【10の姿】「道徳性・規範意識の芽生え」とは。遊びから子どもの姿を読み取る実践事例

保育所保育指針・幼稚園教育要領の改定により示された「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」。今回は、そのなかの一つ「道徳性・規範意識の芽生え」とは何か、遊びの実践事例とともに保育士の視点でまとめました。園生活の中で子どもたちが道徳や規範を身につけるためにどのような働きかけができるでしょうか。


滑り台から降りる子どもの写真

T.TATSU/shutterstock.com

 

10の姿「道徳性・規範意識の芽生え」とは

厚生労働省「保育所保育指針解説」では、「道徳性・規範意識の芽生え」について以下のように説明しています。

 

友達とさまざまな体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。 また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる

出典:保育所保育指針解説p81/厚生労働省より抜粋

 

友だちと関わる中で相手の立場になって考えられるようになり、きまりの必要性を学んだり、自分の気持ちに折り合いをつけられるようになったりすると言えるかもしれません。

 

道徳や規範は大人が言葉で伝えて教えるよりも、友だちとの関わりの中で少しずつ身につくようです。

 

保育士さんは子ども同士がよりよく関わり合えるような活動を考えたり、必要に応じて間に入り働きかけたりすることが求められるのかもしれません。

 

出典:保育所保育指針解説p81/厚生労働省

保育中の遊びで「道徳性・規範意識の芽生え」が具体的にあらわれる実践事例

 

1歳児~2歳児

 

1歳児や2歳児ではどのようにルールについて伝えていくのがよいでしょうか。

すべり台での実践事例についてみていきましょう。

 

<活動内容:公園へお散歩>

 

この日はお天気が良かったので、クラスで近所の公園へお散歩に出かけました。 大きなすべり台やブランコなど、保育園にはない遊具があり子どもたちは大喜び。 保育士さんは、思い切り体を動かして遊ぶ子どもたちを見守っていました。


事例を現した表1

この実践事例では、楽しくルールを守れる工夫をすることで、順番を守って遊ぶことの気持ちよさや嬉しさを感じることができました。

 

こうした経験の積み重ねが、道徳性や規範意識を育むための土台となっていくでしょう。

 

3歳児~4歳児

 

子どもたちは思いを伝え合う過程で、相手の気持ちを尊重する大切さを知ることができるでしょう。

 

子ども同士の伝え合いに必要なことは何か、おみせやさんごっこの実践事例から解説します。

 

<活動内容:お店屋さんごっこ>

 

子どもたちの間では、おみせやさんごっこが流行っています。

 

お花屋さん、車屋さん、床屋さんなど、それぞれの興味に合わせてクラスの中にいろいろなお店を出展。

 

素材置き場には段ボールや色紙が置いてあり、子どもたちは自由に使うことができるようになっています。


事例を現した表2

3歳児や4歳児では、カッとなってしまったら落ち着いて話をすることはできないかもしれません。

 

保育士さんが様子を見て仲介したり、一度落ち着いて話をする気持ちを整えたりすることが、子ども同士の伝え合いにつながるでしょう。

 

このような伝え合いが、ルールを守る意識や、相手の気持ちを考える道徳性に育っていくのではないでしょうか。

 

4歳児~5歳児

 

子どもたちは公共の場でのマナーについても知っていく必要があります。

 

園外活動の実践事例をみていきましょう。

 

<活動内容:園外活動>


事例を現した表3

この事例のように、公共の場へ出て行くと、園の中では学べないことがたくさんあります。

 

高齢者や障害者、地域のいろいろな人々と関わる機会を設け、社会規範や人の心を考えるきっかけを作るようにしましょう。

10の姿「道徳性・規範意識」の観点を意識するときのポイント

保育者と子ども

milatas/shutterstock.com

 

10の姿「道徳性・規範意識」の観点から、保育をするうえで意識したいポイントをまとめました。

 

ルールについて楽しく学べる機会を作る

 

紙芝居や絵本などを通じて、楽しくルールにふれる工夫をするとよいでしょう。

 

特に2歳児や3歳児などは、ルールをわかってはいる一方で、まだ自分の気持ちをコントロールできないこともあるのではないでしょうか。

 

楽しくルールにふれながら、その大切さを繰り返し伝えていくことで、子どもの中にルールを守ろうという意識が芽生えるかもしれません。

 

子ども自身の葛藤に寄り添う

 

子ども自身、きまりの大切さが分かりつつも、自分の気持ちとのせめぎ合いが生まれることもあるでしょう。

 

保育士さんが葛藤している心に寄り添って受け止めることで、子どもは安心して自分の言動を振り返り、考えることができるかもしれません。

 

ルールやきまりに納得して、自分の心に折り合いをつけられるように、保育士さんは問いかけたりいっしょに考えたりしていくこととよいでしょう。

 

子ども同士の伝え合いを認めて、支える関わり方をする

 

もめごとや困り事を解決するために子ども自身が試行錯誤することで、みんなで決めたルールを守ることの大切さがわかってくるのではないでしょうか。

 

保育士さんがすぐに仲裁するのではなく、状況を見守りつつ、適切に声をかけて話し合いを整理しながら、子ども同士の伝え合いを支えていくことが求められるでしょう。

 

話し合いで気がついたことは、集まりの時間などで他の子どもたちにも伝えていけるとよいですね。

道徳性・規範意識の芽生えには、保育士との信頼関係が土台にある

今回は、10の姿の一つ「道徳性・規範意識の芽生え」とは何か、実践例や保育士さんの援助における視点を紹介しました。

 

社会生活の中で、気持ちよく生きていくためにはどうしたらよいか考えるのは大切なことです。

 

保育園では、「小学校に行く前にルールを守れるようにならなくてはいけない」という焦りから、ついつい子どもたちに「〜〜しなさい」「してはいけません」と言い過ぎてしまうこともあるかもしれません。

 

しかし、道徳性や規範意識の芽生えを育むためには、大人との信頼関係が重要になるようです。

 

「ありがとう」「よくできたね」「うれしいよ」など、子どもの行動を肯定し、子ども自身で自分の行動に肯定感を持てるような経験を積み重ねていけるとよいですね。

 

事例を参考に、「道徳性・規範意識の芽生え」とは何かについて理解を深め、保育に活かしていきましょう。

 

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改定保育所保育指針 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿

 

新・保育所保育指針の重要ポイント!「10の姿」について、それぞれの視点とエピソードを解説します

 

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