどこで、自宅からの通勤時間はどれぐらいかかるのかも重要なポイントでしょう。
早番や遅番がある仕事ということを考えると、自宅から30分以内で通勤できる場所が理想的かもしれません。バイクやマイカー通勤の可否についても、求人に書いてあることが多いのできちんとチェックしておくようにしましょう。
試用期間と待遇
試用期間と、その期間中の待遇も重要といえるでしょう。
「入社後2カ月間は試用期間となります」などの記載がある場合は、試用期間中の雇用形態や各種条件が正式な入職後とは大きく異なる場合があります。
求人票に記載がない場合は、面接時に試用期間中の条件を尋ねて確認することが大切です。
また、「有期雇用」という雇用形態は契約期限が定められているため、記載がある場合には正規職員への登用の可能性があるのかをきちんと確認しておきましょう。
保育士求人を探す方法

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自分に適した求人や保育園を探す方法と、求人を探すときの注意点を紹介します。
いい求人の探し方
まずは、いい保育士求人を探す方法を見ていきましょう。
保育園のウェブサイト、ブログを見て比較する
いい転職先を見つけるためには、求人サイトだけでなく、保育園のホームページやブログを見ることも大切です。
最近では子どもたちや園の様子をブログやSNSで発信している園も増えています。
現場の先生が更新していることが多いため、園内や職員の雰囲気も伝わってくるでしょう。
また、複数の保育園のパンフレットを取り寄せて園の雰囲気を比較してみると、自分が求めている園がどこなのか見つけやすくなるかもしれません。
エージェントを利用する
転職エージェントは、求職者にとって最適な転職をサポートしてくれるサービスです。
エージェントを利用すれば、プロが自分に合った保育士求人を紹介してくれるため、自分で探すことに不安がある方や求人の探し方が分からないという方にはおすすめの探し方といえるでしょう。
また、求人を探してくれるだけでなく、その後の提出書類の添削や面接対策までサポートしてくれることが多いので、活用してみるのもいいかもしれませんね。
園見学や保育参加で実際の現場を知る
自分の中で候補に挙げた保育園へ見学に行ってみたり、保育園の説明会に参加してみるのもいいでしょう。また、実際に保育実習に参加させてもらったりボランティアとして保育に参加してみたりするのもよさそうです。
実際の現場の情報を集めることで、保育園がどのような方針のもとで保育をしているかや、保育士さんの雰囲気などを知ることができるでしょう。
事前に園の保育や職員の雰囲気を知っておくと、入職した際に「思っていたのと違った」というギャップを感じることが少なくなるかもしれません。
注意するべき求人の探し方
ここまでは自分に合ういい求人の探し方を紹介しましたが、反対に求人を探すうえでの注意点を紹介します。
具体的には、以下のような理由で安易に就職先を決めないことがポイントになります。
- 自宅からの距離が近いという利便性だけを見る
- 他の施設と比べて高額、という給与面のみを見る
- 知人や友人の紹介で、保育園の情報を知らないまま決める
以上のように、求人に掲載されているさまざまなポイントのうちの一点のみを見たり、情報が薄い状態で応募を決めてしまったりすると、入職前後でのギャップが大きくなり、早期退職につながる恐れがあります。
さらに、常に求人を出している保育園にも注意するようにしましょう。
新規開園や規模の拡大で募集しているところは別として、いつでも求人募集がある保育園は、その分離職率が高いということも考えられるので、きちんと園の情報を確認することが大切です。
このように、求人に掲載されているあらゆる情報を一つずつ検討したり、より多くの情報を集めたりすることで、自分が求めるいい求人に出会うことができるでしょう。
保育士の求人の探し方を押さえて、自分にとっていい求人を見つけよう
今回は、保育士の求人の探し方について、見るべきポイントや、求人を探すときの注意点について紹介しました。
転職活動をしている保育士さんは、自分の中で重要とする軸を設定し、そこからぶれることがないように求人を探すといいでしょう。
また、どのような点に気をつけて求人票を見ればいいのを理解したうえで、いろいろな園の求人を比較して見極めることが大切になります。
今回紹介した保育士の求人の探し方を参考にして、いい求人を見つけられるといいですね。