敬老の日に向けて、どのように指導案を書けばよいのか悩む保育士さんもいるかもしれません。子どもたちに敬老の日の由来を伝えるための導入方法なども気になりますよね。今回のコラムでは指導案の書き方や、プレゼント製作を例としたねらい・子どもの姿、保育士の援助方法などの文例を紹介します。
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■目次
敬老の日の指導案を作成しよう
9月の敬老の日に向けてプレゼントの製作などの活動を考えている園もあるでしょう。保育士さんは、子どもたちがスムーズに活動できるように指導案を作成することが大切になります。
そもそも敬老の日の由来は諸説あるようですが、「としよりの日」が制定されたことがはじまりだといわれています。その後老人の日と名称が変更され、1966年に祝日として「敬老の日」と呼ばれるようになりました。
”敬老”の字の通り、「お年寄りを大切にしよう」という意味が込められている日のため、園児にも「おじいちゃんやおばあちゃんに感謝を伝える日」として伝えていきましょう。
今回のコラムでは、製作活動を例にした敬老の日の指導案の書き方を紹介します。子どもたちが楽しく製作に取り組めるよう、指導案では敬老の日を意識したねらいや環境構成、保育士の援助方法などを詳しく記入し、製作の準備を進めていきましょう。
敬老の日の指導案の書き方のポイント
まずは敬老の日の指導案を書くうえで大切なポイントについて紹介します。
導入方法を工夫して記載する
敬老の日の意味や由来を知らない子どももいるでしょう。指導案には、クイズやペープサートを使うなど導入方法を工夫して記載するとよいかもしれません。
子どもたちがワクワクできるような導入方法を考えると、活動に向けて意欲を高めることにつながるでしょう。
年長クラスになると、おじいちゃんやおばあちゃんにどんなプレゼントを作ればよろこぶか子どもたちと話し合うなど、園児の自主性を大切にした導入方法を取り入れてみてもよさそうです。
製作の進め方を詳しく記入する
敬老の日にプレゼントを作るクラスも多く、絵をかいたり、工作したりと製作活動を行う場合もあるようです。指導案には、製作の工程をきちんと記入し、予想される子どもの姿をイメージしながら、保育士の援助方法を記載することが大切になります。
あらかじめ、保育士さんが製作物のお手本などを用意すると、完成に向けて取り組みやすいかもしれません。
また、作り方が上手に伝わらないと園児が悲しい気持ちになったり、作ることに時間がかかったりすることもあるでしょう。指導案には、伝わりやすい方法を考えながら作り方のポイントを明確に記載しておくとよいですね。
過去の文例を参考にする
園では、敬老の日に向けて毎年行事を計画していることがあるでしょう。そこで過去の先輩保育士さんの文例を参考にすると、指導案が書きやすいかもしれません。
特に子どもたちの気持ちを盛り上げるために、どのような導入をするべきか迷うこともあるでしょう。職員同士でアイデアを出し合い、園児の興味をひく方法を考えると指導案の作成もスムーズに進みそうです。
敬老の日の指導案の例~導入方法~
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ここで敬老の日の指導案に活用できる導入方法を紹介します。
クイズ形式
子どもたちにクイズ形式で敬老の日を伝えてみましょう。
問1:「みんな、ママやパパにプレゼントをする日は知っているかな?」
まずは身近なママとパパの話をしてみましょう。子どもたちからは「母の日」「パパの日」などさまざまな答えが返ってくるでしょう。「そうだね」「覚えてたね」などうなづきながら話を進めていきましょう。
問2:「じゃあおじいちゃんとおばあちゃんにプレゼントする日はなんていう日か知ってる?」
子どもたちからは、「わかんないよー」「じいちゃんの日かなあ」と、考えた言葉が返ってくるかもしれません。
ここで下の例のように敬老の日について子どもたちに伝えましょう。
「敬老の日っていうんだよね。けいろうというのはおじいちゃんとおばあちゃんって大切な人だよという意味です。いつもお世話になっているおじいちゃんやおばあちゃんにプレゼントを作りましょう。」
子どもたちにわかりやすい言葉で、敬老の日の意味を伝え、プレゼント製作をすることを伝え、製作活動につなげるとよさそうです。
絵本
子どもたちに絵本を通じて、敬老の日の意味を伝えていきましょう。おじいちゃんやおばあちゃんが登場する絵本はたくさんあるようです。インターネットサイトなどで検索したり、本屋さんで選んだりして、対象年齢を考えながら、絵本を用意するとよいでしょう。
また敬老の日にちなんだ紙芝居もあるようです。自治体によっては図書館などで紙芝居を借りられる施設もあるようなので活用してみてくださいね。
指人形
おじいちゃんとおばあちゃんの指人形を用意して、劇形式で子どもたちに敬老の日について伝えるのもひとつの方法です。布製の人形があれば活用できますが、手元にない場合は折り紙で人形を作ることもできるでしょう。
実際におじいちゃんやおばあちゃんが孫からプレゼントをもらう劇を演じると、子どもたちもご老人によろこんでもらうイメージが沸き、製作に向けてのワクワク感が膨らみそうですね。
敬老の日の指導案の例~ねらい~
敬老の日の製作活動の指導案を書く際のねらいの文例をいくつか紹介します。
- おじいちゃんやおばあちゃんへの感謝の気持ちを込めて製作する。
- プレゼントを手作りするよろこびを感じる。
- 製作活動を通して描いたり、作ったりする楽しさを味わう。
- 工作を通して表現力や集中力を養う。
敬老の日の製作のねらいを設定する際は、おじいちゃんやおばあちゃんへの日頃の感謝の気持ちを込めて製作することが大切になります。また、製作活動を通して、子どもたちにどのような力が育まれるかを意識して記載するとよいでしょう。
敬老の日の指導案の例~活動内容~
敬老の日に活用できる製作の活動例を紹介します。
手形で作る花束
子どもたちの手形で花束の絵をかきましょう
厚紙に子どもたちの手形をのせて、花束に見立ててプレゼントします。手のひらに絵の具をぬってスタンプのように押すだけなので、製作に取り組みやすいかもしれません。
指導案を作成する際は、絵具が服につかないように気をつけることや手についた絵具の感触を楽しめるように援助方法を記載するとよさそうですね。
紙粘土でネックレス
紙粘土でネックレスを作りましょう。
紙粘土をハートやダイヤなどに形作ったらビーズをのせて、ネックレスを作ります。首にかける部分は紙粘土のプルタブを入れ込み、輪っかの部分に紐を通すとよいでしょう。
材料のビーズやプルタブがなくならないように、あらかじめ人数分のお皿に分けておくとよいかもしれません。指導案では材料の配り方や作る際の注意点などを詳しく記入し、スムーズに活動が進められるように配慮しましょう。
牛乳パックの小物入れ
牛乳パックで小物入れを作ります。
牛乳パックの底から10㎝の折り目をつけたところをカットして、和紙や折り紙を貼りつけて小物入れを作りましょう。マスキングテープやシールなどを貼ってもよいでしょう。
この製作をするときは和紙や折り紙を貼りすぎてべたついてしまうこともあるでしょう。指導案の「保育士の援助方法」のなかで、のりの扱い方への声かけのしかたなどを詳しく記載するとよいかもしれません。
また、4歳児や5歳児クラスであれば、牛乳パックをカットする部分から園児に任せてもよさそうですね。ハサミの持ち方や手を置く場所などを伝え、安全面に配慮した声かけも記入しておきましょう。
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敬老の日の指導案の例~予想される子どもの姿~
製作活動中に予想される子どもの姿の文例を紹介します。
- 説明を聞く子どももいれば、友だちと話す子もいる。
- 友だち同士で話をしながら製作を楽しんでいる。
- 上手く作れずに泣き出す子がいたり、励ましたりする子もいる。
- 完成した製作物を子ども同士で見せ合う姿が見られる。
- 製作に時間がかかり、活動内に終わらない子どもがいる。
製作活動の進め方は個人差があるため、上手く作れずに泣き出したり、時間内に終わらなかったりすることもあるでしょう。普段の子どもたちの様子をイメージしながら、予想される園児の姿を記入していきましょう。
敬老の日の指導案の例~保育士の援助ポイント~
製作活動中の保育士の援助ポイントを紹介します。
- 子どもたちの反応を見ながら、製作の順番を説明する。
- おじいちゃんやおばあちゃんにプレゼントの気持ちを込めて製作することを伝える。
- 材料はグループの人数、箱に入れて配る。
- 上手く作れない子、製作工程を理解することに時間がかかる子には個別に「いっしょに作ろうね。」「ここまで自分でできたのはすごいね!」など個別に声をかけて援助する。
- 活動内に製作が終わらない子がいた場合、自由保育中に時間を設ける。
子どもたちの安全面に配慮しながら、製作の進み具合などを見て「困っていることはないかな?」など声かけするなど、援助ポイントを記載していきましょう。
敬老の日のプレゼント製作に向けて指導案を作成しよう
敬老の日は、おじいちゃんやおばあちゃんに感謝の気持ちを伝える大切なイベントです。
保育園で行事として取り入れる際には製作を行うクラスも多いようですが、上手くできなかったり、工程がわからずに泣いてしまったりする園児もいるでしょう。それぞれの子どものペースを大切できるように援助することが重要なポイントになります。
指導の作成時も、普段の子どもの姿をイメージしながら、どのような声かけを行えばよいか考えながら作成するとよさそうです。
子どもたちが想いを込めてプレゼント製作に取り組めるように、導入方法などを工夫して指導案を作成していきましょう。