保育士採用で応募の中からマッチする人を見極める「書類選考」。あらかじめ評価基準を作成しておくと、効率的に応募者の絞り込みを行うことができるでしょう。今回のコラムは、書類選考における5つのチェックポイントや評価基準を定める際の注意点などを紹介します。スムーズな採用活動に役立ててみてくださいね。
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■目次
【保育士採用】書類選考基準を定めよう
求職者から応募を受けた場合に、書類選考を行ったうえで面接日程を決める園もあるでしょう。
採用までの流れは各保育施設によって異なりますが、書類選考を行う場合に、あらかじめ「文章スキル」や「職務への適性」などの評価基準を設けておくと、効率的に人選を行うことができるかもしれません。
書類選考基準を明確にして、採用の成功に役立てていきましょう。まずは、書類選考の目的や必要書類について解説します。
【保育士採用】書類選考の概要
書類選考の目的
書類選考の目的は面接する応募者を絞り、効率的に採用を進めることです。
保育施設では園長先生や副園長先生が採用担当を担う場合もあります。多忙な業務の中、応募者全員と面接するのはあまり現実的ではありません。
スムーズに面接を行うためにも、事前に応募者の書類を確認し、絞り込みを行いましょう。
書類選考の必要書類
書類選考に必要な書類は、履歴書と職務履歴書の2点です。記載内容について詳しく解説します。
履歴書
履歴書とは、採用担当者が応募者のプロフィールを確認するための大事な書類で、主に以下のような個人の情報が記載されています。
- 名前や生年月日、住所、電話番号
- 学歴、職歴
- 志望動機、自己PR
- 趣味、特技
履歴書の形式はさまざまで、長所や短所を記載する欄もあるかもしれません。応募者の基本的な情報や仕事に対しての意欲が確認できるでしょう。
職務履歴書
職務経歴書は、採用担当者が求職者の過去の経験やスキルなどを知ることができる書類です。主な記載内容は以下の通りです。
- 職歴、担当クラスや担任の経験有無
- 過去の退職理由、転職理由
- 資格、保持スキル
- 現在勤務中の保育施設や企業について
職務履歴書保育士としての経験やスキル、能力などを見極めるために重要な書類となります。転職理由なども含めて、求職者を把握することに役立つでしょう。
このような求職者の「顔」といわれる履歴書や職務書類を確認する際に、あらかじめ必要な基準を定めていきましょう。次に評価基準を定める際の注意点を紹介します。
【保育士採用】書類選考の基準を定める際の注意点
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求める人材の明確化
書類選考の基準を定めるうえで最も重要なのが、求める人物像を明確にすることでしょう。
どのような人材が必要なのか、あいまいなまま書類選考を行ってしまうと、公平性が保てず面接官によって選考結果に個人差が出てしまう場合も考えられます。
現場の状況を把握し、「正職員が〇人、補助職員が〇人必要」といった基本的な情報や「ピアノが弾ける方」、「担任経験がある方」など、必要な人材のスキルを詳しく書き出しておくとよいかもしれません。
また、保育士さんは他の職員と協力して保育活動を行うことが多い職種です。現場全体のバランスを考えたうえで、人員を確保することも大切になります。
「担任は決まっているが副担任は応募者の中から選びたい」、「副担任は決まっているがまだ経験が浅いため、ベテランの保育士さんを担任として雇いたい」といった自園の要望もまとめ、選考の基準として役立てていきましょう。
自園独自の評価基準の作成
「モンテッソーリ教育を取り入れている」、「縄跳びや跳び箱など、運動を重視した保育活動を行っている」など、保育園にはそれぞれ特色があります。
保育方針に基づく評価基準も、求める人材を見極めるポイントになりそうです。
【保育士採用】書類選考基準の5つのチェックポイント
ここで、保育士さんの書類選考基準のチェックポイントを紹介します。
文書作成スキル
保育士は指導案や保育記録、連絡帳の記入など文章を作成することが多い職種のため、文章力や適切な言葉遣いを使用する能力が求められます。
基本的な文章スキルをチェックするポイントは以下の通りです。
- 誤字脱字はないか
- 日本語として文章が成り立っているか
- 学歴の卒業年数や保育士の経験年数は一致しているか
- 適切な言葉遣いか
勤務してすぐにクラスだよりなどを任せる可能性がある場合は、接続詞の使い方なども含めて、文書の読みやすさを確認するとよいかもしれません。
読み手への配慮
履歴書や職務経歴書が読みにくい印象の場合は、読み手に対する配慮が足りない可能性もあります。以下の点に注意してチェックしてみましょう。
- 一文が長すぎていないか
- 専門用語ばかりで分かりにくい印象になっていないか
- 自己中心的な文章になっていないか
読み手がどのように感じるか、一歩ひいて文章を作成することができる方は、保育活動を客観的に見る力が優れていたり、協調性が高かったりと優秀な人材の可能性があります。読み手の立場になって文章を作成しているか見極めていきましょう。
自分の言葉で伝える表現力
履歴書や職務経歴書の書き方は、インターネットサイトや書籍にさまざまな例があり、参考にしている方も多いでしょう。
このような情報を参考にするのはよいことですが、中には自分の言葉で伝えずに抽象的に文章をまとめてしまう方もいるかもしれません。
採用担当者に向けて、自らの言葉で気持ちを伝えようとしているか、しっかり確認するとよさそうです。
保育経験からの自己アピール
自園の即戦力として採用する場合、求職者のいままでの保育士経験をどう現場に活かしたいと考えているかは重要なことでしょう。
志望動機や職務経験に記載されている文章をもとに、自園での就業意欲を感じられるか、見極めていくとよいかもしれません。
また、自園の保育方針や活動は、求人広告やホームページなどで記載していることでしょう。これらの資料をしっかり読みこんだうえで就業を希望しているのか、自園への興味や関心についても確認するとよさそうです。
職務への適性
保育士は子どもの命を預かる責任のある仕事です。
そのため、文章の中で子どもと携わる覚悟や仕事への熱意を表しているのか、確認していきましょう。
具体的には、「保育士としてこの先どのように成長していきたいか」、「子どもとどう関わっていきたいか」といった未来を見据えた考えを述べているかチェックするとよいかもしれません。
保育士の書類選考基準を定め、採用活動に役立てよう
求職者の転職活動が盛んになる1月~3月は、自園への応募数が増加する可能性があります。書類選考基準をあらかじめ定めておくと、複数の応募者の中から効率的に絞り込むことができ、採用活動がスムーズに進むでしょう。
優秀な人材を確保するためにも自園で求める人物像を明確にしたうえで、履歴書や職務履歴書をもとに文章作成スキルや保育士としての適性を見極めていきましょう。