保育士の人材が不足している中、応募者からの面接辞退を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。面接辞退には、さまざまな原因やタイミングが考えられるため、それぞれにあった対策が必要となるでしょう。今回は、採用を成功させるための面接辞退の対策方法を詳しく紹介します。
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応募者の面接辞退のタイミングとは?
応募者からコンタクトがあったのにも関わらず、面接まで至らない「面接辞退」。保育園や施設などの採用担当者の方の中には、面接辞退に悩んでいる場合もあるかもしれません。
面接辞退が起きやすいタイミングや原因を知ることができれば、適切な対策も立てやすくなるでしょう。
まず、応募者が希望の園に応募してから面接までの行程の中で、面接辞退が起きやすいタイミングは面接の一週間前や3日前などが多いようです。また、応募者の状況によって違いがあるものの、近年では面接の前日・当日の「ドタキャン」が増えているそうです。
ドタキャンの理由としては、体調不良や事故などの不測の事態が起きたことや、希望した園に対して働く意思が薄れたなどの心理的変化が挙げられます。
体調不良や不測の事態が起きた場合は致し方ないものの、応募者の心理的変化などが原因の場合は、面接辞退を防ぐ余地があるのではないでしょうか。
その他に、応募者が面接辞退をする原因について詳しく紹介します。
応募者が面接辞退する原因
応募者が面接辞退する具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 他園、他施設の選考の通過や内定を得た
- 現在、勤務している園や施設に引き留められた
- 応募後に再考すると、条件や仕事内容が希望と異なると判断した
- インターネット上でよくない噂や評判を聞いた
- 応募した園や施設の対応が悪かった
詳しく見ていきましょう。
原因①他園、他施設の選考の通過や内定を得た
応募者は自分の希望条件に合った園をいくつかピックアップしている可能性があります。ピックアップした園の待遇や仕事内容などを比較しながら、転職活動を行っていることでしょう。
自分が希望する労働条件に合った園からの選考の通過や内定があった場合は、面接辞退につながることが考えられます。
原因②現在、勤務している園や施設に引き留められた
中途採用の場合は、応募者の中に現在勤務している園や施設からの転職を考えて、申し込んでいる場合もあるでしょう。面接の前に勤務している園に対して退職の意思を伝えた場合に、引き止められることもあるかもしれません。
園からの引き止めの中で、労働条件や環境の改善策を提示された際は、「もう少しこの園で頑張ってみよう」という応募者の心理的な変化も考えられ、面接辞退へとつながることもあるでしょう。
原因③応募後に再考すると、条件や仕事内容が希望と異なると判断
希望の園で応募後に勤務することを具体的にイメージし、通いやすさや待遇面を考えると求人票との相違を感じることもあるかもしれません。
園や施設によって勤務形態や給与はそれぞれ違いがあり、再考した際にやはり自分の希望とは異なるのではないかという理由から、面接辞退を招くこともあるでしょう。
原因④インターネット上でよくない噂や評判を聞いた
応募後に自分が働くかもしれない園に対して、詳しく知りたいと考える保育士の方もいます。インターネット上の口コミサイトなどを活用して、噂はどのようなものがあるのか、園を利用している保護者の方はどのような印象を持っているのかなど、さまざまな視点から調べるでしょう。
応募者が調べた際に、希望の園のよくない噂や評判を聞いた場合は、面接の辞退を考える引き金になることも考えられます。
原因⑤応募した園や施設の対応が悪かった
保育士の方の中には応募した園の電話やメールの対応が悪かった場合に、面接を受ける前に辞退したいと考えることもあるでしょう。
応募した際に希望の園に対して印象が悪いと、実際に働いた場合もぞんざいな扱いをされるのではないかと、不快な印象を与えてしまうこともあるかもしれません。
このように、面接辞退の原因や理由について明確にする際は、応募者の目線に立ち、状況や環境などをふまえて、さまざまな視点から考えることが大切です。原因や理由がわかったうえで、面接辞退を防ぐ対策について、詳しく解説します。
応募者の面接辞退を防ぐ対策
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応募者の面接辞退を防ぐためには、以下のような対策をするといいかもしれません。
- 応募者とのコミュニケーションを大切にする
- 選考スピードを迅速にする
- 面接日程は応募者の事情を考慮する
- 面接方法を簡略化し、WEB面接を取り入れる
- 応募者からの面接辞退の申し出の対処法について、事前に考える
具体的にどのような対策をとればいいのか一つずつ詳しく解説します。
対策①応募者とのコミュニケーションを大切にする
応募者とのファーストコンタクトは、電話もしくはメールが多いでしょう。電話やメールの対応で不快な印象を与えてしまうと、保育士の方がこの園を希望したいという気持ちが薄れてしまいます。第一印象は大切です。面接前は応募者との良質なコミュニケーションをとるように心掛けましょう。
応募者からの電話は丁寧に対応する
応募者が事前に園に対して質問しようと、電話をかけてくる場合があるでしょう。その際、応募者に対して丁寧に対応することが大切です。職員間で、採用担当者が忙しい場合の対応はだれがするのか、採用担当者への取りつぎ方などを明確にして、応募者が質問しやすい環境を整えておきましょう。
応募者へのメール対応は誠実に
求人サイトやホームページなどを通じて、メールで応募する保育士の方も多いでしょう。メールの内容はビジネストークにならないように、応募者からの質問には丁寧に対応するなど、一人ひとりと向き合った誠実な文章になるように心掛けましょう。
また、応募者にどのような印象を与えるかを確認するためにも、送る前に事務の方など周りの方にメールのチェックをお願いすることも大切かもしれません。実際に現場で働いている保育士の方に「どのような文章を送ると安心して面接を受けられるのか」など具体的なアドバイスを求めるのもよいでしょう。
対策②選考スピードを迅速にする
転職する保育士の方の中には、自分の希望条件に合った園をいくつか応募している可能性があります。面接前に他の園に内定が決まってしまう場合も考えて、選考スピードは大切にしましょう。
対応が遅い場合、就職・転職サイトの口コミ等で自園の評判を下げてしまう可能性もあります。そうならないためにも、早急で失礼のない対応を行い、選考を迅速に行いましょう。
書類選考通過、面接の打診など早めに連絡する
応募がきてから書類選考通過や面接の打診は、できるだけ短期間で行いましょう。園の行事などが立て込んで忙しい時期もありますが、応募者の他の園への応募状況などもふまえると面接までのスピードは重要です。
選考プロセスを見直し、効率を上げる
選考プロセスの中で書類選考を行ってから面接を行う場合と書類選考なしで面接を行う、2つのパターンがあるでしょう。書類選考を行う場合は、選考の明確な基準を設けたり、選考時間を短縮したりとプロセスを見直すと、効率を上げることにつながるかもしれません。
対策③面接日程は応募者の事情を考慮する
応募者との面接日程の調整は面接辞退を減らすうえで大切です。日程の調整がなかなかうまくいかず、応募者が気後れしてしまうこともあるかもしれません。応募者の事情を考慮した面接日程を組めるように心がけましょう。
応募から面接日程までの流れを明確に伝える
転職活動中の保育士の方は、現在も園や施設で働いている場合があり、面接できる日程が限られていることもあるでしょう。スムーズに面接を迎えられるように、「〇日までに選考結果や面接日程をお知らせします」など、面接までの日程の流れについて明確に伝えるとよいかもしれません。
面接日程を複数提示する
応募者の事情を考慮して、面接日程を調整することは大切です。応募者に面接日程を複数提示し、「複数の日程を提示してくれているから、この園の面接は行きやすい」、「自分の事情を考えて日程を調整してくれている」など安心感を抱けるような配慮を大切にしましょう。
対策④面接方法を簡略化し、Web面接を取り入れる
面接は主に対面で行いますが、オンラインサービスを導入したWeb面接を取り入れる園も増えていることでしょう。Web面接を活用して、面接方法を簡略化することで、面接辞退を防ぐことに役立つかもしれません。
Web面接を活用して面接を簡略化する
面接を行う際は、一般的に園長先生や理事長先生が行うことが多いでしょう。園長先生の中には、一人で採用担当や園の運営などを担うこともあるため、負担がかかることも考えられます。Web面接を取り入れることができれば、忙しい合間を活用でき、採用業務の効率化にも役立てることができるでしょう。
また、採用担当者の方と応募者間で面接日程が調整しやすいというメリットもあります。その他にも対面の面接の前にWeb面接を取り入れると、応募者とのコミュニケーションにも役立ち、面接辞退を防ぐことにもつながるのではないでしょうか。
応募者にWeb面接の可否を確認する
Web面接を取り入れる際は、必要なインターネット環境やパソコンやスマートフォンが利用できる環境が整っているのかを、応募者に確認するようにしましょう。
応募者の中には、園の雰囲気を知るために、Web面接よりも対面で話したいという方もいるかもしれません。
事前に応募者にWeb面接の可否を確認してから面接を行うようにしましょう。
対策⑤応募者からの面接辞退の申し出の対処法について、事前に考える
応募者から面接辞退の申し出があった場合は事前の対応法を考えておくとよいかもしれません。適切に対応するための方法を紹介します。
面接辞退の詳細を聞き、応募者の心に寄り添う
応募者から面接辞退の申し出があった場合に、なぜ面接辞退に至ったのか、経緯を丁寧に聞きましょう。最初から質問を繰り返すと、応募者も萎縮してしまうかもしれないので、応募者の心に寄り添って柔軟に対応しましょう。
応募者の中には「働いている園に引き留められて迷っている」など面接辞退について悩んでいる保育士の方もいるかもしれません。
応募者の事情を聞いて、「もう一度面接について考えみよう」という気持ちになるように対応することも大切でしょう。
園や施設の雰囲気を伝えられるように「見学」を提案する
応募者から、面接辞退の申し出があった場合に、まずは気軽に「見学」に来るように伝えるのも一つの方法です。保育士の方の中には「自然に囲まれた場所で子どもたちの保育活動に役立ちたい」、「子どもの勉強を重視するよりも運動を重視している園に行きたい」など、しっかりとした独自の保育観を持っている方もいます。
園と応募者との保育観のすり合わせを行うためにも、見学を進めることは大切でしょう。保育士の方が気負わないように「見学に来たからといって面接を受けて欲しいというわけではない」ということをしっかりと伝えたうえで、気軽に園に来てくれるように促すとよいかもしれません。
応募者の面接辞退を防ぎ、採用をスムーズに行おう
今回は、応募者の面接辞退ついてタイミングや原因、適切な対策方法について詳しく紹介しました。
応募者の面接辞退を防ぐためにも、面接の前に応募者とのコミュニケーションをとることは大切なことでしょう。電話やメールの応対などで、応募者に対して誠実に向き合うことは、応募者自身が「この園で働いてみたい」という意欲にもつながるのではないでしょうか。
保育士不足が懸念されている中で面接辞退を防いで採用が成功するよう、今回紹介した例を参考に対策方法を考えてみてくださいね。