潜在保育士とは?人数や理由、復帰のための取り組み

潜在保育士とは、保育士資格を持ちながらも保育施設に勤務していない人のこと。この潜在保育士は、日本全体の社会問題となっている待機児童及び保育士不足の現状を打開するための重要な存在として考えられています。このコラムでは、潜在保育士の人数やそうなった理由、また復帰に関する現状などについて解説します。



潜在保育士とは?人数や理由について、厚生労働省のデータを元に解説.jpggraphbottles/shutterstock.com


潜在保育士とは?


潜在保育士とは、どのような保育士のことを指しているのでしょうか。潜在保育士の定義、人数、その状況を受けての厚生労働省の対応をまとめました。



潜在保育士とは


潜在保育士とは、現在保育士に就いていない保育士資格保有者のことです。その中でも、大きく分けて以下の2パターンの潜在保育士がいると厚生労働省が提言しています。

(1)保育士資格を持っているが、保育施設で働いたことがない人(約17%)
(2)保育士資格を持っており、過去に保育施設で働いていた人(約83%)



数字を見る限りでは、後者のもともと保育士として働いていた人がほとんどです。その中でもさらに、

a.今後保育士としての就業する意向のない人
b.今後保育士として復帰したいと考えている人



に分けられるようです。厚生労働省は、bに分類される「今後保育士として復帰したいと考えている人」に対しての復帰支援を積極的に行っています。



出典:保育分野における人材不足の状況②/厚生労働省




潜在保育士の人数


潜在保育士は全国に約76万人いると発表されています。平成25年の調査では、保育士登録者数は約119万人で、実際に保育士として働いている人は約43万人。その残り約76万人が潜在保育士とされているようです。

保育士の人数を確保するため、新規の保育士への間口を広げたり、現職の保育士への離職対策を行ったり、国や自治体で就業意向のある潜在保育士への復帰支援を行うなどの対策をしています。



出典:登録された保育士と勤務者数の推移/厚生労働省



潜在保育士になった理由とは


保育園を退職して潜在保育士になった理由はどこにあるのでしょうか。主な退職理由や、保育士資格を取得したものの保育施設に就職しなかった理由などについて、厚生労働省の調査結果を元にまとめました。



大きな退職理由は「給与面」


公立と私立の離職率から見る退職理由

保育士の離職率を公営と私営をそれぞれ見てみると、

公営保育施設:7.1%
私営保育施設:12.0%



出典:保育士の経験年数、採用・離職の状況/厚生労働省



と差があることがわかります。2つを比較して大きく違うのは、公務員であるかないかの違い、すなわち給与の違いです。役職に就いていない一般正職員の給与を見てみると、公立保育園の平均年収が約336万円で、私立保育園の平均年収は約315万円と、年間約20万円の開きがあります。

さらに役職に就いた場合、その差がより顕著です。主任保育士になると公立園の平均年収が約622万円、私立園では約477万円と、その差は約100万円以上にもなります。

もちろん園によって仕事内容の違いはあれども、基本的な仕事内容は同じであるにも関わらずこれだけの給与の差が出ると、給与面の影響は無視できないと言えそうです。



出典:平成29年度 幼稚園・保育所・認定こども園の経営実態調査/内閣府



公務員保育士の給料事情についての詳細はこちら




仕事量、責任量に見合わない給与体制

多くの保育士が不満を感じている給与ですが、他の職種と比較してもさほど大きな差はないように見えます。それでも不満を感じざるを得ないのは、連絡帳や行事の準備などでかさむ仕事量の多さと、大切な子どもの命を預かる責任量の大きさに、その給与が「見合わない」ということも要因の一つとして考えられます。

保育士の仕事は子どもの保育以外に、製作物を作ったり、連絡帳を書いたり、指導案を作成したり、保護者の対応をしたりと、他にも多種多様の仕事があるため、仕事量が多いです。昨今問題になっている保育士不足がその状態を後押ししているところもあるでしょう。

責任量に関しても、室内で遊んでいるときはもちろんのこと、特に園庭で遊んでいるときや散歩のときは細心の注意を払って安全に配慮しているため、一瞬も気が抜けない時間を過ごさなければなりません。



出典:保育士の平均賃金等について/厚生労働省



保育士の給与についての詳細はこちら




勤務時間の長さも問題


保育士の残業の多さは以前から問題視されており、近年では残業を減らせるよう仕事内容の見直しが積極的に行われつつあります。それでも依然として拘束時間が長く、持ち帰り残業が発生する園が多くあるのが現状です。

日中は子どもたちに付きっきりになるので、大量の事務仕事や製作物に取り組む時間が限られてしまいます。そのため必然的に残業をする流れができてしまう傾向が見られます。

こういった勤務時間に関しての不満は、20代~50代までのほぼ全ての世代に共通して見られ、いずれの世代でも高い割合となっているようです。


潜在保育士が復帰をしない理由



保育士を辞めた理由が改善されれば、復職したいという人は6割


給与が希望する額と合わないことや、休みが少ないことが主な不満として挙げられていますが、これらの点が改善されれば復帰したいと考える保育士は全体の6割という調査結果があります。その結果を受けて、国や自治体は処遇改善や新しい役職を新設するなどして保育士の待遇を少しずつ改善しています。



出典:保育分野における人材不足の原因・理由②/厚生労働省



復帰したいが希望条件にあう園がないのが実情


現状の不満が改善されれば再び保育園に戻りたいという潜在保育士の意向がある一方で、希望条件が整っている保育園がなかなかなく、復帰につながらないというケースが約30%と、一番多い割合を占めています。

その理由を調べると、勤務時間や雇用条件、賃金に対する不安要素が主な要因となっています。よって、潜在保育士が現場に復帰したくてもできないという状況があると言えるでしょう。



出典:潜在保育士について 保育園で就労していない理由/厚生労働省




家庭環境や体力の心配など、個人的な状況も関係している


職場の勤務条件に加えて、家庭と両立できるかの不安や、自信の健康面や体力的な心配も、復帰への足かせとなっているようです。

どちらの項目でもほぼすべての世帯がそれに該当すると回答しており、この部分の支援の充実も、潜在保育士が復帰を検討するためのカギとなり得るでしょう。



出典:潜在保育士の実態について 保育園で就労するにあたっての不安要素/厚生労働省



厚生労働省や自治体の取り組み


潜在保育士とは?人数や理由について、厚生労働省のデータを元にして解説.jpg
maroke/shutterstock.com

潜在保育士に保育士として復帰してもらうため、国が主導して様々な離職・復職対策を実施しています。



復職対策


厚生労働省では保育士確保プランと打ち出し、働く職場の環境改善や、再就職支援などを行っています。

再就職支援の具体的な内容の一例には、「保育士マッチング強化プロジェクト」として全国のハローワークと連携して、ハローワークにおける求人を増やしたり、「保育士職場体験講習会(仮称)」というセミナーの開催などを行っています。

職場環境の改善としては、管理者を対象とした研修の実施や、保育所等と保育士・保育所支援センターとの連携を強めたり、保育所における雇用管理の好事例集や雇用管理マニュアルを作成して配布することなどに取り組んでいます。



出典:保育士確保プラン/厚生労働省



離職対策


現職の保育士が仕事を続けることができるように、離職対策も保育士確保プランとして行っています。具体的な対策として、新人保育士に向けた就業前のイメージと入職後のギャップをフォローすることや、保護者対応についての研修の実施、職員の職場定着を図る場合に支給される助成金の活用促進などがあります。

そうした対策を実施することで、同じ職場への定着はもちろんのこと、転職するにしても保育業界内での転職がしやすいようにと考えているようです。



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もう一度保育士として働く選択肢を


潜在保育士について、潜在保育士になった理由から復帰できない理由、厚生労働省の対策などについて解説しました。潜在保育士は、待機児童や保育士不足の深刻な現状を打開してくれること大きな切り札として期待がかかっています。

ただ、なかなか保育士の人数確保は順調とは言えません。そのため、今後もより保育士確保のための施策が充実していくことが考えられます。こういった制度を利用して、保育士への復帰を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。


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