【10の姿】「協同性」 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿

2018年(平成30年)4月からスタートする、改訂版保育所保育指針・幼稚園教育要領では「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が10個盛り込まれています。これは小学校教育との連続性や、保育所保育が子どもをどう成長させたか、を考えるための目安。今回は、そのひとつである「協同性」の項目について、現場の保育士の視点からポイントを解説します。子どもたちは園生活の中で、友達と関わりながらさまざまなことを学んでいきます。共に成長し、喜びを分かち合ったり時には喧嘩をしたりする中で、「協同性」が育まれていくのです。保育者として、こうした成長のため、どんなアプローチをすべきでしょうか。


【10の姿】「協同性」 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿

協同性

「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園・保育要領」の3つの法令にによると、「協同性」とは、"友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したり、充実感をもってやり遂げるようになる"と示されています。
遊びの中で友達と言葉のやりとりをすることで、イメージを共有し、「◯◯ごっこをしよう」「一緒に◯◯に行ってみよう」といった共通の目的を持つことができます。友達とのやりとりをしていくと、自分と違う考え方に出会うこともありますが、異なる考え方を擦り合わせ、話し合いをしながら選択・決定をすることも大切な経験です。

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保育現場で「協同性」の具体的な事例

<遊びの中で役割分担を決める経験〜ごっこ遊び〜>

4歳児クラスでは、遠足で水族館へ行った後から「水族館ごっこ」が流行りだしました。遠足後には思い出に残ったことを絵に残す活動を行い、みんなの前でどんなことが印象的だったか発表する機会を設けました。
そういったこともあり、子どもたちの間では水族館に関するイメージがより深く共有され、ごっこ遊びに発展したのだと思います。「らっこさんと水族館のお姉さん」「ペンギンショーごっこ」など、それぞれ役割分担を決めて楽しむ姿が見られます。
子どもたちのやりとりを見ていると、「僕も水族館の人がやりたかった!」「じゃあ順番でやろう」といった会話がなされています。担任はやりとりに介入せず、子どもたちが自分たちで話し合い遊びを進めていく様子を見守りました。


<発表会に向けて共通の目的を持つ〜みんなで看板製作〜>

5歳児クラスでは、冬の発表会の準備を進めています。発表を見に来てくれるお客さんのために、案内表示の看板を作ることになりました。1メートル×2メートルの大きな段ボールに模造紙を貼り、クラスでひとつの看板を作ります。
どうやって看板作りを進めたら良いか、みんなで話し合いをする時間を設けました。最初は、それぞれに描きたいイメージを発表し、具体的にどうやって進めていくかまでは決まりませんでしたが、保育者が「絵はどうやって描こうか」「誰が絵を描こうか」「どんな文字を入れたら分かりやすいかな」と適宜投げかけることで、具体的な製作方法と役割分担が決まっていきました。
模造紙に描き始め前に、みんなの投票で選ばれたデザイン案を黒板に貼り、完成図のイメージが共有できるようにしました。製作の過程では、気持ちがぶつかり合う場面もありましたが、言葉のやりとりをもって解決し、看板は無事に完成。クラスの共通の目標を達成することができました。
発表会の当日には「あの看板はね、みんなで描いたんだ」と保護者に嬉しそうに紹介する子の姿がありました。


<保育者対子どものやりとりで、気持ちを伝え合う〜散歩中の秋探し〜>

「言葉でやりとりを行い、イメージを共有する」というと、4・5歳児の姿を想像しますが、それは乳児期からの積み重ねによって見えてくる姿です。
1歳児のクラスでは、「季節感を楽しみながら散歩をする」が今週の目標。赤く染まった葉っぱやを見つけたり、ちょっと冷たい風を感じながら、近所の公園へ出掛けました。
「みんな、葉っぱが赤いね」と、葉っぱの変化に気づいてほしいと思った新人の担任保育士が声を掛けましたが、子どもたちはあまり関心を示しません。そこで、先輩保育士が「まっかだな〜まっかだな〜」と、「真っ赤な秋」を口ずさむと、子どもたちも真似て歌い始めました。滑り台の下に落ちている葉っぱを見つけて「先生、まっかか」と教えてくれる子もいました。言葉で具体的なイメージを伝えるよりも、子どもたちが大好きな歌で楽しくイメージを共有することができた事例です。


子どもたちの「考える」「伝え合う」をよく観察する

協同性を育もうと子どもたちに向き合った時、保育者が注意すべきことは、子どもたちに介入しすぎてしまうことです。子どもたち自身がイメージし、考えを深め、言葉で伝えあおうとしているのに、先回りをして答えを言ってしまったり、必要以上のアプローチをすることで想像する機会を奪ってしまう可能性があるのです。
これは、子どもたちの発達段階や個人の性格を考慮して適切な働きかけを考えていく必要があります。今、この子はどんなことを考え、どんなことを言いたいのか。一人ひとりの姿をよく観察しながら、ちょうど良い距離間で見守っていきたいものです。


改定保育所保育指針 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿


新・保育所保育指針の重要ポイント!「10の姿」について、それぞれの視点とエピソードを解説します

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