保育士の人手不足が深刻化する中、中途採用における人材確保に悩む採用担当者の方もいるかもしれません。「人材が集まりやすい繁忙期は?」「採用を成功に導くポイントを知りたい」など気になることがたくさんありますよね。今回は、保育士の転職活動の動向を捉えたうえで、中途採用に最適な時期や求人広告のタイミングなどを詳しく紹介します。
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■目次
保育士の中途採用に適した時期を把握する重要性
厚生労働省の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」資料によると、2021年10月の保育士の有効求人倍率は2.66倍。
全国的に保育士確保に向けた競争率が高まっています。
採用側にとっては厳しい状況ではありますが、保育士の求職者の動向を捉え、求人の募集タイミングを見極めれば、「採用の成功率」を高めることにつながるでしょう。
また、求人掲載の具体的なタイミングが決定することで、採用スケジュールを作成したり、選考基準を設けたりと、人材確保への見通しを立てやすくなりそうです。
どのような時期に中途採用活動を行うべきなのかを把握し、採用の成功に役立てていきましょう。
中途採用の「繁忙期」と「閑散期」
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まずは、一般的な中途採用の「繁忙期」と「閑散期」を確認してみましょう。
繁忙期
求職者が多い「繁忙期」は、年度の変り目が近い「1月~3月」、または上半期を終えた「9月~11月」といわれています。ボーナス支給後に転職する方が多く、この時期に求職者が増えることが考えられます。
閑散期
求職者が少ない「閑散期」は、「7月~8月」もしくは「12月」といわれています。ボーナス支給月は転職活動を始める方が減るため、求職者数も減少するのかもしれません。
閑散期は応募者が少ないことから、採用活動がスムーズに進まないかもしれません。繁忙期にあわせて求人を募集すれば、たくさんの応募や優秀な人材の確保に役立ちそうですね。
あくまでもこれは一般企業の繁忙期や閑散期となりますが、保育士の求職者の増減についても同じようなサイクルなのでしょうか。
保育士の中途採用に最適な「繁忙期」は?
保育士の求人倍率から求職者の動向を確認し、中途採用の最適な時期を見極めていきましょう。
求人倍率から見る保育士の求職活動の動向
厚生労働省の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」において、2017年~2022年の求職者の動向を考察すると、1年間の中で4月・5月の有効求職者数が最も多いことがわかります。
出典:保育士の有効求人倍率の推移(全国)/厚生労働省からの抜粋
上記のグラフによると、求職者の少ない閑散期は特にないものの、保育士の中途採用における繁忙期は「4月・5月」といえそうです。
求職者が4月・5月に多い理由を以下にまとめました。
- 年度初めに復職を希望する人が多いから
- 転職者が環境に馴染めずに早期退職して転職活動を始めるから
- 年度終わりの退職者が休暇を取得後、5月あたりに転職活動を始めるから
子どもの入園・入学と同時に職場復帰する主婦層の動向もあり、パートタイムの求職者も多いかもしれません。
年度初めの4月・5月が最適
先述した通り、保育士が就職・転職活動を行う繁忙期は「4月・5月」なので、中途採用を行う時期もこの2カ月に焦点をあてるとよさそうです。
ただ、職場の状況を考えると、1月~3月に人材を確保して4月までに体制を整えたいと考える園もあるでしょう。そのため、来年度の人材確保に向けた求人広告は遅くとも「12月」に出し、中途採用は1月~5月と長期的に取り組むとよいかもしれません。
また、保育士は9月〜10月頃に次年度の進退の確認を行うことが多いものです。その時期に求人広告を見つつ、退職の意思を固める方もいるでしょう。
そういった求職者の動向も考慮して「8月・9月上旬」に広告を出せば、目に留まりやすいといえそうです。
中途採用を成功に導くためにも、「12月」または「8月・9月上旬」を意識して求人広告を出し、人材確保に取り組むとよいでしょう。
保育士の中途採用時期を把握し、採用を成功に導くポイント
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中途採用の繁忙期を意識しつつ、採用を成功に導くポイントを紹介します。
採用スケジュールを作成する
採用担当者は、繁忙期にあわせて具体的な計画を立て、求人募集から採用までの流れを明確化しましょう。
基本的な採用スケジュールの項目は、以下の通りです。
①求人募集
②応募受付
③書類選考
④面接・実技試験
⑤選考・評価
⑥結果通知
⑦内定
保育園の採用活動は主に園長や副園長が担当する場合が多いものですが、中途採用の繁忙期である4月・5月頃は、入園式や慣らし保育などで忙しいかもしれません。
面接官や求職者へのフォロー役などきちんと役割分担を行い、人材の確保に役立てていきましょう。
求人票の内容を明確にする
採用活動の中で、魅力的な求人票を作成することが大切になります。
求人票に記載する項目は以下の通りです。
- 雇用形態
- 労働条件(契約期間の有無、賃金、休日、勤務時間)
- 仕事内容(担任または補助など)
- 福利厚生など待遇
- 勤務地へのアクセス
求職者は求人票で待遇面、勤務時間などの詳細をきちんと確認して、自身の条件に合った園に応募することでしょう。
「持ち帰り残業なし!定時に退勤可能」「子どもの主体性を大切にする保育。広い園庭あり」など、業務量や保育方針といったアピールポイントを記載しましょう。
また、求職者が「この園の求人について、一度話を聞いてみたい」という気持ちになるよう、「3時間の短時間勤務可能。要相談」となど間口を広げた内容にすることも大切です。
繁忙期・繁忙期以外で採用手法を変える
中途採用の繁忙期(4月・5月)とその期間以外に採用手法を変えることで、人材確保がスムーズに進むかもしれません。それぞれの時期に意識するとよいポイントをまとめました。
繁忙期の採用手法
繁忙期の求職者は活発に活動することが考えられるため、複数の園の面接を受け、結果を待っている可能性があります。
優秀な人材をいち早く確保できるように、迅速に選考を行いましょう。
また、採用後も内定辞退を防ぐためにこまめに連絡を取り、求職者の疑問や不安に誠実に対応することも大切です。早めに指導担当者も決め、初出勤日のフォロー体制も整えていきましょう。
繁忙期以外の採用手法
求人広告を掲載してもなかなか応募者が現れない可能性もあるでしょう。求職者の中には転職に迷いながら求人情報をチェックしている方もいるため、広告を掲載し続けることが大切です。
また、人材の確保のためにハローワークや求人サイトを利用する園が多い一方、人材紹介会社への依頼も検討してみましょう。近年では、人材紹介会社に登録する求職者も増加しているため、応募が少ない時期にもよい人材の紹介を受けられるかもしれません。
最適な中途採用時期を確認し、保育士の採用活動をスムーズに進めよう
求職者の動向を考えると、中途採用に最適な時期は「4月・5月」となります。
1月〜3月にかけて応募がなかなか集まらなかった場合も、春先に応募が増える可能性があるでしょう。ただ、地域によって中途採用の繁忙期や閑散期に違いがあるかもしれません。
求職者の動向に詳しい人材紹介会社などを活用して、採用活動をスムーズに進めることができるとよいですね。