【10の姿】「自然との関わり・生命尊重」 幼児期の終わりまでに育ってほしいの姿

2018年4月からの新しい保育所保育指針、幼稚園教育要領で、小学校教育との連続性を考えるために目安として定められた「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」。
今回は、そのひとつである「自然との関わり・生命尊重」の項目について、現場で働く保育士の視点で考えてみたいと思います。子どもたちが身近な自然や動植物と関わりながら成長していくために、保育士は何をすべきでしょうか。

【10の姿】「自然との関わり・生命尊重」 幼児期の終わりまでに育ってほしいの姿

自然との関わり・生命尊重とは?



「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3つの法令によると、「自然との関わり・生命尊重」とは、「自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気付き、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもって関わるようになる。」と示されています。
戸外遊びの中で季節の自然に触れる機会はたくさんあると思います。遊びの中で自然物の面白さに気づくだけでなく、自然とどのように関わっていくかまで考えられるようなアプローチを考えていきましょう。

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保育現場で「自然との関わり・生命尊重」が具体的にあらわれた姿


<生命への関わり方を自ら考える~おたまじゃくしの飼育~>



5歳児クラスが散歩に出かけた時、田んぼでカエルの卵を見つけました。初めてカエルの卵を見た子は「ちょっと怖い」「気持ち悪い」と言っておそるおそる眺めていましたが、家で兄がカエルを飼育していたというC君は「カエルの卵だ!おたまじゃくしが生まれるんだよ。虫かごに入れて保育園で飼いたい」と興味津々です。

クラスに卵を持ち帰り、みんなで図鑑を読んで飼い方を調べました。担任が飼育の方法を指示しなくても、C君がリーダーとなって動き、おたまじゃくしの面白さや不思議さは友達にも伝わっていきました。最初は「怖い」と言っていた子たちも、登園すると真っ先に卵の様子を観察するようになったのです。

おたまじゃくしが生まれる頃にはクラス全員が水槽の中に夢中です。そこで担任は、日々変化するおたまじゃくしの形を覚えておけるように、観察日記をつけることを提案しました。


やがておたまじゃくしに脚が生え、もうすぐカエルになろうとする時、飼育に関する方針で言い合いが起こりました。「カエルになったら水槽は狭くてかわいそうだから逃がしてあげたい」という意見と、「死ぬまで飼いたい」という二つの意見がぶつかったのです。
この様子を見た担任は、クラス内で「カエル会議」を開き、子どもたちが話し合う機会を作りました。子どもたちから出た意見をひとつずつホワイトボードに書き、最終的には多数決で、カエルたちを田んぼに逃がすことが決まりました。反対していた子どもたちも生まれた田んぼで元気よくはねているカエルたちの姿を見て「バイバイ!元気でね」とお別れをすることができました。


これは身近な生き物を発見し、飼育し、命との関わり方を考えることができた事例です。このクラスの担任は子どもたちが自発的に行動する姿を見守りました。しかし、すべてを子どもたちに任せて何も働きかけなかったわけではありません。観察日記をつけるように提案したり、数種類の生き物図鑑を図書館で借りてきたり、会議の書記をしたり。5歳の子どもたちが経験を積み重ねることができるように、裏方となってサポートしたのです。


<子どもたちに綺麗な景色を見せてあげたい!〜季節の自然散歩〜>



3月の末、例年よりも少し早く桜が咲きました。主任保育士のI先生は通勤途中に通る桜並木を子どもたちにも見せてあげたいと思い、ミーティングの時に園長やクラス担任たちに相談しました。桜並木は保育園から2キロほど離れた場所にあり、低年齢の子どもたちは疲れてしまわないか?複数のクラスで行ってお花見を楽しむのはどうか、せっかくだからおやつも持って行ったらどうか、などさまざまな意見が出ました。

ミーティングの翌日には、全園児で一緒にお花見へ出発。乳児クラスの子どもたちも、担任がバギーや抱っこ紐を持参して参加し、いつもと違う特別なお散歩の雰囲気に興奮している様子でした。2、3歳の子どもたちもお兄さん・お姉さんクラスのお友達と手を繋ぎ、最後まで頑張って歩くことができました。


満開の桜の下で、花びらを使ったおままごとをする子や、ひらひらと舞い散る桜に手をのばす乳児さんなど、年齢に関係なくお花見を楽しむ様子が見られました。遊んだ後はみんなでお茶を飲み、おやつを食べて一休み。幼児クラスの子どもたちは花びらをおみやげに持ち帰り、押し花のしおりを作ることにしました。


「子どもたちに通勤路の桜を見せてあげたい」という一人の保育士の思いが、季節限定の特別なお散歩を実現しました。保育計画で予め決まっていない活動を提案したり、保育園の外にある自然物や場所にも目を向けてみると、保育の幅が広がり、子どもたちが経験できる内容は増えていきます。この場所に行くのは難しいのでは?と思うことでも、他の保育者と知恵を出し合い、協力することで実現できる可能性が高まるのです。


自然物に触れることができる場所は、大抵の場合は保育園の外にあります。地域ならではの自然や動物に会える場所などを日常的に探し、どうしたら保育の中に取り入れることができるか考えていきたいですね。


<保育室の中で出会う自然〜乳児期のアプローチ〜>



自然物は植物や動物だけではありません。0歳児クラスでは、保育園の中で感じることができる"自然"を大切にし、子どもたちに伝えています。
例えば、窓を開けて入ってくる風や、鳥の鳴き声、雨の音や風の音も自然物です。
「風さんそよそよ、○○ちゃんのほっぺにこんにちは」
「雨の神様がみんなを起こしにきたのね。おはよーって言ってるのかな?」
など、担任は子どもたちが自然の事象に興味を持てるよう、工夫した言葉掛けを行っています。
乳児期の子どもたちは、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感を使い、身の回りの事象を感じ取っているのです。太陽の暖かさや、ザーザーという雨の音など、つい忘れがちな身の回りの事象にアンテナを張り、子どもたちに分かりやすい表現で伝えていきたいですね。


自然を大切にする心を育む



身の回りの自然に触れ、美しさを感じたり、興味を持って調べたりする気持ちは、自然を守り大切にする姿勢の土台となります。大人が「自然保護は大切なことですよ」と伝えるだけでは、その気持ちは育ちません。

手で触れ、目で見て、友達と一緒に豊かな経験をする中で、初めて「この自然(命)を大切にすべきだ」と学んでいくのです。乳児期にそよ風の心地よさを伝えることは、生命を尊重する姿勢の第一歩目でもあるのです。


改定保育所保育指針 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿


新・保育所保育指針の重要ポイント!「10の姿」について、それぞれの視点とエピソードを解説します。

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